浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 11月第1週分           

2010.11.6(土)

 昨夜も、就寝してから、5回排尿のためのトイレ行きがあった。朝の排尿時には、痛みが出た。そして、それからは頻尿である。30分から1時間おき、尿意があってトイレに行くが、出る尿の量は少し。これは膀胱炎かもしれないと思って、お休みのところ、田野崎医師に電話で相談した。「やれることはあまりないのですが、抗生物質のシプロキサンを服用し、痛みがきつかったら鎮静剤のカロナールを服用してください。水分をしっかり摂るように」とのことだった。こういう時に、いつでも相談できて、指示がいただける主治医であることは、ほんとうにありがたいし、安心である。免疫が下がっている状態だから、こういったことも起こるのだろうか。午前中の散歩は6分+6分やったが、午後は中止。

 夜のテレビは、スポーツ中継が重なった。日本シリーズ第6戦、フィギュアスケートGPシリーズ中国杯、バレーボール女子世界選手権2次リーグの日本対中国戦が同じ時間帯でテレビ中継である。家族はフィギュアスケート、私は別なテレビで日本シリーズ。それぞれ、チャンネルをあちこち変えながら。日中関係がぎくしゃくする中で、スポーツの世界では、フィギュアスケートもバレーボールも、両国が友好的になされていることは、ホッとすることではある。


2010.11.5(金)

 朝の腹筋では、ハード型は4回しかできなかったが、イージー型との合計では25回のノルマをきっちりこなした。散歩は、朝と午後。いずれも6分+6分に増やした。少しずつ、少しずつ、増やしていく。2日前に「喉の調子がよくなった」と書いたが、どうもまちがいのようだ。喉の調子が良くなったので、歌が歌えるようになったのではなく、歌ったことで、声を出しやすいように喉が一時的に開放されたというのが真相。束の間の幸せだったが、逆に、歌を歌うことによって喉の開放を図るということが可能ではないかとも言える。そういう療法があるのかもしれない。

 昨日の骨髄移植財団の取材の際に、治療の状況などについて、日付も含めて、忘れていることが多いことに気がついた。入院直前の時点からずっと書いていた「闘病日記」を読み返して、記憶を呼び戻そうと思い立ち、全部で130ページになるこの間の日記を読んだ。今となっては、忘れてしまっていることが多いことに気がつく。今から思い返すと、闘病中は大変なことはあまりなかったという感慨であるが、日記には、吐き気、味覚障害、口内炎などで、結構大変な思いをしていたことが綴られている。毎日の様子がかなり詳しく書いてあり、記録しておいてよかったと思う。

 小沢一郎議員が、岡田克也民主党幹事長に「政治倫理審査会」に出席して欲しいと言われたのに対して、「司法で取り上げているものを、立法府が議論するのは妥当でない」ということで、政倫審への出席を拒否した。国会が問題としているのは、これから司法で裁かれようとしている政治資金規正法違反に小沢氏が関わっていたかどうかということではない。今回の案件の背景にあるさまざまな疑問について、政治家としての小沢氏に合理的な説明を求めるということである。虚偽表示の背景には、4億円の資金の原資がどこから出ているのかという疑問が存在している。政治家が、今この時期に、何のために土地を取得したのか。現金として4億円があるのにもかかわらず、なぜその資金を銀行から融資を受けて調達したのか。一般国民としても、大きく首を傾げる不可解なものがある。こういったことは、政治資金法違反事件では、直接裁かれない。違反事件をきっかけとして明らかになった大きな疑問について、きちんと説明するというのは、政治とカネが争点になっている現下の政治状況では、不可避なことである。それにしても、民主党執行部として、ここで毅然たる態度で小沢氏に向かわなければ、国民の信頼を大きく損ねるという状況にあることを自覚してもらいたいのだが。


2010.11.4(木)

 昨夜は、日本シリーズ第4戦、延長11回で中日がロッテを破ったゲームが終わったのが、23時近かったので、いつもより就寝時間が遅くなった。それでも、夜中のトイレ行きは3回といつもより少なかったので、よく眠れたという感じ。

