浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 3月第1&2週分          
2013.3.9(土)

金沢にて  

 昼に羽田空港を立って、小松空港から金沢市へ。県立音楽堂での「市民講座」(移植がもたらす「無限の喜び」―奇跡の検証とこれからー)で50分の講演をする。第35回日本造血細胞移植学会が当地で開催され、学会終了後の行事として市民講座が催される。昨年の第34回学会は大阪市で開催され、市民講座で講演予定だった私は、風邪のためドタキャンするという痛恨時がある。

 市民講座の実質的責任者である、金沢大学附属病院血液内科の山崎宏人先生による講演を通じて、金沢大学医学部が、1960年代から骨髄移植を手がけるなど、この分野の先駆者的役割を果たしたことを知る。市民講座の会場は、移植医、看護師、患者、ドナー、骨髄バンクコーディネーターなど、様々な形で骨髄移植に関わる人たちを中心に200人以上の聴衆で一杯である。私の講演は「骨髄移植でもらった命ー移植前と移植後」という50分もの。パワーポイントを使用しての、私にとっては初めての講演である。パワポの助けにより、50分00秒で講演を終えることができた。いつもながら、「内容はともかく、時間厳守」というものだったので、それなりに満足である。中尾眞二教授はじめ、山崎先生多くの方にお世話になった。ありがとうございます。

 終了後、ネットで調べてあった「かりん庵」で、光子と二人で食事。金沢一の高級料亭金城樓の隣にある姉妹店である。老舗の料亭のにおいを感じながら、加賀料理をゆったりと楽しむ。


2013.3.8(金)

北朝鮮よ  

 うららかな春の気配とは裏腹に、きな臭いものが漂ってくる。黄砂、pm2.5ではない。北朝鮮の動向である。今までにないほど厳しい制裁決議を、国連安全保障理事会で採択した。これに反発する北朝鮮は、米国への先制核攻撃まで言及している。朝鮮戦争休戦協定の白紙化にも触れるなど、国際社会の包囲網に強く反発している。

 どんなに厳しい制裁措置を課されても、北朝鮮が「はい、わかりました。以後、ミサイル発射も、核実験もいたしません」ということにはならない。北朝鮮とアメリカ、どちらかが譲歩するまで突き進む「チキンレース」では、北朝鮮のほうから衝突を回避しようという選択肢は、彼らの頭にないようである。

 北朝鮮が韓国に武力攻撃を仕掛けたら、米韓相互防衛条約に基づき、アメリカは即座に北朝鮮に反撃する。その反撃が、沖縄の米軍基地を拠点になされたら、北朝鮮は米軍基地及びその周辺の攻撃に出る可能性がある。それが核攻撃だとしたら、アメリカはその何倍もの核爆弾を北朝鮮全土に降り注ぐだろう。まさかとは思うが、あり得ないシナリオではない。北朝鮮を「先生の言うことをきかない、暴れん坊」と扱うだけでは、どうにもならないところまできている。それが怖い。北朝鮮が正気を取り戻してくれるのを期待するしかないのだろうか。


2013.3.7(木)

桜はまだかいな  

 午後からの散歩は岸根公園へ。紅梅、白梅が数本あり、美しく咲いている。「東風ふかば にほひをこせよ梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ」(菅原道真)というより、「梅は咲いたか 桜はまだかいな」の小唄の文句のほうが頭に浮かぶ。

 「春はいいなあ」と浮かれてばかりいられない。今日のような暖かい日には、花粉が大量に飛ぶ。最近はそれにとどまらず、黄砂、pm2.5の来襲で、おちおち散歩もしていられない。散歩中はマスクをかけ、家に入る前にはウインドブレーカーをまでいに(仙台弁。標準語では「丁寧に」)ほろう(仙台弁。標準語では「はらう」)。帰ってすぐに、鼻うがい。いやな時代になったものだ。

 最近、漢字の書き順に凝っている。ネットはすごい。「覚えておきたい漢字の筆順」といったサイトが複数あって、一つ一つの漢字の筆順を動画的に教えてくれる。まだまだ初心者だが、「えー、そういう筆順だったのか!」というのが多数みつかった。「右」と「左」は筆順が違うというのは知っていたが、どっちがどっちかまでは確信がなかった。匿、母、姫、発など、簡単な漢字も筆順をまちがえて覚えていた。筆順には、ある種ルールがある。そのルールどおりにすればいいのだろうが、60年間書き続けた筆順が身体に染み込んでいて、なかなか直らない。60の手習いというのは、こういうことである。正しい筆順で書くと、確かに、字がかっこ良くなる。人生が終わるまでに習得できるかどうかわからないが、ぼちぼち手習いを続けよう。


2013.3.6(水)

