浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記   7月第5週分         

2011.7.31(日)

政権担当の自覚はどこに?    

 7月最後の散歩は、午後5時ごろから。17分+16分43秒。一昨日に続き、岸根公園へ。最短コースで行ったので、公園内で10分過ごすことができた。日曜日だけあって、途中で、10人以上のジョガーとすれ違う。以前、ほぼ毎朝ジョギングしている頃は、走りながら、いろいろなことを考えていた。知事時代には、「今日の記者会見では、こんなことを言ってやろう」とか、大学で教えるようになってからの走りでは、「授業でこういう話をしよう」といったことを、あれこれ考えていた。常に、前向きのことを考えるというのが、ジョギング中の思考の特徴である。今の散歩では、そこまではいかない。そもそも、考えなければならない機会が、激減しているのも事実である。

 29日(金)に政府の復興対策本部が決定した東日本大震災の復興基本方針では、5年間で19兆円を投入することを決めたが、増税の規模、実施期間は明記しなかった。増税部分は、決定を先送りしたということだが、財源部分の根幹を決めない「基本方針」は、方針でもなんでもない。増税に言及すると、国民の反発が怖いということで決定できなかったようだが、そんな及び腰の基本方針しか出せないのなら、政権を担う資格がない。政権を担うということは、国民に痛みを与える政策も、断固として責任を持って実行するということにあるのだから。

 民主党代表選に出馬をうわさされている議員の中にも、「増税反対派」がいるらしいが、増税反対ではなく、増税表明反対ではないのか。復興対策に限らず、今後は、増税は避けられない。増税反対というなら、それに代わる財源を明記して、代表選挙に臨むべきである。代表選でも「増税隠し」をするとなると、誰が次の民主党代表=総理大臣になっても、責任ある政権の運営は期待できない。今から、そんなことが見越せるというのは、情けない、哀しい、空しい。まあ、百歩譲って、増税でも増税反対でもいいことにしよう。しかし、今度代表になった人は、間髪を入れず、自分の主張する政策について、党内を説得し、一つの方向性を出すべきである。そして、そのことを、国民に向かって、理を尽くして説明し、理解を求めるべきである。政権党であるというのは、そういうものである。


2011.7.30(土)

タイミングが大事    

 朝は雨降り。新潟県や福島県では、記録的な大雨で被害も出ている。横浜はそれほどの降りではなかったが、散歩は、当然、中止。昼間には晴れ間も見えたが、夕方、散歩に出ようとしたところで、激しく雨が降ってきた。タイミングを逃すと、散歩ができなくなる。

 タイミングと言えば、辞任のタイミング。菅首相の辞任のタイミングは、とっくに過ぎている。今は、消化試合のようなもので、観客は白けきっている。辞任のタイミングを探っているのが、海江田万里経済産業大臣。なにごとにも、Right Time、Right Placeというのがある。その反対が、タイミング逃し、場違いである。海江田氏は、辞任のRight Timeを逃してしまった。

 タイミングが悪いといえば、原子力安全・保安院である。中部電力に対する「やらせ」質問要請に続いて、四国電力伊方原発についてのシンポジウムへの動員要請を、四国電力に対して行っていたことが発覚してしまった。中立であるべき規制官庁が、こういうことをやるのは、九州電力の「やらせメール」より、筋が悪い。国民からの信頼感は、がた落ちである。昨日書いたことの続きであるが、原発再稼動に自治体や住民が同意するためには、安全性の保証だけでは足りない。安心感が得られるかどうかが、より高いハードルとして存在する。原子力安全に関わっている組織への信頼が揺らいでいる中で、保安院が「この原発は安全です」と請け負っても、住民に安心感を与えることにはならない。つまり、再稼動は、できないということになりはしまいか。「再稼動できる原発ゼロ」というシナリオが、まずます現実味を帯びてくる。


2011.7.30(土)

タイミングが大事    

 朝は雨降り。新潟県や福島県では、記録的な大雨で被害も出ている。横浜はそれほどの降りではなかったが、散歩は、当然、中止。昼間には晴れ間も見えたが、夕方、散歩に出ようとしたところで、激しく雨が降ってきた。タイミングを逃すと、散歩ができなくなる。

 タイミングと言えば、辞任のタイミング。菅首相の辞任のタイミングは、とっくに過ぎている。今は、消化試合のようなもので、観客は白けきっている。辞任のタイミングを探っているのが、海江田万里経済産業大臣。なにごとにも、Right Time、Right Placeというのがある。その反対が、タイミング逃し、場違いである。海江田氏は、辞任のRight Timeを逃してしまった。

