2011.6.11(土) 大震災から3ヶ月
3.11から3ヶ月目。3ヶ月というのは、行方不明者を抱える家族にとっては、単なる節目ではない。今国会で成立した「特別財政援助助成法」により、大震災で行方不明になった人について、死亡推定が適用になり、年金や労災の死亡給付金が支給され得ることになる。息子さんがみつかるのを待ちわびて、千羽鶴を掲げていた母親が、今日でその千羽鶴を片付けるという。3ヶ月経ったところで、気持ちの整理をすることにしたと、テレビで伝えていた。災害としても、いまだに行方不明者が8千人を超えているというのは、例がない。桁違いの多さである。それだけの人の家族が、気持ちがふっきれないままでいる。
3ヶ月経っても、がれきの撤去が進んでいない。そんな町のひとつ、南三陸町の様子が、今朝の「ウエークアップ」で報じられていたが、災害直後の様子とあまり変わってはいない。復旧には、これから、どれだけの時間がかかることだろう。釜石市に、菅首相が視察にでかけている姿が、ニュースで報じられていたが、辞任間近の首相が行くことに、どれだけの意味があるのか、不思議な気持ちで画面を見ていた。復興に向けてやる気満々というのは、立派な心構えのようにも見えるが、政治的には、できるだけ早く首相の座から降りることが正解である。いい悪いは別として、政治状況がそのことを突きつけている。最後の最後に、菅首相の政治状況を判断する政治的センスが求められていると私は思うのだが。
2011.6.10(金) ラジオを聴き、ラジオに出る朝
今朝もまた、「ラジオ深夜便」で吉田正作品集(その1)を聴く。2時台の「ロマンチックコンサート」のジョン・デンバー特集のラスト「ロッキーマウンテンズ・ハイ」に聴き惚れ、ニュースをはさんで、3時台の「にっぽんの歌こころの歌」へと続く。「ロッキーマウンテンズ・ハイ」がコロラド州の正式の州歌というのを初めて知った。この日歌われた吉田正の作品は、戦後まもない「赤と黒のブルース」(鶴田浩二)を除いては、みんなきっちり歌える。「有楽町で逢いましょう」、「東京午前三時」(フランク永井)、「グッド・ナイト」(松尾和子)、「哀愁の街に霧が降る」(山田真二)、「寒い朝」(吉永小百合)、「二人の星をさがそうよ」(田辺靖男)、「恋をするなら」(橋幸夫)、「夕子の涙」(三田明)、「いつでも夢を」(橋幸夫・吉永小百合)。「夕子の涙」は作詞も吉田正だが、他は、すべて佐伯孝夫作詞。詞が良くないと、聴く気がしないのだが、佐伯孝夫の詞は、その点、すべて及第点である。それにしても、吉田正が、幅広くいい歌を作っていることに、改めて感心した。
4時から5時にちょっと寝て、「おはよう一直線」で目覚める。今朝は、6時過ぎから、私が電話出演である。「もう、この番組の顔と言っていい、浅野史郎さんです」と生島ヒロシさんに紹介されての電話口である。「ラジオだから、顔じゃなくて、『番組の声』だと思います」などと、詰まらないことをいいながら、最近の政局について一言、二言。時間が限られているので、なんだかわからないうちに終わってしまうのは、いつものこと。聴いている人も、同じ思いだろう。でも、ラジオ出演は、いいなあ、何よりも気楽でいい。これに懲りずに、生島さん、また呼んでね。
午後から、散歩を10分+10分14秒。生島さんが、番組の中で「『ゆっくり歩き・急ぎ歩き』を繰り返すインタバル歩きが効果ある」と言っていたので、今日はその真似事をやってみた。なかなかいい感じである。1分ゆっくり、次の1分は急ぎ。こういう変化をつけると、楽しいし、運動効果も高くなる。人生も、アクセントをつけると、楽しいのと同じというのは、こじつけ過ぎかも。
2011.6.9(木) 外来受診は異常なしだが
今朝は、2:54に目覚めて、トイレを済まし、NHK/FMにスイッチを入れた。体内時計が知らせているのだろうか、毎朝、ほぼこの時間に目覚める。「ラジオ深夜便」の「にっぽんの歌こころの歌」は、なかにし礼作品集その1。
