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ジョギング日記 6月第1週分          

2011.6.4(土)

入院から2年    

 夜中の排尿は、4回ぐらいというのが続いている。寝入りばなは、1時間おき。これが3回続いて、次に起きてトイレにいくのが3時と4時の間。そこでラジオをつけると、NHK/FMでは「ラジオ深夜便」の「にっぽんの歌 心の歌」の時間である。今朝は、ペギー葉山と灰田勝彦特集をやっていた。戦前の灰田勝彦の歌もステレオ演奏だったから、当時の盤ではなく、録り直したのだろう。ステレオで聴く灰田勝彦は、意外といい。番組の終わりにかかる4月―6月の「深夜便の歌」が気に入っている。「涙なんだ」をギター一本の伴奏で、宇崎竜童が素朴なメロディーに乗って淡々と歌う。阿木燿子の詞がいい。著作権法の関係で、そのまま引用はできないが、「女の涙は苦手だと 余計な一言付け加えて 心に鍵を掛けたね そうか涙なんだ」ぐらいはいいだろう。次は「もういいのさ 我慢しなくて 思い切り泣きなよ ぼくの胸はそのためにある あなたを受け止めるため」まで聴かないと、良さが伝わらない。「ぼくの胸はそのためにある」というのは、なかなか出てこないフレーズだが、さすが阿木耀子である。今晩も聴けるかな。

 夕方5時半から散歩を10分+10分04秒。このぐらいの時間帯になると、日脚が長くなって、少し涼しい。歩きながら思い出したのだが、2年前の今日、東京大学医科学研究所附属病院に入院した。それから満2年。こうやって、元気に散歩を楽しめるところまで辿り着いた。2年間は長いといえば長い。治療は、それほど苦しい思いはしなかったので、闘病生活と表現するのもぴったりこないのだが、ほぼ2年間、職業的活動、社会的活動はできなかったのだから、あせりもあった。それでも、それでも、ここまで来れたこと、爽やかな空気の中で散歩ができることをありがたいことだと、思いを噛み締める。

 明日は、仙台で第11回「とっておきの音楽祭」が開催される。素敵にできた案内冊子が、Tシャツとともに、菊池昭典君から届いた。冊子には、広告がたくさん掲載されていたから、資金集めに少しはメドがついたのかなと、胸をなでおろす。大震災の被災状況がまだまだ続いている中で、資金集めも大変だったろう。そもそも、開催するかどうか、ぎりぎりまで厳しい判断を迫られた。皆のチカラと思いの結集で開催にこぎつけた。慶応大学SFCで福祉の浅野研究会のメンバーである田中謙伍君が、是非にということで、仙台に今日から出かけている。なんとか、明日の仙台は晴れてくれますように。私は行けないので、せめて、そんな願掛けだけさせてもらっている。


2011.6.3(金)

無意味に暑い夏の可能性    

 昨日までとは打って変わって、太陽が輝き、風もなく、爽やかな初夏のにおいのする好き日である。夕方になって、そんな中を9分+9分02秒の散歩。徐々に、歩く時間を延ばしている。最低30分は歩かないと、運動にはならないという固定観念があるので、15分+15分になるまでに、早くたどり着きたいと思ってしまう。それでも、あせりは禁物。徐々に、そろそろと。はい、心がけます。

 歩いていても、暑さを感じるほどの天気だった。これが真夏になったら、どれほどの暑さになるのだろう。室内も、節電でエアコンの使用自粛となったら、我が家は焦熱地獄と化すだろう。テレビ番組で、窓に特殊なフィルターを貼り付けて、紫外線、赤外線を遮断することができることを知った。同じことを考えている家が多いらしく、申し込んでもなかなか施行してもらえなかった。やっと、今日になって、業者がやってきて、フィルムの貼り付けを施行してくれた。これで、この夏は炎熱地獄を免れるだろう。

 寝室の窓にも貼り付けてもらったが、私の書斎は、寝室とつながっているので、工事の間は、部屋から追い出されて、ダイニングに避難した。そのダイニングにパソコンを持ち込んで、原稿書き。なんと、そこで2本書き上げてしまった。そのうち1本は、昨日、手紙で依頼があったもの。早速、原稿をメールで送ったら、編集者から電話があり、「締め切りは7月16日なのに、こんなに早くいただいて・・・」と、驚きつつの感謝の言葉。「出来はともかく、書くのは速いよ、お届けは早いよ」と、いつもの返事。

