浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 2月第3週分          

2012.2.18(土)

天皇陛下の心臓手術   

 気温が低いのもなんのその、昼前に散歩11分+11分18秒。こんな中、軽装で軽やかに走る人と何人かすれ違う。すごいなと思ったが、3年前の自分はあんな感じで走っていたのだ。病気と加齢、もうあんなふうに走れる日は戻ってこないのだろうと思うと、ちょっと寂しい。

 東大病院で行われた天皇陛下の心臓の冠動脈バイパス手術は、予定通り順調に進んだ。狭窄がみとめられた2本の冠動脈にバイパスを形成できた。出血はほとんどなく、お目覚めも順調だったという。手術は成功したとはいえ、ご高齢でもあり、これからの生活ではご無理はできない。周囲としても最大限の気遣いをもって見守っていくことが必要である。


2012.2.17(金)

供述調書に「?」、「小沢裁判」でも   

 早朝、「生島ヒロシのおはよう一直線」に電話出演。橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が公表した「船中八策」についてだったが、コメントがまとまらない。隣で聴いていた光子からも「よくわからなかった」と厳しい批判があった。「短い時間のコメントなので、まとめようがない」というのは、言い訳になってしまう。もう少し、修行が必要。

 昼前に散歩11分+11分。日差しはあるが、風が冷たい。厚いジャンパーを着込む重装備なので、寒さは感じない。重装備は目方も重いということで、重い物を背負っての歩きのせいか、歩いていて肩が凝る。

 「小沢裁判」では、石川元秘書の供述調書が証拠採用されなかった。またもや、取調べ検事による「でっちあげ」調書が問題となった。「またもや」というのは、村木厚子さんの取調べにおける検事の「非道」があったからである。同じ検事が担当しているとなれば、供述調書の信憑性に疑問が呈されるのは当然である。結果的には、村木さん事件での先例が、小沢氏側に有利に働いたということになる。有罪立証の柱を失い、検事役の指定弁護士側は、どうやって裁判を進めるのだろうか。彼らにとっては、むずかしい局面を迎えている。


2012.2.16(木)

村木厚子さんの決断   

 雨降り、しかも気温が低い。散歩は中止。2月の「お散歩星取表」、昨日までの15日間で10勝5敗。まあまあ、敢闘している。木曜日は、がんセンター外来受診日なのだが、このところ、順調な経緯なので、2週間に1回となり、今日はなし。幸い、体調的には、この1週間、なんの異常もなし。自覚的には、絶好調である。

 このところ、アマゾンをよく利用している。エルヴィスのCDをかなりの数、購入した。手持ちがなくなったが、書店に行けないので、本の購入もアマゾン経由でしている。「星月夜」、「舟を編む」もアマゾンで取り寄せた。購入したい本のリストを持って、以前、書店に出かけたが、ほとんど置いていなかった。そのうちの何冊か、今回アマゾンで購入した。「長崎乱楽坂」吉田修一著(新潮文庫)は昭和後期に長崎の侠家に育った兄弟の心の成長を追った物語。小説としての味わいが深い。力作である。「疵―花形敬とその時代」本田靖春著(ちくま文庫)は、ほんもののやくざを描いたノンフィクション。力道山よりも喧嘩が強い花形敬の存在感がすごい。本屋にない本も、アマゾンだと簡単に手に入る。このところ、本のストックが増えた。アマゾンで購入すると「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」というメールが入る。「安藤昇の戦後やくざ史」、「不当逮捕」(本田靖春)などが紹介されるシステムは、客の好みをくすぐるうまい商売である。どんな本にきようみがあるのかといった個人情報が握られてしまうという問題はあるが、この便利さに負けてしまう。これに関連しては、また別な機会に書く。

 郵便不正事件で無罪が確定した村木厚子さんが、違法捜査の責任を認めた国側から得た賠償金を長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」(田島良昭理事長)に寄付する。刑務所への出入所を繰り返す「累犯」障害者や高齢者の更生を支える活動などに役立てようと、3月にも「共生社会を創る愛の基金」を創設する。村木さんは、無実の罪を着せられ、あれだけ苦労をしたのだから、賠償金は自分のために使って当然なのだが、寄付するというのがすごい。寄付する先として、これ以上意義のあるところはないのを選んだのが、またすごい。快挙である。


2012.2.15(水)

船中八策    

 このところ、夜の読書が習慣になった。手持ちの分を読んでしまったので、仕方なく、聡子の本棚にあった本を読んでみた。「行きずりの街」志水辰夫著(新潮文庫)はミステリ仕立て。悪玉、善玉がいて、犯人がいるのだが、犯罪、暴力の背景、動機に説得力がない。それと対照的に、主人公が高校の教え子と結婚し、離婚し、さらに同じ女性と再婚する夫婦の物語の部分は、とてもいい。解説にも「夫婦小説の名作」とある。ミステリ部分を取り去って、ここだけにすれば、もっと素敵な小説になったのに。「転落」永嶋恵美著(講談社文庫)もミステリ仕立てだが、何が何だかわからない荒唐無稽なストーリーである。「驚愕の心理サスペンス」というらしいのだが、驚愕するのは、その現実離れの内容である。ミステリは、そもそも、現実離れなのだから、いちいち驚いている私の読み方がおかしいのかもしれない。「嫉妬」林真理子著(ポプラ文庫)は面白かった。「切なくも残酷な傑作短編集」という触れ込みどおりに、嫉妬につながる女性心理が実に巧みに描かれている。

 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が公約集「船中八策」を公表した。参院廃止、首相公選制、年金掛け捨て方式など、思い切った提言である。政党交付金削減、公務員人件費削減、TPPへの参加など、なるほどと受け止められるものもある。しかし、地方交付税廃止、道州制は、賛成できない。というように、具体性のある公約であるから、議論の対象にはなる。内容がどうのこうのというよりも、こんなに早い時期に出てきたことに驚く。あれよ、あれよという間に、舞い上がっていくという感じである。そこが、気になる。国民の中にある政治不信、閉塞感、リーダー待望というのは、多分にムード的なものである。そういった空気に乗って、舞い上がっていく。舞い上がる物体に、手を振り、拍手をする大衆。それが悪いというのではない。この時期、落ち着いて、地に足の着いた見方をすべきものである。そのことをもって、既得権にすがっているとか、旧来の考え方を捨てられない頭の固さと見るべきではない。あれよ、あれよの先に、「しまった」がないように。


2012.2.14(火)

加齢性筋肉減弱症?    