いい詞を書く人である。男の身勝手を耐える女心を描くのが得意。「今日でお別れ」(菅原洋一)の中で「何も言わないで気休めなど」と言いながら、「こみ上げる涙は言葉にならないさようなら」と身を引くオンナはいじらしい。「知りすぎたのね」(ロスインディオス)のオトコは、「お前に飽きたから、次のオンナに乗り換えるね」と言ってるだけなのに、オンナには「いいのよ、いいの、作り涙なんか」と歌わせている。ヒドイ話になりそうなところを、美しい言葉で救っているなかにし礼の技巧に感心すると同時に、「この人の実体験なのかな」と疑ってみたり。「夜が明けて」(坂本スミ子)では、吸殻一本残して、オンナの部屋からトンズラするオトコがいて、「割れた手鏡に語りかける女の朝はひとり」と大人しくあきらめるオンナがいる。「返して欲しいと言わないわ どの道あなたにあげた夜」と歌う、オトコにとって都合のいいオンナは「昭和女ブルース」(青江美奈)。あれあれ、いつの間にか、作詞家を斬る評論家気取りになってしまった。
2週間に一度の外来受診で築地のがんセンターへ。今年2回目のCT全身検査(5ミリシーベルトの照射)の結果は異常なし。以前に肺炎になったところの痕も小さくなっている。血液検査の結果も異常なし。コレステロールの値が高くなったので、一度やめていたリピトールを再開することになったのと、肝臓の値が今まで非常に「優秀」レベルだったのが、今回、ちょっと戻ったが、気にするほどではない。ということで、「全般に、問題ありません」との所見を田野崎医師からいただいた。待合室では、「病友」3人と一緒になったが、そのうちの一人Mさんは、なんと入院中の12B病棟からやってきていた。2週間前の定期診察の際にアルブミンの値が正常値下限3.7のところ、1.3にまで下がって、そのまま入院ということになったらしい。これまで検査しても、まだ原因が特定できないが、腎臓に異変の疑いがあり、いずれ他の病院で検査するとのこと。自覚症状としては、特にないので、元気そうではあったが、私と同じ頃に入院し、骨髄移植も同じ時期だったMさんなので、私としても他人事ではない。田野崎医師が今日もおっしゃったが、「2,3年は無理せず、張り切り過ぎずに」という注意を胸に刻んだことである。
2011.6.8(水)
「やねだん」この素晴らしき集落 午前中は、前回の授業で提出された宿題(「選挙について」)を読み、その中の優秀作を書いた学生名の書き込みも含むレジュメの作成作業に没頭した。次回授業は、前回の「選挙の実態と課題」が不十分だったので、もう一度、このテーマで講義することとした。そのレジュメを作成し、SA(Student Assistants)にメールで送信しておいた。次回授業の際に、人数分印刷して教室に持ち込んでくれる。レジュメを作成したら、次の授業が待ち遠しくなった。学生の熱心さに、こちらもやる気を掻き立てられる。
南日本放送の山縣由美子さんから、「やねだん」のオリジナル版のDVDが送られてきた。「やねだん」は山縣さんが制作して、2008年5月29日に南日本放送で放送されたドキュメンタリー番組である。数々の賞を受賞した素晴らしい作品で、私は、病床で2年前に市販用のDVDで見ている。この時は、パソコンの画面で見たのだが、今回のDVDは自宅の大画面のテレビで見たこともあり、改めて感激した。
鹿児島県鹿屋市串良町の柳谷集落、通称「やねだん」は、「人口300人のボーナスが出る集落」である。10年以上前、豊重哲郎さん(70)が公民館長になって、「行政に頼らない地域づくり」を目指し、高齢者人口が40%以上の集落を見事に再生した。住民を挙げて、さつまいもを栽培し、焼酎(名前は「やねだん」)を造り、利益は住民に還元する。県外から芸術家を移住させて、空き家を改修した「迎賓館」に住んでもらうなど、文化による地域づくりを目指している。全国的にも注目され、年間3600人が視察に訪れる。この素晴らしい地域づくりの実践の全容を紹介する余裕がない。このDVDを見てもらえば、地域づくりの出発点は、一人ひとりの感動であるということがわかるはず。
DVDと一緒に送られてきた地元新聞記事によれば、町内会費で購入した中古車「やねだん号」を仙台市のNPO法人に贈った。車には、被災地の子どもたちに配る鉛筆、図書、おもちゃが一杯。3000キロの距離を運転するドライバーは、やねだんで毎年2回開催している「故郷創生塾」の全国に散らばる卒塾生が交代して担当し、6月1日に仙台に到着した。これとは別に、「やねだん総出歓迎」の記事もあり、福島県から避難してきた3家族10人をやねだんで受け入れ、住まいには「迎賓館」の1棟を提供したことが報じられている。歓迎式には、100人が集合という。すごいなあ、素晴らしいなあ。こんな地域が日本にある。
2011.6.7(火)
