浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  11月第5週分          

2012.11.30(金)

長崎へ 

 早朝、散歩に出たら、見上げる空に丸いお月様が見えた。うさぎさんがはっきりと見えるほど。「♪りんご畑のお月さん今晩は♪」(藤島桓夫「お月さん今晩は」)というのはあるが、「お月さんおはようさん」と声をかけたくなるほどの、見事な月である。こういう光景は珍しい。ラジオ体操をしているうちに、お月さんは雲に隠れてしまった。

 「福祉のトップセミナーIn雲仙2012年」に参加のため、光子とともに長崎市へ。このセミナーは11回目。私は第1回からほぼ毎回参加していたが、病気で途切れてしまい、今回は4年ぶりの参加である。本番は、明日からで、今晩はウエルカム・ナイト・セッションに出るだけ。なつかしい顔に会ったり、全国から参加している若い人たちと歓談したり、とても楽しいセッションだった。


2012.11.29(木)

内視鏡検査で異常なし 

 築地のがんセンターで受診。今日は、胃カメラでの検査があった。ベッドに横になって、鎮静剤の注射を受けたら、すぐに意識を失った。マウスピースをつけたまでは記憶にあるが、胃カメラ挿入の瞬間はまったく知らない。安静室で1時間後に気がついた時には、「ここはどこ、なんでここにいるの」状態だった。検査が終わって安静室に車いすで移動するときに、光子と目が合って、私は手を振ったというのだが、覚えていない。「お酒5合飲んだような気分」とも言ったらしい。これもまったく記憶にない。眠っている間に検査が終わり、その後1時間ぐっすり眠ったものだから、気分がいい。田野崎先生が内視鏡で撮影したものを見ながら、説明してくださった。結果としては、「異常なし」ということで、これも気分がいい。

 がんセンターを出たら、選挙カーのスピーカーからの大音響が聴こえてきた。そうか、今日が東京都知事選挙の告示日なんだ。7年半前に、自分が出た選挙のことが、ちらりと頭をかすめた。これから17日間、8人の候補者が東京じゅうを走り回り、声を枯らして選挙戦を戦うことになる。3日後には、衆議院議員選挙が告示になる。横浜の自宅の近所にも、掲示板が立った。選挙の季節。12月16日までは、騒がしい日が続くことだろう。

 帰宅して、「地方自治論」のレジュメづくり。結構がんばって完成させ、印刷に付すべくSAに送付した。木曜日に完成は、なかなか上出来。こういうレジュメづくりも、あと数回残すのみ。そんなことも考えながら、レジュメづくりに励む定年退職を前にした教授(私のこと)がいる。


2012.11.28(水)

フィランソロピー協会理事会 

 横浜の朝の気温が6℃。この秋最低(?) 散歩に出かける服装に、ウインド・ブレーカーの下のフリース、耳まで隠れる毛の帽子を加える。風がないので、寒くない。「♪北風吹かない 寒い朝も 衣(ころも)一つで暖かくなる♪」(吉永小百合「寒い朝」)。ラジオ体操をする頃には、すっかり身体は暖まっている。この調子で冬を乗り切りたい。

 SFCで「政策法務論」の授業。来週からは、グループワークの発表が始まるので、今回は、選挙について考える授業にした。この1週間の新聞の社説、解説をテキストとして、私が解説し、学生にも意見を求める。テーマは、すべて、今回の衆議院議員選挙に関するものである。政党乱立の中での政権選択の姿、世界の中の総選挙であること、有権者の気構え選挙の争点、主要政党の公約、リベラルとは何か、などなどが社説、解説に満載。私の解説で学生に伝えたかったのは、投票は熟慮して決めよ、風潮や流行に惑わされるなということ。学生の中には、国籍がなくて投票権のないもの、20歳未満のものもいるが、そういった学生も含めて、今回の選挙には大きな関心を持っている。「出席カード」の記載を見ると、「行動力があるとか、新しい流れだからということだけで、政党を選ぶのは慎重にしたい」というものが多かった。学生のとっても、選挙を前にして、じっくり考える機会になったのだろう。

 午後からは、日本フィランソロピー協会の理事会で、霞が関ビルまで。正式議事が終わってからの自由討議が盛り上がった。「会社や役所でいい地位にいた人が退職して、ぶらぶら何もしないでいるのを見ると腹立たしくなる」という理事の方の発言に対しての会長(私のこと)の対応が「フィランソロピー会長の言葉とも思えない」と批判された。「退職後の人生をどう送るかは、その人の勝手でいいのではないか。社会貢献活動をやりたい人に情報を与え、支援するというのは、当協会の役割だとしても、退職後にそういった活動をするのが、あたかも義務であるかのように扱うのは違うのではないか」というのが、私の発言趣旨。各理事から、いろいろな意見が出たが、最後は、意見は一致。落ち着くべきところに落ち着いた。それにしても、なかなか面白い理事会であった。


2012.11.27(火)

素晴らしいゲストお二人 

 天気予報で脅かされたほどには、寒くない朝。SFCの研究室棟の5階からは、少しだけ雲がかかった富士山が美しい姿が見えた。SFCから見る富士山は久しぶりなので、「おー久しぶり」と富士山に向かって声をかけておいた。

