浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  6月第3週分        

2013.6.15(土)

マレーシアで活躍する中澤健さん

 久しぶりの晴天。久しぶりに散歩とラジオ体操を楽しむ。やっぱり気持ちがいい。朝から清々しい気分である。こうやって一日が始まると、いいことがありそう。

 午後から、「アジア地域福祉と交流の会」の通常総会に出席して、講演をこなす。「人生の扉」という題で、まず社会福祉法人 嬉泉の石井哲夫さんが、食道がんと胃がんとの闘病を語る。石井さんが「うちの子」と呼ぶ自閉症の子どもたちのことを、捨てて死ねないという思いで、克服したという話。大病を経た85歳とは思えない元気な姿である。続いての私の講演では、笑いの要素も交えながら、医者と患者の信頼関係が大事という話を中心にATLとの闘いの話。マレーシアで障害児の支援事業を20年続けている中澤健さんご夫妻の活動とは、ほとんど関係ない話題だが、中澤さんのリクエストだから仕方がない。

 中澤さん夫妻は、マレーシアの電気もガスも水道も使えない地域で、貧しい家庭の障害児を支援する活動を続けている。中澤さんは72歳である。もう長くは続けられないことは、本人も承知している。「この子たちの笑顔が忘れられなくて・・・・」と奥様の和代さんがしみじみと語る。そう思っているうちは、なかなかマレーシアを離れられないのかもしれない。思い起こせば、中澤専門官と浅野障害福祉課長で、障害福祉の仕事をしゃかりきにやっていたのは、26年前のことである。お互い年を取るはずだ。


2013.6.14(金)

官僚にもいろいろ

 統一球変更問題に関する「不祥事」での日本野球機構の加藤良三コミッショナーの無責任ぶりについては、昨日の日記で書いた。加藤氏は外務官僚出身で、在米大使まで務めた方だから、ほんもののエリート官僚である。

 復興庁職員で「原発事故子ども・被災者支援法」の担当をしていた水野靖久参事官が 、ツイッター上で「左翼のクソども」などと市民団体などへの中傷を繰り返していたことが問題となり、復興庁での担当をはずされた。いずれ、厳しい処分がなされるだろう。こんなとんでもない内容のつぶやきをツイッターで投稿する神経が、私には理解できない。被災地の関係者は怒るし、一般の国民にも、国の役人のホンネはこんなものなのかと思われてしまう。

 官僚、元官僚の評判が落ち込んでいる中で、「厚労省の次期事務次官に村木厚子さんを起用」という報道があった。あの村木さんである。郵便不正事件で起訴されたが、無罪を勝ち取った村木厚子さんである。われらが村木さんだからうれしいということもあるが、村木さんのように立派な官僚もいることを世間に知ってもらえるということでも、うれしいニュースである。

 夕方から、横浜駅東口スカイビル29階の「梅の花」で、「SFC仙台会」の会食。慶應大学SFCの教員、前教員で仙台に縁のある4人が集まった。秋山美紀さんは、元仙台放送の人気女子アナ、森さち子さんは、中学生時代2年間仙台で過ごす、清水浩さんは、小学校、中学校、高校、大学と仙台育ち。仙台の堀見英学塾で6年間私と一緒。森さんは、清水さんに勧誘されてSFCで教えることになったという。そんなエピソードなど、話に華が咲いた一夜であった。


2013.6.13(木)

プロ野球統一球問題

 統一球仕様変更問題で、プロ野球界が揺れている。釈明記者会見では、中心人物である日本野球機構の加藤良三コミッショナーの無責任な対応が目立つ。「飛ぶ球への変更は知らなかった」、「不祥事ではない」、「事務局のガバナンスがよくない」などなど、驚くべき主体性のなさ、つまり無責任さである。

 この件でも、情報公開と危機管理という、いつものテーマに立ち至る。「ボールの変更を選手に伝えると、選手が混乱する」という発言は、原発事故の際のSPEEDI情報について「住民に伝えるとパニックになる」という文科省の役人の弁明と根っこは同じである。「この隠し球はアウトだ」(朝日新聞の社説)は秀逸な見出し。

 今回の不祥事は、ほぼ毎日耳にするような企業の不祥事、役所の不祥事、警察の不祥事とは次元が違う。プロ野球選手全員に対する裏切りである点で、実に罪深い。飛ぶボールへの変更を決めた時点で知らされていれば、辞めないで済んだ選手もいただろう。私も含めた何百万人というプロ野球ファンだって怒っている。加藤コミッショナーが辞任しない限りは、選手、ファンの怒りは収まらないだろう。  


2013.6.12(水)

