浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 5月第3週分          
2013.5.18(土)

再びの歌舞伎  

 今日もいい天気。岸根公園で夜を明かしたらしい少年2人、少女2人が、ラジオ体操の会場にふらふらとやってきた。少年一人だけが体操に加わる。あとの3人は、その少年をケラケラ笑いながら見ているだけ。第一体操だけで、いなくなってしまった。老人たちが元気に体操しているのを見て、驚かなかったのだろうか。朝の時間、みんなと一緒に体操をするのが、こんなに楽しいことに気がつかなかっただろうか。答はノーらしい。明日の朝、一人でも体操にやってきたらいいのだが、そういうことは99%ないだろう。もったいないな。

 夜は、光子と一緒に歌舞伎座へ。「石切梶原」(原題はちがう)の中村吉右衛門がよかった。さらによかったのは、「京鹿子娘二人道成寺」の坂東玉三郎と尾上菊之助。今月号の「中央公論」で、河合祥一郎東大教授の評を読んでいた。「日本文化を代表する美の極致というべきこの二人の踊りを生で見ないうちは、美を語る資格はないだろう」というものである。確かに、踊りだけでなく、衣装、謡いも素晴らしい。玉三郎が魅力的なのは当然だが、菊之助も吹き零れんばかりのあでやかな姿で、踊りも立派にこなしている。これで私も、美を語る資格を得たようだ。


2013.5.17(金)

映画「インポッシブル」  

 日の光がキラキラ輝く5月の朝。気温は高くないし、乾燥した空気は爽やか。紫外線は、朝の陽射しでも結構強い。散歩とラジオ体操には、「すっぽり帽子」を着用して、紫外線を防ぐ。体操が終わっての帰り道で、「帽子、いいですね」と声を掛けられた。「はい、紫外線防止の帽子です。あやしい老人に見えますよね」と答える私。帽子をほめられたのは、うれしいこと。

 午前中、新宿の「パークハイアット東京」でのマリア・ベロン(映画『インポッシブル』主人公モデル)来日記念、「こころの復興を考える」トークイベントに参加。他のパネリストは、ジャーナリストの大谷昭宏さん、日赤医療センター国際医療救援部長の槙島敏治さん。6月14日から全国公開予定の映画「インポッシブル」の番宣の意味もある。聴衆は、マスコミの方々が中心である。私は、この映画のコメント(80字)をお願いされた縁で、声を掛けられた。

 映画は、2004年、スマトラ島沖地震による津波に遭遇し、離れは?なれになりなか?らも再会を信し?て生き抜いたスペイン人家族の物語である。その主人公のモデルが、今回来日したマリア・ベロンさん。とても理知的な方である。被災後に悪夢が続いた状態からどうやって立ち直ったか、津波で多くの人が亡くなったのに、自分たち家族だけが助かったことへの罪の意識をどうやって払拭したかの話は、説得力がある。そもそも、自分たちの経験が映画化されることに、誠心誠意協力したところに、マリアさんの勇気と信念の強さを感じる。マリアさんは、明日18日(土)仙台で舞台挨拶、19日(日)石巻訪問の予定である。今日は、ご一緒させてもらって、とてもありがたい。


2013.5.16(木)

一日の始まり 

 朝6時、散歩に出発。家から5分余は、住宅地である。一軒家が続くが、マンションもポツポツと。一軒家の垣根から、さまざまな花が顔を出す。最近はバラが目立つ。赤あり、ピンクあり。きれいなバラにはとげがある。汚いバラにもとげがある。ゴミ収集所にカラスの乱暴狼藉の痕。ひどいもんだ。カラスも悪いが、生ゴミをネットの中に入れない住民がもっと悪い。せっかくの朝の気分が台無しになる。12分で岸根公園入り口に到達。中央広場までの坂を5分かけて上って、17分にラジオ体操のラジオ地点に着く。ラジオ体操の時間まで余裕があれば、ひょうたん原っぱの周回コースを一周する。ストレッチを終える頃に、ラジオ体操が始まる。ラジオ体操第一と第二の間の首の運動。今日のピアノ伴奏は「おお牧場はみどり」。10分間のラジオ体操で目一杯身体を動かして帰宅の途へ。こうして、私の一日は始まる。

 授業の翌日は、来週の授業のレジュメづくりである。出席カードと宿題の読み込みをSAの小嶋峻君、鈴木勇二君に手伝ってもらっているので、少しは楽になった。なんとかパワポイント32枚とレジュメ7ページものを完成。ほっと一息。


2013.5.15(水)

橋下発言 

 神奈川大学で「地方自治論」(第6回)の授業。初めて冷房が入る。教室が狭いので、暑苦しいという苦情が学生から出ていたので、冷房完備はありがたいこと。毎回、出席者が減る傾向にあるが、今日の出席者は前回より28名減の198名。このぐらいだと、教室の狭さが気にならない。「自治体の財政」のテーマは、地方交付税、財政力指数、基準財政収入額などの専門用語のオンパレードで、学生も大変、教える講師(私のこと)も大変。今回は、先週の続きで、さらに詳しく、わかりやすく説明したつもりだが、出席カードには、誤解らしき記述がまだまだ多数みつかる。来週も、補足説明をしなければなるまい。後を引くということか。こういうところが、生の授業の醍醐味でもある。

 橋下徹大阪市長の慰安婦発言が、まだ後を引いている。今朝の日経新聞の「春秋」がなかなか面白い。「男はつらいよ」の映画でおいちゃんが寅さんに言う台詞、「それを言っちゃおしまいよ」を橋下氏に聞かせたいという趣旨。沖縄の米軍基地司令官に「もっと風俗を活用してほしい」には、「その場面を想像するだけで、こちらが恥ずかしくなる」と書いている。今回の橋下発言のようなことは、女性の首長や議員は、絶対にしないだろう。そういう発言は、「正論」とはいえない。これは私の見解。

