浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 7月第4週分          

2011.7.23(土)

改めて、LIFE(命・人生・生活)を考える   

 ぐっと気温が下がった朝。夏の散歩としては、絶好の機会。風があり、とても涼しい中、16分+14分30秒の散歩に出た。復路が速いのは、途中の下り坂で、ジョギングを入れたから。1分ほどを2回なので、まったく楽なものである。こういった涼しさだからこそできること。

 TBSテレビの「サタズバ」に海江田万里経済産業大臣が出演していた。「原子力災害賠償支援機構法案」の成立だけでなく、「新エネルギー特措法案」にも言及していたので、「責任を取る」という時期は、来週ではなく、もう少し先になるのだろう。本来、海江田氏は、菅首相から、今や「私的な考え」となった脱原発構想について、電話で話があった時に、「そんなら、私辞めます」と言えばよかった。そして、即刻辞任すればよかった。辞める時期を延ばし過ぎた気がする。

 昨夜のNHKテレビで、ヒューマン・ドキュメンタリーの第三回、「延命を拒んだ少女の選択」を観た。8歳で心臓移植を受けた華子さんは、その後、気管切開で声をなくしたり、さまざまな障害を持つことになる。18歳で腎不全になった時に、華子さんは延命治療としての人工透析を拒否して、自宅で静かに死んでいく。その間、50歳以上年長の、娘さんを幼くして亡くした女性と700通を超えるメールを交わす。両親に、自分の覚悟を語り(携帯メールでの会話)、自分がいかに幸福であり、充実した人生を送ってきたかを伝える。「いのちは長さじゃない、どう生きるかが大事:、「丁寧に生きる」、「天国はお疲れ様の場所」といった言葉を残して、華子さんは両親の手の中で安らかに旅立っていった。カメラは、その最後の場面まで撮っているのに驚いた。いのちとは、生きるとはを改めて考えさせるいい番組だった。


2011.7.22(金)

海江田大臣の「忍」の一文字    

 ぐっと涼しい朝。こんな朝に散歩したら気持ちがいいのはわかっているのだが、身体がまだ寝ていたいとささやく。朝は、歩くタイミングを逃した。夕方、陽は出ているが、湿度が低く、風がある。思い立って10分+10分の散歩へ。歩いてみたら、十分に気持ちがよかった。これ以上散歩を休むと、休み癖がつきそうだったので、なんとか踏み堪えられたのはよかった。

 踏み堪えられるかどうか、正念場を迎えそうなのが、菅首相である。海江田万里経済産業大臣が、21日の参議院予算委員会で左手の手のひらに「忍」の字をサインペンで書いたままで答弁席に坐っていた。一方で、「原子力災害賠償支援機構法案」が早期成立の見通しである。この法案が通れば、予告どおり、海江田大臣は辞めるのではないか。そうなると、他の大臣の中にも、海江田氏に追随して辞職するのが出てくる可能性がある。菅首相以外の閣僚総崩れの事態もありうる。引き金は、海江田大臣の辞職である。法案が成立して、辞表を叩きつけるまでは、じっと「忍」の一文字という決意でいるのだろうか。法案が成立する来週が、いよいよ菅政権瓦解の出発点かもしれない。


2011.7.21(木)

番組への反響    

 2週間に1回のがんセンターでの外来受診で築地へ。雨降りで、気温も低い。身体的には楽である。検査結果も順調で、田野崎医師からも「異常なし」と診断された。ずっと服用を続けてきたプレドニンは、今回から処方されず。代わりに、これまで不定期に服用してきたセレスタミンを一日2錠飲むことになった。どちらも、ステロイド剤であるから、これまでと大きな違いはない。それでも、プレドニンの服用がなくなることは、私にとっては、一つの目標だったので、それなりの感慨がある。

 昨夜のNHK総合テレビで放映された「あなたが心の道しるべ〜小山内美智子と浅野史郎〜」への反響が結構ある。知人から私宛のメールもあるが、ネットで検索すると、Twitterやブログでの感想も多く目に付く。すべて、番組に感動したというものであり、特に小山内美智子さんへの絶賛の言葉が相次ぐ。「障害者を見る目が変わった」、「生きる勇気をもらった」、「小山内さんは凄い」などなど。小山内さんには、「これで著書が一杯売れるかもね」と言っておいた。番組を制作した大野兼司さんは、放映を待たずに福岡支局に転勤になったが、彼にも、前作の「二人のチャレンジド」の際と同じく、Good Job!とメールしておいた。これだけ反響が大きく、賛辞が殺到の番組を制作して、彼もディレクター冥利に尽きる心境ではないか。


2011.7.20(水)

なでしこジャパン(再)    

 暇のある生活を送っているものだから、今日は、テレビ各局のニュース番組を見ていた。ほとんどに、なでしこジャパンのメンバーと佐々木則夫監督が登場していた。司会者からは、同じような質問が飛び、澤穂希選手には、決勝戦での右足外側での超絶技巧シュートをスタジオで再現させるリクエストが繰り返された。選手たちが、いやな顔一つせず、素直にリクエストに応え、陳腐な質問にも答えていたのが、とても爽やかな印象だった。

