浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  9月第5週分         

2011.9.30(金)

厚生省同期会

 厚生省の同期会に出席。昭和45年入省の16名。一人が48歳で亡くなり、3人が入省後すぐに、弁護士に転進。逆に、他省から出向してきた人を何人かを「同期」として迎えている。今回は、大武健一郎さん(大蔵省から出向。元国税庁長官)が出席。変り種は、佐藤雄平福島県知事。今回の同期会の幹事も務めてくれた真野章君が渡部恒三厚生大臣の事務方の秘書官を務めている時に、政務秘書官をしていたのが雄平さん。年齢も一緒ということで、「特別会員」扱いである。今回は、大震災・原発事故対応で福島を離れることができないということで、欠席。

 私は、闘病中は同期会に出られなかったので、今回は久しぶりの出席である。闘病中は、同期の面々にいろいろな形で支援してもらった。やっと出席できるようになったので、皆さんへの感謝の気持ちを伝えたかった。妻光子も同道。妻からも、同期のみんなに感謝のことばがあった。1時間で辞去するつもりが、ついつい話に夢中になって、遅くなってしまった。2年間のブランクが、あっという間になくなってしまうような会合だった。かれこれ40年以上の付き合いだから、時間を超越してしまうのは、無理もない。楽しいひとときであった。

 


2011.9.29(木)

信頼する医師は    

 二週間に一回の外来受診で、築地の国立がん研究センター中央病院へ。検査結果など、異常なし。自覚症状としての顔、頭、全身の発疹は、皮膚科での診察では、GVHDとは確定できないものの、対応としては、ステロイド系の軟膏を塗ることが適当と判断されて、強弱とりまぜて、4種類の軟膏を処方してもらった。このところ1週間、顔の発疹には何もつけていなかったのだが、今日からアルメタ軟膏を再開する。それが薬効を示してくれることを願う。顔の赤みがとれないし、かゆかゆ症状も限界に近い。田野崎医師のところでは、発疹が出ているのは、ステロイド剤のセレスタミンの服用を休んでいたせいもあるかもしれないとの説明があった。セレスタミンの服用を今晩から再開すれば、発疹が好転することが期待できる。

 昨日、ある週刊誌から、「あなたの信頼する主治医は誰ですか」という取材の申し入れがあった。取材者の都合と雑誌の締め切りから、今日しか取材日がない。取材場所は、がんセンターのロビー。田野崎医師の診察を終えて5分後に取材となった。「私の信頼する医師は、ここの病院の田野崎医師です」という話をすることになったのも、偶然のなせるわざだろう。それにしても、田野崎医師が主治医になってくださったことは、何たる幸運だろうと、取材を受けながら、改めて実感した。


2011.9.28(水)

復興増税    

 東日本大震災の復興を中心とした第3次補正予算案の規模が、おおむね12兆円ということで固まったようであるが、問題は復興財源をどうするかということである。増税規模は、9兆2000億円に圧縮する。税外収入として、5兆円を見込んでいたが、JT株の全額売却で得られる2兆円を上乗せして、5兆円から7兆円に増やすことによって、増税規模を「圧縮」できるらしい。

 増税の規模もさることながら、増税の時期が、どうも納得いかない。民主党内の「増税反対派」への配慮もあってか、時期が後送りされている。所得税の4%上乗せを2013年1月から10年間、個人住民税均等割の引き上げ(年4000円→4500円)を2014年6月から5年間という方向で、なんとか政府・民主党案としてまとまった。なぜ、すぐやらないのか。「復興増税」ということであれば、まさに全国民の「分かち合い」である。国民の大多数は、みんなで負担するのは当然と受け止めている。住民税の増税が3年後では、機運がしぼんでしまう。所得税の増税が10年間も続くうちに、大震災の記憶は薄くなってしまう。やるなら、今、である。

 「今、増税したら、景気の足を引っ張る」といって、民主党内の「増税反対派」は論陣を張ったようだが、本音は、選挙が怖いのではないか。本来、「増税アレルギー」というのは、国民の間にあるものだが、実態は、民主党内の「選挙怖い族」の間に見られる。増税なしで、復興対策を乗り越えられるなら、その対案を出すべきである。そんな手品は使えないということは、賢い有権者たる国民は、十分わかっていると思うよ。


2011.9.27(火)

