2010.10.9(土)
三連休である。病院では検査がない。体重が減っていくのが、面白いほどなのだが、今朝は57.3kg。6日は60.5kgだったから、3日間で3.2kgも減少した。むくみも解消しつつあるので、この辺で減少は止まるだろう。昨日で、ステロイドの点滴が終わり、今日からは内服で一日30mg服用する。
ノーベル平和賞が、獄中の中国人権活動家の劉暁波氏に授賞されると発表された。日本人二人のノーベル化学賞の受賞が決まった時は、日本中こぞって喜び、祝福したのに、中国はまったく反対である。共産党一党独裁を批判し、民主化を求める言動をしたことにより、獄中にある中国人にノーベル賞が与えられることは、国家としての中国としては、とても受け入れられないだろう。ただし、世界の見方は違う。アメリカのオバマ大統領が中国政府に対して、劉氏の釈放を要求するなど、中国への見方は厳しいものになるだろう。GDP世界第二位の国で、いまだに人権、自由が抑圧されている国家体制を取っていることに対する、違和感がぬぐえない。それにしても、受賞を伝える外国メディアのテレビが、突然真っ黒画面になってしまうとか、インターネットでもニュースが洩れないように対応されているのに、驚く。いつまでも、そういうわけにはいかないはずである。
2010.10.8(金)
今朝の体重は、57.9kg。この一日で、差し引き1000ccの体内水分が排出されたということだろう。むくみもだいぶとれた。検査結果は、CRPが正常値上限の0.1まで下がった。CT所見では、肺の影はまだ残っているが、回復している。ステロイドの点滴は今日までで、明日からは内服になる。
この病院に初めて入院以来、再入院もあって、何箇所か病室が変わり、今は、6室目で景観は一番いい。正面にレインボウ・ブリッジが見える景色のいいところである。夜になると、ライトアップされる橋が美しい。真下には、築地市場の全景が広がる。都知事選挙に出た時に、ここの豊洲への移転問題が起きており、何度か足を運んだのを思い出す。今日の新聞では、都議会で議論が続いているが、東京都としては、予定どおり、豊洲への移転方針を固めたという報道があった。
2010.10.7(木)
毎朝5:40ごろに体重測定をしているが、今朝は58.9kgだったが、これは昨日より1.6kgも少ない。一日でこんなに減るなんて、驚きである。先日の尿量計測で、一日に3,600ccを記録しているが、身体から水分が出ているからだろう。
昨日の西日本新聞に以下の記事が出ていたのをネットでチェックした。
主に母乳を介して母子感染する成人T細胞白血病(ATL)などの原因ウイルスHTLV1対策で、首相官邸の特命チームは5日、ウイルス感染の有無を調べる抗体検査を、公費負担による現行の妊婦健診の項目に追加することを決めた。年度内の実施を確実にするため、財源には、妊婦健診無料化のため国が市町村に配分している臨時特例交付金を活用する。6日にも、厚生労働省が全国の自治体に通知。市町村によっては、年内にも公費による全妊婦検査が始まる見通しとなった。
この日は、菅直人首相が9月8日に患者団体と面談した際に設置を決めた特命チームの第2回会合があり、患者代表や研究者がオブザーバーとして初めて参加した。
チームリーダーの小川勝也首相補佐官によると、抗体検査公費化の財源となる交付金は、出産までに必要とされる妊婦健診14回分相当の地方交付税と厚労省の補助金。2008年度から10年度末までの期限付きのため、来年度以降は「すべての妊婦が確実に抗体検査を受けられるよう、財源確保を早急に検討し結論を出す」という。
月内にも第3回会合を開き、検査で感染が判明した人の相談体制や、診療・研究体制について具体策を協議する。
会合に参加した斎藤滋・富山大教授は「公費で検査をするだけでなく、カウンセリング体制の整備や医療従事者への教育研修をセットで始める必要がある」と注文した。
NPO法人「日本からHTLVウイルスをなくす会」の菅付加代子代表理事は「母子感染を防ぐための検査と授乳指導をするだけでなく、感染者や患者の支援も含めた総合対策をチームで検討してほしい」と話した。
9月8日に官邸で菅首相に要望をした事項が、こんなに早く実現を見るとは思っていなかった。政治の力を感じる。これで、HTLV-1対策が大きく前進する。ありがたいことである。西日本新聞はすごい。この問題を継続して扱っている。こうやって、世の中に知ってもらうことは、とても大事なことである。
今日のニュースは、ノーベル化学賞を鈴木章さんと根岸英一さんが受賞したということ。彼らが開発した技術が、既に幅広く使われている。人類への貢献ということが、大げさでなく評価できる。それにしても、80歳と75歳。とても若々しいのに驚いてしまう。
2010.10.6(水)
