浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 11月第4&5週分          

2013.11.29(金)

「医師と患者の立場」についての対談

 午後から、「週刊朝日」の対談の収録。築地の朝日新聞社での収録だが、4年前、がんセンター入院中に窓から眺めていた景色である。  対談のお相手は医師の久家義之さん。久坂部羊のペンネームで「悪医」という本を刊行したばかりの方である。この本は、手当のしようがないがん患者から治療をせがまれて、「もう治らない。治療はできない」と言ってしまった医師の迷いと悩みが主題である。なおもあきらめきれずに治療を求め、抗がん剤でのたうち回る患者がもう一方にいる。対談は、いい医者とは、いい患者とはということをめぐっての話題が中心であった。しょせん患者と医師の立場、考え方は違う。いろいろあるが、お互い理解し合うことが大事なんだよなというのが、対談の結論といえば結論である。さて、編集部がどうまとめるか。興味がある。

 対談が終わったところに、某新聞の記者から電話があった。「猪瀬知事のことについてコメントが欲しい」という依頼。対談の内容とはがらっと変わった話題で、頭の切り替えがむずかしい。「脛に傷持ち、『嘘つき知事』と言われる身では、知事の務めを続けるのは本人もつらいでしょう」といったことを答えておいた。日記に書いたことそのままである。今日から都議会であるが、猪瀬知事が逃げ果せるか、「参った」になるか。都民でない私としても、真剣に見守っていきたい。


2013.11.28(木)

がんセンターでの出会い

 築地のがんセンターで、特別の外来受診。「特別の」というほどでもないが、風邪引きの予後観察ということもあり、先週に引き続いて特別に診察日となった。検査結果では、炎症反応のCRPが0.36(正常値上限0.1)となり、前回の0.34より上昇した。田野崎先生によれば、これは想定内ということだから、あまり気にしなくていい。腎機能のクレアチニンは1.23で前回の1.27よりは改善だが、正常値上限1.10より高い。水分摂取をあまり真面目にやらなかった結果かもしれない。全体としては、風邪が悪化しているような徴候はなしということで安心した。

 血液採取の待合室で南克己さんと一緒になる。南さんも今日受診ということは聞いていた。久しぶりに会ったが元気そうでなにより。その南さんの紹介で仙台の小池靜子さんとお会いした。小池さんのご主人は仙台の病院でATLがみつかったが、治療が進まず、セカンドオピニオンを求めて東大医科研を受診、そのまま入院、その後がんセンターでミニ骨髄移植を受けたばかりのところ。東大医科研を紹介する段階で、南さんが関わった。そんな話をしているところに、ATLsurvior仲間の小澤礼子さんが現れる。東大医科研での化学療法を経てがんセンターでのミニ骨髄移植で完治した患者が3人いるところに、小池さんが居合わせた形である。「ほら、みんな同じ経過を辿って、こうして元気にやっているんですから、小池さんも必ず治りますよ」と三人で励ました。こういう出会いがあるから、ATL患者の会を立ち上げた甲斐があるというもの。小池さんにも、いずれメンバーになってもらえるだろう。


2013.11.27(水)

活動再開・日記再開

 久しぶりの日記。風邪引きで、活動を自粛していたので、書くことがない。「日記が長いことお休みなので、どうかしたのか心配で」という電話が先ほど南克己さんからあった。そういう心配をされた方は、他にもいらっしゃるかもしれない。大丈夫です。元気です。風邪もほぼ回復しました。

 元気な証拠に、神奈川大学の授業に出かけた。いつも以上の熱弁1時間半を展開し、学生が最も苦手とする地方交付税について、再度、再々度説明した。風邪なのか、熱弁のせいなのか、声が嗄れる。今度こそは学生がしっかりと理解してくれることを期待する。

 日記を休んでいる間に、言いたいことがたくさんたまってしまった。要約だけ書く。特別秘密保護法が衆議院を通過した。アメリカの真似なら、情報公開の徹底ということでもアメリカを真似るべきだ。それができていない日本は、こんな大層な法律を持ってはならない。