授業を終えて    

 午前中は、昨日の授業で提出された154人分の「選抜用紙」の読み込みをした。「地方自治論」の授業を履修する理由を書いてもらうのだが、ほとんどが「地方自治について無知なので、この授業で学びたい」といった趣旨である。それとは違って、地方自治になぜ興味と関心を持つようになったのかの契機を述べたうえで、「履修したい」というものが8人いた。その名前は、次回のレジュメに「秀逸な記述のもの」としてリストアップする。散見する誤字は15人。「浅野四郎・史朗・吏郎」、「地方自地論」(2名)、「政事家」といった間違いには絶句。授業の冒頭で、「これはよく間違えるから、注意しろ」と言ったのにもかかわらず、「講議→講義」が3名もいた。先学期の「政策協働論」の授業と同様に、次回のレジュメに、(苗字はイニシャルにして)名前を紹介することとする。こういう誤字があるから、「小さな親切、大きなお世話」と言われようとも、間違い探しは続けないといけない。

 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われた衆院議員・石川知裕被告(38)ら元秘書3人に対して、昨日、東京地裁は有罪の判決をした。判決理由の中では、小沢事務所がゼネコンと癒着して、裏金の授受もあったことを指摘している。供述調書を証拠として認めない一方で、状況証拠を集めて、裏金授受を「推認」するという判決は、「予想外」(小沢氏のコメント)のところはある。秘書が有罪とされたからというのではなく、裏金の授受まで指摘されている判決が出たことで、小沢氏は政治的に責任をとるべきである。新しい政治を標榜する一方で、政治資金集めの手法、選挙の方法は、あまりにも古典的な政治手法である。「古典的」というよりは、不正そのものである政治資金集めが温存されてはならない。


2011.9.26(月)

秋学期スタート    

 慶応大学SFCの秋学期の最初の授業の日。「地方自治論」の第一回の授業では、基礎的な知識の解説に重点を置いて講義した。「最初の3回の授業は面白くないよ。面白くなるのは4回目からだからね」と始めたが、学生の反応では、「結構面白かった」らしい。「睡眠学生指定席」を設けているのに、前のほうの席で机に突っ伏して寝ている学生がいたので、「寝るんだったら、指定席で寝なさい。それがいやなら、がんばって起きてなさい」と注意した。私語を続けている二人には、「大事な話なら、教室の外でやれ」と一喝。パソコンを開いていると、ついつい、動画見たり、ゲームやってしまうので、「閉じてなさい」と申し渡した。次の授業からは、そういう学生をみつけたら、SAがイエローカードを配ろうというのは、SA(student assistant)の神野翔君のアイディア。

 その神野君ともう一人のSAの井田晟子さん、それに卒業生の峯岸宗弘さんを昼食にお誘いした。福岡にいる井田さんのおかあさんは「浅野先生のファン」だって。峯岸さんは、2006年の私の最初の授業でSAを務めて以来、ずっと助けてくれた。私の闘病中は、「先生が復帰するまでは」と禁酒を貫いた。卒業して就職してからも、節目の授業には、仕事を休んで駆けつける。SFCには、いい学生が多いが、そんな学生とこうやって関わっていられるのは、うれしいことである。

 4時限の「福祉研究会」には、先学期の履修者が半分抜けて、新規履修者が13人もやってきた。「君たちの人生観、人間観が変わるよ」と「予言」して授業を始めるのは、先学期と同じ。今学期も、たくさんの魅力的なゲストを予定している。私自身も、楽しみにしている今学期の研究会である。


2011.9.25(日)

のんびり日曜日    

 明日から、慶応大学SFCでの秋学期の授業が始まる。明日の授業で使うレジュメを再確認したり、履修希望者の名簿を眺めたりして過ごした。どんな学生が授業にやってくるのか、先学期の学生たちのように、熱心だといいなと願う。履修希望者の人数にしては大き過ぎる教室を用意されているのが、ちょっと気がかり。講師(私)も、学生も、教室が広すぎると、集中力が散漫になってしまう。できたら、教室を換えてもらおう。

 毎日が日曜日の生活だったが、授業が始まれば、少なくとも、月曜日は勤務日となる。生活のリズム、わずかなリズム。今日は、ほんものの日曜日。リズムということでは、今日は「のんびり日」にあたる。そのとおり、のんびりして過ごした。

 日曜日は、スポーツの話題が多い。大相撲では、白鵬が13勝2敗で優勝。全勝が当たり前の白鵬だから、13勝での優勝は物足らない。それだけ、今までの白鵬が強すぎたということ。20回目の優勝のほうを褒め称えたい。そして、海外のニュースでは、マラソンの世界新記録。本来、マラソンはコースの難易度や天候の違いがあるので、「世界新記録」という概念はない。言うなら、「世界最高記録」だが、その世界最高記録が、ベルリンマラソンでケニアのパトリック・マカウによって達成された。ベルリンマラソンは、記録が出やすいコースではあるが、それにしても、驚異的な記録である。日本人男子は、オリンピックでは、大人と子どもの違いを見せつけられるだろう。ケニア、エチオピアあたりの選手は、そもそも、「モノが違う」。どんなにがんばっても、日本人が勝つのは無理だということを、みせつけられた。


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