浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 10月第4週分          

2011.10.22(土)

2年半ぶりの「ウエークアップ」出演    

 読売テレビの「「ウエークアップ」に出演。最後に出演したのが、2009年5月9日(土)だから、2年半ぶりである。その次の出演予定は6月6日(土)だったが、これをドタキャンした。「突然ですが、来週は出演できません。ATL(成人T細胞白血病)を発症して、入院治療に入ることになりました」と「ウエークアップ」のプロデューサーの結城豊弘さんに東大医科学研究所付属病院から電話したら、結城さんは驚きでしばらく声が出なかった。

 朝7時20分、局入り。結城さんが迎えてくださった。私とすれば、2年半前の電話での「告白」があるので、ことさら、感激の対面であった。スタジオに入って、キャスターの辛坊治郎さん、虎谷温子さん、五十嵐竜馬さん、コメンテーターの岩田公雄さんと2年半ぶりにお会いした。みんなちっとも変わっていない。2年半の月日があっという間に戻ってきた。

 感激に浸っている間もなく、番組開始。席につくと、右隣に、桝添要一さん、桝添さんとも2年半ぶり。左隣は初対面の東海由紀子さん。ニュースは、やはり、橋下大阪府知事に関すること。早口で、いろいろコメントをさせてもらった。続いて、年金問題。もっぱら、ゲストの大塚耕平前厚労副大臣の出番だが、厚生省年金局勤務経験もあるので、私も少しだけコメントさせてもらった。司会の辛坊さんの問題点の説明が的確だし、その後の出演者の捌きも見事。この番組を私が好きな理由は、辛坊さんのすばらしい司会ぶりである。その番組に、こうして復帰できたことは、このうえない喜びである。

 「大阪地方は大雨」の予想をくつがえして、行きも帰りもまったく雨に会わずに、妻と一緒の2年半ぶりの大阪一泊二日。富士山の雄姿は見られなかったが、2年半ぶりの東海道新幹線での「旅」も楽しめたし、病後最高の遠出としては、とてもよかった。


2011.10.21(金)

2年半ぶりの大阪    

 大阪の朝日放送の夕方のニュース番組「キャスト」(関西ローカル)に生出演。一昨日、電話で出演依頼があった。普通ならお断りするところだったが、出演日が21日(金)ということで、翌22日(土)の朝に読売テレビの「ウエークアップ」に出演が決まっていて、前日に大阪入りするので、お受けした。2年半ぶりの新大阪までの新幹線、2年半ぶりの大阪、すべてがなつかしい。

 朝日放送に着いて、16:50から始まる「キャスト」に出演。今日のニュースの目玉は、橋下徹大阪府知事が今日辞表を提出すること。これについてコメントをして、30分ぐらいのところで辞去した。ご一緒したコメンテーターは、フリーライターの富阪總さん、芸能ジャーナリストの井上公造さん。井上さんとは、読売テレビの「ミヤネヤ」で何度かご一緒した。なんと、私の坐っていた席に、昨日は郷原信郎さんが坐っていたとのこと。その郷原さんに府知事選への民主党からの出馬要請があり、番組中につながった電話では、「検討する」と答えていた。「自分の弁護士事務所の整理をつけなくてはならない」と言っていたが、「それさえクリアできれば」ということだろうから、出馬には前向き姿勢である。

 今回は、妻が同行してくれた。泊まりは、大阪城近くのニューオータニ。読売テレビの「ウエークアップ」に出演する前日には、ここに泊まることとされている。旅客係の女性に部屋に案内されたが、ジョギングシューズが保管されていたのを見て、思わず「すごい、ありがとう」と声をかけてしまった。このホテルから、朝、ジョギングに出かけるのが多かったので、ジョギングシューズをホテルに保管してもらっていたのである。2年半ぶりに対面するシューズ、まだジョギングできるまでの身体ではないが、よくぞ保管していてくださった、覚えていてくださったと、感激、感激である。


2011.10.20(木)