楽しい宴

 珍しく小雨が降る中、傘を差して神奈川大学へ。「地方自治論」(第10回)は、道州制について論じる。授業冒頭に、教室内に分け入って、4人の学生に「道州制について、どう思う?」と尋ねる。前回の宿題で、同じことを尋ねているので、スラスラ答えられるかと思ったら、2対2で○と×。道州制という言葉自体が、学生にとってなじみのないものなので、無理もないか。そこが出発点で、教授(私のこと)は、持論の「道州制?ちょっと待て」を展開する。授業終了時に提出してもらう「出席カード」には、「私も道州制反対です」というのが圧倒的多数。洗脳してしまったとは思わない。世の中で「なんとなくいいんじゃない」と思われていることも、疑ってかからなければならないだよ、ということを伝えたかった。

 一旦自宅に戻って、出席カードと宿題、それぞれ200枚近くに目を通して、来週のレジュメづくりに没頭していたところに、江口隆裕神奈川大学教授から電話で呼び出し。 呼び出しに応じて、家から1分の居酒屋「世界長」に赴く。法学部の教授会を終えて、流れてきたメンバーと合流。

 江口教授は、厚生省で7年後輩の好漢である。この4月から神奈川大学法学部教授に就任したばかり。着任3ヶ月目の新人教授が、私を入れて7人の会を仕切っている様子。実に頼もしい。紅一点は、厚生省障害福祉課長時代に面識があった田山輝明早稲田大学教授の娘さん。そんなご縁もあったりして、実に実に楽しい時間だった。あとから、光子も呼んで、会はさらに盛り上がった。なにしろ、家から1分だから、気軽に駆けつけてくる。妻と一緒に居酒屋というのも、実に実に珍しい。それも含めて、楽しい宵である。


2013.6.11(火)

雨降りも悪くない

 朝から雨降り。一歩も外に出ない一日。私設気象庁としては、本日、平年より3日遅れの梅雨入りを宣言する。5月29日に梅雨入り宣言したのはまちがい。お詫びして訂正する。ついでに、梅雨明けは7月21日と予想する。これからしばらくは、梅雨空が続くだろう。

 一日家に閉じこもって、6月22日の市民講座のパワポイントを完成し、次々回の授業のパワポを完成した。どんどん先取りで宿題をこなし、先行き楽になろうという魂胆である。6月は降雨が記録的に少なく、水不足が心配されている。家に籠って仕事もできるし、雨降りも悪くない。


2013.6.10(月)

「ミヤネ屋」に単独行

 読売テレビの「ミヤネ屋」出演。今回から、妻の同行はない。一人で大阪往復。番組は、芸能関係が多い。その中で、AKB48の「総選挙」が中心。7万人も集めて、投票総数が260万票になって、これは一大社会現象である。250億円の経済効果との試算があるらしいから、立派な経済現象でもある。ビジネスモデルとして、大成功している。総選挙の結果発表では、一人一人にドラマがあり、思わずもらい泣きをしてしまう。そんなことをコメントしたら、早速、ツイッターに「春川や浅野史郎が真剣にコメントするのにあきれました」という投稿あり。いいかげんなコメントはできないぐらいの国民的行事になってしまった。

 番組でも紹介されていたが、今日の日経平均株価は636円高の13、514円。まさに乱高下である。ちょっとした材料で、上がったり、下がったり。将来の企業業績の期待を推し量るという定石は無視されている。素人さんは、関わらないほうがいい。怪我するよ。


2013.6.9(日)

嘘言っちゃいけない

 「雨降らないわね」、「梅雨入り宣言は嘘だったみたい」。ラジオ体操前のおばさん方の会話。今朝も、からりと澄みきった青空の下で体操である。梅雨寒むとは縁がない天気で、皆さん半袖姿の薄着で来ている。このまま夏に突入なんだろうか。

 「毎日が日曜日」だが、ほんものの日曜日はいつもより、のんびりムード。気がつけば、「宿題」はすべて済ましているので、やるべきことはない。のんびりと読書と、テレビでの野球観戦。その野球だが、楽天が巨人相手に5対3で快勝。田中将大投手が無傷の8連勝。楽天は交流戦で単独首位に踊りでる。とてもいい気分である。

 アベノミクスの3本目の矢、矢尻は鋭くない。成長戦略の中身に新味がなくて、株式市場は失望売りで株価が下落。成長戦略に含まれている「10年後には、国民所得は一人あたり150万円増」というのは、あくまでも目標に過ぎない。それをどうやって達成するのかの、具体的方策が求められているのに、それがない。しかも、国民の多くに、「個人の年収が150万円増える」と誤解させていることも罪深い。国民総所得(GNI)には企業の所得も含まれており、企業が所得を溜め込んで、従業員の給与に回さなければ、個人の所得は増えない。

 安倍首相の東京都内での街頭演説では、「みなさんの年収」、「国民の平均所得」、「一年間の収入」などと言って回っている。これは明らかにごまかしである。こういうことやっていちゃ、政府の言うことを国民は信用しなくなる。アベノミクスの陰りにつながるのではないか。


以前のジョギング日記はこちらから



TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org
5