2010.9.25(土)
今日の新聞、テレビの報道は、尖閣沖衝突の船長釈放のニュースに集中している。おかげで、FD書き換えの前田主任検事の事件報道は、後方に下がった。しかし、今回も、検察庁が矢面に出てしまった。検察挙げて、てんやわんやだろう。
今日のテレビでは、NHK朝のニュースに登場した、外交評論家の岡本行夫さんが、この問題について、わかりやすく解説していた。
説明の仕方だけではないが、説得力のある内容と聞くことができた。読売テレビの「ウェークアップ」に中継で登場していた片山善博さんは、大臣としての地域主権改革への取り組みを話していたが、これもいつもながら、明確でわかりやすい。そう言えば、片山さんとは「ウェークアップ」でも何回か同じコメンテーター席についていたのを思い出す。「ウェークアップ」常連のわが友寺島実郎さんもそうだが、何であんなにわかりやすい、説得力のある話し方ができるのだろう。
土曜日なので、採血はない。だから、成績票も出ない。今日から、食事前の血糖値を測り、それによってインシュリンの注射をすることとされた。朝から、176−206−247という値である。ステロイド剤投与の影響で、前回入院の時と同じような動きである。インシュリンを2単位、4単位、4単位と注射した。自宅療養の時と同様、測定も注射も自分でやる。体重は、60.8kg。これも確実に増えている。体内の水分蓄積が増えているということだろう。
2010.9.24(金)
曇り空の一日。最高気温が20度ぐらいというから、このところの暑さからの急転である。もっとも、病室内にいる身としては、そんな変化はほとんど感じない。朝、5時50分に採血、6時から点滴開始ということで、平日の活動が始まった。胸のレントゲン撮影にも行った。採血結果は1時間ほどで出てくる。レントゲン写真は、そのまま主治医のパソコンに伝送される。すごいスピード、医療分野でのテクノロジーの高さに感銘を受ける。
検査結果の示された表のことを、私は「成績票」と呼んでいる。午後、今日の成績票を持って朝倉医師が病室に診察に来た。CRPの値が下がっていることから、ステロイド剤の点滴が効いていることが読み取れる。今後しばらく、一日60mgの点滴を続けることなどが示された。
イチロー選手が、大リーグで10年連続の200本安打を達成。すごいことである。野球が発祥したアメリカで、日本人選手が記録を塗り替えている。日本では、大相撲の白鵬が今日も勝った。60連勝。双葉山の記録を抜こうとしている。これもすごいこと。これがモンゴル人でなくて、日本人の力士だったら、日本中はもっと沸いただろうか。イチロー選手は、日本人であるから、地元の賞賛の声が低くなるだろうか。双葉山の記録が、日本人以外の力士に破られるのは、やや複雑な思い。白鵬もいつかは負けるだろうが、負かすのは、日本人力士であって欲しいというのは、正直なところ。
2010.9.23(木)
今日は秋分の日で、今週2回目の祝日である。祝日なので、朝の採血検査がない。医師もやってこない。患者とすれば、一日無駄になっているような気がする。検査結果を見ないと、次の処方の方向性をはっきりさせられないだろうと思うからである。検査結果より前に、既に処方されているステロイド剤の点滴投与の効果は出ているようである。ステロイド剤は、すごく効果のあるものだけに、副作用もある。副腎、腎臓機能への影響、血糖値の上昇などが出てくる。今朝の体重は、59.5kgと急増、これもむくみ症状だろう。ステロイド剤には、GVHDを抑えるという本来の使命はあるが、なるべく早くやめるべき薬であると認識している。
村木厚子さんが、昨日、厚生労働省に職場復帰した。戻ってきたほうも、迎えるほうも、本当にうれしそう。昨年6月、私の入院後すぐに村木さんは逮捕され、こちらは病気、あちらは検察と、理不尽な敵を相手に戦う状況になったのが、同じ時期であった。村木さんにも、私にも、支援団のようなものができて、とても勇気づけられたというのも、共通するところがある。村木さんは職場復帰できた。私の職場復帰はいつだろうか。
