浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 4月第2週分          
2013.4.13(土)

「ぷれジョブ」の講演  

 気温は低いが、晴れ渡った春の朝は、空気が張りつめて気持ちがいい。岸根公園のひょうたん原っぱを周回するコースで、母親三人組が並んで散歩している。彼女たちの会話を聴くともなしに聴いていると、前向きな活動の話だった。桐野夏生の「ハピネス」を読み終わったばかりだが、そこに出てくる「ママ友」は、東京の湾岸タワーマンションに住む3歳児の母親たちのグループで、独特のつきあい方、独特の会話である。散歩の後に、ラジオ体操まで一緒に楽しんで家路につくここ横浜の女性は、タワーマンション住まいのハイソなお母様方とは、ひと味、ふた味違う。

 午後から、茅ヶ崎まで出向いての講演会。「ボランティアってなあに?ありがとうが聞こえる地域づくりへ?」というテーマで2時間語りまくった。講演会の主催は、「ぷれジョブちがさきを実現する会」(高田浩暢代表)である。以前に、高田さんとお会いしたときに、茅ヶ崎でも「ぷれジョブ」に関心が高まりつつあると伺ったので、「そんなら、私が話に行こう」と自ら志願して乗り込んだ講演会である。服部信明茅ヶ崎市長は、冒頭のご挨拶のあと、最後まで講演をお聴きいただいた。こういう熱心な市長がいて、市民の盛り上がりもある地域は、必ずや「ありがとうが聞こえる地域」になるだろう。


2013.4.12(金)

病気の取材  

 今朝、神奈川大学に出向いて、宅急便で研究室宛に送付済みの書籍を書棚に収蔵してきた。大学が自宅から近いのは、とても便利である。作業を済ませて、自宅に戻っても、10時半からの取材には、十分余裕がある。

 取材は、またまた病気のこと。「またまた」というのは、このところ、同じような取材が続いたから。今日は産経新聞の清水麻子記者の取材。生活面の「病と生きる」という連載記事(4月25日掲載予定)で取り上げられる。取材記者によって、取材の仕方に違いがあるのが面白い。私の病気のことが、新聞で取り上げられることは、ありがたいことである。新聞記事によって、同じ病気で悩んでいる人に、情報だけでなく、勇気ももたらすことができたら本望である。


2013.4.11(木)

北朝鮮の幼児性  

 肌寒い朝、雨も降っている。散歩はお休み。日中も気温が低いので、家に籠る。おかげで、来週の授業のレジュメとパワポイントを完成できた。こういうのは、怪我の功名とは言わない。

 午前中には、仕事が終わったので、たまっている未読本を読む楽しみに耽る。未読本が並ぶ書棚から選んだのは、「ハピネス」桐野夏生著(光文社)。桐野夏生の作品は、だいたい読んでいるが、はずれがない。書評を読んで衝動買いをしたのだが、「はずれ」ではなかった。東京のマンション住まいの「ママ友」グループという平凡な題材から、これだけの「心理ドラマ」を作ってしまう桐野の力量に感心しながら読み終えた。

 こんなことをしながら時間を費やしている間に、北朝鮮は何をやっているのやら。気にしたくないのに、気になってしまう。政府も、自衛隊も、報道機関も「臨戦態勢」を長い期間とらされている。「振り回される」というより、「翻弄される」という感じになってしまうのは、実に腹立たしい。北朝鮮は、物騒なものを玩具にして遊ぶ幼児性から脱却すべき時期である。大人が本気になったら怖いことを実感する前に。


2013.4.10(水)

初授業  

 神奈川大学での初授業で、「地方自治論」を講じる。コメントシートを提出した出席者は230名。講師紹介から始まって、初回の授業らしく、今学期カバーする内容を概観した。コメントシートの記述で一番多かったのは、「マイクの使い方が悪くて、話が聴き取れない」という苦情。これは大失敗であるが、なんとか履修者の興味はつなぎ止めることができたような気がする。履修者の熱心な授業態度に、好感が持てる。「知事12年、厚生省在職23年」という経歴に興味を持った学生が多い。来週は、マイクも使いこなして、もっと面白い授業にしてみせる。

 一日中、北朝鮮のミサイル発射のことを気にしていたが、今のところ、その動きはない。学生のコメントシートにも「ミサイルのことが気になって、授業に集中できなかった」という記述があった。北朝鮮の「危険ないたずら」の影響が、ここまで及んでいる。いい加減にしてもらいたい。


2013.4.9(火)

「すべて世はことも無し」?  

