浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  1月第1週分        

2014.1.11(土)

臨床研究データの改ざん

 アルツハイマー病の早期発見方法の確立のための臨床研究のデータが一部改ざんされた疑いがあるという報道があった。少し前には、高血圧治療薬ディオバンの臨床研究のデータ改ざんも明るみに出た。人の健康と命に関わる臨床研究の不正は、絶対にあってはならない。不正に関わっているのは、大学医学部の教授たちである。臨床研究の場で、これだけ多くの不正が行われていることになると、国際的にも日本の臨床研究の結果が信頼されなくなる。アルツハイマー病の研究は国家プロジェクトで成長戦略の一つで多額の国費が投じられている。成長戦略にも黄色信号がともることになるのだから、その面からもデータ改ざんの不正は、罪深い行為である。

 帚木蓬生の「賞の柩」(集英社文庫)を読んでいる。ノーベル医学生理学賞を受賞した英国の医学者の論文が、多くの学者の研究結果を剽窃したものであることを丹念に暴いて行く日本の学者の話が推理小説風に展開する。これも医学研究における一種の不正である。この小説を読んでいる時に、日本の臨床研究の不正の報道である。不正はいつかは必ず露見する。研究者には、そういった緊張感をもってことにあたってもらいたい。


2014.1.10(金)

寒さの中の熱い議論

 午前中、TBSテレビ「サタデーずばっと」担当の大橋純氏から都知事選挙についての取材。大橋さんは2007年の都知事選挙の際の私担当の記者だった。7年ぶりに再び都知事選挙の取材で私のところに来るのは一つの縁ではある。熱いコメントも含めた1時間近い取材だが、番組で使われるのは30秒といったところだろう。

 午後からは、分権型政策制度研究センターの第8回広域的行政課題への対応と地方政府体系のあり方に関する研究会に出席。寒さの中、日比谷公園内の市政会館までおでかけである。寒さの中でも、議論は熱い。今日は特に、道州制との関係について報告書の文案をどうするかについて、珍しく議論が沸騰した。

 それにしても、寒い日が続く。アメリカでは零下40度の寒波に襲われているのに比べれば、こんな程度で寒いなんて言うのが恥ずかしい。昨日、凶悪犯が横浜市泉区で捕まったが、これは寒波のおかげという部分もある。逃亡犯が寒さに耐えかねて、「もう逃げません」と言ったらしい。寒波も、困ったことだけではないという稀な例である。


2014.1.9(木)

逃亡犯人やっと捕捉

 寒い一日。「よみうりテレビ」の「ミヤネ屋」出演で大阪へ。着いたら、局に着くまでに小雨、あられの後、すごい降雨。傘を持たない歩行者が濡れ濡れになっていた。

 宮根さんやスタッフに「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と言い合いながら、スタジオ入り。番組が始まる直前に、横浜地検川崎支部から逃げ出した凶悪犯がつかまった。番組は、犯人が護送される様子をLIVE中継するところから始まった。以後、30分近くこの件を追っていく。予定していた話題はだいぶ飛んでしまう。その後は、やしきたかじんさんが亡くなった食道がんについて、ドクターをゲストに迎えて詳しく伝える。私もがん闘病経験者として、宮根さんから何度か発言を振られた。自覚症状がないところで見つけないと、なかなか治療がむずかしい病気ということを知り、早期発見に留意しないといけないと強く思った。

 横浜に帰ってくると、低温のうえに風まで強い。本格的寒さの到来である。そんな中で、東京都知事選の候補者選びの話題が熱い。細川護煕さんの出馬については、「本人も『バカ言ってんじゃないよ』の心境ではないか」と日記に書いたばかりだったが、そうでもないらしい。このことについては、大阪に向かう新幹線に某新聞社の記者から取材が入った。候補者が出そろうまでは、いろいろとお騒がせの話題が続くのだろう。


2014.1.8(水)

初仕事はラジオ出演

 今年の外向け初仕事は、ラジオニッポンの「岩瀬惠子のスマートNEWS」へのゲスト出演。朝5時半に自宅からタクシーに乗り込み、麻布台のラジオ局へ。出番の1時間前には着いていた。岩瀬さんからの質問に答える形で番組が進む。宮城県知事選挙、知事の仕事から始まって、都知事選挙の話も少々。闘病の話がごくごく少々。途中でかかる曲がジャニス・イアンの歌だったので、「今日はエルヴィス・プレスリーの79回目の誕生日なんだけどな・・・」と水を向けたが、音源があらかじめ準備されていなかったので、希望は通じない。番組の中で、今日は北朝鮮の金正恩の誕生日であることも知った。知らないほうがよかった。というわけで、ラジオ大好き人間としては、満足、満足。どの局でも、ラジオは楽しい。