 「地方自治論」の授業には、宮城県東京事務所の佐藤宏さんにゲストでおいでいただいた。入庁してから18年間の仕事の経歴を、心躍るエピソードを含めて、紹介してもらった。学生の感想文を見ると、とても感動したというのが多い。「私も地方自治体職員になりたい」というのも5、6人。佐藤さんの話が、いかに学生の心を打ったかということ。素晴らしい講義であった。佐藤さん、ありがとうございました。

 午後からの「障害福祉研究会」のゲストは、藤井克徳さん。全国共同作業所連絡協議会(きょうされん)常務理事など、障害者問題の運動家、実践家である。25年以上の私の仲間である。今日は4時限、5時限と登場いただいて、最新の障害福祉関係の国の動き、世界の情勢について説明があった。本質的な問題指摘もあり、学生にとっては、いろいろ考えさせる講義であった。私と知り合った頃は、弱視状態だったのが、今は全盲状態である。ガイドヘルパー役を務める「きょうされん」の中村さんとご一緒にはるばるおいでいただいた。藤井さん、ありがとうございました。


2012.11.26(月)

「ラジオ深夜便」  

 「ラジオ深夜便」を2時半ごろから途切れ途切れに聴いていた。3時台の<にっぽんの歌こころの歌>は股旅・道中もの作品特集。その中で、「『おしどり道中』東海林太郎・青葉笙子です」という紹介があったので、聴き耳を立てた。青葉笙子さんは、仙台市の出身で、私が知事の時に、「宮城夢大使」になっていただいた。私の母と同年齢なこともあって、実の母親のように親しくしてもらった。仙台弁丸出しの愉快な人で、80歳でも車の運転をしていたとのこと。時々、手紙のやりとりもしていたが、しばらく前からそれも途絶えて、「どうしていらっしゃるのだろう」と気にはかかっていた。「おしどり道中」が終わり、高橋淳之アンカーによる青葉笙子さんの経歴紹介の最後が、「青葉さんは、今年の2月に93歳でお亡くなりになりました」。ラジオ番組で青葉笙子さんの消息を聴くことになるとは・・・。ご冥福をお祈りいたします。

 4時台の<天野祐吉の隠居大学>のお相手は、言語学者の井上史雄明海大学教授。言語についての面白い話で、中心は方言について。「新言語学序説」の連載をしている身(私のこと)としては、聴き耳を立てるべき内容である。方言がきつい会津藩と薩摩藩との会話が成り立たなくては明治新政府の中での会話に支障をきたす。軍隊での命令が届かない。こういったことから、共通語が必要となり、当時の東京山の手言葉が採用されたらしい。「東北弁か京都弁を共通語にしたら、日本の文化は変わっていただろう」というのが、お二人の見方。方言はマイナスイメージだったが、今は方言の復権、再発見で、プラスイメージになっているというのも面白い指摘だった。「ラジオ深夜便」を聴いていると、思わぬことを知り、有益な情報もある。そのことを改めて実感した。

 昼前に、横浜駅東口近くの鳥居クリニックへ。10日前に、インフルエンザ予防接種のついでに頻尿について診断を受けた。今日は、それから10日目で、経過観察である。「薬を飲んでから、少しは改善しました。昨夜は、トイレに3回です。これまでの4、5回よりは改善しましたが・・・・」(私)、「そんなに急激にはよくならない。4回が3回になったのはいいこと。こうやって少しずつ良くなっていくものだから」(鳥居医師)と言って2週間分の薬を処方してくれた。そうか、少しずつか。それを信じて、真面目に服薬しよう。


2012.11.25(日)

里の秋  

 横浜の今朝の日の出は6:25だが、6時過ぎには十分に明るくなっている。日の出とは、太陽が水平線に少しでも顔を出した瞬間をいうのだから、日の出前は真っ暗のはずなのだが、日の出の30分以上前から、世の中が明るいのはなぜか。天文学や気象の知識がない人間(私のこと)には、なぜだか答えられない。ともあれ、明るくはなっているが、気温6℃と寒い朝の時間に、散歩する老人(私のこと)がいる。歩いているうちに、寒さは感じなくなるが、手の先と耳だけは冷たい。

 岸根公園でのラジオ体操には、今朝は小学生がひとり参加している。そうか、日曜日なんだ。毎回、ラジオ体操第一と第二の間に、首の運動が入る。ラジオ体操には首の運動が入っていない。その時のピアノ伴奏の曲目は、日替わりであるが、ほとんどが日本の童謡である。このところは、「♪静かな静かな里の秋 お背戸に木の実の落ちる夜は♪」の「里の秋」である。「お背戸」とは裏庭のこと。戦地にいる父親を思いながら、囲炉裏ばたで栗の実を煮ている母子。家では、芹洋子が歌うのをCDで聴いている。いい歌です、いい声です。「里の秋」のピアノ伴奏に合わせて、首をぐるぐる回している晩秋の岸根公園。

 衆議院議員選挙告示前の大事な日曜日。14党の党首、代表クラスは、街頭に出て声をからしている。淡々と語る人、絶叫に近い人、滑舌のいい人、悪い人、演説の上手い人、そうでない人、話の内容よりも、そういったところに注目してしまう。日本維新の会の石原慎太郎代表は、今のところ、街頭演説の機会がない。もっぱら、橋下徹代表代行にお任せというのが、ちと気になる。  


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