皇后陛下が喜寿をお迎え    

 気温の変化が激しい。体調管理がむずかしい時期である。私も風邪気味で、今日は散歩も休み。家でひたすら休養と保温に専心した。

 美智子皇后陛下が、77歳の誕生日を迎えられた。喜寿である。若いころから、輝くような美しさと知性あふれる上品な振る舞いが印象的であった。国民の間の人気はとても高く、みんながあこがれ、尊敬の的でもあった。私も知事時代に、何度か直接お会いする機会があったが、やさしさがにじみ出る人柄に、心から敬服した。最近は、大震災の被災地を訪問される姿が頻繁に見られる。昭和天皇が、戦後の混乱が続く各地を訪問されて、国民を勇気づけたことに見られるように、皇室は、災害などで困っている国民を力づけることが大きな役割であることを、美智子皇后陛下は強く意識している。だからこそ、体調不良を抱えながら、被災地訪問を続けていらっしゃる。その皇后陛下が喜寿をお迎えになったこと、心からお慶び申し上げたい。


2011.10.19(水)

ペナントレースが終わる    

 季節は移る  6時半過ぎに散歩に出たが、かなり涼しい。「寒い」というにはまだ距離があるが、そういう日も近いと思わせる涼しさである。季節はじっかり移ろいいく。散歩の際の寒さ対策を考えるべき時期も、もうすぐだろう。今朝は、岸根公園の中まで入ったところまで足を延ばした。15分+15分09秒。体調が、とてもいい。調子に乗りすぎてはいけないが、うれしいことである。

 午後から、朝日新聞の小野智美記者が来訪。9月から、石巻駐在ということだが、女川町、石巻市雄勝など、大震災で大きな被害を受けたところを取材して、かなりショックを受けたという。女川町には原発3基が休止中だし、来月には町長選挙がある。そういった話題を振りながら、私から上手に話を引き出している感じ。特に、具体的な取材ではないようなので、私も気楽に対応した。こういう時間は、嫌いではない。

 プロ野球は、セリーグでの中日の優勝が決まり、パリーグのソフトバンクとともに、今シーズンの両リーグでのペナント・レースの決着がついた。ペナントを勝ち取った両チームが、日本シリーズに出場できるかどうかは、まだわからない。それが、ちょっと変。クライマックス・シリーズというのも、面白いが、去年のように、リーグ3位のロッテが日本一になるというのも、なんだか変。そんな変な結果を引きずったせいではないだろうが、今シーズンのロッテは最下位。やっぱり変だ。わが楽天は、クライマックス・シリーズにも出られない成績である。成績はともかく、楽天の試合が、来年3月末まで見られなくなるのが寂しい。


2011.10.18(火)

「おはよう一直線」に出演    

 朝5時から、TBSラジオ「おはよう定食」、引き続き、全国ネットの「おはよう一直線」に出演。これまでも、6時過ぎの時間帯に電話で出演することはあった。入院中にも、何度か電話出演したものである。今回は、2年半ぶりのTBSのラジオスタジオでの出演である。パーソナリティを務める生島ヒロシさんとスタジオで対面すると、なつかしさがこみあげてきた。

 今週は、毎日3名さまに賞品(「柿豚」=柿を食べて育った豚肉)が当たる企画がある。その日のキーワードを入れてメールで応募すると、6時25分には当選者が決まる。今日のキーワードは、私が久しぶりに番組に復帰したこともあり、「ただいま」とさせてもらった。応募は、昨日の1250通を超える1650通もあった。思わず、「大武健一郎さんに勝った!」と声を挙げてしまった。元国税庁長官の大武さんが昨日のゲスト。彼は厚生省の同期会の準メンバーである。こんな子どもっぽい反応も生島さんに喜んでもらいながら、番組を終えた。ラジオはいいな、スタジオ出演は楽しいなと、改めて実感した。自宅に戻ったら、番組のヘビイ・リスナーである岩手県の村田知己さんから、早速、「面白かったよ」とのメールが入っていた。

 今日の散歩は、またも夕方になった。暮れ始めるところで出発し、暗くなりきる前に戻ってくる12分+11分50秒。うっすらと夕焼けが残る空を見上げつつ、歩き終えた。吹く風はあくまで爽やか。散歩には、とてもいい季節である。


2011.10.17(月)

