2011.12.24(土) 来年度の政府予算案決定
クリスマス寒波だそうで、日本中が震え上がっている。ここ横浜も寒いので、散歩はできない。暖かくとも、私の身体はまだ「経過観察中」だから、自粛するのだから、同じこと。それにしても、この冬は暖冬という予報はどうなったのだろう。
2012年度の政府予算案が閣議決定された。歳出規模は90.3兆円だが、震災復興予算3.8兆円、基礎年金の負担2.6兆円は特別会計に回したが、これを加えると、実質96.7兆円で、過去最大となる。この歳出を賄う歳入見込みでは、税収42.3兆円、新たな借金44.2兆円となり、来年度も借金のほうが税収を上回るという異常な予算となる。異常も、毎年繰り返すうちに、異常と思う感覚が磨耗していくが、そのことこそが異常である。2012年度末の国の借金残高は、実に1千兆円を突破する。国内格付け会社のR&Iが、日本の国債の格付けを、最上位のAAAから、一つ下のAA+に引き下げたばかりだが、こういう状況を見れば、引き下げは当然だろう。増税を言い出せない政府・与党では、これからも税収は増える見込みがない。政権与党としての責任をもっと自覚して、国民に苦い薬を飲んでもらうよう真摯に説明し、敢然と突き進むことを、今の民主党政権に期待しても無駄なのだろうか。
そんなことは一時忘れよう。せっかくのクリスマス・ケーキがまずくなる。朝日新聞の素粒子欄では、「民主党へのクリスマスプレゼントには、2年前のマニフェストを」とあったが、そんなおふざけでは済まないのです。サンタさん、この国になんとか大きなプレゼントをいただけないでしょうか。
2011.12.23(金)
しっかりしろ、民主党 冬至は今日だと思っていたが、実は昨日だったんだ。これからは、日が長くなるだけと思うと、気持ちが明るくなる。寒さは、これからが本番ではあるのだが。
今日は、天皇誕生日。天皇陛下は78歳になられた。見た目も、動きも、とても若い。今年は、何度かご病気で入院されたが、東日本大震災の被災者のお見舞いに何度も現地に足を運ばれ、被災者をお励ましになった姿が印象に残る。こういったことが、天皇陛下のお仕事の中で、最も大事なものと自覚なさっているからだろう。神戸の震災の時にもそうだったが、皇后陛下とご一緒に、被災者の前では膝をついて、親身になって話をお聴きになっていた。昭和天皇が、戦後の荒れた国内各地をおめぐりになったのと、同じようなお気持ちで務めていらっしゃるのではないだろうか。その真摯なお姿に、頭が下がる。これからも、お元気でお過ごしになられることを心からお祈りしたい。
前田武志国土交通大臣が八ツ場ダムの工事継続にゴーサインを出したら、前原誠司民主党政調会長が「そんな予算は、党で認めない」と反対の声を挙げる。元国土交通大臣として、工事ストップをかけたのが前原氏であるし、民主党のマニフェストにも「工事はやめる」と書いてある。継続か、中止か、どっちが正しい判断なのか、私にはわからない。わかることは一つ、どうするかの検討を国土交通省の事務当局にやらせたら、「継続が適当」という資料をきっちり作り上げ、「継続すべし」という結論になるのは決まりきったこと。前原氏が自分のところの大臣の座を去り、何人目かで組みしやすい大臣をいただいたら、「こっちのもの」と役人が考えるのも当然。霞ヶ関の術中にはまっては、「政治主導」の大方針が泣く。
それにしても、この件もマニフェスト違反である。消費税引き上げせず、子ども手当て創設します、公務員の削減を断行しますといった約束は棚上げ。その一方で、「消費税引き上げに反対する」という署名が、民主党内で100人以上になるというのは、異常である。署名の前に、党内で熟議をすべきものなのに、何をやっているのだろう。TPP参加問題も同じ。なんとか、党内が一つにまとまって、物事を進めていってほしい。政権与党としての自覚、いまだ持てない様子にあきれる。
2011.12.22(木)
笑うミタ、笑わない民衆 築地のがんセンターで本年最後の外来受診。待合中に、同病の南克己さんご夫妻と一緒になる。南さんは、すべて順調ということで安心した。私のほうの診察は順調ではなかった。CRPの値が3.25(正常上限は0.1)と高い。小数点がつくと、わかりにくくなるが、正常上限を10とすると、前回の数値は26、今回は325となる。こうすると、今回の数値が高いのが感覚的にもよくわかる。それはともかく、風邪による喉の炎症ぐらいでは、こんな数値にはならない。レントゲンで見ると肺に微妙な影があるような、ないような。田野崎先生の見立ては、肺にGVHDによる炎症があるという推定で、それに対処することとされた。ステロイドのプレドニンを10mg、肺の炎症抑えにバクターとクラリッシドを処方された。これで、どう推移するか。来週、特別に診察を受け、確認する。自覚症状は、ほとんどないので、それほど深刻なものではないと思うが、少し気になる。
