浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 1月第1週分          

2012.1.7(土)

代替授業日   

 月曜日の授業が休日にあたるのに対応した代替授業でSFCへ。前回の代替授業には、通常100人前後の出席者のところ、30人しか出席がなかった。今回は、せいぜい50人かなと、事前にSAの神野翔君と言い合っていた。実際の出席は、76名。レジュメを60人分しか印刷していなかったので、授業の途中で神野君があわてて増刷に走った。

 次回の最終授業は、定期試験に充てているので、今日の授業が実質的には今学期最後となる。「今学期を振り返って」ということで、基本的な論点について、補充説明をした。授業後に提出された出席カードの記述には、その補充説明で理解が明確になってよかったというものが多かったが、それを見て、こちらも安心、満足した次第。これで今学期の授業が終わるかと思うと、なんだか寂しい。熱心な受講者であり、真摯な受講態度だったので、教えるこちらも、とても張り合いがあった。さて、それが定期試験の結果にどう現れるか、楽しみである。

 午後の福祉のゼミは、出席者が9人。予想より多い。ちょっと驚いた。次回16日(月)の授業のゲストは福島智さんである。3年前のゼミにもおいでいただいたので、今回が2回目。盲ろうという障害を抱えながら、指点字というコミュニケーション手段を得て、健常者以上の能力を発揮し、現在は東大教授である。稀有な人、驚異の人と私は尊敬している。その貴重な講義を有意義なものにするためもあり、今回、福島さんの話をどう聴くか、予習のようなものをやった。学生の期待は、これでいやがうえにも高まった。16日は、私も楽しみである。


2012.1.6(金)

役所の文書   

 地方職員共済組合本部から、「加給年金額対象者の届出について」の文書が郵送されてきた。届出書に必要事項を記入して、2月3日までに提出せよとある。私は現在慶応大学教授として働いていることで減額はされているが、共済年金を受給している。受給者が64歳になると、同居の配偶者がいる受給者の年金額に加給年金が加算される。そのための手続きとして、配偶者の年金受給、同居の事実、所得証明の届出が求められている。

 これが結構わかりにくい。妻の年金証書を引っ張り出して、基礎年金番号、年金コードを書き込むのだが、どの番号を書けばいいのか迷う。各種証明書は区役所から取ってこなければならない。こういう事務手続きは、頭を使う。よほど読解力がないと、何をどう書いていいかわからない。足を使って証明書をもらってこなければならない。時間もかかる。役所から遠いところに住んでいる人にとっては、一日仕事である。せめては、文書の説明をもう少しわかりやすくして欲しい。

 役所に勤めていた人間が申すのも、なんではあるが、役所が送ってくる文書がわかりにくいのは、何とかならないものか。役所ではないが、福島原発事故の補償に関して、東京電力から被災者に送られてきた文書は、量も膨大な上に、極めてわかりにくい。一体何人の人が、独力で補償請求の書類を完成できるというのか。困ったものだ。

 野田政権は、今日、消費増税と社会保障の一体改革の素案を決定した。なにしろ、民主党内に消費増税反対の議員を多数抱えている中で、野党に年度内の法案提出を飲ませるというのは、至難の業である。消費増税は苦い薬である。反対の声が上がるのは当然である。しかし、「税金こそ政治」なのであるから、野田首相にとっては、正念場である。消費増税の是非もさることながら、政治家における首相としてのリーダーシップが問われている。信念をもって突き進むしかない。捨て身で、誠心誠意、情熱を込めて、各方面に訴えていけば、活路は開けると期待している。


2012.1.5(木)

がんセンターにて   

 築地のがんセンターで外来受診。本来、2週間に一度の受診なのだが、このところ、1週間に一回受診している。肺に影が見られ、炎症反応の数値が高いという状況があるので、しばらくは経過観察を頻繁にする必要がある。今日のCT撮影では、肺の影は、場所と形を変えながらも、まだあちこちに散在している様子が見られる。皮膚に出るGVHD反応と似ていて、「ここと思えばまたあちら。治まったと思ったら、また出てくる」ということなのだろう。完全に治まるまでは、もう少し時間がかかるというのが、田野崎先生の見立てである。

 炎症反応は、1週間前の0.46から0.04に下がった。正常上限は0.1だから、炎症反応に関しては合格。予期していなかったのが、クレアチニンの値が正常上限の1.1を超えて1.3であったこと。腎臓機能の不良を示している。久しぶりに、生理食塩水500ccの点滴を受けた。痛くもなんともないが、2時間もかかるのが難儀。このところ、一日の水分摂取量が少なくなっていたので、心を改めて、まじめに摂取に努めよう。まだまだ、いろいろなことが私の身体に起きてくる。特に、この時期、風邪など感染症にかからないよう、人混みを避ける生活を送らなければならない。

 廊下で診察を待つ間に、ATLの「病友」3人と会った。一度にこれだけの病友と一緒になるのは、珍しい。いずれも、東大医科研での抗がん剤治療を経て、がんセンター田野崎先生によるミニ移植という「エリートコース」を同じ時期に歩んでいる。「どうですか、調子は」と訊くと、「足にできたGVHDの発疹の痕が消えないのよ」とズボンをまくって、患部を見せてくれる女性もいる。私も入れて4人の、にわか「ATL患者の会」である。病友同士の情報交換が、こんな形でできるのがありがたい。


2012.1.4(水)

アメリカの大統領選挙レース開幕   

 このところ、朝2時半に目が覚める。今朝は、そのまま「新言語学序説」の原稿について考えていた。書くべき事項がいろいろ浮かんできて、2本分が頭の中で完成した。どうせ眠れないのだから、その時間を無駄に使わない。こういうのは「転んでもただじゃ起きない」とは言わないのだろうが、気持ち的には、そんなものである。私の場合、それから、二度寝ぐっすりできるのが、強みである。

