浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  10月第3週分          

2012.10.20(土)

興味深い研究発表

 朝の早い時間から、慶應大学SFCでの業務がある。湘南台からキャンパスまで、久しぶりにバスを利用した。土曜日で空いている。同僚の教授たちも、利用している。キャンパス近くの市民農園には、コスモスが一杯。「ご自由にお持ち帰りください」の看板がある。お持ち帰りになっている市民の姿が、結構多い。秋空が広がる中でのコスモス畑。秋だなあ。

 今日の業務は、修士課程中間発表の審査員を務めること。大学院生による興味深い研究発表が続く。「グローバリゼーション下のインドの文化活動」、金融市場の価格規制とマイクロストラクチャー」、「ソーシャルメディアは政治家を雄弁にしたか」などなど、11件の発表があった。最後の発表は、中国人留学生によるシンガポールからのネット中継である。1件あたり、質疑を含めて15分という短い時間での発表だが、審査するというより、知的興味を刺激されながら、発表を楽しんだというのがほんとのところである。SFCの修士課程の学生も、なかなかやるじゃないか。

 時期遅れになってしまったが、「週刊朝日」の橋下徹大阪市長に関する記事について、ちょっとだけ書いてみる。たまたま、「あの」号の「死の恐怖を乗り越えて−がんと向き合う」という特集に、私も登場している。編集部から自宅宛に送られてきた「週刊朝日1月26日号」を読んでびっくり。「ハシシタ、奴の本性」のタイトルを眼にして、一歩引いてしまう。「橋下徹のDNAをさかのぼり、本性をあぶり出す」とは、なんと品のないサブタイトルだろう。内容も、橋下氏に対する悪意に満ちたもので、「なんだ、これは」といった書きぶりである。イエロージャーナリズムか、これは。筆者が佐野眞一氏であることに、二度びっくり。彼の作品は、何冊か読んで、仕事ぶりを高く評価していた。その佐野氏がこんな低劣な記事を書くなんて。これ以上はやめよう。

 橋下氏が怒るのは当然。朝日新聞も槍玉に挙げるなど、やや張り切り過ぎのところも見られたが、基本的には、きっちりと対応していた。その剣幕に恐れをなしたのか、「週刊朝日」が、早々とお詫びのコメントを出したのには、驚いてしまう。そのまま突っ張れとは言わないが、こんなに簡単に「ゴメンナサイ」としていいのだろうか。言論機関としての立ち位置はどうなったのだろう。そちらのほうも、気になって仕方がない。「緊急連載」のはずが、これで打ち切り。別の「特集」に顔を出したおかげで、橋下氏の大きな顔写真が表紙になった記念すべき「週刊朝日」を手にすることができた。永久保存版にしようか。


2012.10.19(金)

「ぷれジョブ藤沢」第二号始動

 朝の散歩、ウインドブレーカー着用が丁度いいぐらいの天気。気温はともかく、吹いてくる風が冷たい。まさに、「ウインドをブレークするもの」が必要である。岸根公園に集まるラジオ体操愛好者も、最盛期の半分ぐらいに減っている。「寒くなったねえ」の会話が飛び交う。これで冬になったら、どうなるのだろう。真冬はお休みになるのだろうか。

 午後から、小田急線長後駅近くのcafe KO-BAへ。ここが「ぷれジョブ藤沢」第2号の職場になる。KO-BAを経営する(株)古久家の小林春代社長が協力してくれることになり、私とワキプリントピア(第一号の職場)の脇屋英子社長が事前説明をする。第2号の訓練生になる武藤俊樹君のお母さんも同席。小林さんは、「ぷれジョブ」の趣旨、ねらいをすぐに理解してくれて、「やりましょう」ということになった。第一回は10月28日(日)の9時半に、KO-BAで始まる。ジョブサポーター役の小林恵里菜さん(SFC浅野研究会)も、この日から始動する。第一号に続き、第二号がこんなに早く始められるとは予想していなかったが、なんとかうまくいくだろう。