 「時は春/日は朝(あした)/朝(あした)は七時/片岡に露みちて/揚雲雀(あげひばり)なのりいで/蝸牛(かたつむり)枝に這ひ/神、そらに知ろしめす。/すべて世は事も無し。」(「春の朝」ロバアト・ブラウニング 上田敏訳)  「海潮音」所収の「春の朝」の描く情景にぴったりの、今朝の散歩だった。「知ろしめす」とは、「お治めになる」の意。穏やかな春の朝、健康で散歩しているだけで、「神、そらに知ろしめす」ことを実感できる。「生きているだけで幸せ」と感じる岸根公園の朝である。久しぶりになるが、岸根公園に集う仲間と一緒に、ラジオ体操を楽しんだ。100人ほどが、ラジオに合わせて身体を動かす。年中無休の岸根公園でのラジオ体操だが、この中の何人かは、「寒い朝」も休まずに続けてきたはず。

 「すべて世は事もなし」とはいかないのが、天下の情勢。マーガレット・サッチャー英国元首相が亡くなった。彼女の実績については、地元の評価も功罪なかばするが、ぶれることなく政策を遂行したことへの評価は、内外ともに、敵味方にかかわらず、とても高い。政治的、経済的に激動の時期に、11年余も首相の座にあったのは、すごいことである。

 春の日に「すべて世は事もなし」といかないのが、北朝鮮情勢。南北共同事業を展開する開城工業団地から北朝鮮労働者を撤収させ、韓国企業の従業員を締め出し始めた。北朝鮮にとって、外貨獲得の重要な事業であるのに、一体、何を考えているのか。一方で、ミサイル発射の準備を着々と進めている。4月10日に何かが起こるとも言われている。これに対応して、日米韓でイージス艦を配備し、政府は首都圏の防衛省敷地内にPC3を複数配置した。北朝鮮が自制するという局面は、いつになったらくるのだろうか。


2013.4.8(月)

春爛漫  

 日程や悪天候で、「散歩中止」が続いていた。今日は久しぶりの散歩である。春の陽光に輝く岸根公園の景色は、大きく変わっている。桜は散り尽くした。替わって春を謳歌しているのは、坂道沿いの赤い椿、ひょうたん原っぱの散歩コース沿いのパンジー。赤。白・黄色のチューリップも咲き揃っている。春爛漫、薄着で散歩していても、汗ばんでくる。いい季節の到来である。

 いい季節が到来しているのは、日本の株式市場も同じ。なんと、今日の終値は、前週末比358円95銭高の1万3192円59銭。4年7ヶ月ぶりの1万3000円台復帰らしい。円安を好感しての動きだろうが、景気回復までは、これからいくつもハードルを越えていかなければならない。景気回復への期待だけで上がっている株価は、どこかで急落する。それがいつになるか、どのぐらいの落ち込みになるか、それが読めないのが不安だが、今はわが世の春を謳歌していればいいのだろう。


2013.4.7(日)

憲法論議  

 夜来の雨は、朝方にはあがったが、強風吹き荒れる一日だった。爆弾低気圧という台風並みの気象である。このところ、そんな異常気象が多いような気がする。

 ということもあって、今日も、終日部屋に籠っていた。宮城Kスタでのプロ野球楽天対ロッテ戦をNHKのテレビ中継で見ていたら、降雨のため途中で中止。これでは、原稿を書くしかない。「新言語学序説」第112回、テーマは「日本語について」。連載のタイトルにぴったりのこのテーマを今頃書くのは、丸谷才一の「完本 日本語のために」を読んだから。その原稿の文章が、美しい日本語でもなく、正しい日本語でもないことを、嘆きながら書いたというお粗末。このところ、毎回、ネタ(テーマ)が思い浮かばないで、なかなか原稿を書き出せない。今回も、苦吟の末である。

 先月の29日のことである。民主党の小西洋之参議院議員が、予算委員会で安倍晋三首相と渡り合ったことが話題になっている。小西議員が「日本国憲法のなかで一番大切な条文は何か。個人の尊厳、人権の保障を定めているのは何条か」と尋ねたところ、安倍首相は条文を答えることができなかった。13条という正解を答えられなかったからといって、安倍首相の憲法観、人権観に問題ありと決めつけるわけにはいかない。そうではあっても、小西議員の議論は、意味のあるものではある。憲法改正論議が、自民党側で盛んになっているが、改正すべき中身よりも、憲法改正発議の両院の三分の二要件など、手続きの議論になっているのは、おかしなことである。この辺で、憲法の中身に入った議論が必要な時期ではあるまいか。


以前のジョギング日記はこちらから

 



TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org