2011.2.12(土)
芥川賞 北風は吹きぬかないが、寒い朝が続いている。昼も寒い。この寒さで、散歩は自粛。そのかわり、階段昇降7往復×3回、腹筋50回×2回をしている。景色が変わらない散歩は、味気ないが、仕方がない。
「文藝春秋」3月号で、芥川賞の受賞2作品を読む。今までは、話題としては、芥川賞、直木賞にそれなりの興味は持っても、受賞作をすぐに読んでみようということはなかった。今回の受賞記事で、受賞者の西村賢太さんの経歴とそのコメントに興味を持って、文藝春秋に掲載されたら是非読んでみたいと思った。「『中卒・逮捕歴あり』こそわが財産」などというコメントをする芥川賞受賞者は、かつていただろうか。読んでみたが、とことん底辺の生活の描写は、これぞ私小説という趣である。面白いかと言われれば、即答はしにくいが、こういった生活をしていた人が、「芥川賞」を受賞するほどの作家になるということは、多くの人に勇気と希望を与えるのではないかという感慨を持った。ある面では、車谷長吉の直木賞受賞作「赤目四十八瀧心中未遂」とも通じるところがある。ついでにといっては何だが、同じく受賞作の朝吹真理子の「きととわ」も読んだ。こちらは、才能がきらきら光っているような作品である。二つの受賞作というよりは、作者の歩んできた道の違いに、めまいを覚えるほどである。
単行本になった受賞作を読むより、作品掲載号の「文藝春秋」を読むのが楽しいのは、審査委員の選評が読めるからである。過去には、作品は読まないで、選評だけ読んでいた時期もあった。今回も、それぞれ、審査委員それぞれの好みが出ている選評であった。なべて、「きととわ」の評価が高かったのが印象に残る。二人の受賞者が、今後、どんな活躍をするかも、楽しみである。
2011.2.11(金)
再度の「朝ズバ」出演
建国記念の日の祝日。朝から、雪が舞っている。1月7日に続き、TBSテレビ「朝ズバ」に生出演。スタジオではなく、自宅からの中継で番組に参加というのも、前回と同じである。「8時またぎ」のコーナーの最後のテーマで、「日本からHTLVウイルスをなくす会」代表の菅付加代子さんが取り上げられる。その場面で、私がコメントすることが求められていた。実際には、その前に、ムバラク大統領の演説、大相撲八百長問題についてもコメントした。この番組のレギュラー・コメンテーターを務めていた頃を思い出す。司会のみのもんたさんからは、どんな話題が、いつ振られるか、予測不能である。今日も、そんな調子でやられた。
菅付さんは、ご自身がHAMの患者である。彼女が番組で取り上げられることは、それだけで大きな意義がある。HTLVウイルス、HAM、ATLといっても、一般にはほとんど知られていない。患者数は少ないが、ウイルス感染者は全国に100万人以上いて、ウイルスは母乳を通じて赤ちゃんに感染する。ウイルス陽性の母親が、母乳を与えれば、子どもを感染させるおそれがある。逆に、ウイルス陽性と判明した妊婦は、母乳を子どもに与えないことにより、感染を防ぐことができる。妊婦検診が徹底すれば、この病気を日本からなくすことができる。菅付さんは、患者対策とともに、妊婦検診の全国的な実施を求める要請活動をずっと続けてきた。それが、昨年秋、私も官邸に同道したが、菅総理への要請により、国が応えてくれた。全国的に、妊婦健診において、HTLV-1ウイルスの検診もなされることになり、そのための予算措置もとられた。大きな成果である。
まずは、多くの方々に知ってもらうこと。すべてはそこから始まる。それにしても、番組の中のヴィデオで菅付さんの活動が紹介されていたが、その奮闘ぶりに、ただただ頭が下がる。車椅子で移動しながら、ご自身の病気による障害を抱えつつ、たった一人の運動から始めて、ここまでたどり着いた。夫の進一さんの献身的な協力ぶりも印象的である。 全国放送で、こういう活動が紹介され、今まで知られることが少なかったHTLVウイルス問題に、関心を持ってくださる方が増えていく。その意味でも意義ある番組であり、「朝ズバ」のスタッフに感謝したい。(東北放送は、7時25分からローカル番組に切り替わるので、宮城県の方には、この部分ご覧いただけなかったのは、残念なことである)