五輪招致  

 今日もだいぶ暖かい。散歩に出る時、ジャンパーを着用するか迷った。寒くなったら困ると着用に及んだが、復路では暑くて困った。今日の行き先も神奈川大学。信号待ちを除くと、正味12分で到着。上り坂でなければ、10分で行けたはず。

 帰宅してから、「玩具福祉学会ニュースレター」の巻頭言の原稿を書く。学会理事長の小林るつ子さんから「巻頭言を執筆する方が、『時間がなくて書けない』といってきたの」と頼まれて、代打を務めた。学会の名誉会長としては、無下に断れない。昨日書いた「年金時代」連載の「新言語学序説」第111回の原稿も送った。このところ、原稿書きのラッシュである。

 2020年五輪招致の東京都民支持率が70%に達したという。昨年5月の調査での47%から急上昇したのは、ロンドン五輪での日本選手の活躍のおかげだろう。先日、IOC評価委員会の視察があったが、それを迎える我が方の力の入れようは大変なものだった。安倍首相が挨拶の中で、歌の一節を披露するなど、最大級のサービスぶりである。

 こちら側が招致に向けて全力を尽くすのは当然であるが、それを受けるIOC委員側派勘違いをしないでもらいたい。レスリングが五輪の正式種目から除外される候補にあげられ、テコンドーは残ることが決定された過程に、IOC委員への働きかけがあったことが報道されている。大事な決定を前にして、IOC委員会は外部からの信頼が揺らぐことのないように自重して欲しい。


2013.3.5(火)

神奈川大学探訪  

 暖かい天気に誘われて散歩に出る。今日の目的地は神奈川大学。信号待ち1分を入れて13分で到着した。キャンパス内に入り、校舎の中にも入ってみた。たまたま後期の入学試験をやっていたので、邪魔にならないようにそっと退散。どこにどんな建物があるのか、キョロキョロしながら、何度も行ったり来たりしていたら、守衛さんに声をかけられた。汚いジャンパーにジョギングシューズの散歩スタイルだから、怪しいものと思われたのだろう。「どんなご用事ですか」、「私、4月からこちらにお世話になる者です。キャンパスの様子を見にきました」と応じた。「今日は入学試験ですので、また出直してください」と言われたので、キャンパスからも退散。また、出直そう。

 神奈川大学といえば、身分証明書用の写真を撮って、人事担当に送った。近所のDPEショップで撮影してもらったのだが、自分の毛なし頭のことを釈明する。「これはハゲではなくて・・・」とATLのことまで説明しつつの撮影となった。出来上がった写真を見ながら「病気前は、真っ黒な髪の毛ふさふさだったのになあ」とため息をつく。「今に見ていろ」と誰に言うとなく「復興」を誓う。  


2013.3.4(月)

「ミヤネ屋」出演  

 読売テレビ「ミヤネ屋」出演。同席コメンテーターはデーブ・スペクターさん、春川正明さん。小泉進次郎衆議院議員が東日本大震災の被災地を訪問して、住民に暖かく声をかける様子のビデオが、結構長い時間続く。小泉議員の行動力と気配りは素晴らしい。「国会議員は、復興施策について政府に要求するだけでなく、与野党を超えた国会議員一緒になって、議員立法で政策を打ち出せばいい」といったコメントをしておいた。番組が終わって帰る時に、総合プロデユーサーの結城豊弘さんから「あのコメントを聞いて、思わず拍手したよ」と言われた。持論に拍手されたのは、うれしいことである。「ミヤネ屋」に出たあと、必ずメールをくれる盛岡の村田知己さんからも、同じような感想が届いた。

 行き帰りの新幹線は、読書空間としてまことによろしい。目が疲れたら、車窓からの眺めを楽しむ。快い揺れで眠くなったら、睡魔に身を任す。今日は丸谷才一の「輝く日の宮」(講談社文庫)を読んだ。源氏物語の謎解きや、国文学上の議論を作中人物に自在に語らせる。章ごとに語りの形式ががらりと変わる手法も含め、作者の才知と学識に圧倒される。他の作品も同様であるが、全編に質の高いユーモアが散りばめられており、娯楽作品のおもむきもある。新幹線の揺れのリズムに身を任せて読み進むのが、実に快い。


2013.3.3(日)

ぷれジョブが進む  

 弥生3日は、ひな祭り。今年もおひな様を飾らずじまいだった。ぼんぼりに明かりもともさず、桃の花をあげることもない。この家の主人だけが、「少し焼酎召されたか、赤いお顔の右大臣」である。