「夢らいん」を経由して、私とまったく面識のない方からメールが寄せられることが多い。私と同じATLを罹患して、現在は元気という人たちからのメールには、勇気をいただく。ATLではない白血病の方からも、メールを頂戴する。先日、18歳の女性からのメールもそのひとつ。彼女は急性リンパ性白血病を1年前に発症した。8ヶ月前に骨髄移植をして、今は自宅療養中ということ。体力づくりをしなければと考えているところで、この日記を読んで、ウオーキングを始めることができたという感謝の文面である。「毎日散歩している」と書いた私のほうは、入院中で散歩は中止になっているから、赤面してしまう。それにしても、こうやって読んでくださり、メッセージをくださる方がいるのは、ありがたい、うれしいことである。同病相憐れむではなく、一緒に戦う仲間という感じになる。
2010.9.22(水)
昨日の日記を書き終えてから、大阪地検特捜部の前田恒彦検事が証拠隠滅容疑で逮捕というニュースが飛び込んできた。
いくつかの疑問。前田検事がFDの最終更新日時を改ざんしようとしたということは、その時点で、村木厚子さんの無実を知っていたということになる。それを知っていて村木さんを起訴したのが、09年7月4日。保釈請求も却下されて、村木さんはそれから4ヶ月も拘留された。起訴の後すぐの7月14日に、FDの書き換えが行われた。前田検事は、村木さんは無実と知っていて起訴したことになる。これは、不法監禁といった罪を構成しないのだろうか。これが第一の疑問。
第二の疑問は、本当にこの件だけなのか、前田検事が過去に扱った事件では、同様の証拠隠滅、改ざんは行われていないのだろうか。前田検事に限らず、他の検事の場合に、同様のことはなかったのだろうか。証拠隠滅、改ざんまで至らなくとも、検事が容疑者は無実であるということを知っていたのに起訴してしまうということは、皆無なのだろうか。
第三点は、疑問ではなくて驚きということである。朝日新聞の記事は一大スクープである。朝日新聞は、今年の夏、上村被告の弁護団の承認を得て、FDの記録を確認したところ最新更新日時が、特捜部の捜査報告書の日時と違うことを発見し、さらに、大手情報セキュリティにFDの解析を依頼して、改ざん(書き直し)の事実を確認した。すごい取材ですごいものを出したなと感嘆していると書きたかった。
TBSテレビ「朝ズバ」に片山善博総務大臣が出ているのを見た。知事時代から、自治省出身にもかかわらず、自治省の仕事の仕方を知事会などの場でおおっぴらに厳しく批判していた。番組で初めて知ったが、岡本事務次官は、片山大臣と大学同期、入省同期とのこと。やりやすいか、やりにくいか。総務大臣は、旧行政管理庁、旧郵政省の仕事も所管する。範囲が広過ぎるのが、やや心配。それと、大臣任期がいつまで続くかが気がかり。1年ぐらいで変わったら、やれる仕事は限られてしまう。そういえば、時期が重なることはなかったが、片山さんとは「朝ズバ」仲間である。知事仲間でもあり、そして同じ慶応大学教授ということ(私は休職中)で、かなり縁も深い。
昨夜は、22時以降、点滴なしになったので、点滴台車から自由の身となって寝られた。生理食塩水の点滴がなくなったので、夜のトイレ行きは少し少なくなった。丁度、昨日10時から今日10時までの尿量計測にあたっていたが、その量が少し減ったかもしれない。これは、腎機能の状態を調べるものだから、多くないといけないのだろう。まあ、十分なだけの量は出ているはず。
2010.9.21(火)
三連休が終わった。今週は、23日(木)が秋分の日で休日である。患者にとって、休日はありがたくない。休日は医療スタッフの配置も薄くなるので、入院中の身としては何となく不安である。検査も、原則として、やらないので、毎日の検査結果が気になる身としては、これも不安のひとつ。だから、平常勤務の日が来るとホッとする。医師、看護師が病棟内にたくさんいるのを見ると、それだけで安心する。
点滴投与は自宅ではできないし、薬の効果をその都度確認したうえで、次の処方を決めなければならないので、入院による治療が必要になる。今夕からソル・メドロール(ステロイド)の点滴投与が始まった。18時から1時間、明日6時から1時間で、一日2回、合計で60mgの投与である。前回入院の時は、最初に投与されたステロイドは一日50mgであった。投与量の違いは、体重増による。5月に51キロだった体重が今は58キロである。体重に合わせて量が決まるのでこうなる。白鵬が点滴を受けたら、すごい量になるのだろうか。もう一種類、マキシピーム(抗生剤)の投与が19時から1時間、明日7時から1時間ある。しばらくは、点滴台車につながれの身になるというか、一身同体の生活となる。