 猪瀬直樹東京都知事の借金問題。政治資金規正法、公職選挙法違反や収賄罪で立件するのは無理だろう。だとしても、脛に傷を持ち、「嘘つき知事」と言われながら、都知事の仕事を全うできるとは思えない。権力欲と上昇志向の方が、自分から職を投げ出すことは考えられない。さあさあ、どうなるか。面白がっているわけではないが、これからの成り行きがとても気になる。

 中国の領空識別圏設定問題。そこまでやるのか。日本側は無視、アメリカも無視。これが最善の対応であろう。中国には、国際的にどう見られるのかを考慮する余裕を持ってもらいたい。勝手きままは、許されない。


2013.11.23(土)

風邪引き老人のブルース

 今日で風邪引き三日目の夜。勤労感謝の日ではあるが、日程すべてキャンセルし、ひたすら安静、ひねもす眠る。これだけ一途に養生すれば、明日は咲こう花咲こう。そんな夢見て、おやすみなさい。


2013.11.22(金)

ケネディ暗殺から50年

 昨夜、20時からNHK Eテレの「ハートネットTV リハビリ介護を生きる」が放映された。これに私が出演している。スタジオ撮りは11月6日、それに先立って取材があった。闘病に関するものだが、退院後の生活が中心。この局面では、光子が大事な役割を果たす。インタビューも光子が個別にされている。スタジオでは、光子から私宛の手紙も読み上げられた。「奥様あっての病気克服でしたね」とスタジオで言われてしまった。言われなくても、光子には感謝あるのみである。

 そして、今日は「いい夫婦の日」である。一日前に記念事業をやってしまった。50年前の今日は、ケネディ大統領がダラスで暗殺された日でもある。衛星放送開始で最初に飛び込んできたのが、このニュースである。朝早く、父親と一緒にテレビの前で放送開始を待っていた中学1年生の史郎少年は、ものすごいショックを受けた。今朝のニュース番組では、「ケネディ暗殺から50年目」の話題が満載。ゲストの何人かが私と同じ経験をしたとのこと。

 娘のキャロライン・ケネディ氏が在日アメリカ大使として赴任したばかりである。そのこともあり、日本では「ケネディブーム」が再燃といったところ。日本人の中では、ケネディ人気がとても高いことに気がつく。ケネディ大統領人気だけでなく、ケネディ家に連なる「スイート キャロライン」大使も巻き込んでの人気である。  風邪のほうは、だいぶ回復した。熱がまだ36.8℃あるが、のどの痛み、咳、だるさといった症状はなくなった。もう少しの辛抱。「寝るのも仕事のうち」を思い出しながら、安静を続けている。


2013.11.21(木)

風邪引きました

 朝の検温で37℃。のどがいがらっぽいし、咳っぽい。光子に「風邪引いた」と言ったら「バカ」と返ってきた。「昨日、夕方気温が下がるからコートを持っていくように言ったのを無視してでかけ、大学からの帰りに寒いのにコートを着ないでいるなんて、自覚がなさ過ぎる」といったことを何点か指摘された。風邪引いたという結果が出ているのだから、いつものようには反論しにくい。

 たまたま、今日はがんセンターでの受診日にあたっている。田野崎先生に報告して診察していただいたが、それほどの重症ではない。風邪の引きがけである。昨年末に風邪を引いて、血中酸素濃度が93に急落した。「単なる風邪でこうはならない」ということで、即入院となった。そういう「前科」があるので、先生も我々も慎重になっている。「様子を見ましょう。こういう時にどういった経過を辿るのか、知りたいということもあります」という田野崎先生の言葉で、一応安心する。帰宅してからはずっと安静にしていた。来週の火曜日までの予定は、すべてキャンセルということになるだろう。


2013.11.20(水)

今日の授業

 午後から神奈川大学の授業。「地方自治論」の今回のテーマは地方自治体の財政である。慶應大学SFCの授業も同じであるが、財政のことになると、半数の学生が混乱してしまう。特に、地方交付税がよく理解できない。それがわからないと、地方自治、国と自治体の関係が理解できない。地方分権論と並んで、地方自治論の根幹部分である。

