浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 9月第4週分          

2012.9.22(土)

こんな偶然ってあるのか   

 曇り空の朝、涼しい風は、何日ぶりだろう。陽も照っていないので、「目出し帽子」はいらない。普通の帽子での散歩は呼吸が楽。秋分の日を期して、秋が来たわけでもないが、気温も控えめの朝の散歩は、身体がとても楽である。ラジオ体操も、いつも以上に力が入っても汗もかかない。そんな中の35分の散歩は、「秋一番」とでも名づけようか。

 昼間は、来週から始まる大学秋学期の授業の準備に費やす。長い夏休みを経て、ゆるみ勝ちだった精神が、授業開始を前にして、少しだけ締まってくる。これが慶應大学での最後の学期になる。だから特別ということもないが、それなりの感慨を持ちながら、秋学期の開始を待っている。

 夜は、残間里江子さん、中山むつ枝さんと我々夫婦の会食。これが、人生でそうそうないような偶然の所産である。多忙を極める残間さんの日程確保がむずかしいだろうと思いつつ、昨日、会食お誘いのメールを送った。「遠いところ恐縮ですが、当方のフランチャイズの横浜みなとみらいにおいでください」とお誘いしたところ、10月半ばまで日程は空かないが、その翌日(今日のこと)だけ空いているとの返信があった。しかも、今日の午後は、みなとみらいにある「横浜美術館」に、明日が最終日の「奈良美智の展覧会」を中山さんと見に行くとのこと。しかも、しかも、母上の今晩の介護は、弟夫婦が月に一回の「当たり日」で、残間さんは家にいなくていいらしい。こんな偶然は、神の思し召しというべきものだろう。今回の病気では、最初から最後まで、残間さんと中山さんにお世話になった。心からの励まし、支援もいただいた。早いうちにお目にかかりたいと思っていたところ、ここでの会食のお誘いになった。そして、この偶然。夜景がきれいなお店での会食は、時間が過ぎるのも忘れるほどの心に残るものになった。


2012.9.21(金)

民主党も日中関係も雨模様   

 朝、散歩に出たら、雨が降り始めたところで、急遽散歩は中止。こういうのを「雨模様」とは言わない。先日公表された「国語に関する世論調査」によると、「雨模様」を「小雨が降ったりやんだりしている様子」と理解している人が多いとのこと。正しくは、「今にも雨が降り出しそうな空の様子」である。天気に関するまちがい用法では、「一転にわかにかき曇り」がある。正解は、「一天」だが、「一点」という誤用も見られる。それはそれとして、思わぬ伏兵の出現で、3連敗となってしまった。

 今週3ヶ所目の医療機関通いは、横浜労災病院。耳鼻科の竹村英毅先生の診察では「両耳とも、きれいです。治りました」ということ。診察前の聴覚検査の結果も、両耳とも「正常」だったから、予想はしていたが、うれしいことである。竹村先生、ありがとうございました。ふつうに音が聴こえるということを、当然のこととして過ごしてきた60年余であったが、聴こえが悪いことの不便さ、つらさを少しでも知ったあとには、健聴のありがたさが実感できる。

 民主党代表選で、野田佳彦氏が7割の得票を得て再選。現職総理大臣だから、当選するのはあたりまえのこと。むしろ、3人もの対立候補が出て、反野田の発言を振りまいたことのほうが異常である。再選はされたが、これからが大変。民主党から離党者がまだまだ出ることが当然視されている状況では、前途、波高し。

 中国は、尖閣諸島問題に対抗して、日本企業の通関の厳格化、レアアースの禁輸(検討中)、経済だけでなく、スポーツ、文化、観光などの交流の中止といった措置を取っている。領土問題にからめての経済制裁で、問題が解決するはずがない。自分の首を絞めるだけでなく、世界経済にも悪影響を及ぼす。中国が経済大国であることの自覚があれば、自重すべきことだろう。  


2012.9.20(木)