朝日新聞朝刊一面トップの見出しを見て、おいおいおい、そこまでやるのかよと思ってしまった。「検事、押収資料改ざんか」というのがその見出し。厚生労働省の村木厚子さんが無罪となった郵便不正事件での捜査で、大阪地検特捜部の主任検事が、捜査の見立て通りにFDデータを書き換えたというから驚く。偽の証明書の文書は、上村被告がフロッピー・ディスク入れていたが、そのデータの最終更新日時を「6月1日」から「6月8日」に検察官が書き換えたということである。村木さんは、あまりに悪質で、心の底から怖さを感じると言っているが、そのとおりである。これでは、狙われたら逃げられない。相手は国家権力である。こういったことは、今回の事件だけなのだろうか、他でもやられているのではないかと思ってしまう。検察は、この件を徹底的に捜査して、その結果を公表し、しかるべき責任を問うということをしなければ、検察への信頼は根底から覆されるだろう。今なら間に合う。すぐやれ、徹底してやれ。それが明日の検察のためである。
妻が買ってきてくれた「週刊朝日」に「65歳・余命わずかの末期がん男性患者の終末期旅行記」(前編)が掲載されている。新聞広告を見た妻が、私が読みたがると思って買ってきたとのこと。旅行記の行く先が「憧れのプレスリーゆかりの地(米・メンフィス)」であれば、当然、私も興味を持つ。私と同じようなエルヴィス・プレスリーの大ファンだった高澤基さん。妹さんの後押しで、末期がんのものすごく重い症状を持ったままで、メンフィスのグレースランドを目指すというから驚く。医師と女性スタッフを伴っての旅行だが、それがどうなったかは、来週号で後編を読まないとわからない。
2010.9.20(月)
三連休の最後は敬老の日。昔は9月15日と決まっていたが、ハッピーマンデーというやり方で、9月の第3日曜日の翌日といったように変えたと記憶している。これだと、必ず三連休になる。入院中の夕食には、敬老の日を祝うケーキが出た。「まだ敬老される年齢ではないわい」と思いながら、食べてしまった。
前回、5月に入院したときと同じように、今回の入院も1ヶ月ぐらい続くかもしれない。他のことには思い煩わず、ひたすら治療に専念しよう。
2010.9.19(日)
「入院生活では、出来事がない」と書いたが、今日は、間抜けな出来事があった。本を読んでいたら、点滴の輸液ポンプのバッテリー切れを示す警告音が鳴った。輸液ポンプは、電源コードにつながれている間に蓄電されていて、蓄電されたバッテリーは40分もつ。輸液ポンプは、ふだんは電源コードにつながれているが、1メートルでも移動するとなると、電源コードをはずさないといけない。その際は、バッテリーが電源として代替する。トイレに行く際に電源コードをはずし、そのまま再接続を失念していたのである。すぐに電源コードをつないだが、その時には、また尿意を催していた。トイレに行きたくても、バッテリーは空っぽだから、電源コードにつないですぐには、バッテリーが回復しない。ある程度蓄電するまでは、私の身体は1メートルしか動けない。さあ困ったという事態である。
こんな事態を招来したのは、毎日、2000ccの生理食塩水を24時間点滴で体内に入れているので、頻尿になるということもある。40分間で、こちらのほうも満タンになってしまった。点滴をしているということは、どこへ行くにも、点滴台車と一緒に行動しなければならない。トイレにも点滴台車は引っ張っていく。左手首から点滴をしているが、上着、シャツの着脱の際には、看護師さんを呼んで、いったん、点滴をはずしてもらう。今回の事件がどうやって収束したかというと、電源コードをはずし、それを持ってトイレのほうに向かったら、トイレの近くにコンセントを発見し、電源コードをそのコンセントにつないで、ことなきを得た。
こんなつまらない日記をなんで書くのかと、自分でも思う。病を得てからの日記の一部を今日読み返してみたら、なつかしいというのでもないが、意外と忘れていることが多いことに気がついた。何年か後に、今日の日記を読み返して、「あんな間抜けなことがあったんだな」となつかしく思うこともあるだろう。それと、治療の状況とその時の身体状況などを書き記しておくことは、その後の参考になるということも、今回の再入院で改めて確認できた。
以前のジョギング日記はこちらから
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