浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 2月第2週            

2006.2.11(土)

 「建国記念の日」。走るつもりで外に出たが、細かいみぞれが落ちて来る空。2月の11日間で、ちゃんと走れたのは1日だけ。走行距離7キロは最低新記録ものである。

 午後3時15分から4時45分まで、東京水道橋のLECで「第9回ソーシャル・アクション・スクール」で講演。現地に早く着いたので、私の前の田原総一朗の講演を30分ほど聴講した。札幌、東京、大阪、松山を衛星システムで結んでの多元講演である。東京会場には、半分ほどが現役の公務員らしいが、若い聴講生で200人ほどで一杯。平均年齢28歳ぐらいと見た。だから、反応もとてもいい。それに乗せられて、快調に話させてもらった。

 今日の往復の新幹線の中でも、原稿書きに従事。その甲斐あって、あと少しで、一応の完成を見る段階にたどり着いた。


2006.2.9(木)

 仙台が寒い、雪だといっても、北海道とは全然違う。

 午後から北海道へ。南空知職員自治研究会からのお招きで、由仁町文化交流館「ふれーる」で講演をする。突然のメールで南幌町総務課参事の嶋田浩彦さんから、「ぜひ来てください」と頼まれたのが発端である。第二のふるさと北海道のことだし、「日程が許すなら・・・」と承諾してしまった。

 新千歳空港でほんのちょっと外に出ただけで、寒いのと雪の多さに圧倒された。「ウワー、ホッカイドーだ」と言うしかない。空港から会場までの45分ほどの道は、一般道だが交通量が少ないので、高速道路と変わらず走れる。両側には雪の壁、その向こうに大平原が広がる景色に「北海道だな」とつぶやく。そのうちに、地吹雪が舞い上がった。「北海道らしさを体験できて、よかった」と強がりを言う。

 南幌町、由仁町、栗山町の合併が、土壇場で破綻したが、合併協議会の事務局で苦楽を共にした仲間が、このまま解散ではもったいないということで、研究会を立ち上げたとのこと。講演、それに続く北海道総合研究調査会の五十嵐智嘉子常務理事との対談をしていても、聴衆の熱心さが伝わってくる。「今年の7月8日には、日本一の湯由仁町ハーブガーデンで、千人集めてのディスカッションやりますから、どうぞ」のお誘いに、「はいはい」と乗ってしまったのは、この熱心さのせいである。

 由仁町から札幌まで1時間の道のりは、吹雪もなく穏やか。雪だらけの景色を眺めているうちに、北海道に帰ってきたという想いが強く湧き上がってきた。


2006.2.8(水)

 私の58歳の誕生日である。バースデイ・ランを敢行しようと思ったが、今朝の天気ではそれもままならない。大人しくしていた。

 小雪降る中、丸森町社協訪問。皆さん熱心で真面目である。何かをしようという意欲は感じられる。実際にやろうとすると、いろいろな困難がある。多くの社協で同じような状況を見る。意欲がある限りは、必ずや具体的行動に結びつくと思っている。

 夕方は、仙台プラザホテルで村井知事と面談。船形コロニー解体宣言に関しての話し合いである。村井知事は見直しをしようとしているという報道がされていたが、その真意を私に伝えたいという趣旨と理解した。知事も私も、基本的な方向は同じと受け止めている。「2010年までに解体終了という目標を掲げるのはやめてはどうか」というご提案は、「無理しなくていい」という意味であろう。本人や家族の意向を無視して施設から追い出すということが「無理して」ということになるのなら、全くそのとおりである。本人の選択による地域生活への移行というのは、当然のことであり、本人の気持ちに逆らって追い出すなど、考えるはずもない。あまりにも当たり前のことなので、議論するようなものでもない。それにしても、これだけのことに、驚くような報道陣の数である。久しぶりに記者の皆様に囲まれる興奮を味わった。これも誕生プレゼントの一つと受け止めた。

 本物の誕生パーティー、今年は久しぶりに「ケントス」にて。70人ほど集まったが、そのうちの元気のいい半分ぐらいが、踊り興じるという愉快なパーティーになった。こういうプレゼントは、心に沁みる。


2006.2.7(火)

