宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

週刊コラム「走りながら考えた」

走るクマ
2001.6.18-24

 18日(月)の夕刻、迫町の東北新生園を訪問。ハンセン病患者、元患者の方々217名が入所している。ハンセン病訴訟で国側が敗訴し、それに控訴せずという歴史的判断がなされたことにより、国による患者さん方への補償が始まる。そういった新しい動きの中で、知事としてぜひとも東北新生園を訪問したいと考えた。

 この施設で亡くなった方々の御霊に献花をしたあとに、その場で何人かの方々とお話をした。中でも、昭和14年から入所しているという方の話には圧倒されてしまった。実は、この施設には、昭和14年の開所時から入所している方が全部で4人いらっしゃるということである。多くが語られることはなかったが、この事実の重みに私のほうが圧倒され、言葉をなくしてしまう。

 そのあと、自治会の方々8名と話し合いをしたが、皆さん最後までこの施設で安心して暮らし続けたいということをおっしゃっていた。平成8年の「らい予防法」廃止の時に訪問して欲しかったと、会長の久保さんから言われてしまったが、それが率直な思いなのだろう。過去の大変な経験について詳しく語られることはなかったが、副園長さんからは、むしろ語られなかったことにこそ思いをはせるべきであるというコメントをいただいた。そのとおりだと思う。

 毎年恒例の、時事通信社主催の内外情勢調査会での講演を19日(火)に石巻、翌20日(水)に仙台でさせてもらった。今回のテーマは「宮城の環境戦略」としたが、それほど得意な分野でないので、結構神経を使う講演であった。それでも、この機会に集中して勉強することができたのは、私にとってはよいことであった。地球環境問題の観点から市民レベルでの環境対応を考える必要がある。リサイクル工業団地の構想はマスコミも興味を示したが、まさに、リサイクルは環境産業として新しい産業になるのであるから、宮城県としても積極的に取り組むべき領域であるとの思いを強くする。

 21日(木)は東京のプレスセンタービルで日本記者クラブによる記者会見。時期が時期だけに小泉構造改革に対する見解というのが中心であった。道路特定財源の見直し、地方交付税の見直しを含む地方と国との関係などについて私の考えを聞いてもらう機会が持てたのはありがたいこと。

 22日(金)から県議会の一般質問が始まった。通常は16名の質問者で4人づつ4日間というものなのだが、どういうわけか今回は21人。初日の22日は5人が質問に立った。「人数を制限してくれ」ということを言うと田中真紀子外務大臣のように「立法機関への行政の介入、質問権の制限圧力」ということになってしまう。低調な県議会というよりはずっといい。肉体的にはちょっとつらいが、がんばろう。 



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