どこの病院でも同じだろうが、ここがんセンター中央病院でも、患者一人ひとりに電子カルテができている。これを医師、看護師、薬剤師など医療スタッフが共有している。過去の情報の蓄積もあるので、患者の治療の経緯がすぐわかる。レントゲン撮影された映像なども、医師のところに電子的にすぐ届く。このシステムで、医療の迅速化と、効率的病院運営が支えられている。一昔前の入院だったら、ここまでいかなかっただろうなと思う。こういうテクノロジーの進歩は、ありがたいことである。
昨日は、妻の誕生日だった。何もできない。これも来年に後回しということ。仙台から丹野道子さんが面会に来てくれた。1年ぶりに見る顔がなつかしい。今日も、仙台から母と二人の姉が面会にやってきた。90歳の母は、ともかく、私の病気のことが心配なのである。彼女自身、健康状態はしっかりしているのだから、私のことを心配する余裕があると見るべきか。母の元気さを見て、私のほうがホッとした。
2010.10.5(火)
入院中の患者で、一日中、パジャマ姿で過ごす方もいるが、私は、パジャマは寝る時だけにしている。日中は、普段着姿で過ごしている。大体が病室の中だけの生活であるが、この服装の切り替えぐらいやらないと、ピッシリしない。
今日から、ステロイド量が30mg/日に減った。生理食塩水の点滴は、今日も継続。12時間もかかるので、動きづらいし、わずらわしいが、そろそろ今日で終了だろう。
新聞もテレビも、小沢一郎議員が強制起訴されるというニュースで一杯である。検察審査会に判断をひっくり返された検察は、平静ではいられないだろう。そして、大阪地検の前特捜部長らが逮捕されたが、供述などの過程を全面可視化すべきだと主張しているらしい。前の日記で、「主客転倒」と書いたが、今起こっていることは、「攻守ところを変えて」ということだろう。検察といえば、尖閣沖衝突事件の取り扱いについて、那覇地検が政治的判断を勝手にしたのか、政治介入があったのかというのも問題になった。検察が起訴するかどうかを決める際には、いろいろな判断が入るのは当然で、その中に外交状況などが入るのは、そんなに変なことではないと思う。いずれにしても、検察、検察のこのごろである。
もっぱらの時間つぶし、読書についても書いてしまう。昨日、「弧舟」(渡辺淳一)を読んですぐに「高く手を振る日」黒井千次著(新潮社)を読了。70代の男性が、昔縁があった女性と、携帯電話でつながるというぐらいがエピソードの、淡い物語。しみじみ感が読後にある。そして、「定年ゴジラ」重松清著(講談社文庫)まで読んでしまった。3冊とも、佐藤進さんからいただいたもの。いずれも、定年後とか、老後の男性の生き方が描かれている。「定年ゴジラ」は、佳作である。人物がよく描かれているし、リアルティがある。取り立ててのストーリーがあるわけではないが、小説を読んだという満足感にひたらせてくれる。今日読んだのが、「やってられない月曜日」柴田よしき著(新潮文庫)。病院内のコンビニで入手したもので、柴田よしきという著者の名前さえ、まったく知らなかった。なかなかのものを書く。才能の輝きも感じる。彼女は、探偵ものも、いくつかのシリーズで出しているらしい、かなりの多作である。思わぬ掘り出し物。
2010.10.4(月)
検査結果で、クレアチニンが1.2になっていた。ということで、今日は生理食塩水1,500ccの点滴が入った。入院しているから、機動的に対応できる。たいした値ではないいから、すぐに正常値に戻るだろう。腎機能の保全が大事である。
先日、佐藤進さんからいただいた「孤舟」渡辺淳一著(集英社)を読んだ。新刊で、そこそこ売れているらしい。物語は、大手企業役員を定年で辞めた男の、その後の生活の詰まらなさを綴ったもの。妻は「主人在宅ストレス症候群」で家を出る。読んでいて、気が滅入るほどである。同じような境遇の定年後男性が大勢いる。そういった人たちに「俺の状況と一緒だ」と共感を持たせるためにできた本かもしれない。私の場合、今は、病気療養中で無為徒食だが、ここを脱出すれば、ちゃんと活動したい。社会が私の活動を必要としてくれるのが前提であるが、このまま悠々自適の生活をする気はない。好き嫌いにかかわらず、稼ぐということも求められるだろう。「弧舟」に乗ったような生活は、まだまだしたくない。そのためにも、遅すぎない社会復帰を目指したい。
小沢一郎議員が、検察審査会の決定により、強制起訴されることになった。臨時国会開会中である。大騒ぎになるのだろうな。
2010.10.3(日)
現在の身体状況を見てみる。体重が60.7kg。1年4ヶ月前、病気発症前の平常時は63kgだった。今年5月の入院時には51kgまで減った。今回の入院時は、自宅療養の中で、58.2kgにまで戻った。その後、入院してからは、速いペースで62kgまで増え続けたが、これはステロイド点滴の影響だろう。入院以来、病院提供の食事だけで、ペットボトルのお茶以外、お菓子も果物も、ましてやカップヌードルなど追加的なものは一切口にしていない。カロリーオーバーでの体重増ではないということである。腹回りがきつくなった。手首、足首がむくみで太くなっている。