 タイミングが悪いといえば、原子力安全・保安院である。中部電力に対する「やらせ」質問要請に続いて、四国電力伊方原発についてのシンポジウムへの動員要請を、四国電力に対して行っていたことが発覚してしまった。中立であるべき規制官庁が、こういうことをやるのは、九州電力の「やらせメール」より、筋が悪い。国民からの信頼感は、がた落ちである。昨日書いたことの続きであるが、原発再稼動に自治体や住民が同意するためには、安全性の保証だけでは足りない。安心感が得られるかどうかが、より高いハードルとして存在する。原子力安全に関わっている組織への信頼が揺らいでいる中で、保安院が「この原発は安全です」と請け負っても、住民に安心感を与えることにはならない。つまり、再稼動は、できないということになりはしまいか。「再稼動できる原発ゼロ」というシナリオが、まずます現実味を帯びてくる。


2011.7.29(金)

原発再稼動は簡単ではない   

 朝のうち、雨模様、夕方になったら、陽も出てきた。今日の散歩は、陽が出てからの夕方に挙行したが、結構蒸し暑かった。いつものコースの最後のところで、岸根公園に足をのばした。緑が多くて、結構な散歩適地である。難は、公園の入り口まで15分もかかること。今日は、17分+17分だから、公園内は2分+2分しかいられなかった。

 3.11以来、再稼動第1号となる原発はどこだろう。玄海原発になるはずが、菅首相の唐突なストレステスト提案と九州電力の「やらせメール」のおかげで、再稼動に同意寸前だった古川康佐賀県知事と岸本英雄玄海町長に、「ちょっと待って」と言わせてしまった。今や、原発立地自治体のどの首長も、再稼動には容易に同意しない雰囲気である。同意しようとしても、子どもを持つ若い母親が「絶対ノー」と団体で押し寄せてきたら、「ウン」とはいいにくい。再稼動を待つすべての原発の「普天間基地問題化」は、避けられない。「普天間基地問題化」というのは、大前研一さんが、言っていたのを借りている。政府が言ってきても、電力供給が逼迫すると日本経済にとって危機になるとおどかされても、「ダメなものは、ダメ」という地域住民たちをどうやって説得するか。普天間移転以上に、説得はむずかしいかもしれない。

 「来年、稼動している原発がゼロになったら、20万人の失業者が出る」という予測を日本エネルギー経済研究所が発表した。「そうなったら困る。だから原発再稼動を」と持っていきたいのかもしれないが、むしろ、「来年春には、日本で稼動している原発ゼロ」というシナリオが現実になる可能性のほうが高い。それを前提として、「失業者20万人」という事態にどう対処すべきか、それを今から必死で考えて、対応策を練ることのほうが、現実的対応というものではないだろうか。こんなふうなことを、今朝の「生島ヒロシのおはよう一直線」でしゃべったのだが、分かってもらえないんだろうなあ。


2011.7.28(木)

中国高速鉄道事故における危機管理    

 今日も一日、試験の採点作業。夕方までに、採点は全部終えた。あとは、得点に基づいて評価をするだけ。これは機械的な作業だから、すぐ終わる。これが終われば、福祉研究会のレポートの評価が待っている。まだ一人分しか届いていない。8月2日が提出期限だから、その直前にどっと届くのだろう。評価作業は、むしろ楽しみである。どんなレポートを書いてくるのだろう。

 中国の高速鉄道事故で、被害者の家族が中国政府への抗議行動を展開している。現地の新聞などは、事故そのものに加えて、事故処理について、政府に批判的な報道をしている。抗議行動に対して、公安は傍観するのみで、これまでのデモ対応とは違って、手出しをしない。

 事故を起こすのは、一次災害、その後の事故処理のまずさ、隠蔽工作の露呈は、二次災害である。危機管理においては、この二次災害をいかに防ぐかがポイントなのだが、中国政府は、この場面で決定的なまちがいを犯している。国民の大多数は、政府の言っていることを信用しない。これが被害者への同情の気持ちと一体化して、政府への非難の声となって現出している。今までなら、中国政府は国民からの攻撃を食い止めることに成功してきた。今回は、様相が違う。

 そんな中で、共産党中央宣伝部が25日、国内の各メディアに対し、高速鉄道事故について、「政府の懸命な人命救助や市民による自発的な献血活動など、プラス面のニュースを中心に報道するように」という趣旨の通達を出した。そういう通達を出したこと自体が、洩れてしまっている。中国国内のメディアは、これまでとは違う。「はい、そうですか」と共産党の指示を聞くことはない。ここまで来ると、三次災害の兆しである。


2011.7.27(水)

岩隈、復帰初戦で白星、よかったね    

 途中で野暮用や、メールへの返信などをしながらも、朝からずっと、慶応大学SFCの「政策協働論」の試験の採点をしていた。答案を見るのは、楽しみではあるのだが、量が多いので、さすがにちょっとしんどくなる。学生の労作であるので、あだやおろそかには扱えない。心を込めて、答案に向かい合っている。夕方になって、散歩に出ることを思い出し、採点作業をやめて、15分+15分歩いた。陽は出ていないし、風はあるのだが、湿度が高い。少しばかり、汗をかいて終了。少しは、身体を動かさないといけない。