ATLとミニ移植の記事    

 TBSラジオ「おはよう一直線」に電話出演。冒頭、生島ヒロシさんから「昨日の『日刊ゲンダイ』に浅野さんと田野崎先生が載っていましたよ」と言われて、びっくり。普通は、こういう場合、事前の取材があるのだけれども、今回は何もなし。生島さんに教えてもらわなかったら、わからず仕舞いだったろう。8分しかない出演時間のうち2分ほど、この話題で費やしたので、残りの短い時間で、民主党代表選、尖閣諸島問題についてコメントするのは無理な話。その無理な話でも、やらねばならない。新聞の見出し程度のコメントだったが、急ぎ足でカバーした。

 そして今日は、二週間に一回のがんセンターでの受診の日。TBSスタッフからFAXで送ってもらった「日刊ゲンダイ」の記事を持って田野崎先生の診察へ。田野崎先生も見ていなかったとのこと。「元宮城県知事を生還させたミニ移植」という見出しの記事で、写真つきの田野崎先生がコメントしている。「(浅野さんの場合)ミニ移植と呼ばれる、骨髄移植の新たな治療法がうまくいった典型例です。白血病の中で最も治療が困難で予後は厳しいといわれてきた成人T細胞白血病です。その現実を真正面から見据えて闘い抜いた成果といえるでしょう」と語っていた。新聞記事にしてもらったことで、ATL、ミニ移植、田野崎隆二先生の「宣伝」になった。ATLはマイナーな(患者数が少ない、新しく発見された、情報が少ない)病気であるだけに、こういったふうに広く世の中の人たちに知ってもらうのが、とても大事なことである。

 診察のほうは、異常なし。前回の診察のときもそうだったが、田野崎先生はあくまでも慎重である。まだまだ、肺のGVHD発現のおそれが払拭できないということで、検査結果が順調に推移していても、気を抜かない。ステロイド5mg/日を減らすのも先延ばしである。患者(私のこと)のほうでも、気を抜かないで、慎重にいかなければならない。


2012.9.19(水)

久しぶりのミュージカル    

 朝は雨。夜半には、カミナリ、強風つきの大雨。久しぶりに、散歩はお休み。明日も日程上できないので、連敗となる。

 キッシンジャー回想録「中国」上下(岩波書店)を読了。上巻を先月読了してから、一ヶ月おいて、最近下巻を読み始めた。キッシンジャー氏は、中国への密使から始まって、米中関係交渉の当事者であるから、交渉の内容の細部にわたるまで、書き込んである。そんな当事者の目とは別に、観察者、分析者、政治学者の目での叙述がすごい。極めて優秀な歴史学者の作品ともいえる。どういった歴史を踏まえて、現在の中国があるか、深く理解することができる。この本を熟読すれば、現在の尖閣諸島の領有権をめぐる対立情況に、日本としてどう対処すればいいのか、少なくとも、中国当局に向かう姿勢をどうすべきかの回答が得られる。

 夜は、光子と浜松町自由劇場での劇団四季の「赤毛のアン」を鑑賞。映画、演劇、ミュージカル、コンサートを問わず、こういう劇場に来たのは、4年ぶりである。それだけでも感激だが、ミュージカルの出来にも感激。歌唱よし、ダンスよし、なかなか高い水準である。終演後、食事をして帰宅したら、23時になっていた。


2012.9.18(火)

なつかしの2BEAT    

 雲行きが怪しい中で、ラジオ体操をきっちりやり、帰りの散歩でも雨にはあわなかった。蒸し暑い。午前中、宮沢歯科へ。長丁場の治療である。来週の月曜日も予約。歯科からの帰りには、お日様が出ているのに、雨がぱらぱら。持参した傘は、日傘、雨傘になった。

 夜は、新橋で大野博見さんと会食。彼とは、環境庁自然保護局企画調整課で一緒だったから、かれこれ39年の仲である。会食の後、「2BEAT」へ。ここは大野さんに紹介されたお店で、39年間通っている。大野さんと一緒の頃は、一週に1回は行っていたし、彼は一週3,4日は我が家に泊まって、翌日一緒に役所に出勤という生活をしていた。お互い独身、時間も体力も十分にあった良き時代であった。それが、今晩、一部再現である。久しぶりの浅野三郎さん、なつかしい。当時から「サブロー、シロー」と言い合っていた。エルヴィスの歌なら、なんでも弾き語りで歌えるヨーゾーさんは初対面だが、一緒にエルヴィスの歌を歌った。エルヴィス友の菅原知代子さん、病友の敏さん夫妻も合流。門限が気にならなければ、もっともっと居たかった。