 このところ1ヶ月以上、ずーっと声がかすれている状態だった。こういった状態は、前にも何回か繰り返したが、いつもいつも、のどが詰まっている感じがあって、力を入れないと声が出にくいといった具合である。昨日、風呂に入っていて、なんとなく歌を4,5曲口ずさんだ。気がついたら、そういえば、このところ、歌を歌ったことがなかった。かすれるというか、声がうまく出なくて歌えなかったのである。昨日の入浴時に声を出してみたら、歌えたので、「あれ歌える」と思ってしまった。のどの詰まり、かすれがどこかへ行ってしまった。妻の観察では、声がかすれるようになると、身体の具合も悪くなる、つまり、かすれ声は身体不調の先行指標らしい。とすると、歌えるようになるほどに喉の調子が良くなったことは、歓迎すべきことである。もっとも、今朝のところの声の状況は、元のかすれに戻っているようであるが。

 散歩は朝と夕方、それぞれ5分+5分。これをいつから6分+6分にするか。腹筋もまだ続けている。今朝は、ハード型(両手を頭の後ろで組んで起き上がる)は4回しかできなかった。昨夜は10回できたのになぜだろう。階段を上がるのに、まだエッチラオッチラ、いつになったら筋肉が戻ってくるのだろうか。

 午後から、骨髄移植財団の広報渉外部長の大久保英彦さん、広報渉外部広報チームの高橋綾子さん、移植調整部長の小瀧美加さんが来宅。財団が発行している「日本骨髄バンクNEWS」の取材である。骨髄バンクのおかげでドナーがみつかり、命を救ってもらった私としては、ドナーの方だけでなく、骨髄移植財団には感謝感謝あるのみである。私の記事で役に立つなら、こういった形で取材に応じることで、一部でも、恩に報いることができれば幸いである。逆に、私のほうからの取材で、財団として一番困っていることとして、ドナーからの骨髄採取をする医療機関が少なく、やっている施設でも月に1,2回しかできていないところが多く、せっかくドナーがみつかったのに、骨髄移植ができずに待機している間にタイミングを逸してしまうケースが多いことを知った。骨髄採取にあたる医療スタッフの充実、採取のための手術室の確保が必要であるが、そもそも医療機関に協力してもらうためには、骨髄採取に係る診療報酬の引き上げが必要なのだろう。それにしても、現状は、患者にとっても、ドナーにとっても不幸なことである。


2010.11.3(水)

 文化の日。いい天気である。朝と夕方と5分+5分の散歩ができた。気候としては、歩くには、実に気持がいい。散歩による足の筋肉のリハビリに加えて、このところ1週間ほど腹筋運動をしている。朝起きてすぐと夜の寝る前にベッドの上でイージー型(起き上がる時に両手は前に振り上げるスタイル)で、3日の今日は23回ずつ。2日の昨日は22回、4日の明日は24回という具合に一日1回ずつ増やしてきた。今朝は、初めてハード型(両手を頭の後ろで組んだままで起き上がる)が3回できた。さて、いつまで続けられるか。

 文化の日ということで、文化勲章、文化功労賞の授賞が行われた。叙勲の栄に浴した方々を含め、おめでとうございます。文化といえば、俳優の水嶋ヒロさん(本名 斎藤智裕さん)が処女作「KAGEROU」で「ポプラ社小説大賞を受賞したというニュースは驚きであった。しかも、賞金2000万円は辞退するとのことで二度びっくり。「俳優を辞めて、小説に専心したい」ということで事務所を辞めるというニュースを聞いてからすぐのできごとである。すごい才能なのだろうな、読んでみたいなと思う。

 読書ということでいけば、このところ「当たり」の作品がまだ続いている。今日読んだのは「聖の青春」大崎善生著(講談社文庫)。ネフローゼに苦しみながら、天才若手棋士と呼ばれ、29歳で亡くなった村山聖の軌跡を追ったノンフィクションなのだが、これが読ませる。ノンフィクションスタイルの小説というか、小説スタイルのノンフィクションというべきものか。人生とは何か、人の生き方とは何かということを深く考えさせる作品である。これも書き手の力を感じさせる。ぜひ、ここでも書いておきたいのは、一昨日読んだ直木賞受賞作の「小さいおうち」中島京子著(文藝春秋)。戦前に女中奉公をした女性の日記という形をとっているが、戦時下の東京での庶民の生活について、細部のちょっとしたことまで、生き生きと描かれている。1964年生まれの作者がどうやってこんなことが書けるのかと感心しながら、物語にグイグイ引き込まれたていった。素晴らしい小説である。才能のある作家はたくさんいるものだとも思った。特に、女性作家が目立つ。

