浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 11月第3週分          

2012.11.17(土)

解散後のあたふたは続く  

 新聞もテレビ報道も、「第3極」(なんのことやら)といわれる政党の間で、どことどこが一緒になる、吸収合併か、合流か、単なる共闘関係か、選挙協力だけかなどなどの話ばかり。どこの議員が離党して、どの党に移るか、そんな話もつけ加わる。選挙間近、議員個人も、政党も、熟慮する余裕がない。あたふたと決める、動く。あたふたの中の決断を後悔するのは議員や政党の勝手だが、そのつけを回される国民側はどうしたらいいのか。いずれ、そんな状況になりそうな気がする。「意表をついた解散時期」だからこういうことになる。「任期途中の解散はしてはならない」という持論を大声で言いたくなる。

 今日の腹筋運動は、57回。10月中は、毎日、40回こなしていた。11月1日は41回、2日は42回・・・そして今日17日は57回。一日1回ずつ腹筋の回数を増やすのは、それほど大変ではない。このペースでは、大晦日には101回となり、来年の今頃は422回となる。どの時点で、1日1回増が止まるのか、楽しみにしながら腹筋運動を続けている。

 何も予定のない日。「女ざかり」丸谷才一(文春文庫)を読了。「たった一人の反乱」が面白かったので、丸谷才一作品を続けて読んだ。新聞社の論説委員である女主人公の書いた社説に対する政府からの圧力をどう撥ね返すかが小説の主題なのだが、それよりも、主人公を取り巻く人間模様が生き生きと描かれているのが魅力である。「日本は贈与の帝国である」ということなど、日本の伝統文化について作中人物に滔々と語らせている。「総理大臣や幹事長など、日本の権力の中枢にいる人物を描いた日本文学が今まであっただろうか」(瀬戸川猛資の解説)というユニークな小説でもある。上質のユーモア、爆笑もののギャグのシーンもあり、作者の読者へのサービス精神にも脱帽である。丸谷作品を、もっと読みたくなった。


2012.11.16(金)

解散、あたふたと  

 気温9°Cの朝の横浜。風がないので、寒くない。散歩。ラジオ体操にはちょうどいいぐらい。「運動は継続することが大切です」というアナウンスで始まるラジオ体操を、多くの仲間たちと楽しむ。ホント、無理のない範囲で、ともかく継続することが大事。そんなことを考えながら、身体を目一杯動かして体操をする私。まことに気持ちがいい。岸根公園にも、枯葉が舞う。晩秋の美しさ。四季の移り変わりを五感で受け止める。

 衆議院が解散になった。産経新聞の東北支局、大泉記者から電話取材を受ける。11時から1時間以上もかかる。「解散のタイミングをどう思うか」、「税と財政について、どうすべきか」、「尖閣、竹島の領土問題への対応について」、「TPP交渉参加について」、「議員定数の削減について」、「被災地復興で政治家が果たすべき役割はどうあるべきか」という質問に答える。いずれの命題についても一家言あるものだから、一つ一つの質問に丁寧に対応する。大学の講義をしているような気になってくる。そうだ、次回の授業で、同じ質問を学生に投げかけてみよう。それにしても、1時間以上もかかった私の「大演説」を、大泉記者はいったいどうやってまとめるのだろうか。

 ということで、衆議院解散である。14の政党が乱立。どの党がどんな政策を打ち出しているのか、議員にもわかっていないのではないか。この時期に至って、「大同団結でまとまろう」なんて、野合と言われてもしょうがない。民主党からは、離党議員が相次ぐ。自民党に鞍替えの議員までいる。受け入れる自民党は大歓迎なのだろうが。解散当日に離党し、他党に乗り替える議員は、恥ずかしくないのだろうか。これからも、目を覆いたくなるような、茶番、混乱が起こるだろう。そういったことを乗り越えないと、まともな政治にならないということなのかもしれない。しばらくは、心静かに事態を見守ろう。

 夜は、宮城県東京事務所の菅原久吉所長、山内伸介副所長と新橋の居酒屋で会食。菅原さんは、私の3代目の知事秘書、山内さんは7代目(最後)の秘書である。二人とも、私に誘われてランナーになった。山内さんは、東京マラソン3回連続参加という強運の持ち主。強足でもある。知事時代の昔ばなしに花が咲く、楽しい酔い、楽しい宵である。


2012.11.15(木)

