浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 11月第4&5週分          

2011.11.30(水)

復興増税は25年間!  

 いい天気である。日も差して暖かい。ゆっくり歩いても、汗ばむほど。記録的な暖かさだった今年の11月を締めくくる好天気である。その中を、のんびり、ゆったりとした歩きで39分。いつもより時間がかかったのは、復路に回り道で、新規開店のスーパーマーケットを見に行ったから。「食品館あおば」が、近所にできて、明日9時開店である。すぐ隣に「ピーコック」が営業しているが、強力なライバル店の出現で、どうなるか。消費者とすれば、買い物の選択幅が広がるのだから、悪いことではない。町のかたちが、変わるかもしれない。

 東日本大震災の復興財源を賄う復興財源確保法案が、今日の参議院本会議で可決成立した。財源の中身は、所得税の2.1%の定率増税が2013年1月から25年間というのが中心である。2013年から25年間といえば、私は90歳。その年齢になれば、大震災があったことも、忘れているかもしれない。そんな先まで、復興財源に充てるための増税が続くことに、現実感が持てない。民主党は、目の前の期間、大幅重税を課すことに、国民が反発するのではないかと恐れて、25年間での「薄まき」にしたのだろうが、国民を見損なっちゃいけない。復興の財源にするための重税なら、喜んで負担しようではないかというのが、大部分の国民の思いである。現役世代として、目の前で展開されている、被災地の苦境に同胞として心を動かされている。今だから増税も負担できるのであって、25年後まで、その思いが続けられるとは思えない。今年生まれた赤ちゃんも、増税負担をすることになるのも、ピンとこない。

 もう一つ、増税の対象に住民税も加えられていることに、違和感がある。住民税は地方税である。税収は、自治体に入る。その内容は、本来は、自治体ごとに、自主的に決めるべきことであるが、実際は、国に決められてしまっている。その結果、個人住民税の均等割が一律1,00円/年引き上げられる。東日本で起きた震災の復興財源と、九州の自治体に入ってくる住民税を引き上げることが、どう結びつくのだろう。どうして、国税だけの増税でやらないだろう。私の知識不足、理解不足なのかな。


2011.11.29(火)

大阪で、永田町で、沖縄で、言葉が踊る  

 朝食後、手紙を5通書いた。書き上げたところで、手紙を持って、散歩に出かける。散歩の途中の郵便ポストに投函。週に1,2回、そういう場面がある。11月末にしては、穏やかな日和である。テレビの天気予報で言っていたが、今年の11月の平均気温は、観測史上3番目の高さらしい。外を歩きながら感じるのも、例年にない暖かさである。散歩をする身には、幸いなことだと思いながら、33分の散歩を終えた。

 大阪ダブル選挙で維新の会圧勝の余波は、永田町に及んでいる。民主党も自民党も、大阪市長選挙では橋下氏の対抗馬の平松氏を支援したことなどなかったかのように、橋下氏に擦り寄る発言が相次いでいる。「場合によっては、国政選挙に維新の会からも70人擁立する」という橋下氏の発言に、足元がぐらついているのだろう。大阪都構想について、大阪での合意ができれば、国政でそれをくつがえすことは、むずかしい。やめろという理由がみつからないからである。だから、橋下氏が言う「場合によっては」という場合は生じないはずであり、橋下発言は、事前のけん制でしかないと見るべきなのだが、既成政党は、過剰反応を起こしているようである。加えて、橋下人気にあやかりたい症候群が見え見えであり、ちょっとみっともない。

 沖縄防衛局の田中聡局長が、米軍普天間飛行場の移転問題に絡み、沖縄県民と女性とを侮辱する発言をした問題について、沖縄県民からは怒りの言葉が発せられるのをテレビのニュースで見た。仲井間弘多沖縄県知事は、「口が汚れるから、コメントしない」と記者に語っていたが、これが、今回最も適切なコメントである。それにしても、この時期、この状況で、沖縄の防衛局長によって、これほど思慮を欠く発言がなされることに、驚き、あきれてしまう。