。
2011.2.10(木)
外来受診
がんセンター中央病院での外来受診に築地へ。今日の運転手のKさんは、今回で3回目の築地への送りになる。田野崎医師の診察では、検査結果など見ても、基本的に、悪いほうへの変化はなし。ただ、ひとつ、クレアチニンの値が1.2(正常上限は1.1)だったので、生理食塩水の点滴を勧められた。2時間点滴を素直に受けてからの帰宅となったのは仕方がない。ステロイドの量は、5mg/日から4.5mg/日に減量。次の診察は、一週間空けて、再来週の木曜日である。このまま順調に、なにごともなく推移するように、願っている。
。
2011.2.9(水)
久しぶりにキャンパスへ
慶応大学SFCに赴いて、4月からの大学への復帰について相談してきた。保健センターの医師からは、4月からの復帰は適当であるとの診断をいただいた。その後、学事担当と、春学期に担当する授業について調整させてもらった。本来担当すべき授業数よりは、少ないコマ数で、とりあえず春学期はいこうということで決着。復帰ということが、現実味を帯びて感じられる。後は、4月までの間、感染症に罹ったりしないように、何事もなく推移するよう、細心の注意を払って過ごし、最初の授業の教壇に立ちたい。この時が、私の中では、正式な復帰の時期という思いがある。
2009年6月2日が、休職前の最後の授業だった。学生たちに「私は白血病を発症した。しばらく治療に専念する。必ず戻ってくるから、待っていて欲しい」と言い残して、翌日、東京大学医科学研究所附属病院に入院した。ということで、今日は、1年8ヶ月ぶりのキャンパスだった。休み中で、学生の姿はほとんど見られないが、1年8ヶ月前のことがよみがえってきた。
2011.2.8(火)
「♪毎日が誕生日なら♪」
63歳の誕生日。この日記でも、何度か「2月8日は、俺の誕生日だぞ」と書いたこともあって、多くの方々が覚えていてくださった。お祝いのメールがたくさん送られてきた。お祝いの品物もたくさん届いた。うれしいし、ありがたい。満足、満足。
品川区大井在住のSさん、1月23日の日記に書いたように、ご主人が「がん友」で、本人とはエルヴィス友達、「エル友」である。そのSさんからは、映画「ブルーハワイ」のDVDを誕生プレゼントとしてお送りいただいた。早速、見たが、これが何ともなつかしく、そして若いエルヴィスがかっこいい。満足、満足。
エルヴィスと言えば、仙台のコミュニティFM「ラジオ3」で「シローと夢トーク」の「誕生日特集」というのが15時から放送された。自宅の「特設スタジオ」で、録音機片手に、独白したものを放送局に送り、それにエルヴィス・プレスリーの曲をかぶせて編集してもらった。ネットの「サイマルラジオ」のサイトからリアルタイムで番組が聴ける。私もパソコンにヘッドフォンをつないで聴いたが、私の声の感じが元気なく、DJとしては、やや不本意。時間配分も、計算まちがいで、2分ほど余ってしまったのは、どうしたことだろう。楽しみにしていた方には、小さな声で「ごめんなさい」。「しばらくぶりのDJだったものだから」の言い訳とともに。
慶応大学SFCの研究会の教え子(以下敬称略)からのカードが、束になって送られてきた。先日我が家にやって来た中島有理、吉岡直緒紀、加藤友理奈が企画したらしい。平川博龍、三角祐介、加藤智之は一枚のカードに、仲良し三人組らしく、それぞれメッセージが書いてある。守屋茂樹、番場陽平、細貝沙羅のカードは、メッセージを聞いて、中島が代筆した。吉岡直緒紀のは、明らかに加藤友理奈の代筆。彼の悪筆が、急にうまくなったのかと一瞬驚いた。藍原博也は自分の写真入り、気が利いている。飛騨慧、赤井佑輔からのメッセージも、中島が書きとめた。安田哲也は平成20年卒の古顔。瀧本祐嗣、細貝沙羅、神原貴子、玉田奈月、そして蒋華、ああ、みんななつかしい名前だ。狭い我が家に35人も詰め込んだ誕生パーティーのことも思い出す。研究会が終わった後、毎回のように行った居酒屋「ととや亭」は、健在だろうか。カードのメッセージを読んでいたら、涙が出てきた。こんなにうれしい誕生日プレゼントはない。