 爽やかといえば、佐々木則夫監督である。アメリカとのPK戦を前にした円陣での爽やかな笑顔のことは、昨日書いた。それ以外にも、選手に接する対応も、監督然としての上から目線ではなく、これも爽やかなものである。だから、選手はのびのびとプレイできるのだろう。プロ野球の監督の中には、試合中ずっと仏頂面で、選手がホームランを打っても、相手を零点に抑えても、ニコニコせずに対応するのが何人かいるのとは好対照である。

 なでしこジャパンのプレイそのものが、爽やかである。なぜ爽やかなのか、考えてみたら、何人かの人も指摘していることであるが、試合中にラフプレイによるファウルが少ない、審判に文句をつけない、倒れても大げさに痛がらずに、すぐに立ち上がる、俺が俺がのプレイより、チームワークが光る。こういった要素があるから、見ている人に、爽やかな印象を残す。男子の試合ぶりとは、まったくの好対照である。男子の全日本チームも、なでしこジャパンのこういう試合ぶりを真似したらどうだろう。

 あれあれ、今日の日記も、なでしこジャパン一色になってしまった。政治や原発事故について書くよりは、よほど爽やかである。


2011.7.19(火)

今学期の授業は終盤    

 雨が降ったりやんだり。その「降ったり」のところでは、思い切り強い雨が降るという天気。台風6号が近くまで来ている影響だろう。そんな中、慶応大学SFCでの授業へ。午前中の「政策協働論」は、来週の最終授業を試験に充てているので、今日が実質的には今学期最後の講義になる。「今学期のまとめ」という形で講義したが、実質は、授業で言い足りなかったところの補充、補足ということになった。履修者から毎回提出してもらう出席カードへの記述も、今学期最後となる。今学期の授業を振り返っての感想を書いてもらった。記名での記述だから、当然ではあるが、「この授業を受講してよかった」という感想が多かった。単純な先生としては、お世辞とわかっていても、そんなふうに言われると、うれしいものである。

 午後の福祉に関するゼミは、先週に引き続き、今学期のレポートをどんなテーマで書くかを発表してもらった。ひとわたり、全員の発表が終わったが、みんな意欲的なテーマである。どんなレポートができてくるのか、今から楽しみである。


2011.7.18(月)

日本中が湧いた快挙    

 朝4時から、女子ワールドカップサッカー、なでしこジャパン対アメリカの決勝戦をテレビ観戦した。120分でも決着がつかず、PK戦に持ち込まれた。PK戦を前にして円陣を組んだ時に、佐々木則夫監督が、実にいい笑顔を選手に見せていたのが、とても印象に残った。負けて元々といったリラックスした姿勢で臨めるとすれば、PK戦で勝てるのではないか。その予感が的中した。なでしこジャパンのキーパー、海堀あゆみがアメリカのシュートを2本も止めて、日本が優勝。アメリカ相手では、とても無理だろうと思っていたのに、この快挙である。勝った瞬間からしばらくは、涙が止まらなかった。アメリカ選手と並ぶと、大人と子どもほど体格が違う。これまで24戦して、一度も勝ったことがないアメリカ、世界ランキング1位のチームを破るとは、大変なことをやってくれた。

 今日のテレビのニュース、ワイドショーは、なでしこジャパンの優勝一色である。日本中が沸き立っている。与党も野党も、原発推進派も反対派も、男も女も、スポーツ好きもスポーツ嫌いも、この快挙には、素直に大喜びである。被災地の人たちも、どれだけ勇気を得たことか。よかった、よかった。


2011.7.17(日)

シナリオなき独り芝居    

 日曜日の朝なので、離床がいつもより遅い。7時過ぎに散歩にでかけたが、既にして陽射しは強く、気温も高い。そんな中を12分+12分の日蔭選びコースの散歩。途中、何人かジョギングしている人とすれちがったり、追い抜かれたり。ちょっと前までは、あれより速いペースでジョギングしていたんだなあと、不思議な思いをしながら歩いていた。漠然とした「工程表」では、今頃はジョギングに移行して、来年は10キロレースに挑戦ということになっていたが、とてもとても、そうはいかない。今は、工程表を作る気もない。暑さのせいで、散歩の中止がしょっちゅうある中で、次の段階への移行は考えにくい。

 福島第一原発の事故処理のほうは、当初の工程表を変更することなく進んでいる。汚染水処理システムは、何度も停止するなどのトラブルに見舞われているが、それでも、工程表には変更なし。ほんとに大丈夫かなという気はするが、現場ががんばっているのだから、ここは、信頼することにしよう。工程表なしで動いているのは、菅首相の辞任までのスケジュール。シナリオなしの菅首相の独り芝居を、観客としては黙って見守るしかないという状態である。

 明日の未明に、女子サッカーのワールドカップ決勝で、なでしこジャパンがアメリカと戦う。朝の4時から(放送は3時から)の試合だが、日本中がNHK・BS1の実況中継に釘付けになるだろう。明日は休日だから、夜更かしにしても、超早起きにしても、気にならない。これこそシナリオなきドラマである。見ごたえはあるはず。楽しみである。

 もう一つ楽しみなテレビ番組が、20日(水)夜10時のNHK総合のヒューマンドキュメンタリー、「あなたが心の道しるべ。小山内美智子と浅野史郎」。5月1日放送の「二人のチャレンジド」を制作した大野兼司さんの作品である。


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