浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 3月第3週分          
2013.3.16(土)

開花宣言  

 気象庁は、今日、桜の開花宣言をした。昨年より15日早く、平年より10日早い開花宣言は、過去最速タイ記録とのこと。先月あたりの予測では、今年の開花はだいぶ遅いということだったのだから、専門家の予測なんてその程度のもの。「気象のほうがまちがっている」と反論するのだろうか。

 開花宣言ではないが、安倍晋三首相も高らかにTPP参加宣言をした。今回は、オリンピック招致の挨拶の場面とは違って、歌は披露しないが、歌いだしたいような高揚感があるのではないか。反対勢力が多い自民党側も、黙認に近い大人の対応をしたのは、前政権の民主党とは違っている。「決められる政治」のもう一つの例である。前途に何が待っているかわからないが、ここは一番、勝負の時期である。


2013.3.15(金)

選挙権剥奪は認めない  

 厚生労働省での第38回「造血幹細胞移植委員会」に出席。開催時間は、毎回のように変わる。今日の審議は10::00ー12:00。議題は、造血幹細胞提供の促進、治療提供体制の整備、造血幹細胞の品質確保について。抹消血幹細胞移植、臍帯血移植、採取についての説明もあった。患者の立場からは、何のことやらわからないことが多い。わからないなりに、質問したり、意見を述べたりするのだが、それが自分の役割と思っている。座長の「あまり時間がないのね・・・」という言葉にせかされながらも、発言をやめようとはしない私。

 昼の時間に委員会が終わるという日程を見て、事前に「昼は長崎チャンポンで」と心に決めていた。厚生労働省勤務の時代だから、もう20年以上も前になるが、週に1回は虎ノ門の「長崎飯店」に通っていた。知事時代も、上京して時間がある時はでかけたものである。5年ぶりの店、まさか閉店していないだろうな、あの元気おばさんは健在だろうか、親父さんは汗だくのチャンポンづくりを続けているだろうかと思いつつ、同じ委員の鎌田麗子さんを誘って赴いた「長崎飯店」。答えは、すべて「イエス」。昔と味も値段も変わらないチャンポンをいただいて、大満足。親父さん(79歳!)、おばさん、息子さんに「浅野さん、元気になってよかったね」と声をかけられた。鎌田さんにも「とてもおいしかった」と言ってもらえた。

 成年後見制度で後見人が付いた知的障害者らに選挙権を与えない公職選挙法の規定が、憲法に違反するかが争われた訴訟で、東京地裁は選挙権を保障した憲法15条や44条に違反し、無効とする初めての司法判断を示した。「選挙権を与えない公職選挙法の規定」というのを、「選挙権を剥奪する規定」と書くと、この規定がいかに理不尽かがわかる。その意味で、今回の判決は当然の考え方を示したものといえる。

 茨城県牛久市在住の名児耶匠(なごや・たくみ)さんはダウン症。彼女が提訴したからこそ、公職選挙法の規定の理不尽さが明らかになった。その決断がすごい。司法判断を下した定塚誠裁判長もえらい。判決後に、名児耶さんに向かって「どうぞ選挙権を行使して、社会に参加してください。堂々と胸を張って生きてください」と語りかけた。

 「判断能力のない人は、不正投票に利用されるおそれがある」というのが公職選挙法の規定の理由だが、「財産管理ができない人は判断能力のない人」というのは根拠がないし、「だから不正投票に利用されるおそれがある」と決めつけてはいけない。選挙では、常に怖い夫の言うとおりに投票する妻という家庭はたくさんある。そういう妻からも選挙権を奪うのかね。


2013.3.14(木)

トップの選ばれ方  

 築地のがんセンターで外来受診の日。検査結果では、腎機能のクレアチニンの数値が若干高めである。田野崎先生「水分摂取に、これまで以上に努めるように」、私「わかりました」の決意表明。その他は、問題なし。ということもあり、次回は2週間後ではなく、3週間後とされた。ちょっとだけ、ステージが上がったということ。

 新ローマ法王が、アルゼンチンのホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76)に決まった。アルゼンチン出身の初の法王である。高齢であるが、法王としては、これがあたりまえなのだろう。前回はかなり時間がかかったコンクラーベだが、今回は比較的あっさりと決まった。これも一つの人事である。すんなり決まるのは悪いことではない。

 人事がすんなり決まると言えば、日本銀行総裁、副総裁人事も、国会の同意が得られそうで、ご同慶の至り。そもそも、よほどひどい人物でなければ、同意しないのはおかしい。「官僚出身はダメ」とか「こういう発言をしているから不適当」などというのは、不同意の理由にはなるべきではない。その意味で、今回は国会が良識を示したことになる。

 中国では、全国人民代表大会(全人代)で習近平氏が国家主席に、李源潮氏が副主席に選出された。ここに至るまでには、権力闘争がいろいろあったはずである。結果的にはすんなり決まったし、後遺症を引きずることはないだろう。まずは、ご同慶の至り。国家主席の任期は5年で2期まで務められる。習近平体制は10年間続くものとみて、日本としては、しっかりとつきあっていくことになる。その間に首相が何人替わろうとも。

 中国では、まがりなりにも、みんなの合意でトップが決まる。そうでないのが北朝鮮。世襲の金王朝だから、金正雲のような者でもトップになれる。何をしでかすか、まったく計り知れないトップを戴く政権とつきあうのは、どこの国にとっても大変なことだ。まさに、今、その大変さを目の前にしている。


2013.3.13(水)