昨夜の日本テレビ「家政婦のミタ」の最終回は視聴率40%だったらしい。笑わないミタさんが、最後に笑顔をつくる場面では、涙が出たが、「承知しました」、「私は家政婦です。家族ではありません」、「それは、あなたたちが考えること」という松嶋菜々子の言い方が面白すぎて、全体としてはコメディとして見ていた。コメディといっては言い過ぎだが、北朝鮮の金正日総書記の死去を悼んで、民衆が泣き叫ぶありさまは、異常である。ミタさんは、夫と息子を火事で死なせたことで、「死ぬまで笑うな」と遺族から責められて、以後笑わぬ人になった。北朝鮮の民衆も、金総書記の死を前にして、笑ったら制裁を受けるらしい。国家が民衆にそう強いるのが通ってしまうのは、コメディではない。悲劇である。
2011.12.21(水)
レジュメづくり 午前中に、私的用事で面談、打ち合わせが、雑談も含んで3時間以上に及んだ。急いで昼食を摂り、2時からの取材打ち合わせに臨んだ。これも雑談を含んで1時間半。そんなところで時間を取られてしまい、来週の授業のレジュメづくりの時間が十分に取れず、明日以降に持ち越すことになった。「地方分権について」の続きの授業なのだが、大事なところを学生がきっちり理解していないことに気づき、その補填をしなければならないので、レジュメづくりも難航の具合である。
夜は、日本テレビで「家政婦のミタ」の最終回を見る予定。視聴率トップの評判のドラマだから、一応見ておかなければということで、前回初めてチャンネルを合わせた。本来は深刻な心理ドラマなのだろうが、私はコメディとして見ている。笑わない、まばたきしない、命令には人殺しだろうが、放火だろうが、なんでも「承知しました」のスーパー家政婦は、それだけで面白い。松島菜々子が喜劇俳優として演じているように見えるのは、私だけだろうか。
2011.12.20(火)
北朝鮮は王朝 新聞もテレビも、そしてラジオも、金正日総書記の死亡に関するニュース一色。各国の対応は、いずれも、これからの推移を慎重に見守っていくというだけである。今の時点ではしょうがない。それにしても、後継が三男の金正恩になるということが、気になって仕方がない。若造で指導力に疑問ありということではなく、社会主義国で最高権力者が三代続いての世襲で決まるということである。これでは王朝と同じである。高い理想を掲げた21世紀の社会主義の国が王朝であることのおかしさ。そのおかしさ、そして危うさを強く感じる。
夜は、宮城県東京事務所の菅原久吉所長と山内伸介副所長と横浜中華街で会食。菅原さんは私の知事時代の3代目の秘書、山内さんは7代目、最後の秘書である。当時の昔話や、被災の苦労など、いろいろ話ができた。年末には、仙台で歴代の男女秘書が集まる「いろは会」をいろは横丁の「鳥よし」で開催するのが恒例である。私は、今年も出席できないので、二人に仙台に帰って、近況を報告してもらうことを期待している。
2011.12.19(月)
金正日総書記死去 寒い日である。慶応大学SFCの授業の日だが、キャンパス内移動の時にも、オーバーコートを着込んで寒さに対応した。「地方自治論」は地方分権について。今学期の授業全体のまとめであり、ハイライトである。最も大事なテーマであり、事前のレジュメづくりにも力を入れた。授業では、そのレジュメに私が書き下ろしで書いた「はじめに」という文章を学生に10分間で読ませて、その後、私の質問に答えてもらうことにした。あらかじめ「最後列に坐った学生を当てるから、回答に自信がない学生は、最後列に坐るのを避けるのが賢明」といった「お触れ」を出しておいた。それが効いたのだろう。この授業12回目にして初めて、大教室で学生が前のほうに詰めて坐る姿を見ることができた。
先週の授業で出題した宿題が「地方分権の意義をあなた自身の言葉で語れ」というものだったので、まず、その宿題に書いたものを紹介してもらってから、質問に答えてもらうことにした。最後列に坐った学生に回答させたが、「宿題やってません」と返ってきたので、「宿題もやってこないで、最後列に坐るとはとんでもない。前に出ろ」と言って、最前列に坐らせた。そんな学生が何人か出てきて、私からそのたびに叱責の言葉が飛んだ。たまには、こういう緊張感ある授業もいいだろう。