投資運用と病気治療との共通点  

 朝の排便時の痛みで思い出した。昨日、横浜駅東口の鳥居クリニックで、毎年恒例のインフルエンザ予防接種を受けた。光子、義母の三人一緒である。ここの専門は泌尿器科である。予防接種のついでに頻尿のことを相談し、診察してもらった。超音波検査では、排尿直後の膀胱に65mlの尿が残っているのを見せられた。これでは頻尿になるわけだ。排尿障害があるということ。前立腺の触診では「少し肥大しています」と言われた。これが排尿障害の原因だろう。その触診の際の痛みが、今朝も残っていたという次第。一日一錠の薬を2週間分処方してもらった。これで排尿障害が治るといいのだが。

 午後から、岡本和久さんの取材を受ける。岡本さんは、私が厚生年金基金連合会の年金部長をしていた時の知り合い。資金運用会社のファンドマネージャーだった。7年前に独立して、投資担当者への研修事業を始めた。今年、人間ドックで胃がんがみつかり、手術で胃の三分の二を切除、今も、治療を受けている。病を得たのをきっかけに、今まで有料だった機関紙を無料にするなど、仕事のやり方を大きく変えた。その第一号に私に登場してもらいたいということで、今日の取材になった。資金運用と私の病気がどんな関連があるのかと、いぶかりながらの取材だったが、これが大あり。患者と医師との信頼関係は、投資家と運用担当との関係に同じ。医師は治療上のリスクについて説明する、運用担当も「この投資にはこんなリスクがありますよ」と投資家に説明するのも同じ。病を得た岡本さんだからこそ、そんな共通点に気がついたらしい。話が噛み合うし、気持ちも通じ合う。そんな楽しい1時間半の取材であった。

 「地方自治論」の次回授業は、来週が三田祭期間で休講なので、2週間後である。レジュメは今日の作業で完成してしまった。余裕ありすぎだが、レジュメの準備は早いに越したことはない。


2012.11.14(水)

解散ですって?! 

 昼間は青空の広がる素晴らしい天気。SFCのキャンパスは紅葉が、おひさまに照らされて、輝いている。時折吹いてくる風が、サワサワと音を立てて落葉を促す。キャンパスに落ちた枯葉が風に舞う。晩秋の美しいキャンパスも今年限り。目に焼き付けておこう。

 その美しいキャンパスで、「政策法務論」の授業。新聞の社説や、雑誌の論説を少数精鋭の学生に音読させて、コメントさせる。社説を読む習慣を植え付けたい。読んだ内容について、自分の考えをまとめる訓練でもある。

 テーマのひとつは、首相の解散権のこと。「中央公論」12月号の「時評2012」に政治学者の野中尚人氏が「解散戦略をめぐる稚拙なゲーム」というコラムも、今日の題材である。学生に、段落ごとに読ませたが、その中に「解散の時期をめぐる駆け引きは、国と国民にとって、深刻な悪影響をもたらす遺物になってきている」という部分がある。諸外国で、首相の解散権を大幅に制約する方向に進んでいる例を紹介している。スウェーデン、ノルウェーでは議会の次期選挙期日が事前に決まっている、ドイツでは、首相が不信任から強く守られている代わりに、解散権が大きく制約されている。イギリスでは、昨年9月の固定任期議会法の成立により、不信任可決の場合以外には解散ができないことにされた。

 「解散は内閣不信任を受けての衆議院解散(憲法69条)が本来の解散であり、天皇の国事行為として首相が任意に時期を選んでする解散(憲法7条)は、なされるべきではない」というのが、最近の私の主張である。解散の時期を政争の具としてもて遊ぶな、いったんできた政権は4年続けるのが本来の姿とも主張している。そういったことを、学生に説明した数時間後に、野田首相は国会での党首討論で、「16日に解散してもいい」と表明した。民主党内で年内解散反対論が噴出しているという状況に、あせりを感じたのだろうか。

 今回は仕方がない。次期政権には、是非4年間みっちりやってもらいたい。「途中解散しないのが当たり前」ということを、みんなで共有すべきである。


2012.11.13(火)