2011.11.28(月)

橋下新大阪市長の誕生  

 慶応大学SFCで授業。先週が、三田祭期間にあたり、休みだったので、2週間ぶりである。「地方自治論」は、市町村合併と道州制を論じた。どちらの話題も、知識を詰め込むだけではない。「自治体とは何か」ということを考える出発点として、これらの問題を捉える視点が大事。そのことを強調して、授業をいつもより、10分も早く終えてしまった。

 午後の福祉の研究会には、24年前、私が厚生省障害福祉課長になった時からの「同志」、前埼玉県立大学学長の佐藤進さんにゲストとして来ていただいた。肩書きをつけると、本人らしくなくなる。やはり「同志」という紹介のほうが、しっくりくる。話も、「同志」にふさわしく、障害者福祉と高齢者福祉の共通の問題を扱いながら、福祉に携わる人間の志を語ってもらった。私と同年ということは、現役最後の戦いのようなところに位置しているが、まだまだ戦いの炎は燃え盛っている様子に、頼もしさを感じた。学生も、その志に共感を持ってくれたようである。

 「大阪ダブル選挙で、維新の会が圧勝」というニュースで、今日の新聞、テレビは満載である。松井一郎大阪府知事、橋下徹大阪市長が誕生した。私も、複数の新聞からコメントを求められた。まさに、今、学生相手に講じている「地方自治論」のテーマそのものである。地方分権、大都市問題、自治体とは何か、二元代表制(地方議会の役割)などなどのキーワードは、授業で何度も使っている。地方自治の世界に、新しい風を吹き込んでいる橋下徹氏に、期待するところ大である。彼の言動には、いろいろ批判のようなものが寄せられるが、変革のリーダーには、ひがみ、やっかみも含めて、いろいろな人がいろいろなことを言うものである。それに傷ついたり、ひるんだりする人ではないだろう。橋下氏には、民意を大切にしながら、ある時には慎重に、攻めるだけでなく、引くべき時には、引くだけの柔軟性も持ちながら、思ったところを貫いて欲しい。


2011.11.27(日)

税制を決めるのは、国会議員の仕事  

 気温は低いが、穏やかな日差しの岸根公園は、子どもたちの天国である。一輪車の練習を父親と一緒にやる小学生の女の子、ヨチヨチ歩きの子が、おじいちゃんと散歩、そんな子どもたちであふれている日曜日の公園である。ひょうたん原っぱは、大人たちの天国。原っぱをぐるぐる歩き、走る人たちの数は、日曜の昼間だけあって、ざっと見て、100人近い。今日は、その一人にならなかったが、私の散歩も、もうすぐその段階に進む予定。

 散歩した日を○、しない日を★とすると、11月20日(日)を初日とする15日間の成績は、10勝5敗となった。白鵬は、今日が千秋楽の九州場所、14勝1敗で優勝。全勝は逃したが、抜群の強さである。おめでとうございます。関脇稀勢の里は、今日負けて10勝5敗だが、来場所は大関昇進らしい。昇進基準が少し甘くないだろうか。大関を粗製乱造してはならない。これで大関が5人になる。弱い大関もいるし、ちょっと、多過ぎやしないか。

 今朝の朝日新聞の4面「政治考」の欄で、星浩編集委員が、「上滑りの増税論」を書いている。「首相が説得の先頭に立て」ということだが、実態として求められているのは、そのとおりである。しかし、これだと、首相が決めて、国会(議員)が説得されるという図式になる。政治の基本は、徴税である。増税にしても、減税にしても、法律によらなければできない。つまりは、最終的には、LAW-MAKERたる国会が決めることである。政府側からの法案の提案待ちということでいいのだろうか。事前に、国会として、十分に熟議を重ねるべきである。その国会議員たちが、「増税を言い出すと、選挙が怖い」という病気にかかっているのではないかと疑うほどに、増税論議に及び腰であるのが気にかかる。「政治は税金」である。国会議員は、それを決めるのが、一番大きな仕事なのですよ。与党議員(の一部)に、ぜひ、そのことを自覚してもらいたい。