今回の授業では、SAの神野翔君の提案で、授業に関するアンケートを配って、授業終了時に回収した。いわば、私の授業の通信簿である。回収したものをすべて読んだが、結構厳しい意見もあった。来週の授業で、アンケート集計結果も示しながら、学生とのやりとりをする予定。「やる気のない学生は、相手にしないでいいのではないか」といった意見も何人かからあったが、今日の授業がまさに、やる気のない学生をまともに相手にするものだったなと、ちょっと反省。
授業が終わってすぐに、「北朝鮮の金正日総書記が死去」というニュースが飛び込んできた。これから、北朝鮮がどうなるか、誰もが不安を持ちながら見守っている。後継とされる三男の金正雲では、まとまるはずがない。20代の若さは、未熟と同意語。経験も実績もない。国を治める卓越した能力を望むのも無理。集団指導体制で、軍や不満国民を抑えられるか。不満をそらすために、外に向かって暴発しなければいいのだが、しばらくは最大限の注意をもって見守る必要がある。この機会に、拉致問題をどう解決していくか。北朝鮮の核の脅威にどう立ち向かうか、内憂外患の野田首相に、新たな懸案が降りかかった。政権を持っていることは、あれも、これもやらねばならない。そのことをわかって政権を奪取したのだとは思うが、ともかく逃げずに立ち向かわなくてはならない。それが、政権の座にあることの意味である。
2011.12.18(日)
原発事故は収束? 昨日、「骨髄バンク20周年全国大会」を終えて帰宅し、テレビ朝日で「愛・命〜新宿歌舞伎町駆け込み寺」のドラマを観た。新聞の番組紹介に「平山(主人公)自身に白血病発病リスクのあるウイルス感染が判明」という記述があった。これは、ATLのことを指しているので、観ることにしたのである。ワルだった平山が、多重債務やDVに苦しむ人々を救う男に変身するきっかけが、「どうせ俺は、ATLで死んでいく命だ」との思い込みにあるのが気になった。恋人が「必ず発病するわけじゃないんだから」と平山に言うところも、先日の「相棒」と同様に、「HTLV-1の感染者の多くはATLになる」と聞こえるので、事実に反する。ドラマに出てくる「駆け込み寺」は新宿に実在する。実話を基にしているから、なおさら気になる。ドラマ自体は、渡辺謙の存在感のある演技が光る佳作である。そういえば、渡辺謙さん自身も、白血病から回復した元患者である。テレビ朝日は、最近、ATL、HTLV-1問題をよく取り上げるのが、これはいいことだ。しかし、視聴者に誤解を与えないように、細心の注意を払って欲しい。
昼からは、全日本実業団女子駅伝をTBSテレビで観た。東日本大震災復興記念大会であり、コースは松島から仙台まで。今回の巨大津波で、松島は他の海岸地域ほど大きな被害はなかった。スタートしてしばらく、美しい松島の景色が広がる。仙台市内に入ると、なつかしい街の様子が選手と一緒に流れていく。中継地点の一つは、母校仙台二高前である。勝負のほうは、第一生命の圧勝。天気にも恵まれたいいレースであった。
東京電力福島第一原発については、いくつか動きがあった。16日には、野田首相が原発事故収束を宣言した。これには、内外から批判の声が上がった。朝日新聞で竹内敬二編集委員が「生死にかかわる時期は脱したが入院中だ。再発リスクと不安は残る」と書いているが、これはわかりやすい。ATLという大変な病気で入院治療を受けた患者としては、この比喩はわかりやすいという以上のものである。退院したときに、主治医から「マラソンでいえば、まだ10キロ地点」と言われたのを思い出す。「冷温停止状態を確認」というが、通常の冷却システムは機能していない。核燃料が、今、どういう状態なのかも、原子炉内部に入れない状況では、全然わかっていない。国際公約を意識し過ぎてのフライングではないのか。これでむしろ国際的な信用を失うことになったら、まったくの逆効果である。
もっと重大なニュースがある。福島第一原発について、原発幹部が冷却装置の非常用復水器の構造を知らなかったとは、とんでもないことである。電源が失われると非常用腹水器の弁が閉じて機能しなくなる構造を知らず、冷却機能を失っていることへの対処が遅れたことが、炉心溶融を早めた可能性が指摘された。このニュースを知って、「他の原発についても同じではないのか。原発運用者はこういったシステムを熟知していないかもしれない」と心配になった。再稼動を認めるかどうかは、原発のハード面、システム面での安全性を確認することは当然であるが、こういうヒューマンウエア、つまり担当する人間の訓練・知識が十分であるか、きっちりチェックする必要性があることを教えてくれる。
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