授業で人生を語る 

 火曜日は、忙しい日である。それでも、散歩、ラジオ体操はしっかりこなす。岸根公園の紅葉が素晴らしいので、それを愛でるためということもある。

 「忙しい日」は、SFCでの授業が集中するからである。「地方自治論」の授業では、市町村合併と道州制を扱った。「できあがりの形の道州制は、結構いいものだが、そこに至るまでの過程において、都道府県の合併がなされる。それを誰が、いつ、どうやって決めるのか。上からの合併であれば、地方自治の本旨に反する。県同士の協議によって決めるなら、一斉に合併にはならないし、合併に至らないこともある」といったことを力説しておいた。そんなことで、90分間声を張り上げ続けた。

 午後からは、「障害福祉研究会」。4時限で、私の生い立ちから、障害福祉の仕事に没頭するまでの人生航路を語った。5時限では、病気について。外では、何回も語ったテーマであるが、研究会の学生には、話したことがない。私は来年3月、定年退職なので、この研究会も今学期で店じまいである。一期一会の学生たちとも、これでお別れ。そんな思いもあって、私の人生について、そして病気について、語るべきは語っておくことにした。人生航路に船出をしたばかりの若い学生たちには、遠い遠いできごとであろうが、64歳の老人(私のこと)の話から、何かしら学ぶところはあると思いたい。  


2012.11.12(月)

定期受診の結果は赤点から合格点へ 

 天気予報の「朝のうち雨」を信じて、散歩とりやめ、いつもより1時間遅く起床。雨は上がっていたのだが、散歩をやめて損したというより、ほっとしたという感じ。サボるのではないよ、天気のせいでの休みだよと、自分に言い聞かす。散歩が完全には権利ベースになっておらず、どこかで「義務」と思うところがあっての心の動きである。

 築地のがんセンターで定期受診。本来、隔週の木曜日なのだが、田野崎先生のご都合で、今回だけ月曜日となった。胸部(肺)のCT撮影も含め、すべての検査項目で異常なし。前回、正常値上限を超えていたCRP(炎症反応)、クレアチニン(腎臓機能)の値も正常値になり、ほっとした。前回の試験で赤点をとったが、その後の再試験で見事合格という気分である。

 「たった一人の反乱」丸谷才一(講談社文芸文庫)を読了。先日亡くなった丸谷才一の作品では「裏声で歌へ君が代」をだいぶ前に読んだ記憶がある。こむずかしい小説書きという偏見があった。そんな偏見はどこ吹く風、「たった一人の反乱」は、面白かった。小説の作法として、いろいろな点で特異である。通俗小説のようでいて、意外と深い。手だれの作者が、肩に力が入っていないフリをして、読者に深く考えさせるテクニックだなと思いつつも、引き込まれていく。こういうのを、いい小説というのだろう。  


2012.11.11(日)

今日は何の日 

 日曜日は、いつもと違う。ラジオ体操の担当が、いつもの男性ではなく、キンキン響く女性の声がラジオから流れてくる。私としては、ちょっと苦手。いつもより参加者が多い。今朝も、小学生が単騎で参加していた。NHKの朝ドラがないのも、いつもと違う。

 その朝ドラといえば、先日の「ミヤネ屋」出演の折に、映画「綱引いちゃった!」の宣伝でやってきた井上真央さんにお目にかかった。「おひさま」で主役の須藤陽子役を演じている。「陽子さん、今再放送で見てますよ」と声をかけて、ちょっと会話できた。なんだか、うれしい。「おひさま」が7時半で終わると、「純と愛」が始まる。従来の朝ドラらしくない突拍子もないストーリーと主人公の喋り方の乱暴さが気にかかるが、後半はもっと落ち着いたストーリーになるらしい。それまで、もうちょっと我慢しよう。

 今日は11月11日。今朝散歩しながら「11時11分11秒」にデジタル時計に向かって「ビンゴ!」と叫ぼうと決めていたのに、気がついたのが12時10分。残念至極。去年は、ちゃんと「ビンゴ!」に成功している。なにしろ2011年の11月11日だから、この機会を逃してはいけないと、11時11分にアラームをセットしていた周到さ。今回は、それがなかったのが敗因。

 11月11日は、「いい日、いい日」だから介護の日。2008年に厚生労働省が決めた。「いい日、いい日」なら、「♪いい日旅立ち♪」の旅行の日でもいいし、「お日柄もよく」で結婚の日でもいいんじゃないか。なんてことは言わず、ともかく介護の日らしく、みんな過ごして欲しい。+−(プラス・マイナス)+−だからということで、電池の日でもある。これも、相当にこじつけっぽい。電池の日には、いったい何を心がければいいのだろう。「電池を大切に」と言われても、何をどうすればいいのかわからない。  


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