浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 4月第4週分          

2012.4.30(月)

朝の散歩は楽しいな   

 今朝も6時過ぎに離床。早朝散歩2日目。この時間でも紫外線は強いので、日焼け止めクリームを顔に塗って外へ。丁度、お向かいの恵藤さんのおばさんが雨戸を開けるところに出くわした。「早いですね」、「はい、散歩です」と朝の挨拶。散歩に出発しようとしたところで、道を訊ねられた。地図を手にした夫婦らしき二人である。朝早くから活動を始めている人がたくさんいる。

 散歩では、岸根公園のひょうたん原っぱ一周。チューリップとパンジーの花壇が二ヶ所、チューリップは無慮100本。見事な咲きっぷりである。園内のあっちにも、こっちにも、つつじが咲き始めた。赤、白、赤紫、ピンク。日当たりの関係か、咲き具合がまちまち。それも風情があっていい。季節の花々が目を楽しませてくれるし、小鳥のさえずりは耳を楽しませてくれる。この季節の散歩には、朝が一番いいと思いながら、20分05秒+19分21秒の散歩を終える。

 午後からは、テレビ朝日にて「徹子の部屋」の収録。黒柳徹子さんは、2日前、タクシー乗車中に追突され「軽い怪我」をした。「ニュース報道は大げさよね」と言いながら、元気に番組を仕切っている。話題はATLの闘病のことが中心。「運命を生きる」(岩波ブックレット)の宣伝もしてもらった。徹子さんに乗せられて、快調にしゃべらせてもらったが、どんな出来になったやら。こちらとしては、とても楽しい時間だった。


2012.4.29(日)

ビューティフル・サンデイ   

 4月29日は天皇誕生日。平成になって、この日は「みどりの日」となり、さらに2007年には「昭和の日」になった。これに伴い、「みどりの日」は5月4日に「移動」である。「今日は昭和の日」と言われてもピンとこない。私にとっては、「天皇誕生日」のままである。

 朝から太陽が一杯のビューティフル・サンデイ。今日の横浜の日の出は、4時51分。思い立って、6時過ぎに散歩にでかける。近所の佐藤さんの家の藤の花が、朝日を受けて輝いている。先日、百歳で亡くなった佐藤さん。「あるじなしとて、春な忘れそ」と、梅ノ木ならぬ藤の木に声をかけながら、歩き始めた。岸根公園では、集団でのラジオ体操の真っ最中。無慮100人、平均年齢65歳、男性が8割。仙台ではこの時間、西公園の源吾茶屋の前で仙台SMC(サンデー・マラソン・クラブ)がラジオ体操をしている頃だろう。私もメンバー3,40人と6キロコースを走ったことを思い出す。散歩にしろ、ジョギングにしろ、朝の時間のおでかけは、3年ぶりである。朝の空気と光は格別、あの気持ちの良さを久しぶりに味わった。

 朝飯前に散歩を済ますと、その後の時間がゆっくり使える。時々、楽天対日本ハムの試合をチェックしながら、のんびりムードで、「新言語学序説」6月号、第101回目の原稿を書き上げた。散歩をしながら思いついた「仙台弁について」のテーマで2,800字。その楽天の試合は、武田勝に2安打完封負け。いいところなしの完敗である。田中将大投手の復帰が待たれる。


2012.4.28(土)

ゴールデンウイーク開幕   

 今日から3連休、2日置いて、また4連休。「置いて」の2日間は、大学は全学休講なので、私にとっては9連休になる。これまでが休んでばかりの生活だったから、休みのありがたさは、今さら感じない。「9連休を使って外国旅行」という気分ではないし、それができる状態でもない。昼前に、追加の買い物で横浜高島屋へ。行き帰りとも東横線を使ったのは久しぶり。電車に乗ると、今まで知らなかった乗客の生態に接する。席に坐っている人の半分は、携帯ないしスマホのメールを読んでいる。若い人については、ほぼ百%。昼は、妻と一緒に高島屋8階でおそばをいただく。これも、私にとっては小旅行のようなもの。

 家に戻ったら、岩波書店から「運命を生きる―闘病が開けた人生の扉」の見本刷りが届いていた。拙著の刊行予定は5月9日だが、編集担当の山本賢さんから、「思いがけず、見本刷りがこんなに早くできました」とのコメント入りで届いた荷物。1月末の講演会から始まって、原稿を書き上げ、何度もチェックし、数回の校正もこなしながら、二人で作業を進めてきた。これまで何冊か、本を出したが、いつも出産にたとえていた。今度の本では、ここまで順調に進み、月満ちての出産である。体重(わずか80頁)が少ないこともあり、安産で済んだ。後は、すくすく育ってくれるのを望むだけ。


2012.4.27(金)