そして、妻から。赤ワインとネクタイ。先日のクリスマスに買ってきてくれた赤ワインも、十分においしかったが、今日のは、さらにおいしい。値段のことを言うのもなんだが、前回の2倍もするのだから、おいしいのも当然か。ネクタイは、復帰の第一日目に締めていくようにという心配り。素敵な色と柄のネクタイが、締めてくれるのを待っている。おいしい赤ワインの酔いとともに、誕生日の夜は更けていく。満足、満足。誕生日っていいな。「毎日が誕生日なら」(エルヴィスに「♪毎日がクリスマスなら♪」という素敵な曲がある)どんなにいいだろう。そしたら、あっという間に年取ってしまうか。
2011.2.7(月)
名古屋のトリプル選挙
今日も、2月とは思えないほどの暖かい日。そんな中を7分+7分の散歩へ。吹いてくる風は春風のように爽やかである。なんて気持ちがいいのだろう。厚いジャンバーが邪魔なほどで、歩いていると汗ばんでくる。青空がきれい。
昨日行われた愛知県知事選挙、名古屋市長選挙、名古屋市議会解散の是非を問う住民投票、トリプル選挙の結果、愛知県知事選挙では大村秀晃氏、名古屋市長選挙では河村たかし氏が、いずれも圧勝した。まずは、おめでとうございます。住民投票では、73%が解散賛成だから、これも圧倒的多数で議会リコールが決まった。
知事選、市長選の結果は、国の政治が閉塞状態で、国民の間に不満がたまっている。イライラ、うっぷんを晴らす形になったのではないか。河村市長の改革について、橋下大阪府知事の改革と並べて、事前にいくつかの新聞からの取材を受けたが、改革という言葉に住民は浮き浮きしてしまうし、改革、それも大胆な改革を宣言する政治家に喝采を送るのは、大阪や名古屋に限らない。ちょっと前の「小泉郵政民営化解散」での自民党、小泉チルドレンの圧勝を思い出してみればいい。
河村氏の議会叩きも「受けた」。議員は報酬もらいすぎ、定数多過ぎとの河村氏の攻撃は、名古屋市議会を悪役に仕立てて、住民の共感を勝ち得た。確かに、今の議会、議員の働きは、決して十分ではない。本来果たすべき役割をきっちりと果たすべきである。しかし、だからと言って、議会を解散するというのは、いかがなものだろうか。リコールを求める動きが、河村氏主導の下に行われたことにも、危惧を感じる。そういえば、本来は、この時期に市長選挙は予定されていないのであって、河村氏が任期を半分以上残して市長職を辞したのは、今回の選挙をトリプル選挙に仕立て上げるためのものとしか考えられない。そんなご都合主義で市長の座を辞めたりするのにも、疑問を禁じえない。住民が、自らの自治体の政治に関心を持ち、行動するきっかけになったという意味では、今回の名古屋市の動き、河村氏の功績は大いに評価したいが、行き過ぎはないかどうか。今後「名古屋の名物となる」(河村氏の言)らしい民主主義の中身が問われるべきである。
2011.2.6(日)
歩く人、走る人
今日で、再開3日目の散歩。6分+6分。散歩は、ノルマというよりは、楽しみである。私のよく使う表現でいけば、義務ベースではなく、権利ベースということ。歩いていると、日の光、風の具合に季節を感じる。人の行き交い、路傍の草花、お店の賑わいを見るのは、久しぶりで新鮮に目に映る。歩き終わった後の気分も、爽やかである。階段昇降では得られない満足感が得られる。筋肉の状態が進歩していくのも励みである。「進歩」というのは、散歩の状態が進むことの表現にはぴったりだな。
TBSテレビで、別府大分マラソンをじっくり見た。37歳のアハメド・バダイ(モロッコ)が2時間10分14秒で優勝。前田和浩(九電工)が2時間10分29秒で日本人トップの3位。期待していた藤田敦史は5位に沈んだ。優勝が外国人にさらわれるし、記録も平凡で期待はずれだった。来週は、千葉国際クロスカントリー、再来週は、横浜国際女子マラソンがある。そして、2月27日(日)は東京マラソン。これは見るものでなく、出るもの、走るものか。
以前のジョギング日記はこちらから
|