大学に電車通勤    

 慶応大学SFCでの授業でキャンパスへ。先週の月曜日は、体育の日でお休みだったから、2週間ぶりの授業である。今までは、妻が同行して、タクシー通勤だったが、今日からは一人で電車通勤である。自立への一歩というのは、こういうことでもある。なんとなく、うれしくもあり、晴れがましくもある。

 授業のほうは、「地方自治論」で今回もinteractiveな時間を少し取った。前回に続き、「橋下大阪府知事の教育改革は、教育維新か、暴挙か」を論点としての、意見交換である。その分、地方自治の基本的なところである自治体の財政についての講義が急ぎ足になってしまった。地方交付税については、いろいろ工夫して説明するのだが、学生の理解は、いまいちのようである。

 午後からの福祉研究会には、FVPの大塚由紀子社長にゲストスピーカーとして来ていただいた。障害者問題にはまったく門外漢だった彼女が、ヤマト運輸の小倉昌男元社長との出会いから、障害者の就労問題に目を開かされ、ついには、この問題についてのコンサルティングや研修を引き受ける株式会社を始めるに至った。今では、会社は黒字を出しているとの説明に、学生は目を丸くしていた。大塚さんの紹介で、障害者が実際に就労している現場を見学に行く学生が、今日の授業を終えるまでに何人か決まった。その何人かの学生の人生が、これで変わる可能性だってあるはず。大塚さんが、小倉さんと会って、人生が変わったように、なにごとも出会いが大事である。そんな予感もするし、手応えも感じるから、この研究会は面白い。


2011.10.16(日)

アメリカのデモクラシー    

 夜半の雨は上がったが、朝方は、いつまた降ってくるかわからない雲行きだった。朝の散歩は断念して、夕方涼しくなってからに切り替えた。日中は、真夏ほどではないが、暑さが戻ってきて、歩くには最適ではない。今日は12分+11分41秒の歩き。暮れなずむ空の下、風に吹かれながら町を歩くのも、新鮮な気分である。

 アメリカでは、ニューヨークに始まったデモが、他都市にも広がっている。比較的おだやかなデモではあり、参加者に切羽詰ったところは見られず、「どこまで本気なのか」と思えるほどである。反戦とか、原発反対といったような、はっきりした争点が見えないデモであることも、緊迫感に欠ける要因かもしれない。"I am the 99%"というプラカードが目立つ。「現在のアメリカでは、人口の1%が、アメリカの富の40%を独占している。われら、残りの99%のひどい暮らしを何とかせよ」という意味だろう。ニューヨークの金融の中心、ウォール街からデモが始まったことに象徴されるように、金融に関わる強欲な人たちのマネーゲームで、1%の人たちに、巨大な富が集中しているのは、不条理だという思いが根っこにある。

 今日、「アメリカのデモクラシー第一巻上下」アレクシス・ド・トクヴィル著(岩波文庫)を読み終えたところである。フランスの政治学者トクヴィルが、1831年に9ヶ月かけて、建国して間もないアメリカを精力的に見聞して得た結論が、アメリカ合衆国でこそ、今まで世界のどこでも実現できなかったようなデモクラシー(民主政)が確立され、民主共和制は、今後も揺らぐことなく発展していくだろうということであった。なぜアメリカで、徹底したデモクラシーが確立したのかを、歴史的、人種的、文化的、地理的必然性として、透徹した目で解き明かし、アメリカならではのデモクラシーの「仕掛け」を解説してみせる技量には、目を見張らされる。政治学の最良の教科書であり、政治学の古典と呼ばれるゆえんである。

 トクヴィルが170年近く前に看破した、アメリカにおけるデモクラシーの必然性が、今のアメリカでは揺らいでいるのであろうか。多数が支配する政治体制、自由と平等こそ、デモクラシーの基本であるが、その国において、99%の人たちが格差に不満を持つ(とデモでは叫んでいるが、実際には、現状に不満を持たないsilent majorityは存在する)というのは、奇異である。平等は機会の平等であって、結果の平等を保障するものではない。そうはいっても、ごく一部の人たちが、異常とも思える報酬を得ている一方で、若者の間では20%の失業率を抱えているアメリカで、デモクラシーは正しく機能しているのだろうか。そういう疑問を持つのは、怒れる若者たちだけではないだろう。


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