患者と医療をつなぐむずかしさ   

 午前中の来客は珍しい。雨の中、大熊由紀子さん、豊田郁子さん、大西淳子さんが来宅。来月27日(日)開催の「『架け橋』設立シンポジウム」で、私が基調講演を依頼されていた。「架け橋」は患者・家族と医療をつなぐNPO法人。豊田さんはその理事長。現在は、東京の新葛飾病院で患者支援室で、患者・家族と医療をつなぐ仕事についているが、同じ葛飾区内の病院で医療事務職員として働いているときに、葛飾区内の病院での医療過誤で息子さんを亡くし、その後の病院側の不誠実な対応により耐え難い傷を負った経験の持ち主である。大西さんは、厚生労働省で看護職を務めた経験もあり、現在は、架け橋の事務局を背負っている。話を聞いて、講演のタイトル「自身の体験から院内患者サポートに求めるもの」の「自身の経験」は、ATL患者としての体験というよりは、宮城県知事として、情報公開にどう取り組んだかという体験についての話が期待されていることを知った。

 朝からの雨が、時に激しく、ずーっと降り続いた。16時になって、降り止んだのを確認して、散歩に出る。今にも雨が降ってきそうな夕方の岸根公園には、人の姿がまばら。そんな中、ほぼ一週間ぶりの散歩をこなしている私。楽しむというよりも、「これ以上散歩を休んではいられない」という一念で歩いているような気がする。


2012.4.26(木)

小沢氏に無罪判決   

 国立がん研究センター中央病院での外来診察で築地へ。今日の検査結果は、血液、尿、胸部レントゲンの所見も含めて異常なし。自覚症状でも不具合は何もないのだから、すべて順調と言っていい。外観の「不具合」とすれば、頭髪が戻っていないこと、顔のむくみ、赤み、目の腫れがある。テレビ出演の私を見て、病後であることを知らないからだろうが「急に老けた」、「人違いかと思った」、「かつらをはずしたのか」といった言葉がネットに登場する。ステロイドのセレスタミンが3錠/日から2錠に減るので、外見の「不具合」は改善に向かうことが期待される。

 診察順番待ちの廊下で、女性ばかり3人のATL患者と近況報告。年齢、主治医、治療の経緯、発病の時期、みんなほぼ共通。元気一杯なことも同じである。お互いの順調な回復ぶりを喜び合い、現状の情報交換ができる。こういう「同級会」はとても有意義である。

 政治資金を巡って収支報告書にうその記載をしたとして、強制的に起訴された民主党の小沢元代表に、東京地方裁判所は無罪の判決を言い渡した。これまでの審理の経過から、無罪判決は予想されていた。判決内容について、特にコメントはない。これからの政局は大変だろうなとの思いのほうが強い。政局にかまけていないで、何とか政策論議を進めて欲しいと願うのみである。


2012.4.25(水)

キャンパスのハナミズキ   

 慶應大学SFCにて、「未来構想ワークショップ」の授業。ハナミズキがキャンパスのあちこちに白い花を咲かせている。ここには、桜よりも、ハナミズキがよく似合う。自分を主張するような大きさ、派手さはないが、見るものをなごませてくれる。授業は、グループワークの二回目。11のグループに分かれて、議論を戦わせている。「グループワークがしたいからSFCを志望した。問題解決型の授業が楽しい」というだけあって、グループごとに、嬉々として、そして熱心にむずかしい課題に取り組んでいる。こちらは、時々グループを回って、適宜「指導」するだけ。来週からは、アポイントの取り方、電話の掛け方、取材のマナーなどについて、「実技指導」をすることになる。

 午後からは、「障害福祉研究会」の学生3人と一緒に、藤沢市商工会議所に金井正志郎専務を訪問。研究会を中心にして、藤沢市で「ぷれジョブ」を立ち上げたい。そのために、障害児を受け入れてくれる協力事業所が必要なので、それを紹介してもらいたいという趣旨での訪問である。昨日の研究会のゲストでおいでいただいた(株)ウイングルの鳥光誠社長室長、5月のゲスト予定の藤沢市在住の内海智子さんも同席。なかなか簡単にことは進まないが、学生がやる気なので、なんとかうまくいきそうな気がしている。


2012.4.24(火)

この歳になっても出会いはある   

 慶應大学SFCでの授業の日。今日も「政策協働論」(第3回)の授業を気を入れてやらせてもらった。「ほんものの民主主義と情報公開」が今日のテーマ。知事時代の実例を入れての講義には、学生も興味を示している。反応があると、授業をするほうも励みになる。