 夜は、仕事をしない。楽天対ソフトバンク戦をスカパーで観戦。長く戦列を離れていた岩隈投手が、やっと復帰してきた。7回まで、1点に抑えて交代。中継ぎ陣が頼りないし、貧打の楽天は、これまで、こういう場面では、たいてい逆転されて、先発投手の勝ち星をつぶしてきた。今日は違った。青山がつなぎ、ラズナーで締めた。9回には、聖沢、高須のヒットで待望の追加点まで取った。岩隈は、復帰初戦で勝ち星。勢いがつくだろう。これからが、楽天の反撃の時期を迎える。

 ということで、気分よく就寝。明日もがんばろう。


2011.7.26(火)

春学期を終えて   

 慶応大学SFCにて、今学期最後の授業へ。「政策協働論」の授業は、定期試験に充ててある。いつもは130人がせいぜいの教室に、170人ほどが試験を受けている。82分の制限時間に書き上げるのは、結構大変な内容の記述問題を出している。学生諸君は、意外とスイスイ書き進んでいる。30分前に書き終えて、平然としている学生もいた。170人が、一心に答案に向かっている風景は、なかなかに見ごたえがある。こういう雰囲気は、たまらなく好きである。あとは、この答案を採点・評価する仕事が待っている。答案を見るのが、楽しみである。どんな答案を書き上げたのだろう。

 午後からの福祉の研究会は、今学期のまとめのようなことを、私から。みっちり1時間以上は語り続けた。学生には、今学期を振り返っての、この研究会を履修した感想を書いてもらった。総じて、みなさん満足の様子。人生観が変わったというような記述も多い。障害者を見る目だけでなく、社会を見る目も変わったようだ。まさに、それが、この研究会をやっている目的なので、満足の笑みを浮かべながら、学生の記述を読んでいた。これで今学期が終わる。達成感もあるが、これで終わってしまうのが、寂しくもある。ともあれ、春学期の授業を充実感とともに勤め上げられたことには、心から満足している。真剣に向き合ってくれた学生諸君に、改めて、感謝したい。ありがとう。


2011.7.25(月)

がんばる男性なら、ここにいる   

 朝、6時半過ぎからの散歩17分+17分。これから気温がどんどん上げっていくのを予想させる陽の光である。適度に汗をかいて散歩を終了。それなりに気持ちいい。

 フランスにあるエビアンGCで開催された米国女子ツアーの「エビアンマスターズ」で、宮里藍選手が優勝。女子サッカーのワールドカップで優勝したなでしこジャパンに国民栄誉賞が送られる。日本の女子は、世界のスポーツで健闘している。頼もしいことであり、勇気をもらう。男子も、もっと活躍できないものか。ちょっと、もどかしい。がんばる男性が、今の日本にはいないのかと思っていたら、ここにいた。

 第二次補正予算が成立したが、参議院での予算案への賛成討論で、民主党の小見山幸治参議院議員が、菅首相の即刻退陣を求める演説をした。予算案に賛成討論をする与党議員が、首相の退陣を求める演説をするとは、ありえない出来事である。こんな不思議な出来事も、何回も繰り返されると、あまり驚かなくなるのが不思議。私は、十分に驚いている。これでも辞めない菅首相には、あきれている。こういうがんばりは、時局柄、決して求められていないのだが。


2011.7.24(日)

正しい日曜の過ごし方   

 日曜日の散歩はいつもと違う。朝の時間帯、同好の士というより、ジョギングする人たちと多くすれ違い、追い抜かれる。私の場合、散歩の途中にジョギングを入れるのは封印して、しばらくは歩きだけにすることにした。今朝は、歩きだけで、16分+16分02秒。およそ時速5キロのペースだが、この程度の運動強度では、カロリーの消化はあっても、脂肪が燃えて筋肉に変わることにはならない。それはそれでいい。ともかく、朝の散歩は、それだけで、十分に気持ちがいいのだから。

 来週は、慶応大学SFCの授業が、今学期の最終日を迎える。その後は、試験の採点・評価とゼミのレポートの評価の作業が待っている。評価表の提出締め切りは、8月8日(月)9:00なので、どんなことがあっても、評価を適時に終わらせなければならない。ということで、締め切りまでは、だいぶ日数があるのだが、連載している2本の原稿を今日いっぺんで仕上げてしまった。「ガバナンス」の「アサノ・ネクスト」には「原発事故と民主主義」、「年金時代」の「新言語学序説」には「耳について」を書いた。日曜日の仕事としては、上出来である。これで、試験とレポートの評価に専念できる。

 中国で国威をかけた高速鉄道で脱線の大事故、ノルウエーでは、銃・爆弾による連続テロ。いずれも、多数の人命が失われた。対岸の火事ではない。この日本でも、起こりうることである。想定外では済まされない。


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