2011.11.26(土)

TPPに関して、一言  

 朝、目を覚ましたら、寝床の中で、体温を計る。今朝の体温は、36.4℃。起きたら、一番に体重測定。今朝は、58.0kg。次に、血圧を測る。(「計る」か、「測る」か。「計測」というし、どっちでもいいのかな)138−86。ちょっと高め安定である。体温と血圧は、夕方も測る。このほかに、一日の水分摂取量も記録するのだが、お茶を何杯飲んだのかなど、忘れてしまう。記録よりも記憶に頼っての記載である。その結果を「成績表」に記録しておき、2週間に一回のがんセンターでの診察の際に、田野崎先生に見てもらう。このところは、ずっと異常なしだが、たまに体温が高いことがある。こういった「成績表」を一日も欠かさず記録しているのは、患者としてほめられるべきことではないだろうか。記録することに意味があるのではなく、数値に異常があったら、すぐに気がついて対処できることにこそ、意味がある。これからも、真面目にやっていこう。

 TPPに関して、民主党内で意見が割れている。協定に参加すべきかどうかの議論を、まだやっているのだが、そんなことでいいのだろうか。今やるべきことは、協定締結によって、国内の産業にどういった影響が出るのかを想定し、それにどう対処するのかを議論することである。たとえば、関税が撤廃されたら、農業の各品目の生産体制をどうするかを、農業関係者だけでなく、流通、消費関連の有識者も巻き込んで、これまでのやり方を根本的に変える方向も視野に入れて、議論すべきである。医療分野についていえば、協定の内容にしたがって、たとえば、「医療保険の中で、混合医療を認めろ」という要求が出された場合には、どういう理屈でそれに反対するか、理論武装をあらかじめしておく必要がある。その結果、解決策が見出せないということであれば、そこから、協定において「どうしても譲れない線」というのが明らかになるはずである。「貿易が自由化されれば、農業では損しても、工業製品の輸出で得する」とか、「自由化は、日本が国際社会で存在感を示すうえで、避けて通れない」といったような、「総論」で議論する段階は過ぎている。個別の具体的な物品やサービスについて、協定締結による新しいルールはどうあるべきか、どういったルールなら日本として「乗れる」のか、議論し、準備しておくべきである。

 協定の内容についての交渉の場では、「この条項をどうしようか」ということになる。その際には、いったん、交渉のテーブルから離れて、国内事情をにらんで回答するべき場面に遭遇する。その時になってはじめて、国内での議論を始めるのでは、交渉にならない。協定内容についての交渉に入る前に、当然準備しておくべきものであり、その準備は、今すぐに始めなければならない。外交交渉は、テクニックを磨けとか、強面で臨めとか、言葉巧みにとか、そういったことが大事なのではない。国内問題についての理論武装ができているからこそ、外交交渉は、うまくいく。外交は国内問題である。だからこそ、今、この時点で、国内問題について、協定締結を想定した真剣な議論が必要なのである。そのことをそっちのけにして、「損か、得か」といった「議論」をしている場合ではない。


2011.11.25(金)

企業のガバナンス    

 天気予報では、だいぶ気温が下がって、12月中旬並みということだったが、昼前の散歩では、暖かい日差しの中で、寒さは感じなかった。見上げれば青空。のどかな岸根公園。清掃のおばさんが、降り積もった落ち葉を掃いている。晩秋の一ページを目に焼き付けながら、31分の散歩を気分よく終えた。

 オリンパスの元社長の、マイケル・ウッドフォード氏が、日本外国特派員協会で記者会見をした。オリンパスの「損失隠し」について、これからもいろいろ語るのだろうが、オリンパスの責任者は、ウッドワード氏に暴露される前に、自分たちの言葉で、過去の経緯を外に向かって説明すべきであった。今からでも遅くない。包み隠さず情報を公開し、反省すべきは反省し、責任者はきっちりとけじめをつけて、責任をとるべきである。首を切られた元社長に、先に暴露されたらみっともない。

