浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 9月第5週分          

2012.9.30(日)

大阪の夜   

 9月最後の日。日本列島は、台風に見舞われた。明日の新幹線が正常どおり動くか危ぶまれる(危ぶんだのは、番組スタッフ)ので、今日中に大阪入りすることになった。台風は大阪方面直撃ということはなく、無事、ホテルで朝を迎えられそうである。ホテルの窓からは、大阪城公園が見える。こんな日でも、大阪城ホールでは、イベントがあるのだろう。雨と風の中、傘を差した大勢の善男善女が、ホールを目指して歩いている。

 ホテルでゆっくりする時間。読みかけていた「柔らかな犀の角」山ア努著(文藝春秋)を読む。すごい読書家、そして良き読書家である山ア氏の語る人生観が通り一遍でなく、含羞の言葉が心に残る。自分のことを「いいかげんな怠け者」といいながら、この本で取り上げる作者を「タダモノではない」と評する山ア氏もタダモノでない。  台風は、大阪からは離れていったようだ。明日の天気を心配することなく、ゆっくりと、のんびりと大阪の夜を楽しむ。


2012.9.29(土)

台風17号接近中   

 朝、見上げれば秋の空。陽の光がまぶしい。湿度も気温も低めのすがすがしい空気の中の散歩とラジオ体操が、無料で楽しめる。病気する前、趣味のランニングは、ゴルフと違って「ランニングコスト・ゼロ」と吹聴していたのを思い出す。同じく、コストゼロのラジオ体操を楽しんでいる仲間が、今日は100人以上。みんな秋の陽の光の中で輝いている。

 少し暑くなった日中、暑さにめげず、月刊「ガバナンス」連載中の「続・アサノ・ネクスト」の11月号26回目の原稿を書く。前号の続きで、「民意とは何か(続)」と、テーマは決まっていたので、楽に書けた。本棚にあった「アサノ知事のメルマガ」(ぶどう社)を手にとって見たが、知事として、政治家として、硬い内容の原稿を毎週書いていたのに、自分のことながら感心してしまう。むしろ、忙しいからこそ原稿が書けたのかもしれない。現在のゆるい日程の生活の中、なかなか原稿が書けないのと対比して、そう思う。

 非常に強い台風17号が接近中。今夜は沖縄本島、奄美地方を暴風域に巻き込んでいる。来週の月曜日は読売テレビの「ミヤネ屋」出演のため、大阪に行く。もろに台風に向かっていくことになるのではないか。心配である。  


2012.9.28(金)

結婚記念日に    

 今日は、我々の35回目の結婚記念日。一昨年はGVHD治療のため入院中で、何もせず。日記には「34回目の記念日には、おいしいものでも食べながら、二人で祝おうな」と、病室に来てくれた光子に言ったことが書いてある。昨年の日記には、何も記述なし。今年こそはと思わないことはなかったが、特に何もしない。本来、結婚記念日は、子どもに祝ってもらうものではないかとも思っている。子どもたちに、その気配はない。

 その代わりにではないが、夜は、横浜みなとみらいホールに、劇団文化座公演「千羽鶴」を見に行く。この公演は、社会福祉法人「十愛療育会」の後援会が主催している。その後援会の会長を私が務めているということで、開演前に一言ご挨拶をさせてもらった。劇は、簡略化された舞台で、広島の原爆投下と現在のカナダが「同時平行」で進展していく。両者を結びつけるのは、千羽鶴である。被爆から原爆症になった禎子は、白血病で亡くなる。「今なら、骨髄移植で助かるのに」と同病で助かった私は、複雑な気持ち。

 観劇の帰途、イタリアレストランに飛び込んで食事。ささやかだが、これが結婚記念日を祝う機会になった。「35年間、ありがとう」の気持ちを伝えられただろうか。


2012.9.27(木)

仙台二中・仙台二高在京同窓会    

 朝は、風が吹くと、寒さを感じるほど。誰が何といっても(誰も言わないけれど)、秋の到来である。気持ちがいいと思う反面、寂しさも半分。ラジオ体操も、散歩も気持ちよくこなして帰宅。

 昼は、雑用をこなしているうちに、時間が過ぎる。夜は、「仙台二中・仙台二高 在京同窓会」でホテルオークラに。200人以上の出席の盛況にまず驚き、そのうちに現役大学生が20人も出席しているのに驚いた。こういう同窓会は、大体が老人の会になりがちなのに。半分の10人は女性であるのに、さらに驚く。共学化になって、第一号の卒業生は2010年卒の高62回生である。今回出席の10人の女性の半分以上が東大生なのにも驚く。今日の司会も、共学第一回生、東大経済学部三年の米田まりなさん。2007年から仙台二高は男女共学になった。今では、三分の一が女子だそうだ。

 今日の同窓会の圧巻は、青山史朗大先輩(中40回)にお会いしたこと。「共学化は浅野知事がやったんだ。最初の知事選のときは、あんなに一所懸命に応援したのに、恩を仇で返された」と怒っていたのは知っていた。そろそろほとぼりが冷めた頃かと思って、青山さんのテーブルに「表敬訪問」したら、「浅野は嫌いだ。あっちへ行け。ぶんなぐってやりたい」と真顔で私に面と向かって怒鳴る。青山さんは88歳でエイジシューターの偉丈夫である。91歳の先輩にぶん殴られたら、話の種になるなと思いながら、その元気さに敬服。「写真を一緒に撮りましょう」とお誘いしたら、「いやだ、浅野は嫌いだ」と言って、カメラにそっぽを向く。このひたむきさに脱帽。それもこれも、たくさんの出会いのある楽しい会だった。


2012.9.26(水)