2012.9.17(月)

「敬老の日」だけど    

 「敬老の日」の祝日。岸根公園では、敬老対象の高齢者が、毎日、元気にラジオ体操を楽しんでいる。64歳の私は、その予備軍である。別に「敬老」なんていう扱いはしないでいい。放っておいて欲しい。団塊世代の第一陣としては、子どものころから「お前たちの学年は人数が多い」と言われ続け、今では「団塊の世代が少子高齢化の元凶だ」と疎まれている。放っておいて欲しい。黙ってラジオ体操やらしておけばいい。まだまだ老人ではないぞと思いながら、この病後の男(私のこと)は、今日も元気に散歩をし、ラジオ体操に汗を流す。

 北朝鮮が、日本人の拉致を認めて10年になる。金正日総書記が亡くなり、金正恩体制になった今が、拉致問題解決のチャンスではある。制裁だけでなく、支援との引き換えのカードも使ったらいい。この機を逃すと、解決はさらに遠のく。横田めぐみさんのご両親など、ご家族は高齢化している。これ以上待てない。その心の中を思いやると、こちらの心も痛む。ご家族の方々にとっては、「敬老の日」は遠い遠い出来事としか思えないだろう。来年の「敬老の日」こそ、心から祝える日になって欲しい。


2012.9.16(日)

日曜日らしい過ごし方    

 日曜日の集団ラジオ体操は、いつもと雰囲気が違う。小学生が2人参加していた。今朝の日経新聞に「ラジオ体操の効用」の記事が載っていた。まじめにやれば、結構カロリー消費もあるし、筋肉強化にもなる。まじめに続けよう。最近始めた腹筋運動、やり方を試行錯誤しながら、10日以上続いている。このところは、頭の下に両手を回しての「標準腹筋運動」で20回以上を一日に数回続けている。散歩は季節の移り変わりを感じたり、景色を眺めたり、結構楽しい。ラジオ体操も、みんなと一緒ということも、続ける要因である。腹筋運動には、「面白い」という契機がない。せめて、運動の効果として、腹筋の盛り上がりが感じられると、張り合いが出てくるのだが、その兆候もない。それなのに、10日も続いていることが不思議である。

 「ひらいて」綿矢りさ著(新潮社)を読む。短い長編小説(?)なので、あっという間に読み終わる。この本は、先日、「勝手にふるえてろ」(文春文庫)と一緒に、TBSの高田直さんにプレゼントでいただいたもの。青春小説といっていいのか、主人公の変わった感性は、著者のものを投影しているのだろう。変わった小説だが、著者の才能のきらめきは感じる。綿矢りさの作品は、一応、4冊でしばらく打ち止め。昨日は、「仮釈放」(新潮文庫)を読み終わり、吉村昭の手持ちの作品は、これをもって全部読んでしまった。冲方丁の「光圀伝」など、アマゾン経由で購入したい本が何冊かあるが、しばらくは、書棚に「積ん読」状態の本を読むことにして、購入は控えることにする。

 中国各地で反日デモが暴徒化している。大使館、領事館への攻撃は、ウイーン条約で禁止されているのに、警官隊の防備は不徹底である。日系のレストラン、デパート、スーパーマーケットなどへの破壊行為は目に余る。国際社会の中で、それなりの地位を築きつつある中国で、このような常軌を逸した反日デモが続くとは、実に嘆かわしい。中国自らが、国家としての品位を著しく傷つけている。国際社会が中国を見る目も変わってくるだろう。尖閣諸島の領土問題については、日本が毅然とした態度で対応をするのは当然であるが、それと平行して、国際社会の良識に訴えることも大事である。

 「日曜日らしく」の言い訳を心の中でしながら、昼間は楽天対オリックスの試合をスカパーでみっちり(最初から最後までということ)テレビ観戦。今日も3対1で勝利。好投の田中将大の後を3人の救援投手陣がきっちり抑えた。この図式が機能して、楽天は4連勝である。この調子なら、3位以内も射程内である。


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