 雨のため、散歩は中止。ここまで6日連続だったのだから、ここらで一休みもいいだろう。今日の朝日新聞の記事によると、加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)というのがあるそうだ。バレンタインデイと縁がなくなり、還暦を過ぎた頃から筋肉が急速に減っていく。若者の筋萎縮の場合は筋線維が細くなるが数は減らない。高齢者は、筋肉を再生する細胞の機能低下により筋線維がどんどん減る。「歩くだけでは、これは防げない。負荷のある筋トレなどが必要」というコメントがあったが、散歩でとどまっていないで、ジョギングぐらいまでは負荷を上げないと筋線維の減少は防げないということなのだろうか。あせらずに、しかし確実に散歩の実績は積み上げないといかん。いつまでも自立した生活を送るためにも、運動を続けて、筋線維減少の進行を遅らせなければならない。


2012.2.13(月)

春になれば新学期、原発再稼動?    

 天気予報では、夕方から雨か雪といっていたが、昼には日が差していた。風は冷たいが、歩いているうちに暖かくなる。昼前に散歩、10分+9分54秒。途切れず続けているので、散歩の時間が少しずつ延びる。がんセンターでの外来の薬の処方で、プレドニン(ステロイド剤)の一日服用量が10mgから、だんだん減らされて、今は7mg。これが進歩改善だと喜んでいるのと同じようなものだが、散歩時間が片道7分から、だんだん増えて今は10分。ことさらがんばるつもりはないが、だんだん時間が増えていくのは、励みにはなる。ゲーム感覚でもある。

 慶応大学SFCの春学期は、4月に始まる。春学期には、研究会のほかに、「政策協働論」と「未来構想ワークショップ」を担当する。その講義案内とシラバス(授業計画)の入力期間は今日から3月12日まで。今日は、その作成作業をやっていた。大学の仕事関係は久しぶり。開講は2ヶ月先だが、授業準備を、そろそろ始める時期である。

 原発事故関連のニュースは、途切れることなく続く。福島第一原発2号機の圧力容器底部の温度が、冷却水注入量を増やしても下がらない。80℃を超えたと聞くと、「安全性に問題ありません。再臨界はない」と原子力安全・保安院が弁明しても、安心できない。今日の夜には、342℃を示し、温度計が「ほぼ確実に故障」としたが、「安全だ」と言う気持ちにはなかなかなれない。

 その原子力安全・保安院は、関西電力が提出した大飯原発3、4号機の再稼働に必要な安全評価(ストレステスト)について「妥当」とする審査結果をとりまとめ、内閣府原子力安全委員会に報告した。これで、原発再稼動に大きく歩を進めたとはならない。原発再稼動は、経済学ではなく、政治学の問題である。「再稼動できなければ、企業活動に大きな支障が出る。だから・・・」という経済学(?)的アプローチは機能しない。個別の原発の再稼動を実質的に決定するのは、国、電力会社ではなく、同意するかしないか判断する地元自治体である。その場面では、地元住民も主役を演じる。安全と安心は別物。福島原発事故の原因も究明されておらず、「再臨界か」が危ぶまれている状況の中で、地元の同意が簡単に得られるはずがない。子どもを持つ母親が、「安心だ」と確信するまでのハードルは高い。「再稼動なし」から逆算して、政府は対策を今から立てておくべきである。「今年の春までに再稼動できる原発は、限りなくゼロに近い」という半年前の私の見立てが現実になりそうである。


2012.2.12(日)

時計の不具合    

 昼前に散歩9分?+9分? なぜ?かというと、ストップウオッチとしても使っているSEIKOの腕時計が電池切れのため作動しなかったから。太陽電池の蓄電機能がよくないために、十分蓄電したのに、2,3日で蓄電ゼロになってしまう。本体が厚くて、重いのも不満だったのだが、さらに蓄電機能がアウトでは、もうだめだ。愛用していたCASIOの太陽電池・電波時計は、故障なしだし、とても薄くて軽く、機能性がいいので、とても気に入っていた。デジタルの文字も読みやすいのだが、文字盤カバーがはずれてしまった。さらに、金属アレルギーを起こすので、病後の身体にはつけられない。だから、こちらに買い換えることができない。腕にはめずに、ポケットに入れて使うことにしようかなと考えている。

 昨日の朝日新聞に「成人T細胞白血病 がんワクチン臨床試験へ」の記事が紹介されていた。大阪大病院が今春、ATLを「がんワクチン」で治療する臨床実験を始める。治療だけでなく、ウイルス感染者の発症予防に使える。実際に使えるようになるまでには、時間がかかるだろうが、「夢のワクチン」開発に期待したい。また、今月1日には、厚生労働省の医薬品第二部会が協和発酵キリンの治療薬「ポデリシオ」の製造販売を承認していいという意見をとりまとめた。販売承認、診療報酬表への収載といった手続きは、数ヶ月先になるが、これも患者にとっては朗報ではある。


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