 東京六大学の優勝決定戦、慶応大学対早稲田大学をNHKでテレビ観戦。7回までノーヒットに抑えていた早稲田の斎藤祐樹投手が8回に5点取られるという波乱はあったが、結局、早稲田が10対5で勝って優勝。まずはおめでとうございます。同じ時間に行われていた東日本実業団女子駅伝はTBSテレビで実況されていたので、早慶戦とチャンネルをとっかえひっかえしながら見ていた。第一生命が初優勝。おめでとうございます。駅伝は、ドラマがあって、見ていて面白い。7日(日)は、全日本大学駅伝がある。これも楽しみ。


2010.11.2(火)

 10時に武田牧子さんが来宅して、今月12日から14日に開催される「福祉のトップセミナーin雲仙」のためのヴィデオレターを撮った。このセミナーには、毎年参加していたのだが、去年、今年は出席できない。その代わりに、ヴィデオでの出演ということになった。今回のセミナーのテーマは「障がい者総合福祉法に期待する」というもので、是非参加したかったのだが、残念である。来年こそはと思いつつ、今年のセミナーの実り多きことを祈念している。武田牧子さんは、今年の6月から、コロニー雲仙の東京事務所を任されている。その前は、厚生労働省で精神障害者福祉の専門官をやっていた。その前は、島根県で精神障害者の作業所をやっていたということで、この道のエキスパート、実践者である。たくさんの生きた情報を持っている方から、ヴィデオレターの撮影以外にも、いろいろ面白い話を聞けた。武田さんの三女も、今年、司法試験に合格し、障害者問題に関心を持つ弁護士が誕生するのかなと思えるようなお話もうかがった。

 14時には、中央公論の取材。葉上太郎さんが聞き手になって、私の病気ATL(成人T細胞白血病)について話を聞かれた。それにしても、病名のATLというのはわかりにくいし、覚えにくいし、なんとかならないのだろうか。このことも、この病気についての関心が広がらない理由のひとつになっているとすれば、真面目に改名を考えるべきではないだろうか。話が横に行ってしまったが、病気の発症から入院治療、骨髄移植、その後の療養生活から、この病気への国の対応のあるべき姿など多岐にわたり、インタビューは3時間にも及んだ。さてさて、どういう記事になるのやらわからないが、こういった形で雑誌に掲載されることが、この病気への一般の関心を集めるとすれば、意義はあるだろう。

 ロシアのメドベージェフ大統領が国後島を訪問したことで、政府は、ロシア政府に抗議するとともに、駐ロシア大使を帰国させることにしたが、その後どのような対応をしていくのかが注目されている。尖閣諸島問題での中国への対応が、野党などから弱腰外交と非難されたのと同じように、今回の対ロシアについても、外交の劣化とか、弱腰外交といった声が聞こえてくるのだろう。どういうのが弱腰外交というのかは判然としないが、ここは中国への対応と同様に、毅然した態度で冷静に対応することが重要である。外野から「弱腰、弱腰」と非難することは簡単であるし、領土問題となると国民のナショナリズムを刺激して、強気に出ることが正しいように見えてしまうが、それに流されてはならない。


2010.11.1(月)

 外来診察の日。検査結果はおおむね良好であったが、腎機能を示すクレアチニンの値が1.2と正常上限1.1を上回ったので、今日は生理食塩水500cc点滴してもらった。「今日は」というのは、先週も同じ値だったのに、点滴を避けたことを反省しつつの言である。肺のレントゲン所見では、GVHDによる肺炎の影が薄く、小さくなっており、良くなってはいるが、まだ完治とは言えないということであった。だから、ステロイドの投与は今までと変わらず15mg/日を維持することとされた。GVHDとの戦いは、長期戦である。いったん収まっても、またいつ出てくるかわからない。私がゲリラと呼ぶゆえんである。田野崎医師からは、それでも、頻度、重篤度は少なくなっていくはずと聞いている。そうあることを期待したい。

 がんセンターからの帰り道、久しぶりの青空が見えた。その青空の下、散歩をしたが、汗ばむほどであった。相変わらず、5分+5分で切り上げている。入院中でさえ、一日3回病棟を回る6分×3回の18分歩いていたことを考えれば、もう少し散歩の距離を伸ばしてもいいのだが、一応、自重している。

 岡田幹事長が小沢一郎議員に会えないという。小沢氏が拒んでいるということらしい。政治倫理審査会に出ることは、今の小沢氏を囲む状況から言って、最低限の義務である。というより、「潔白」ということを自分で説明する機会になるのだから、権利なのかもしれない。こうなったら、民主党執行部は、「出席しなければ、党員除名」というぐらに、腹を決めて対応しなくてはならない。こんな形でズルズルということになれば、国会での補正予算審議に支障を来たすだけでなく、国民は民主党への失望感を深めるだけではないか。


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