風に吹かれて  

 気温が高く散歩日和なのだが、家の中でもビュービュー風の音がするほどの強風である。強風下の散歩は楽しくない。よって、散歩は中止。

 強風気味なのが、自民党の「TPP対策委員会」の審議。委員会内では、TPP参加慎重派が多数である。今日は、夜の8時から「時間無制限」で審議をするらしい。一方で、安倍晋三首相は、15日にTPP参加を表明すると「予告」している。首相の意向は「参加」で固まっているのを知りながら、参加反対派の多い委員会で無制限の審議をするのは空しくないのだろうか。支持者向けに、「反対を貫いたぞ」という姿勢を示すためか、又はTPP交渉参加にあたっての条件をつけるのが目的であろう。どちらにしても、「参加はやむなし」という結論が出されるはずである。

 すでに動き出しているTPP交渉の場に、日本が永久に参加しないという選択肢はない。だとすれば、既に出遅れなのだが、少しでも早く交渉に参加して、日本に不利にならない形での結果を勝ち取るべきである。日本の参加を認めるのに、米国議会の承認を得なければならず、その手続きに3ヶ月かかる。日本が交渉に参加した時には、大勢がほぼ決まっているということになりかねない。だからこそ、急がなければならない。

 「生活の党」の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、収支報告書の虚偽記載罪に問われた元秘書3人の控訴審で、東京高裁の飯田喜信裁判長は、3人を有罪とした1審東京地裁判決(11年9月)を支持し、元秘書の控訴を棄却した。一審で認められた、岩手県の胆沢ダム受注にからむ水谷建設からの裏献金受領は、高裁も認めたことになる。自分の裁判では無罪となった小沢一郎氏であるが、裏献金について「秘書が受領した。自分は関わっていない」で済むのかどうか。


2013.3.12(火)

便利さよりも安全性  

 来週、神奈川県議会議員の佐藤知一さんからの依頼で、議員勉強会の講師を務める。佐藤さんは、「慶応大学議員連盟」の会員で、慶応大学での「地方自治論」の授業に他の議員とともにゲストで来ていただいた。神奈川大学での授業にもおいでいただく予定である。そういうこともあって、今度は私が講師を引き受けることになった。金沢での市民講座でパソコン使用がうまくいったので、今回もそれでいく。今日は「地方分権と道州制」というテーマでパワポづくり。一日仕事になる。金沢のパワポは51枚、今度の勉強会用は47枚。だんだんパワポづくりに慣れてくる。

 東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転が16日に始まる。埼玉と横浜が乗り換えなしでつながるということで、埼玉では「小江戸・川越」の売り込み、横浜では中華街の客が増えると胸算用をしているらしい。

 東横線沿線に住んでいるものとしては、あまり喜べない。東横線渋谷駅が地下5階になる。地上に出るのにも、JRに乗り換えるにも、何階分も上らなければならなくなる。東横線の渋谷始発が激減するのも困る。路線乗り入れが増えると、他の路線でのダイヤが乱れると、巻き添えでダイヤが混乱する。

 首都圏の公共交通は、今でも十分に便利である。これ以上便利にするために払う犠牲が大き過ぎる。直下型地震が来たら、とんでもない被害が生じる。便利さを求めるより先に、災害に強い交通機関にして欲しい。東日本大震災から2年目に、そんなことを思う。


2013.3.11(月)

震災から2年  

 東日本大震災から2年目。被災地をはじめ、全国各地で慰霊行事がなされている。報道関係は、何日も前から特集プログラムを組んでいたが、今日は、特に被災地からの報道が多い。「もう2年」なのか、「まだ2年」なのか。

 被災から2年が経つのに、まだ30万人以上の人が、仮設住宅などで暮らしている。住宅再建のメドが立たない。高台移転は進まないし、住宅を新築しようとしてもお金がない。仕事がない。一方、家族をなくした人の悲しみは、2年経っても続いている。

 我々にできることは限られているが、被災した人のことを思い、被災地のことは忘れない。


2013.3.10(日)

「住育コミュニティin東京」  

 小松空港から飛び立ったフライトは、低気圧の影響だろうか、結構揺れた。降り着いた羽田空港は、初夏の陽気である。オバーコートを手に持っているだけで、周りから奇異に見られる気がする。

 そのまま新宿の明治安田生命ホールでの「住育コミュニティin東京」に向かう。住育とは、住まいのあり方が家族や子育て、季語、そして家族の絆ががらりと変わるという考え方を基礎して、家づくり、住宅リフォームをするという考え方である。京都市の宇津崎光代さんが、本格的に活動を始めて10年。彼女の行動力と人間的魅力で、多くの賛同者が全国各地で活動を進めている。今日は、そういった人たちが集まっての催し。聴衆300人余で、ホールは一杯である。

 私の担当は、全国各地で住育視点から実践している方々6人によるディスカッションの司会役である。それぞれの方々が、新しい家に住み、住宅を改造したことによって、家族の絆が強くなった、幸せな生活になったという経験を生き生きと話してもらった。とてもわかりやすく、インパクトのある話ばかりで、司会の私としても大満足。「住育コミュニティin東京」は大盛況のうちに大成功で終わった。

 帰宅して、WBCの対オランダ戦のテレビ中継を見た。あの貧打の日本チームが、ホームラン7本の大爆発で、16対2の7回コールド勝ち。打ち過ぎが、次の試合で一転貧打となるのはよくあること。今日の勝利は、猛打ではなく、前田健太の好投によるものである。そのことを胸に刻んで、準決勝に臨んで欲しい。


以前のジョギング日記はこちらから

 



TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org