 朝から激しく雪が降っている。天気予報どおりである。走れる状況ではない。

 午後から、東京内幸町のプレスセンターホールで、企業フィランソロピー大賞の贈呈式に、会を主催する日本フィランソロピー協会会長として出席して挨拶を申し上げる。その前に、築地の朝日新聞社で打ち合わせ。昨日掲載された「時流自論」について次回に何を書くかなどについて。その後は、すぐ近くのGIN(Global Information Network)総研に寄って、資料を届けたり、簡単な打ち合わせ。

 2時から始まった企業フィランソロピー大賞の授賞式には、5時半までしかいられなかったが、まだまだ受賞者発表が続いていたし、その後は懇親会が予定されていた。特別賞を受賞した通販の「カタログハウス」の発表がとても興味深かった。説明された用語だけしか引用しないが、それだけで面白さがわかる。「企業思想−下を向いて歩こう」「商品とは地球である」「『ビジネス満足』と『地球満足』」「エコロじいさん」「もったいない課の新設」「エコひいき事業部の新設」「商品憲法」「憲法9条を守りたい人は、コスタリカ産の豆でコーヒーを飲まないといけない。」「市民風車事業」などなど。なんと魅力的で、哲学と行動様式のある企業なのだろうと、ただただ感心。

 同じく特別賞の徳島県上勝町の「彩(いろどり)事業」も実に面白かった。人口2千人、高齢化率が50lになろうという町が、ITを使って日本料理の「つまもの」生産で年間2億円を上げている。高齢者は仕事に情熱を燃やして病気知らず。こういう自治体もあるのだなと、これもただただ感心。

 途中で抜けて、新宿の厚生年金会館の地下レストランでの「偶一火会」に。厚生省昭和45年入省の同期会で、偶数月の第一火曜日に集まろうというのが、会の名前の趣旨である。9人が集まって、わいわいがやがや。仙台に帰るために、途中で失礼してしまったが、何の気兼ねもいらない会なので、楽しさだけが残る。


2006.2.6(月)

 5日ぶりのランニング。歩道には、一部、雪が残っているが、それほどの支障はない。残っているところは、駐車場の前あたりに多い。車で踏み固められる前に雪かきをしておいてくれればいいのにと、毎回思うのだが、無理なのだろうか。気温は相当に低い。耳当て、手袋をしていれば、身体の寒さは全く感じない。冬の走りの醍醐味と、久しぶりの爽快感を覚えながら、6キロ走を終えた。

 船橋市の市議会議員を県社協にお迎えした。地方議会の使命、情報公開の意義、知的障害者施設解体宣言の真意、宮城県社協統合の背景、知事を辞めた理由などを、昼食を摂りながらの一時間半で語り尽くすことは無理な注文ではあったが、何とか努力した。旧知の藤尾真子さんが船橋市議会議員一期生で、同じ一期生の仲間10人を引き連れての研修でいらっしゃった。地方議会が、議会本来の力を発揮できるようになれば、地方は大きく変わる。そんなことも期待しての時間であった。

 午後からは加美町社協を訪問。三町合併して、社協も合併。旧町社協それぞれのいいところを生かす形で活動しているのは、大変結構なことである。障害者自立支援法の下での新しい事業をどう展開していくかなど、課題は多いようである。

 皇室典範の改正論議。こういう微妙でむずかしい問題を、学者などの議論だけを下敷きにして、すぐに国会での議論に付するのは、いかがなものだろうか。水面下という言い方はぴったりこないが、あけっぴろげの議論の前に、やることがありそうな気がする。


2006.2.5(日)

 朝の気温の低さは尋常でないという予報だったので、SMCは休むつもりであった。確かに、寒そうであったので、予定どおり、家に篭っている一日であった。

 篭って何をしていたかと言えば、真面目に原稿書きをしていた。岩波書店の書き下ろしである。ほめられるような立派なものを書こうとい邪念を払ってしまえば、結構スイスイ進むものではある。予定していたよりも早いペースで進行している。

 ライブドア、耐震偽装、BSE、防衛施設庁官製談合を四点セット(順不同)と呼ぶのだそうだ。政府の関わりということでいけば、「順不同」と書いたが、書いた逆順で責任が重い。特に、最後の官製談合。昨日も書いたが、これの罪は重い。政府内の関係者が、罪が重いと受け止めていないことが、最大の罪である。


以前のジョギング日記はこちらから



TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org