細川佳代子さんの変わらぬ行動力 曇り空で涼しい日。そんな中、慶応大学SFCへ。2時限の「政策協働論」では、前回の「官僚制とマネジメント」のやり残したところを補い、今日のテーマ、「選挙について」に進んだ。選挙を4回経験している私の個人的体験を紹介した。選挙は、候補者100人いれば、100通りのやり方がある。どれがいいか、悪いかはもちろん、どういうのが理想的な選挙かということも決められない。浅野には浅野の選挙のやり方があり、それを実際のエピソードを交えて語るしかない。評価は別問題である。候補者から見た選挙のありさまについては、学生たちにとっては、初めて聞くことばかりなので、とても興味を示していた。確かに、こういう話は面白い。しかし、面白がらせているだけでは、講義にならない。次回は、もう少し、議論として深めるような切り口で講義しなければならないと反省しつつ、授業を終えた。
午後からの4時限の研究会のゲストは、細川佳代子さん。細川さんの「花も花なれ 人も人なれ」(角川書店)の出版記念会が、2009年6月に開催された。その発起人代表が私だったのだが、直前にATLで入院してしまい、出席できなかった。それ以来だから、2年ぶりの再会。そんな細川さんの話は、学生の心を大きく揺さぶった。スペシャル・オリンピックスの話を中心にお話いただいたのだが、授業終了後、早速、2名の学生がボランティアをやりたいと言ってきた。「あなたがたの人生が、これで変わるよ」と私からも彼らにエールを送る。細川さんは、「近ザラ」(古希ではなくて、「近頃ザラにいる」から70歳前後の人たちへの呼び名らしい)とは思えないほどのエネルギーにあふれた活動ぶりは、変わっていない。昨日は、「とっておきの音楽祭」を見に、仙台に日帰りと聞いて、驚くやら感心するやら。本人曰く「老いてますます」とのこと。すごい人である。
2011.6.6(月)
書斎の片付け 思い立って、書斎に積み上げられている書類、郵便物などの整理をした。整理とは、基本的に捨てること。とっておいて役に立つものは、ほとんどない。我が家の場合、郵便物など、宛先で我が家が特定されるものは、切り取ってシュレッダーにかける。その切り取り作業というのも、結構手間隙かかる。こんな作業の際のバックグラウンド・ミュージックは、「大人のための抒情愛唱歌」(全5巻)である。今日使ったCDはその第3巻。「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)、「おさななじみ」(デューク・エイセス)、「愛の讃歌」(越路吹雪)、「椰子の実」(由紀さおり・安田祥子)、「悲しくてやりきれない」(ザ・フォーク・クルセダーズ)など。5巻全部では92曲。全部ここに書き出したいほどだが、いい歌ばっかりである。整理の話が、歌の話になってしまった。
夕方、散歩の前に体温を測ったら、37.3℃。ちょっと高いので、大事をとって、散歩は中止にした。しばらくして、再度体温測定をしたら、36.8℃。ふだんの夕方の体温である。測るタイミングで、こんなに違う。どっちが正しい体温なのだろう。
2011.6.5(日)
もっと真面目にやれよ 早朝、3時45分にトイレに起きて、その後、「にっぽんの歌こころの歌」で昭和57年の流行歌の最後の部分、「待つわ」(あみん)、越前岬(川中美幸)を聴いて、「涙なんだ」(宇崎竜童)で再び熟睡。二度寝、三度寝した後の朝の起床である。これは毎度のこと。TBSテレビ「サンデーモーニング」が始まる8時丁度に食卓につくというタイミングを計って、日曜日は起床する。寺島実郎さんの出る日は、見逃してはいられない。
この日のニュースも、案の定、菅首相の不信任案否決から退任時期の迷走を追う。もう見飽きた、聞き飽きたと思いながら、見ていた。「日本の政治はだめだ」という結論は、どのニュースショーでも変わらない。自分たちが作り出した政治家たちが演じている三文オペラ、猿芝居だから、文句ばっかりは言っていられないのだけれども、言わずにはいられない。もっと真面目にやれよ!
午後からは、11分+11分12秒の散歩に出た後、スカパーで楽天対ヤクルト戦を見る。4回表、楽天はノーアウト2,3塁のチャンスに点が取れない。その裏に、それまで好投していた今期初先発の片山博視が10点を取られて、11対0になったところで、ついに見るのをやめた。選手にもそうだが、星野監督にも言いたい。もっと真面目にやれよ!!
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