 小田急線長後駅前のラーメン古久家ビルの2階を使わせてもらって、「ぷれジョブ藤沢」の3月定例会を開催。第2号の武藤俊樹君、ジョブサポーターの小林恵理菜さん、仕事場の小林社長の主役3人に加えて、大勢の方の参加で、狭い室内が一杯になる。辻堂で第3号がすでに始まったとの報告が、仕事場となるFCCの深澤社長からあった。通うのは茅ヶ崎養護学校高等部1年生の香川真帆さん。とてもはきはきした元気な娘さんが、お母様と一緒に初参加。ジョブサポーター役の奥野さんは、前回に引き続き参加して、真帆さんがかわいいと感想をもらす。第4号が辻堂の倉田裕一さんの社会保険労務士事務所で始まりそう。そういう報告を、本日初参加の倉田さんから聞いた。オブザーバーとして、複数の養護学校から7人の教員が初参加。ぷれジョブに興味があるということでの参加だから、いずれ各地で立ち上がるだろう。そんな熱気が感じられる定例会だった。

 帰宅して、びわ湖毎日マラソンを途中からテレビ観戦。藤原正和選手(HONDA)が日本人トップの4位、2時間08分51秒でゴール。天候のせいもあってか、優勝のキピルト(ケニア)のタイムも08分34秒と低調。むしろ、藤原選手と僅差なのが目立つ。あまり興奮のないレースだった。

 夜は、WBCの第2戦、日本対中国をテレビ観戦。マラソンと野球中継の合間に、「ガバナンス」の原稿を仕上げたのは、「あっぱれ」かもしれない。テーマは「有識者会議の乱立」。


2013.3.2(土)

スポーツ観戦で・・・  

 プロサッカーJ1が開幕。ベガルタ仙台は本拠地でベルマーレ甲府と対戦し、1対1の引き分け。スカパーで中継を見ていたが、ベガルタ仙台の動きが鈍く、今季J1に昇格したばかりのベルマーレ甲府に苦戦するのも無理はない。先シーズン2位だから、今季は優勝も狙えるなどと言われているが、そんな力はないようだ。J2に降格だけはしないで欲しい。始まったばかりのシーズンであるが、弱気の私である。仙台ユアテックスタジアムには、小雪が舞っていた。

 夜は、WBCの開幕戦、日本対ブラジル戦をテレビ観戦。先発の田中将大投手がやや不調で、23球で降板。なんとか、やっと勝ったという、ヒヤヒヤゲームは、それなりに楽しめた。

 原稿の締め切りが近くなり、今日は「ガバナンス」の原稿を書くつもりだったが、スポーツ観戦に興じてしまい、宿題がおろそかになってしまった。遊んでいる場合ではないのに。


2013.3.1(金)

弥生三月、さあ春だ  

 3月1日、弥生ついたちである。今朝の朝日新聞の「天声人語」で、素敵な詩に出会った。イタリアの詩人ダヌンツィオの「燕の歌」からの引用である。「弥生ついたち、はつ燕、海のあなたの静けき国の 便りもてきぬ、うれしき文を」。そのあとは「春のはつ花、にほいを尋むる。ああ、よろこびのつばくらめ。黒と白との染分縞は 春の心の舞姿。」 さらに、天声人語では「弥生来にけり、如月は 風もろともに、けふ去りぬ。」まで引用している。如月八日が誕生日の私とすれば、2月が嫌われているようで、こころ穏やかでないが、上田敏の名訳に免じて許してやる。外では、まさに「風もろともに」の強い風が吹いている。この風とともに春が来る。「草は香りぬ、君ゆえに、素足の『春』の君ゆえに。」の春が来る。

 すでに我が世の春を楽しんでいる風情は、安倍晋三首相である。昨日の施政方針演説は自信にあふれた堂々たるものであった。衆議院予算委員会では、民主党の玄葉光一郎元外務大臣が、日米首脳会談の共同声明にあるTPPの部分について、「民主党政権での交渉で終わっていたもの。当たり前のことを確認しただけ」と指摘したのに対して、「だったら民主党政権で文書にすればよかったじゃないか」と切り返した。日銀総裁人事も、TPP参加も、うまくいきそうな状況であり、安倍首相とすれば、「素足の春」を楽しむ心境だろう。

 一方で、困った状況は野党のほう。民主党の存在感のなさ、元気のなさは、どうしたものだろう。このままでは、凋落傾向が止まらない。日本維新の会では、橋下徹共同代表が日銀総裁人事をめぐって、同じ党内メンバーに向けて「口出すなというなら、どうぞお好きにやってください」と怒りのメールを発した。そもそも、こんなことをメールで伝えるのがおかしい。党代表といったって、大阪市長のままで、国会議員をまとめられるはずがない。さらに言えば、太陽の党なんかと一緒になるから、こういうことになる。困ったもんだ。


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