 今月7日(土)は、授業代替日である。月曜日の授業を担当しているが、休日で開講できない日が多い。そのために、代替開講日が設けられている。7日といえば、正月気分の抜けない時期である。成人式のため出席できない学生も多い。どれだけの出席者になるかわからないが、いつもと同様の授業をする。そのためのレジュメを午前中に仕上げた。今学期の「地方自治論」の授業は、実質的にはこれが最後だから、有終の美を飾る、終わりよければすべてよしというつもりで、しっかり授業を務めたい。

 アメリカでは、大統領選挙までの長いレースがスタートした。共和党のアイオア州党員集会で、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が勝利した。これは開幕戦であって、これから、現職のオバマ大統領の対抗馬となる共和党の候補者選びが続く。時間も体力もお金もかかるが、これが民主主義のコストということだろう。若者を中心とした多くのボランティアが選挙に関わっているのも、大統領選挙の特色である。長いレースを通じて、候補者は鍛えられる。リーダーシップがあるかどうか、多くの機会で試され、不適格とみなされた候補者は脱落していく。日本の政治における安易な首相選びとは、えらい違いである。安易に選ばれた首相は、安易に辞めてしまう。そのことを考えれば、お祭り騒ぎと揶揄されることもあるアメリカ大統領選挙から学ぶところがあるだろう。


2012.1.3(火)

東洋大学優勝おめでとう   

 箱根駅伝、東洋大学の記録づくめの圧勝に終わった。早々と、2位以下に大差がついたので、テレビ中継を見ていても、ハラハラ、ドキドキがない。2位争い、シード権争いは、それなりに面白いが、やはりトップ争いでないとつまらない。今回は、見た目の順番と実際の順番が違うチームが多過ぎて、走っていても、実際に順位を上げたのかどうか、選手すらもわからないというのは、いかがなものだろう。復路の芦ノ湖スタートは、先頭と10分以内でなく、15分以内は繰り上げスタートにせず、時間差にすれば、相当すっきりしたはずなのに。多くの駅伝ファンは、そう思ったはず。それもこれも、東洋大学が強すぎたせいである。柏原の抜けた来年も、強さは変わらないだろうと思わせる今年の東洋大学の圧勝であった。昨年、早稲田に敗れた悔しさを見事に晴らした。おめでとう。

 夕方、「新言語学序説」の原稿を書き出したら、意外とすいすいといって、書き上げてしまった。タイトルが「言葉の軽さについて」だから、それも当然かもしれない。正月三が日に仕事らしきことをするのは、珍しいことである。


2012.1.2(月)

箱根駅伝    

 毎年恒例の箱根駅伝は、今年で88回目。長い伝統と国民的関心の高さに圧倒される。運営にあたってきた関係者の努力の積み重ねが、このような高い人気に至っている。沿道に出て応援する人の数も半端でない。選手の名前をちゃんと知っていて、応援も「がんばれ」というだけでなく、名前を呼ぶ。駅伝をよく知っている、そして駅伝を愛している人に支えられ、箱根駅伝はますます盛んになることだろう。

 駅伝好きの一人である私にとって、箱根駅伝は特別である。テレビにしがみついて、一瞬も見逃さない意気込みで観戦している。往路のハイライトは、東洋大学の快走である。これまで3年間の東洋大学は、最終5区ではトップに差をつけられ、柏原竜二選手が怒涛の追い込みで、大差を逆転し、逆に2位以下に大差をつけて往路を制するというものだった。今回は、これまでとは違って、2位以下に大差をつけて5区の柏原にたすきが渡り、柏原がさらに差を広げてぶっちぎりの往路優勝を果たした。柏原は自己の持つ区間記録を破る夢の「1時間16分台」での走りなのだから、他のチームはどうしようもない。それにしても、柏原選手はすごい。えらい。昨年11月6日の全日本大学駅伝で、アンカーを務めた柏原選手が、トップの駒沢大学との1分40秒差を32秒差まで追い詰めたが優勝できなかった。柏原がゴールして号泣する姿を見て、その日の日記に「泣くな柏原、箱根がある」と書いた。負けた悔しさをバネに、ここまでやるとは。再び言う。柏原選手はすごい、えらい。そして往路優勝おめでとう。

 にわか駅伝評論家になり、あえて優勝を予想する。誰もが、東洋大学の優勝まちがいなしと考えるだろうが、あまりに強すぎる勝ちっぷりが気になる。誰かがブレーキを起こすのではないか。それを見込んで、優勝は駒沢大学と占ってみた。このまま東洋大学がぶっちぎりで優勝ということになったら、詰まらない。せめて、ハラハラさせてもらいたいという願望も込めての「予想」である。ちなみに、去年は、往路2位の早稲田大学の逆転優勝を予想したが、それは的中した。今回はどうか。


2012.1.1(日)

一年の初めに    

 新年になった。やはり気持ちが引き締まる。何かいいことがありそうな予感がする。神棚にこうべを垂れて、今年の家族みんなの健康を祈る。お屠蘇をちょっぴり、お雑煮、おせち料理、年賀状、こういう決まりきったことをやるのがお正月。こうやって元気に迎えられるだけで、めでたい、めでたい。

 今年の目標。@健康でいること、A髪の毛がふさふさに戻ること、Bジョギングを1キロできるように、C本を出すこと、D仕事をちょっぴり。こんなところだろうか。髪の毛のことは、目標というよりは願望である。ほんとのところは、一に健康、二に健康、三、四がなくて、五に健康というのが目標であり、願望である。


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