浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 3月第4週分          

2012.3.24(土)

体調管理   

 昼前には雨が上がるという天気予報を信じて、散歩の機会をうかがっていたが、なかなか雨がやまない。3時過ぎになって、やっと晴れ間が見えてきたので、散歩に繰り出す。こんな時間帯の散歩は珍しい。水溜りが目立つ岸根公園には、土曜日というのに人が少ない。気温も低いので、あまりウキウキしないままに20分+19分39秒の散歩を終えた。

 このところ体調はとてもいい。快眠、快食、快便はずっと変わらない。早寝早起き、腹八分目、野菜たっぷり、2,000ccの水分摂取も忘れない。出かけることも少ないし、人に会うことも稀である。外に出る時はマスクをして、移動は電車でなくてタクシー。外から帰ったら手洗い、うがいを欠かさない。歯磨きは一日4回。酒を飲むのは月に1,2回だし、それも1合程度。病気になる前は、ほぼ毎日飲酒だったのだから、別人のよう。品行方正、規則正しい生活を守っている。体重、血圧、体温、血糖値を毎日数回計測し、記録も忘れない。薬の服用も決められた分量、頻度を守る。適度の散歩を日課とする。こんなにまじめにやっていると、病気になるのではないかと心配になってくる。  


2012.3.23(金)

日本フィランソロピー協会   

 朝から一日中の雨降り。春を呼ぶ暖かい雨ではなく、冬に戻る冷たい雨。気温は朝方が一番高く、以後、どんどん下がる。そんな寒さの中、日本フィランソロピー協会の理事会に出席のため、霞ヶ関ビルまで。欠席の予定だったが、高橋陽子理事長からの「定足数が足りないので何とか出席を」という緊急連絡に応じた。会長を務めているのだから、よほどでなければ出席が当然なのだが、病後の体調維持のために、活動は控えめにしていた。今日は出席して、いろいろ議論ができてよかった。目立たない法人だが、やっていることは非常に意義のあるものなので、なんとか盛り立てていきたい。

 内閣官房報償費(官房機密費)の支出に関する情報を不開示とした国を相手取り、市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーが不開示決定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。山田明裁判長は、支払い相手先が特定されない報償費支払明細書など一部文書の開示を命じた。国の情報公開への取り組みは、これまでのところ、決して真剣なものではなかった。逃げよう、隠そう、ごまかそうという動きが見て取れる。非開示の言い訳は、説得力がない。地方自治体の20年前の対応と同じ。その対応が批判され、それに応じて都道府県はまじめに情報公開に取り組んできた。この面で20年遅れの国は、自治体の情報公開に追いつくことができるかについては、懐疑的である。どす黒さを感じさせる隠蔽体質は変わっていない。この程度の開示命令でも、国が控訴するとしたら、恥の上塗りになるから、素直に命令に従えばいいのだが・・・。


2012.3.22(木)

よくやった石巻工業   

 がんセンターでの外来受診で築地へ。毎回、タクシーを呼んででかけるのだが、今朝やってきた金港交通の和泉さんは、「築地は初めてなんです。運転手仲間では何度もお送りしたのがいます。私も行きたかったので、今日はラッキーです」と喜んでいた。浜崎橋の混雑もそれほどでなく、50分でがんセンター着。

 一番気になるのは、肺のGVHDの治まり具合。今日のCT撮影では、前回1月の映像と比べると、肺の影は明らかに縮小して、輪郭のない霧状になっている。完全鎮火とはいかなくとも、ほとんど治まっている。その他の検査結果は異常なし。このところ1.2が続いていたクレアチニンの値は1.0に下がり、正常上限の1.1を下回ったのはよかった。皮膚の発疹がまだ残っているので、ステロイドのセレスタミンを1日4錠(10mg)服用する。これに伴って、同じくステロイドのプレドニン(5mg)の服用をやめる。セレスタミンにはかゆみ止めの効果もあるので、皮膚の発疹には有効とのこと。田野崎先生には、細かいところまで、いろいろ気遣いいただいているのを感じる。

 春の選抜高校野球の一回戦、宮城の石巻工業対熊本の神村学園の試合をテレビ観戦。昨日の開会式での石巻工業阿部主将の選手宣誓が大きな感動を呼んだ。チーム力では石巻工業より神村学園は上である。石巻工業が、5回に4点差を逆転した時には思わず歓声を上げたが、健闘はそこまで。5対9で敗戦したが、予想以上の善戦である。真摯に闘う姿は、地元にも勇気を与えたのではないか。よくやった。


2012.3.21(水)

「破戒者たち」   

 日の光がまぶしい。雲ひとつない青空。冷たい風が春の香りを運んでくる。岸根公園の椿、紅梅、白梅が見ごろである。公園内の野球場では、ユニフォーム姿のチームが野球の試合をしている。そんな中、19分+18分45秒の春の散歩を心から楽しんだ。

 「破戒者たち」高杉良著(講談社)を読む。中小企業を救うという目的で設立された日本振興銀行が迷走し、破綻に至る内幕を描いたもの。発刊は3月15日。その翌日の3月16日、この銀行の実質的な創始者である木村剛元会長が、銀行法違反(検査妨害)で懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を受けた。木村氏とは一度だけ会合でご一緒したが、その時の印象はあまりよくなかったのを思い出す。その木村氏が関わっているということで、2005年の銀行設立の時から関心を持っていた。その後の報道で知る限りでは、振興銀行の運営は問題山積という状況であった。小説であるから、どこまで真実かは不明ではあるが、「許されざる者どもの罪業」には、あきれてしまう。高慢、裏切り、へつらい、恫喝、ごまかし、隠蔽、変節・・・まさに「破戒者」である。「小説読むのは夜だけ」のルールを破って、昼間に読了した。

