浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

　山形グランドホテルで目覚めた朝。寒さのこともあり、最初から走る予定なし。でも、この程度の寒さなら、十分走れたのにという悔しさも残った。山形交通センターから宮城交通のバスで仙台へ。天気がいいので、途中の山々の紅葉の美しさが目に映える。これを見ているだけで、なんとなく幸せな気分になる。

　午後からは、狩野秀一さんの告別式が仙台中央斎場清月記にて。私の宮城県知事時代に、広報課長、人事課長、政策調整官として一緒に仕事をした方である。明るい性格で面倒見がいい、気配りの人だった。５７歳という若さでの逝去はまことに残念。花山村出身であるが、同郷で高校まで学校も同じ、アパートも共有という親友が、原稿なしで涙声の弔辞を述べ、参列者の涙を誘った。私もその一人。

　ＴＢＳテレビ「朝ズバ」出演のために、横浜の家を４時半に出発。空を見上げれば、星が輝いている。東京では珍しい星空である。夏には、この時間帯で、世の中はすっかり明るくなっていた。季節の移り変わりを実感する。

　その「朝ズバ」、守屋防衛省前事務次官の参議院での証人喚問の話題が多かった。なにしろ、「久間先生、額賀先生ではなかったかと思う」と発言したのだから、大きなニュースである。守屋前次官の過剰接待というだけでは済まないだろう。グアム島への米軍兵士の住宅建設での過剰見積もりなども含めて、納税者の税金が無駄に費消されるのではないかという疑惑が浮かんでくる。新テロ特措法の審議に入る前提として、これらの件に関しての実態解明が必要というのが、野党の主張であるが、これはちょっと危ない。新テロ特措法の審議という次元を超えて、政権の基盤を揺るがすような一大事件である。新テロ特措法の問題が決着したらおしまいという性格の問題ではないことをきっちり踏まえるべきである。

　番組出演後、東京ミッドタウンで「自治体における効果的な組織管理について」という講演を１時間。前座を１５分。少し前まで、この地に防衛庁というお役所があった。このフォーラムで、昨日は、ＧＥの元会長であるジャック・ウェルチ氏が登場している。あの山田洋行、後には日本ミライズがＧＥの代理人の立場を獲得している。そういった場所で、組織の不祥事に関する講演をするのも、何かの因縁だろう。

　夕方は、山形に移動して、山辺町で「地域の底力はあなたの行動から始まる」という講演。こちらは前座プラス１時間半の講演プラス３０分の質疑応答プラス１時間の懇親会である。聴衆の乗りが極めてよく、こちらも乗せられての楽しい講演だった。Ｔａｉｋｅｎ堂というグループが１８年も地道に続けている活動の一環としての今回の講演である。継続は力なり。３：４５起床から始まった長い一日が山形で更けていく。

2007.11.15（木）

　仙台での朝。なんとなく気力充実しないので、今朝も走りはなし。体調が悪いわけでもないが、無理して走れば悪くなるかもしれないという予感だろうか。気候もいいし、紅葉もきれいだし、走るには絶好の条件なのに走らないのは、もったいないを通り越して、罪の意識を覚える。

　静岡県由比町社会福祉協議会に招かれての講演。東京から新富士に移動する「こだま」の車内で、寺島実郎氏に会う。このところ、何度か電話では話して、「今度会いたいね」と言っていた相手にばったり出くわすとは、何たる幸運。熱海まで、積もる話に花が咲いた。

　出くわしたのは、もう一つ。稜線までくっきり見える富士山の雄姿。富士山大好き人間とすれば、何よりのごちそうである。「ごちそう」と書いたのは、おいしそうな富士山だから。自分の正面にこれだけ大きく現れると、そんな思いになる。静岡の人は、毎日、こんな素晴らしいものを見ていてうらやましいと思ってしまう。

　講演のほうは、反応のよい聴衆に乗せられて、舌好調だった。

　守屋前事務次官の参議院での証人喚問の一部を実況中継で見た。「久間大臣、額賀大臣」と宴席に同席した政治家の名前を明かす場面を見たところで、講演の出番となった。政界、マスコミはこれで大騒ぎになるだろう。

　目覚めてからしばらくぐずぐずしていた挙句、「やはり走ろう」と思い切って、国道１号線コースへ。横浜にいる時は、走るコースは大体ここになった。信号が少ない、歩道が広い、人が少ない、アップダウンが丁度いいと、条件がいい。走り終えて、走ってよかったと思うのは、いつものこと。上は長袖だが、短パンのいでたちでも、寒くない。１１月としては、暖かい日が続く。

　ＳＦＣでの授業は、竹中ナミさんをゲストに迎えて、「地方自治」と福祉の研究会で話してもらった。２コマ連続にもかかわらず、疲れを知らない元気ぶりに、感激し感謝。学生も、「今までの授業で一番良かった」というコメントが多数。それでは今までの私の授業はどうだったのかと複雑な心境だが、それはそれでうれしいコメントである。

　キャンパスは紅葉が日に映えて、素晴らしいながめである。直射日光を浴びると、暖かいと通り越して暑いほど。こんな日に室内で授業するのはもったいないくらいだが、今日の授業に関しては、休んだ学生にとっては、ほんとにもったいない。

　稲尾和久さんが死去の報。小学生の頃、「鉄腕稲尾投手物語」の映画を見た。その前後から、西鉄ライオンズのファンになっていた私。小学生の心をわくわくさせるような大投手だった。本当に残念。

2007.11.11（日）

　横浜の家から、国道１号線コースを６キロ。昨日の６キロだけで後が続かなければ、ズルズルと行ってしまいそうで危機感があった。走ってみれば、やはり気持ちがいい。楽しい。季節の移り変わりを身体で感じるには、走るのが一番である。

　午後から仙台へ。いつの間にか、すっかり晩秋の雰囲気である。久しぶりに、行きつけの美容院で髪の手入れ。なかなか日程が厳しくて、頭の手入れも一苦労である。

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