 Cafe KO-BAは、軽井沢のレストランのような雰囲気で、自然に恵まれたいいところである。ここで、毎週日曜日の朝の1時間、武藤俊樹君がお手伝いをすることになる。どんなお仕事になるのかわからないが、こんな素敵なcaf?での仕事なら、楽しくやれるだろう。


2012.10.18(木)

寒さ対策の帽子

 国立がん研究センター中央病院での外来受診の日。2週間に一回のこの日が待ち遠しい。懇切丁寧に診察し、病気のことについてわかりやすく解説してくれる田野崎隆二先生に会えるからである。今日は、診察のほかに、胸部レントゲン撮影、薬の吸引もあった。診察結果、検査結果は異常なし。それなのに、「暖かくなるまでは、ステロイドの服用続けましょう」というのは、風邪の流行時期を乗り越えるまでは、GVHDによる肺炎の発症の可能性を完全には否定できないからということ。「暖かくなるまで」といったら、来年の4月ごろまでは、ステロイド服薬が続くということ。「ちょっと先行き長いな」と思いながらも、「はい、わかりました」と納得する患者(私のこと)。

 がんセンターを出るところで、「退院後の過ごし方」についての相談を担当してくれた、看護師の森文子さんに、ばったりお会いした。「その後、どうですか」などと話すうちに、「頭髪が戻らないうちは、帽子をかぶると、寒さ対策になりますよ」という助言をしてくれた。なるほど。早速、帰り道の横浜高島屋で帽子を求める。ジョギング用の帽子なら、何十こも持っているが、背広を着たときに相応しい「フォーマルな」帽子は持っていない。売り場の担当の人に、いろいろ伺って、「なるほど、なるほど」と納得しながら、いくつか試着(帽子でも試着というのかな)を経て、生まれた初めての「フォーマル帽子」を購入した。10万以上もする帽子も置いてあったが、帽子を被り慣れていない客(私のこと)なので、無くしそうな気がする。そんな高価な帽子をすぐに無くしたら大変である。ということで、そこそこのお値段のものを購入。そのまま被って、帰宅の電車に乗った。帽子だけ目立つにわか紳士に見られるのだろうな。


2012.10.17(水)

学内授業、学外授業、課外授業

 大学の授業に向かう頃は、とてもいい天気。授業が終わる頃は、今にも雨が落ちてきそうな天気に変わる。夜には、大雨の一日である。

 その授業は、「政策法務論」。茅野千江子衆議院法制局法制主幹においでいただいての特別講義である。茅野さんは、厚生省で私の10年後輩。厚生省を一時離れて、衆議院法制局で仕事をしているうちに、法制局の幹部に気に入られて引き止められたこともあり、衆議院に籍を移した形になった。自分でも、ここでの仕事が面白くなったということもある。「ねじれ国会」、政権交代以降、議員提案の法律が多くなり、衆議院法制局が重要な役割を果たすようになった。そのありさまを、2年前の「口蹄疫対策特別措置法」の成立までの「ドラマ」を追いながら、興味深く紹介してくれた。「法律のできるまで」ということを超えて、「政治とは何か」、「官僚と政治家のせめぎあい」を垣間見た学生は、興味津々で講義に聞き入っていた。私にとっても、興味深い話だった。茅野さん、ありがとうございました。