 大王製紙の井川意高元会長の106億円借金「事件」も、みっともない。特別背任容疑で逮捕され、井川容疑者になってしまった。みっともないのは、これだけの借金をして、ギャンブルに使ってしまったことではない。会社の金を、秘密裡に貸したということである。これが一流の大会社のやることか。企業としてのガバナンスはどうなっているのか。

 慶応大学で授業を持つようになって、最初の研究会は、「組織の危機管理」についてのものだった。当時は、自治体の裏金づくり、三菱自動車のリコール隠し、船場吉兆の賞味期限改ざんなどの不祥事が花盛りだった。コンプライアンス、内部告発、情報公開、説明責任、企業の社会的責任(CSR)について、学生と語り合ったものである。時は移っても、企業の不祥事は後を絶たない。「日本の企業のガバナンスは、一体、どうなっているんだ」と、海外から日本を見る目も厳しくなっている。

 もうひとつ、読売巨人軍があった。GMが球団会長たる読売新聞主筆を「コンプライアンス違反」ということで「告発」。これは犯罪ではないが、組織のガバナンスという点で、「どうなってんの」というお粗末劇場である。みんな、しっかりしてくださいよ。


2011.11.24(木)

「古窯」で偶然の再会    

 がんセンターでの外来受診で築地へ。高速道路を使ってタクシーで行くのだが、空いていれば40分で着く。今日は、羽田西あたりの事故のため渋滞との情報があったので、途中まで一般道路を使った。所要1時間40分。これだけ遅れたのは、初めてである。検査、診察の結果は、異常なし。前回の検査で正常上限を上回っていたCRP(炎症反応を示す)の値が下がっていたので安心。待合廊下で、同病の南克己さんに会った。10月はじめから、職場復帰して、順調に推移しているとのこと。お互いの回復ぶりを喜び合い、励ましあった。病友の存在は、頼もしい。

 診察を終えての昼食は、銀座の「古窯(こよう)」と決めていた。山形県上山(かみのやま)市にある素敵な温泉旅館「古窯」の女将、佐藤洋詩恵さんとは、20年以上前、厚生省時代に仕事で宿泊して以来の知り合いである。その後、宮城県知事時代には、「宮城女将会」と「山形女将会」の交流の場などで、何度かお会いした。私が病を得てからは、女将が自筆で書く「かわら版」を毎回送っていただき、山形の珍しい果物をお届けいただいたりしていた。その「かわら版」の最新号に、「銀座古窯がリニューアル・オープン」という記事が載っていたので、外来診察の帰りに寄ってみることにした。

 おいしい昼食をいただいて、帰ろうとしたところに、佐藤洋詩恵さんが現れた。銀座店の様子を伺いに、上山の本店から、たまたまやってきたのだという。洋詩恵さんのほうでも、驚いたようだが、私のほうも驚きである。「こんな偶然、あるんだね」と言い合いながら、再会を喜び合い、話に花が咲いた。洋詩恵さんは、妻とは初対面なのに、旧知の友人のように、打ち解けて話す。私は病後で、まだ温泉に入れない身ではあるが、妻と義母がぜひ行きたいといっている。いずれ、近いうちに、かみのやま温泉「日本の宿古窯」にでかけることになるだろう。そこで、また女将にお会いしたい。


2011.11.23(水)

どこでも議会はもめる    

 今日は勤労感謝の日。昨日は「いい夫婦の日」。両日とも、そういった趣旨に沿った日を送ることはなかった。一週に一日しか「勤労」しない生活なので、勤労感謝の日が恥ずかしい。「いい夫婦の日」と言われても、毎日がいい夫婦のわれわれにとっては、「何をいまさら」という感じで受け止めている。