自民党総裁に安倍氏    

 涼しい朝。岸根公園に入ると、虫が合奏をしている。秋だなあ。何をするにも、気持ちがいい。散歩、ラジオ体操を終えても、汗の掻き方が違う。夏に比べると、身体が軽い。一方で、あの夏が行ってしまうのに、寂しさを感じる。

 SFCのキャンパスも秋の風情である。2時限目の「政策法務論」が今日からスタートした。グループワークを柱にした授業である。少人数クラスの利点を生かして、面白い授業ができそうである。15時から大学院の会議、17時から全体の教員会議。終わったのが、18時45分。外は真っ暗で、虫の音がうるさいほど。夜のキャンパスも秋の風情。この風情がとてもいい。

 自民党総裁に安部晋三氏。一回目の投票では、石破茂氏が1位だったが、国会議員だけでの決戦投票では、安倍氏に及ばなかった。若手代表格になった小泉進次郎議員は二回とも石破氏に投票したことを明かしながら、「新しい自民党を築ていただきたいと期待を込めて」というコメントがいい。決選投票での「逆転」を、プロ野球のCSでは、2,3位でも日本シリーズに出られるルールにたとえて、「ルールはルール」というあたりのコメントは冴えている。それにしても、党員・党友の投票ではダントツトップの石破氏ではなく、安倍氏を総裁に選んだのは、さすが自民党という強さと見るべきなのか、やっぱり自民党だわなという弱さと見るべきなのか。答は、いずれ「ちかいうちに」出るかもしれない。


2012.9.25(火)

秋学期の初日    

 慶應大学SFCでの秋学期が始まる。2時限の「地方自治論」には、120人ほどが履修希望を提出。丁度いい人数である。「選抜用紙」(履修を希望する理由を記述する)には、学生の熱心さが感じられる。いい授業になりそうな気がする。

 4時限、5時限は「障害福祉研究会」。23名+1名(本日欠席)が履修することになった。予想以上の履修者である。半分は、前学期又は昨年からの継続履修者だが、半分は、新規の履修者であるのには、やや驚いた。喜んで全員を受け入れたい。今学期は、現場に学生が出向いて調査、研究し、成果を授業で発表してもらう。学生もやる気満々の様子なので、これもいい授業になりそうな気がする。


2012.9.24(月)

薄い髪でも美容院    

 朝は10月並みに涼しく、昼は8月並みに暑い。夜には、雨。朝の涼しい時間帯に散歩とラジオ体操を楽しむ。岸根公園の集団ラジオ体操には、「責任者」と思しき人がいる。彼は、毎朝、岸根公園にラジカセを持ち込んで、NHKラジオを会場一杯に聴こえるボリュームにして流している。こういう人がいるからこそ、集団ラジオ体操が続いている。そういえば、仙台の西公園内源吾茶屋前に毎週日曜日集まって、6キロランを楽しむ「サンデー・マラソン・クラブ」にも、こういった「責任者」がいた。走る前の準備運動にラジオ体操を流す(こちらはテープ)のは、岸根公園と同じ。ところで、昨日は雨降りだったが、岸根公園のラジオ体操は中止になったのだろうか。そんなことを考えながら、30分余の散歩を終える。

 午前中、宮沢歯科で治療。冷水で歯が沁みるのは、少し治まったが、上下左右の奥歯4ヶ所の処置をするのだから、まだまだ治療完了とはならない。気長に治療を続けよう。午後は、近所の病院ならぬ美容院で、髪の毛をカットしてもらう。復興が遅々として進まない頭髪であるが、それなりに伸びることは伸びる。放っておくと、不ぞろいでかっこ悪くなるので、3ヶ月に1度ぐらいには、カットして揃えてもらう。カットの量が少なくても、料金は同じというのは、仕方がないのだろう。ともかく、髪の毛が早く復興して欲しい。

 民主党代表に再選されたばかりの野田首相が、主要な党内人事を早々と決めた。輿石東氏の幹事長留任は、離党議員をこれ以上増やさないためだとか。誰が幹事長になろうが、離党する議員は離党する。いずれ解散というこの時期に、参議院議員の幹事長というのは、いかがなものか。衆議院選挙を仕切る「党の顔」として、本当に、この人でいいのか。幹事長代行になる安住淳氏がいるから大丈夫というわけにはいかないだろう。細野剛志氏は政調会長。あれっ、細野氏は、原発事故の処理に邁進するからといって、民主党代表選挙への出馬をやめたのではなかったのか。まあ、政策についてはともかく、人事のことについて、外からいろいろ言うのはいかがという声(私の声)があるので、もうやめる。「窮すれば鈍する」といった人事にならないことを願うものである。


2012.9.23(日)

♪雨がしとしと日曜日♪    

 一日中、雨。それもかなり強い雨。気温もぐっと下がった。明日には暑さが戻ってくるだろうから、しばしの涼しさを楽しもう。

 その涼しさの中、明後日の大学授業再開に向けて、地道な作業に没頭する。秋学期は、「地方自治論」と「政策法務論」の授業と「障害福祉研究会」(2コマ)を担当する。第一週目のレジュメは、すべて作成した。授業には何人やってくるかな、どんな学生が履修するのかなと今から楽しみである。慶應大学SFCでの最後の学期、楽しく、有意義に過ごしたい。

 今朝の毎日新聞「今週の本棚」の欄に「この3冊 浅野史郎・選 エルヴィス・プレスリー」という拙文が掲載されている。和田誠さんのイラストに、多分、私の顔が描かれている。「多分」というのは、髪の毛ふさふさバージョンなのはいいとしても、あまり似てないから。こんな文章を読んで、一人でも新しいエルヴィス・ファンが増えたらいい。


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