 授業を終えて、いったん帰宅してから、国際医療福祉大学に出かける。学外からの聴講生も参加する「大学院乃木坂スクール」で「発信力を磨いて、政策を変える、倫理を変える」というテーマで、全13回の公開連続講座を開講しているが、その5回目のゲスト講師を頼まれていた。「厚生省の福祉担当課長として、県知事として、そして、いま、白血病当事者として」という長いタイトルでの講義である。19:40−21:10の1時間半では、時間が足らなかった。約80名の熱心な聴講生を前に、テンションがあがっての講義を楽しませてもらった。この講義の前には、本来の大学院で、ジャーナリズム分野の院生相手におしゃべり(講義というほど、堅苦しくない)もさせてもらった。院生は、私と同年代、私より年長の方もいらした。いずれの講座も、大熊由紀子さんが担当教授である。ゆきさんに頼まれれば、喜んで駆けつける私。義務ベースではなく、権利ベース。私が一番楽しませてもらった。授業の後の「課外授業」(近所のお蕎麦屋さん)にも参加。帰宅は、23時を回っていた。


2012.10.16(火)

秋空の下の授業

 秋らしい、気持ちのいい空の下、散歩とラジオ体操を楽しむ。慶應大学SFCでの授業は「地方自治論」。今日のテーマは、「知事業とは何か」。知事業12年を経験した本人が語るので、それなりに臨場感と迫力がある(はず)。そういった感想が、出席カードには記述されている。

 午後の授業は「障害福祉研究会」。前半の4時限では、林圭佑君がACTの活動を視察してきた報告をまじえて、精神障害者が地域で生きるために必要な支援策のあり方について発表した。1時間以上の発表で、大変わかりやすく、情報満載であり、履修者も感心している様子である。来月からは、学生12グループによる発表が続く。今日の林君の発表は、その「モデル」としての役割である。他の学生がどんな発表をしてくれるか、今から楽しみ。

 授業を終えてキャンパスを離れる頃には、秋の風が吹いて、涼しいを通り越して、寒さを感じるほど。秋だなあ。勉学には、一番ぴったりの季節の到来。


2012.10.15(月)

朝ドラ

 朝はNHK BS3で朝ドラを2本続けて見るのが、このところの習慣になっている。10月の番組更新で、再放送の「ゲゲゲの女房」が「おひさま」に、「梅ちゃん先生」が「純と愛」に替わったが、引き続き毎朝見ている。「おひさま」は、長野の自然がきれい、ストーリーも興味深い。「純と愛」は、主人公の狩野純(by夏菜)の常識はずれの言動が売りらしいが、朝から騒がしい。相手役の待田愛(まちださとし)(by風間俊介)は超能力があるというのも、朝ドラ離れしている。私以外の家族は、現実離れしたドラマ展開にあきれて、早々と見限ってしまった。私は、もう少し我慢するつもり。「梅ちゃん」の堀北真希のかわいらしさがなつかしい。「梅ちゃん」を静とすれば、「純と愛」は動。見ていて、かなり疲れる。番組に評価を下すのは、もう少し先にしよう。  

明日からの授業の準備は終わっているので、今日はのんびりする一日のはず。それでもなんやかんや、仕事もどきをやっている貧乏症の私。明日からの授業が楽しみである。


2012.10.14(日)

高知市での骨髄移植講演会   

 第20回高知県骨髄移植講演会で特別講演。演題は「ATL患者になって」というもので40分。参加者700人ほどだが、その中では看護師、臨床検査技師の養成課程の学生さんの姿が目立つ。講演会終了後には、骨髄バンクのドナー登録会が設定されている。このうちの何人かは、登録をするはずである。若者たちに「登録したい」という気にさせるためにも、講演では骨髄移植のドナーになってもらう意義を患者の立場から強調すべきだった。闘病についての話で終わってしまったのを反省している。それにしても、こういった講演会、ドナー登録会に、これだけ大勢の若者たちが参加しているのは、素晴らしいことである。それを実現した高知県骨髄バンク推進協議会の熱意と実行力に脱帽である。高知県ライオンズクラブの全面的な協力を得ての活動であることも、高知県の特徴である。

 日帰りの行程であった。高知では、昼食も、夕食も鰹のたたき。同行の光子と「鰹の顔になったかも」と言い合った。ちょっとだけ、高知のにおいをかいで、横浜に帰宅。


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