頭髪は、全体に薄く生えてきた。頭頂部は、スカスカである。生えている髪は、まだまだ細い。私の年代では、これぐらいの髪の人は珍しくないが、早く元のフサフサに戻って欲しいと思いながら、鏡を見ている。見た目だけでなく、髪が戻るのが、元の生活に戻れると時期という気がするからである。
今の時期、顔は腫れているというか、むくんでいる。元々丸い顔がますます丸くなっている。これもステロイドの影響だから、投与がなくなれば解消するはずである。皮膚のGVHDによる発疹は、ほとんどなくなった。かゆみも雲散。運動不足で、身体に締まりがない。筋肉が弱っている。入院中はいたしかたないが、退院したら、少し鍛える必要があるとは思っている。
日曜日なのに、田野崎医師は病院に出てきて、私の病室をのぞいてくれた。忙しくはなさそうにお見受けしたので、20分ほど、私の病気のこと、今後の予測、注意すべきことなど、いろいろ疑問に答えていただいた。なにしろ、ATLは珍しい病気だし、ミニ骨髄移植は始まって日が浅い。症例・知見の積み重ねも十分でない中で、田野崎医師としても、確定的なことはわからないというのは、本音だろう。私の場合は、今後の推移の中で、いろいろなリスクはあるが、きっちりと対応していけるとの考えは伝わってきた。ともあれ、私の状況は順調であり、過度に心配することはないという結論に、ホッとしている。
2010.10.2(土)
ここ国立がん研究センター中央病院の医療スタッフはよく働く。毎朝、幹細胞移植科の医師5,6人が病室に回診に来る。昼には、検査結果の成績票を持って、朝倉医師が状況確認に来る。いつも「変わりありません」、「順調です」と答えるのだが、検査結果に基づいて、これからの治療方針を伝えてくれる。私からの疑問にも答えてくれる。田野崎医師も、夕方にやってくる。信頼している主治医なので、私とすれば、顔を見て話をするだけでホッとする。
看護師の方々の対応もとてもいい。やさしくて親切というだけではなく、専門性をよく理解し、それに沿ったきっちりした対応なので、患者としては安心である。今いる病棟には、幹細胞移植科関係ではなく、いろいろな患者が入院しているのだが、私の病気の特性も理解したうえで、特に、感染対策など万全にしてくれている。ありがたいことである。
しつこいようだが、今日も推理小説について。「容疑者Xの献身」のように「凄いな」と思わせるほどのいい作品を含めて、東野圭吾の本は5,6冊読んでいた。なかなかいい出来であった。今日読んだ「11文字の殺人」はひどかった。現実性が湧いてこない。殺人動機のいい加減さもある。これで、東野東吾も読み納め。
午後から、佐藤進さん、田中さん、北岡さんが見舞いに来た。障害者の地域支援を進めるための仲間である。「平成桃太郎の会」と名乗り、私もメンバーだった。1998年から、「アメニティ・ネットワーク・フォーラム」を毎年大津市で開催し、志を同じくするメンバーが、全国から1000人以上参加する。私の復帰の舞台として、来年2月のフォーラムに出てもらえたらという話であった。私もできればそうしたいと思うが、その時の身体の状態から、参加は五分五分の可能性だろう。久しぶりに仲間に会って、いろいろ話をできたのは、うれしかった。佐藤さんからは、本を何冊かいただいた。この日記で、本が手に入らないことを知っての心遣いである。ありがたいこと。
2010.10.1(金)
カレンダーが10月に変わった。相変わらずの入院生活、暇なのである。今は、本を読んでいることが多い。書店に行けないから、院内のコンビニの文庫本で間に合わせている。今日は、西村京太郎の「高知・龍馬殺人街道」(新潮文庫)を読んだ。あきれてしまうほど詰まらない。読者を甘く見ているとしか思えない。途中でやめるのも癪なので、我慢して、さっさと読み終えた。暇をもてあましているのに、「この時間を返せ」と言いたいほどである。この著者の本を読むことは二度とないだろう。そう言えば、先日読んだ内田康夫の「金沢殺人事件」、「鯨が哭く海」も愚作だったな。面白い本を読みたい。
テレビは、ニュースとスポーツ中継ぐらいを見るくらいである。自宅の地デジ大画面を見慣れた目には、病室のテレビはとても見にくい。ラジオは、電波の関係で、NHKFMとニッポン放送しかクリアに受信できない。ラジオ大好き人間としては、それが残念である。CDはもっぱら睡眠導入用に聴いている。
大阪地検特捜部の主任検事による証拠隠滅事件に関して、上司2人が逮捕というニュースには驚いた。容疑が、犯人隠避というのも、奇妙な感じである。それにしても、村木厚子さん逮捕から始まって、今や主客逆転模様の展開である。
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