 朝日新聞の記事で知ったのだが、日本政府は「慰安婦」を"comfort women"と訳し、欧米メディアはsex slave と表現している。この違いがあるからこそ、橋下発言だけでなく、慰安婦問題に対する日本の姿勢が、外国からの非難の的になる。沖縄での橋下発言の「風俗業の活用」というのは、売春業のことを指しているとしか思えない。だからこそ、司令官は「凍りついた」のだろう。

 発言の翌日は、橋下市長は公務がなく(そんな日は、私の知事時代にはなかったが)、早朝からツイッターを50通以上発信したらしい。ことここに至ったら、言い訳は解決にならないし、見苦しい。事態をさらに悪化させるだけだと気がつかないのだろうか。


2013.5.14(火)

プロ野球交流戦 

 3週間に一度の木曜日が築地のがんセンター受診日なのだが、田野崎先生の都合で今回だけ火曜日となった。検査成績は、クレアチニンが1.25と高めだったのを除いては、すべて異常なし。「いろいろ服薬していれば、腎臓機能にも影響はあるでしょ」という田野崎先生の説明もあり、心配なしと受け止めた。水分摂取との関係は、必ずしもはっきりしないらしいが、さらにまじめに水をとらないといけない。

 プロ野球は、今日から交流戦。交流戦が始まったのは、楽天イーグルスができたシーズンだから、9年前である。「セリーグは阪神応援、パリーグは楽天応援」と住み分けるつもりが、楽天対阪神戦を観戦して、阪神を応援できない自分に気がついた。その意味では、交流戦は罪作りである。今日はDeNA戦で、ご近所の横浜球場に応援に行きたいところだが自粛した。試合は、7対3で楽天の快勝。田中将大が6勝目を勝ち取った。交流戦の開幕戦を制して、気分よし。


2013.5.13(月)

黒岩由香さんが 

 曇り空の朝だが、気温は高い。早めに岸根公園に着いたら、すでに大勢の人がひょうたん原っぱの周回コースを歩いたり、ジョギングしたりしている。大部分の人たちは、その後、ラジオ体操に参加する。まことに健康的で元気な老人たち(私も含む)である。ラジオ体操では、第一体操と第二体操の間に首の運動が入る。その際のピアノ伴奏の曲が毎回変わる。今朝は、たーだ一いーちめーんに、たーちーこーめーた「牧場の朝」(杉村楚人冠作詞・船橋栄吉作曲)だった(と思う)。ピアノ演奏に合わせて首を曲げる、回す。それがとても快い。こうやって私の一日が始まる。

 朝日新聞を眺めていたら、見知った名前、見覚えある顔が「ひと」欄に出ていた。「骨髄バンク普及映画を作る会」代表の黒岩由香さんである。「5年前、14歳の次女実莉さんを急性骨髄性白血病で亡くした」で始まる記事を読み進めたら、私の名前が出てきた。「作る会」の顧問ということで、特に何もしていないのだが、黒岩さんの活動にはエールを送っている。この記事が契機となって、黒岩さんの活動に理解と協力が集まるといいのだが。

 橋下徹大阪市長が、「慰安婦は必要なのは誰だってわかる」と発言した。本人は「正論」と考えているのだろうが、時と場所をわきまえて欲しい。市長という要職にあるものが、市役所で記者団に公言するようなことではない。強者の論理であり、人間の尊厳への配慮なき発言であると言わざるを得ない。


2013.5.12(日)

浮かれている場合か 

 「毎日が日曜日」に近い生活を送っているが、本物の日曜日は、やはり、他の日とは違う。TBSラジオの「生島ヒロシのおはよう一直線」の放送がない。NHK-BSの朝ドラ「純情きらり」と「あまちゃん」がない。ラジオ体操の参加者が多い。そんなところか。

 日曜日だからゆっくり寝ていよう、ということがない。今朝もいつもの時間に起きて、散歩とラジオ体操。夜来の雨が上がったばかりのところで、歩いていると新緑のにおいを強く感じる。五月の朝の散歩は、五感の総動員である。いい季節だなあ。

 「いい季節だなあ」と浮かれた気分でいるのは、株で儲けた(気になっている)人と不動産値上がりでバブルの再来を期待している人たち。今朝のTBSテレビ「サンデーモーニング」で我が友寺島実郎さんが解説していたのは、このところの株価上昇は、外人投資家の買い超過のおかげだということ。買い手は主にヘッジファンドだから、ヘッジファンドの決算期である6月頃に、転機がくる。日本の企業業績が改善し続けることが見込めないと見れば、「これ以上の株価上昇は見込めない」として、一斉に売りに出るだろう。そこで株の暴落という悪夢があり得る。

 これとは別なことだが、「1ドル100円の大台を突破した」と、現在進行中の円安傾向に浮かれている人たちがいるのも気になるところ。円安はアベノミクスの効果だというのは、本当だろうか。アメリカの景気回復でドル高になっている反映の部分が大きい。円安というのは、円の価値が下がるということだから、外国投資家から見れば、日本の国債の価値の低下を意味する。彼らが日本の国債の売りに出て、国債暴落、金利上昇となる危険はないのだろうか。アベノミクス効果に浮かれている場合ではないような気がする。

 楽天の5月攻勢、7連勝真近と浮かれていたら、今日のロッテ戦では、9回裏にまさかの逆転さよなら負け。7連勝ならず。いいことは、そうそう長くは続かない。  


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