 「今日の授業は大事だぞ。学期末試験の問題は、今日の授業関連で2問出題する」と授業の冒頭に言い渡したせいか、聴講態度はいつも以上に熱心である。ひとつ、ひとつ、「ここはわかるか。正しく理解しているか」と確認しながら授業を進めた。出席カード(リアクションペーパー)を見たら、案の定、「まだよくわからない」というのが多い。また「だいたいわかりました」と書いているものも、よく読むと実は誤解だらけ。来週は、そうとう時間をかけて補足をするつもり。今日の出席は、いつもより少ない135名。欠席した学生は、学期末試験の2問はお手上げになるだろう。前期に続いて、大量の不合格者(60点未満)を出すのだろうか。


2013.11.19(火)

日本駆け込み寺

 「風がないからいいね」、「寒くないよ」という会話が交わされる晩秋の岸根公園。紅葉が始まっているが、まだ盛りを迎えていない。紅葉が盛りを終えて落ち葉となり、落ち葉が風に舞う頃には、寒さも本番、冬本番となる。

 午後、公益法人日本駆け込み寺の玄秀盛代表と事務局の瀬沼靜子さんが来宅。駆け込み寺は仙台にも支所がある。そこでは、東日本大震災の被災者支援の活動をしているが、人もお金も足らない。宮城県から補助金など出ないものだろうかと相談された。早速、知事時代の人脈を辿って、担当部署を突き止めた。担当者に電話したところ、なんと担当者は私の初代女性秘書の鞠子(旧姓氏家)郁子さんだった。瀬沼さんが来週県庁を訪ねたら、いろいろ相談に乗ってくれるだろう。

 その瀬沼さんに、駆け込み寺で仕事をするようになった経緯をうかがった。会社を退職後に、何かしたい、寺社仏閣関係で仕事をしたいと考えて、ネットで「寺社」を検索したら、「駆け込み寺」が出てきた。説明を読んだら「人のための活動」とあり、それに惹かれて面接に出かけたら、一発で決まった。こういう次第とのこと。雇うほうも、雇われるほうも、「この人で良かった、この職場で良かった」という結果になった。実に目出たいことであり、希有なことである。  


2013.11.18(月)

苫小牧での講演

 昨日は、朝から苫小牧へ。内閣府と苫小牧市の共催になる「苫小牧市男女平等参画宣言都市記念式典」で記念講演をする。演題は「男女平等参画社会とは?自分らしい生き方を大切に?」という演題での講演である。このようなテーマでの講演は、今回が初めて。このテーマでパワポイントを作成するのも初めてだから、一から始めなければならない。その前に、いろいろ調べたり、専門家(村木厚子厚生労働事務次官)の話を伺ったり、それなりに準備が必要であった。講演は、始めから終わりまで、自信がなく、緊張のままであった。珍しいことだが、こういう経験も必要だと感じた。

 宿泊はホテル。夜は、そのホテル内のお店で、岩倉博文苫小牧市長と会食。光子も同席。岩倉市長の話はとても面白い。今でもアイスホッケーをやっているスポーツマンでもある。光子は、式典での挨拶と、男女平等参画都市宣言を読み上げた時の声がとても素敵だったと直接市長に申していた。関係者の皆様には、とてもお世話になりました。意義のある苫小牧市訪問になったこと、心から感謝いたします。

 苫小牧から昼に羽田に戻って、私はそのまま日比谷公園内の市政会館での研究会に出席。今日のゲストは、自民党道州制推進本部参与の久世公尭先生。久世先生は、自治省を経て、参議院議員をお務めになり、一貫して地方自治問題に関わってこられた。その先生が道州制推進論を説くということだから、ほとんどが反対論の研究会メンバーは手ぐすねをひいて待ち構えていた。実際には、極めてわかりやすいお話を頂戴して、メンバーは私も含めて感銘を受けた。それでも、道州制に賛成という声はメンバーから出ない。私が一つだけ理解したのは、将来の日本で人口減少が現実化した時には、こういった思い切った改革必要性を感じる国民が増えるだろう、その際に、「道州制というのもあるよ」と今から用意しておくことが必要であり、そのために今議論しているということ。久世先生は85歳。このお年でも衰えない熱意には、頭が下がる。


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