 午後からの3時間余は、「障害福祉研究会」の時間である。今日も、いい出会いがあった。4時限にゲストとして登場いただいた梅田真理さんは、この場が初対面。10月に仙台で開催の日本LD学会での講演を依頼されていたが、その窓口が梅田さん。連絡を取り合ううちに、「梅田さん、私の研究会にゲストで来てよ」となり、「はいはい」の二つ返事で合意ができ、今日の登場となった。発達障害について、学生に発達障害になった気持ちを味合わせる一種のロールプレイのゲームも交えて、大変に有意義な講義をしていただいた。本人の希望で、5時限も聴講。

 その5時限のゲストは、(株)ウイングルの鳥光誠社長室長。会社の同僚お二人とともに、4時限の聴講に続いてのゲスト出演というのは、先週のこの時間のゲスト、藤野英明横浜市議会議員と同じ運命。先週、社長ともに、「取材」で我が家においでになった。同僚の一人、渡邊龍彦さんは、2010年SFC環境情報学部卒業である。ウイングルが障害者の就労支援で、驚くほどの成果を挙げていることの紹介があった。ウイングルは2008年に企業での就労に送り出した障害者が35名だったのが、2011年には536名。全国での障害者の新規就労者3,500名中、ウイングル経由が536名ということは、13%である。従業員数が53人から437人に増えた。売上高は4億円から17億円へと急成長である。その成功の秘密は、障害者就労についての確かな哲学、実現のための方法論、優秀な社員、そういったものの集大成だと、鳥光さんの説明を聞きながら自分で納得していた。すごい、すごい。一週間前に会ったばかりの鳥光さん。「来週行きます」と応じてくれたのだが、ここまでいい成果になるとは期待していなかった。5時限に残ってくれた梅田さんとも、貴重な出会いになったことも付け加えたい。

 今日は、もう一つの出会いがあった。大学から帰るタクシーで、玄秀盛さん(4月18日、19日の日記参照)と電話で話をした。昨日、玄さん宛てに「HTLV-1ウイルス感染の事実を知って『一年以内に死んでしまう』というのは誤解を生むからやめて欲しい」という手紙を出した。それに対する反応で、玄さんから電話があった。聞けば、玄さんも私に会いたいと思っていたとのこと。「授業のゲストで今度来てくれ」、「一緒に食事でも」に対しては「喜んで!」の反応がすぐに返ってきた。どちらも、近く、実現するだろう。玄さんは、私にとっても、あこがれの人である。こんなに早く、出会いがあるとは考えていなかった。こちらかの働きかけがあるから、新しい出会いが生じる。今日の障害福祉研究会のゲストも同じである。この年になっても、新しい出会いがあることに、改めて感じ入っている私。


2012.4.23(月)

国会で参考人陳述   

 昨日に続き、雨模様。菜種梅雨は終わったし、ほんものの梅雨入りはまだ先。明日から3日は日程上、散歩はできない。今週は、お散歩屋さんは開店休業状態。

 早お昼をして、国会へ。参議院行政監視委員会の参考人として呼ばれていた。地方分権、道州制、大阪都構想などについて見解を発表し、委員の質疑を受ける。他の参考人は、堺屋太一氏、井戸敏三兵庫県知事。まずは、控え室で「しばらくでした」のご挨拶を交わす。委員会に入ってみたら、寺田典城前秋田県知事、長谷川岳議員、鈴木寛議員など、旧知の顔が並んでいた。13時から16時までの長丁場だったが、久しぶりの「議会答弁」を楽しんだ。  


2012.4.22(日)

朋あり、遠方より来る   

 散歩にでかけようと思って外を見たら、傘をさして歩いている人が目に入った。今日は、なんとなく散歩休もうかなというところにこの天候。体力温存の日曜日。

 時間ができたので、本でも読もうかと、「泣いてもええねん、すべてはそれからや」玄秀盛著(KKベストセラーズ)を手にとった。NHKのラジオ深夜便に出演していた玄さんの話に感動してアマゾンから取り寄せた本である。大阪弁で書いてあるので、話し言葉の調子が伝わってくる。「HTLV-1ウイルスに感染を知った。一年以内に寿命がなくなる。生きてきた証が欲しい」ということで、ボランティア活動に入るのだが、ATL発症すると助からないと決めつけるところが気になって仕方がない。これは事実と違うよ、私たち(ATLネットの仲間)は、病気から回復して元気にしているよ。ということを玄さんにもお伝えしておかなければという気にさせられた。

 午後からは、出演予定の番組の打ち合わせ。続いて「バンキシャ」に出演。「バンキシャ」では旧知の宋文洲さんと一緒の出演だった。久しぶりにお会いしてうれしかったのは、宋さんも同じ。日本テレビのスタジオでは、3年ぶりの再会の喜びをハグハグで表す。直前に、北京から飛んできた宋さん。「3時間で来られる、通勤圏内だよ」と相変わらず、元気一杯に活躍しているのがうれしい。


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