 日本振興銀行の破綻で「優良中小企業への無担保・無保証」というビジネス・モデルは、今の時代には成り立たないことがはっきりした。同じようなビジネスモデルで設立された新銀行東京も経営に行き詰まり、2008年に東京都から400億円の追加出資で一息ついた。東京都の多額の出資に加えて、追加出資があることが日本振興銀行との違いであり、新銀行東京においてもビジネスモデルは破綻しているのは変わらないはず。都税を払っている都民は、この銀行の運営と都の責任について、もっと関心を持っていいのではないだろうか。


2012.3.20(火)

ささやかな達成感   

 散歩で岸根公園に入ったら、子どもたちがあふれている。春分の日でお休みのお父さんが、子どもたちのお相手をしている。一緒にお弁当食べているのもちらほら。いつもと景色が違う。ひょうたん原っぱは、老若男女が散歩(ゆっくり、のんびり)、ジョギング(さまざまなレベル)、ランニング(結構なスピード)、自転車(ちょっと危ない)で一杯。まだ周回を控えている私は、そんな様子の一部を見るだけだが、気分は高揚してくる。3日連続の散歩での達成感もちょっぴり。

 原稿執筆依頼のメールが入っていた。「地方行財政についてフリーに」という課題である。締切りは4月12日とある。編集者に「承知しました」という返信をした後に、「どうせ書くなら、今書いてしまおうか」と思い立って書き始めたら、原稿が出来上がってしまった。こういうのは珍しい。なんとなくの達成感もある。休日明けの編集者が、明日、原稿が送信されているのを見たらびっくりするだろうな。  


2012.3.19(月)

権利ベースと義務ベース   

 まずまずの天候の中、岸根公園への散歩、18分+17分54秒。歩いていると、春の息吹を感じる。適度に身体を動かすのは快感でもある。散歩を続ければ筋肉がついてくるし、いずれジョギング、ランニング、そしてレース参加へと「出世」できそうだ。このところ、週に3回は散歩ができているので自分をほめてやりたい。なんてことを考えながら歩いていて、ついでに、こんなことを考える。散歩は楽しいから、散歩ができることは、自分にとっては権利である。散歩はフルマラソン再挑戦の夢へのステップである。散歩を休むと罪の意識を持つのは、義務ベースで考えているということ。同じ散歩でも、いろいろな見方がある。権利ベースと義務ベース、そして目的達成の手段としての散歩。

 午後から、佐藤進さん、小林るつ子さんが、5月19日の私の出版パーティーの打ち合わせのため来宅。彼らには、これまで何回もお世話になった。出版パーティー請負のベテランである。「任せてください。当日の手伝い要員も確保してます」と佐藤さんが自信たっぷりで請合ってくれる。頼もしいし、ありがたい。楽しいパーティーになりそうな予感がする。出版パーティーは、著者として権利ベースの楽しい機会である。


2012.3.18(日)

ギリシャの復権   

 降りそで降らない曇天の中、岸根公園までの散歩38分余。日曜日の公園は子どもたちの天国。さざめきあう幼い声が春の息吹に乗って快く耳をくすぐる。それだけで気分が良くなる。このところの散歩で筋肉が戻ってきている。やっと普通の人並みの筋肉になったということで、ランナーの筋肉は全然ついていない。散歩をもう少し続けないと十分な筋肉がつかない。

 民主党は、政権党としての筋肉がついていないようである。消費税増税法案という政権の重要政策について、この時期に党内で意見集約の会議を延々と続けており、結着は週明けに持ち越しとはなんたることだろう。この急坂を上る過程において、筋肉がつくということは、私の散歩ではありうることだが、民主党ではどうなるか。それも、きっちり決着がつくというのが前提であるが、果たしてそうなるか。今日あたりも、増税反対派の議員がテレビに出て、「何をいまさら」といった反対論をもさくさと言っているのを見ると、「これが与党議員ですか」と言いたくなる。興味津々というよりは、半分あきれながら見ている。

 ごく最近まで1ドル=76円だった為替レートが、今は83円。対ユーロも97円だったのが109円と、円安に向かっている。ユーロが持ち直しているのは、ギリシャの財政破綻がなんとか回避できる見通しが出てきたことが大きな要因である。日本としても、ほっと一息だが、それにしても、ギリシャの経済、財政が危機的状況にあることは変わらない。「あのギリシャが」の感がぬぐえない。

 「国家(上下)」プラトン著、藤沢令夫訳(岩波文庫)を読了した。ソクラテスの対話を記録したものであるが、紀元前400年ごろのギリシャのアテナイでは、正義の徳の実現には人間の魂の在り方だけではなく、理想の国家としての哲人統治が必要と説くソクラテスなどの哲学者が輩出していたのである。「世界史(上下)」ウイリアム・H・マクニール著、増田義郎/佐々木昭夫訳(中公文庫)を読んでいるところだが、ここでもアテナイを中心とした文化を受け継ぐヘレニズム文明が世界史の中で長く全世界に大きな影響を及ぼしていくことが記述されている。そのギリシャが、現在、財政危機であえいでいる。多過ぎる公務員、働かない国民と、他のヨーロッパ諸国から批判される国になったのは、どうしたことだろう。それとも、底力を見せつけて立派に立ち直るのだろうか。そちらのほうを大いに期待したい。

 ところで、中公文庫の「世界史」は30万部突破で、「全国書店で異例の売れ行き、流行になっている」(読売新聞)。私もその流行に乗ったのだが、読みやすくてなかなか面白い。東大の学生生協で文庫ランキング1位になり、流行に火がついたらしい。本来は、学生時代に読んでおくべき本なのだが、当時は、まだ刊行されていなかった。苦しい言い訳。


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