 日差しのある日と、ない日と、このところ一日おきである。今日は日差しのある日にあたっていた。岸根公園は、昨日の閑散とは打って変わって、老若男女が楽しげに動き回っている。隣接する県立武道館では、女子高生の剣道の大会があるようで、それらしい高校生が行き交っている。そんな中を、気分よく、31分の散歩を楽しんだ。こんな穏やかな暖かい日が、今年はあと何日残っているだろう。

 日本の国会では、21日に、三次補正予算が成立したが、復興対策に関する内容は二次補正予算として組むべきものだった。菅首相を辞めさせるのなんので、震災対策に必要な補正予算を組めなかった。スピード感を犠牲にしてしまったのが、悔やまれる。

 復興対策の歳出は復興債で賄うが、その返済のための増税法案は、明日成立する見込み。その増税期間が、与野党の駆け引きで、25年でまとまった。民主党は、当初、10年を考えていたが、公明党に妥協し、自民党の意を入れて、25年となったのは、一体どうしたことだろう。復興のための負担を次の世代まで負わせるのは、理屈に合わないし、国民感情にも合わない。私は、88歳になっても、震災復興のための増税分を負担し続けることになる。「いい加減にせえよ」と言いたくなる。ついでに言えば、消費税率の引き上げに、民主党内で慎重論が広がっているのも、政権党としての責任感が感じられない動きである。政策議論であって、根性の問題ではないのだが、「根性なし」と叱咤したくなる。

 議会がもめているのは、日本に限らない。アメリカでは、財政赤字削減のための方策が、議会内でまとまらない。富裕層対象の増税には共和党は反対、国防費の大幅削減にも抵抗している。私から見ると、「議会がもめている」という現象面よりも、財政赤字の削減のために、議会が主体的に議論をしている様子が、むしろうらやましい。「立法府が機能している」ことの証左であるからである。むしろ立法府たる議会が、政策形成で主導している。そのための法案を自分たちで提案し、議会内で議論する。まさに、law‐maker であって、日本の議会がlaw‐passer と揶揄されているのとの違いを意識してしまう。

 韓国の国会のもめ方は、お国ぶりだろうか。アメリカとのFTA協定の批准をめぐって、与党は議場を奇襲占拠、野党は議場に催涙弾を投げつける騒ぎとなった。結局は、与党の単独強行採決になって、協定は批准された。議論が白熱するのは、いいことだが、こういった形の攻防はいかがなものだろうか。「あんたの国には、言われたくない」と返されそうである。


2011.11.22(火)

「河北新報の一番長い日」    

 午前中に来客があり、散歩の機会を逃してしまった。昼食後、散歩に出る。薄日が射す状態で、気温は低い。岸根公園は、寒さのせいもあるのだろうか、昨日の賑わいはない。晩秋の味わいがある公園内を速足で歩く。32分の散歩を終えれば、うっすらと汗を掻いている。

 仙台の河北新報社の佐藤純総務部長から、「河北新報のいちばん長い日」(文藝春秋)が送られていたのだが、なかなか読む時間が取れないでいた。やっと今日読んだが、感動で心が震えた。あの大震災では、河北新報社も被災者であった。販売所の店主が3人死亡、19店が全壊。配達員で亡くなった人が15名、行方不明が9名。システムトラブルで紙面制作ができない。本社は断水、取材網は壊滅。携帯電話は通じない。そういう中で、震災当日に号外を発行し、翌日の朝刊も発行できたのは、奇跡である。新潟日報の全面的協力も大きかった。おにぎり班の大活躍で、社員への食糧補給を乗り切り、ガソリン確保と食糧調達には、山形総局が社員の奥さんの手も借りて本社の力になった。

 そうやってできた新聞を被災地の人たちが、むさぼるように読んでいる姿をみて、改めて新聞の使命を実感した社員たちがいる。新聞ジャーナリズムの底力を見せつけ、新聞への期待と信頼性の高さを実証したのが、大震災直後の河北新報の活躍ぶりである。「それでも新聞をつくり続けた」という言葉に凝縮されている。実際は、作り続けただけでなく、「届け続けた」ということもすごいことだ。この本は、その間の涙と苦闘の記録である。2011年度新聞協会賞を受賞したのは、当然のことであるが、快挙といっていいだろう。こういった新聞社が、地元にあることを誇りに思う。