 菅首相の退陣、時期は明示せず、「震災対策、原発事故収束に一定のメドがついたら」と本人は繰り返す。昨夜の記者会見では、事故後の原子炉の冷温停止まで責任を果たすと表明しているので、来年1月まで続投するつもりらしい。鳩山由紀夫氏との会談で、「言った、言わない」ということとは別に、首相がいったん辞意を表明したら、長くは持たないのは、政治的な常識である。とても、とても、来年の1月まで続投することは、ありえない。立ち往生して、結果的に引きずりおろされることは、避けるべきである。自分の最後のプライドを守るためにも、自ら選んだ形で早めの退陣をするしかないのではないか。退陣時期を明確にすれば、それまでの間に、後継者を時間的余裕をもって決めることができるし、退陣時期を明確にしている首相を、その前に引きずりおろすようなことは、菅下ろしに狂奔する勢力としても、やれないだろうから。このまま、無意味に暑い夏を迎えるのだろうか。


2011.6.2(木)

菅内閣不信任案否決    

 一日中冷たい雨が降っていた。13時からは、衆議院本会議場での採決の様子をNHKテレビの実況中継でずっと見ていた。自民党の大島理森副総裁の賛成演説は、菅首相の人間性を批判する言葉も連ねながら、私の耳には、品がない、節度をわきまえない言説に聞こえた。顔も怖そうだったし。

 議場では、朝のニュースワイドでも、激しく菅首相非難をしていた松木謙公議員が、同僚議員になにやら説得されている様子が映し出されていた。一方、小沢一郎氏の姿が議場にない。本会議開会直前に開かれた民主党の代議士会で、菅首相が大震災の復興に目処がついたところで退任するという発言があったが、それを受けて、小沢一郎氏は「ここまで引き出したんだから、自主的判断でいい」と言ったらしい。事実上「不信任に反対しろ」ということだろう。ご本人は本会議欠席。今朝方までは賛成で結束を呼びかけていた仲間の議員は、途中ではしごをはずされた。出席した民主党議員の中で、松木議員だけが、賛成票を投じた。小沢氏と行動を共にする何人かの民主党議員が欠席したが、不信任案は大差で否決。なんなんだろう、この茶番は。松木議員一人が筋を通した、勇気ある行動をとったように見えるから不思議だ。「筋」といっても、変な筋ではあるのだが。それにしても、小沢一郎氏の直前の身のかわしは、さすがというか、この人の今回の行動の裏を見たような気がする。あーあ。


2011.6.1(水)

菅内閣への不信任決議案提出    

 6月になった。夏用に衣替えとはいかないような肌寒い日である。書斎のパソコンの前に坐っていると、足がスースーする。ちょっと寒い。書斎に坐って、大学の授業の出席者カードをめくって、誤字を直し、質問への答を次回授業のレジュメに書き込む。骨が折れる作業は、宿題を一枚、一枚読んで評価し、出来がいい優秀者名をレジュメに書き込むこと。宿題として提出された133枚のペーパーを読むのは、一日がかりである。力作が多いので、励みにはなる。

 その宿題は、「政治主導について」である。大震災、原発事故への対応において、リーダーシップが発揮されていないから、菅首相の下では、絶対に復興はできない、だから菅首相は辞任すべきだと、谷垣自民党総裁が街頭演説で叫んでいた。党首討論でも、同じことを主張していた。菅政権では、政治主導がうまく機能していないということなのだろう。自主的に辞めないから、自民党と公明党、たちあがれ日本が、菅内閣不信任決議案を、今夕、横路孝弘衆議院議長に共同提出した。明日の13時の衆議院本会議で採決の予定。与党からも小沢一郎氏に近い議員を中心に、大量の賛成票が出るのは確実らしい。さてさて、ついにここまで来たか。深くため息が出る。これについて、学生に意見を求める宿題を出したら、どんなペーパーが出されるだろう。


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