2011.11.21(月)

ブータン国王と王妃が帰国    

 昼前に散歩へ。岸根公園は、広々として、気持ちがいい。晩秋とは思えないほどの、暖かい日差し。遠くから子どもたちの歓声が聞こえてくる。のどかだなあと、思わず声に出してしまう。

 昨夜の日本シリーズの最終戦では、ソフトバンク投手陣の質の高さと層の厚さを思い知らされた。レギュラーシーズンで、42の勝ち越しを残したソフトバンクの圧倒的強さからすれば、シリーズの決着が最終戦までもつれたのが不思議なほどである。敵地での連勝で始まった中日ドラゴンズの勢いは、最後までは維持できなかったが、最強チーム相手に3勝したのだから善戦である。しかし、最後は、竜は鷹に勝てなかった。

 竜といえば、ブータンの国旗にも龍が描かれている。そのブータンのワンチュク国王とジェツン・ペマ王妃が、国賓としての6日間の日本滞在を終え、昨日帰国した。福島県相馬市の桜ヶ丘小学校では、「みなさんの心の中に、人格という竜がいる」と語りかけた。雨の金閣寺では住職に傘を差しかけたのが話題になり、京都伝統工芸館では、夫妻ともに仏像にノミを入れた。国会での演説も堂々としていた。和服姿でお茶のお点前。こんなに注目され、愛され、話題になった国賓はいない。国王は、若くて、ハンサム。新婚の王妃は、控えめで初々しい美人。どちらも、物腰がやさしく、いつも笑みをたたえている。それぞれの衣装も、とても素敵。これで人気が出ないはずがない。私も、二人をとても好きになってしまった。世界一国民の幸福度が高い国、ブータンに行ってみたいという人が増えただろう。


2011.11.20(日)

暑い一日、熱いレース    

 日曜日、いつもより遅い時間の朝食を済ませて、「月刊フィランソロピー」(フィランソロピー始動20周年記念号)への寄稿文を書き上げた。その後、散歩に出る。「寒い」、「涼しい」、「暖かい」を通り越して、「暑い」日差しの中、岸根公園へ。日曜日の昼近くの公園には、子どもたちの遊ぶ姿が目立つ。自転車の練習には、絶好の場所で、補助車をつけて、よちよち走る自転車が多く見られる。昨夜の風雨のためだろう、園内に濡れ落ち葉が目立つ。行き交う若者は、半袖のTシャツ姿。その姿と濡れ落ち葉が、季節的には合致しない。晩秋としては異常な暑さである。

 その暑さの中、横浜国際女子マラソンである。一日違いの昨日だったら、激しい風雨の中でのレースになった。今日は、暑さを敵に回してのレース。選手にとっては、どっちのコンディションがいいのだろうか。気温25℃を超す、季節はずれの暑さの中のレースは、内容も熱かった。ラスト2キロで、優勝候補の尾崎好美選手が抜け出した。一時は4秒以上離された木崎良子選手が、残り1キロで追いつき、そのまま引き離し、17秒差でゴール。2時間26分32秒は、この暑さの中では上出来のタイムである。なにしろ、ペースメーカー3人が、途中で次々と脱落し、19キロでは3人目も脱落するという暑さの中のレースである。それを考慮すれば、このタイムでも、木崎選手はロンドン五輪の出場選手として選ばれてもおかしくない。オリンピック代表選考レースの世界陸上で18位と惨敗してから、わずか3ヵ月後の今回の横浜マラソンでも、尾崎選手は優勝を逃した。オリンピックの出場切符が遠のいてしまった。選考レースは、まだ残っている。「泣くな尾崎、東京マラソンがある」と励ましたいのだが・・・・。

 夜の部の熱い日本シリーズは、結果を確認せずに、日記を書き上げてしまった。日本シリーズの感想は、明日に延期。


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