 自宅に戻って一息。午後からは神奈川大学で「地方自治論」の授業。14回目の授業は、今学期の復習。過去13回の授業を1時間半で振り返るのは結構大変である。授業終了後のペーパーでは、「こんなにも多くのことを学んだという感慨がある」、「試験直前の振り返りなので、試験対策になる」といった感想が多かった。来週の最終回は、学生の「リクエスト」に応じて「この課題をもう一度」を何件か講義する。これも復習、試験対策のようなものとなる。

 やしきたかじんさんが亡くなっていたというニュースが流れた。某新聞の記者から「やしきたかじんさんの思い出を」という電話取材があったが、「何か申し上げるほどの親交はありませんので」と辞退させてもらった。やしきさん司会の「そこまでいって委員会」に2回ほど出演しただけだから、「親交」というほどのものはない。毒舌というか舌鋒鋭い突っ込みで、「放送コードギリギリだな」という感じがある。関西弁でなければ出せない味の面白い人という印象はある。ご冥福を祈る。合掌。


2014.1.7(火)

都知事のかくも長き不在

 猪瀬直樹前東京都知事の5000万円受領問題で、東京地検特捜部は市民団体が提出していた猪瀬氏に対する公職選挙法違反容疑の告発状を受理した。これから本格的な取り調べに入る。起訴まで持っていけるのかは微妙だが、これだけ注目を浴びた事件であるから、いいかげんなところでうやむやにはできない。

 その一方で、都知事選挙の候補者選びというか、候補者探しが騒がしい。都民でもない人たちが、「あいつがいい、こいつはだめだ」とかやっている。候補者が誰になるか、新知事が誰になるかは別として、この間の都政の空白が、都民でない身ではあるが、気になっている。どこの県でも来年度予算案はできあがっている時期である。知事が不在につき、東京都では本格的予算案が編成できていない。全国自治体で最大の6兆円にのぼる予算である。その中には、オリンピックのための国立競技場の改修費の問題もある。国との負担割合をどうするか、それも暗礁に乗り上げている。都民ならずとも、気がかりな問題が山積している時期に、都知事不在はどうしたものだろうか。

 候補者のことであるが、出馬表明をしている田母神俊雄元航空幕僚長を石原慎太郎日本維新の会共同代表が「個人的に」応援するらしい。もう一人の共同代表、橋下徹氏は困惑するのではないだろうか。出れば本命と見られている舛添要一氏を自民党が支援するかどうかで、党内が割れているらしい。舛添氏の身になってみれば、支援されようがどうだろうが、出るとなればどうでもいいのではないか。自民党の支援がなければ勝てないとは思っていないはず。細川護煕、小泉純一郎、菅直人の総理大臣経験者にも声がかかっているらしいが、本人たちでさえも「バカ言ってんじゃないよ」というところではないか。


2014.1.6(月)

休みが明けた

 勤め人の方たちは、年末年始の9連休をたっぷり味わって、仕事を再開する日である。12月30日(月)、31日(火)、1月2日(木)、3日(金)は土日でもないし、祝日でもないのに、事実上お休みになっている。これは単なる習慣、伝統文化による休日であるのに、有給休暇の日数にはカウントされないらしい。(ほぼ)毎日が日曜日の老人がとやかく言うことではない。

 「休みが明けた」と実感するのは、NHKの朝ドラ「チリトテチン」(再放送)と「ごちそうさん」を久しぶりに見られたこと。「ごちそうさん」では、この休みの間にめ以子の子どもが3人に増えていた。大正時代から、戦前に話は移っていくのだろう。興味が尽きない。


2014.1.5(日)

しばしの安定

 「新言語学序説」第121回の原稿を書く。テーマは「音楽のチカラ」について。「音楽」が言語かと問われると困るが、疑似言語ぐらいとはいえる。2001年に仙台で始まった(始めた)「とっておきの音楽祭」について書いた。この合い言葉は「みんなちがって みんないい」、「音楽のチカラでバリアフリー」である。そうそう、「合い言葉」だから、言語に関係ある。休みが続くと、時間がたっぷりあり、原稿書きに緊張感がなくなる。こんな原稿に、夕方までかかってしまった。

 正月休みが続いているので、ニュースらしいニュースもない。株式市場が再開し、通常国会が始まり、都知事選の候補者が決まるまでは、世の中の動きは鈍い。嵐の前の静けさにたとえるほどには、大した嵐は来そうもない。まあ、しばしの安定を楽しむことにしよう。


2014.1.4(土)

仕事始め

 娘二人が次々と帰って行く。おもしろうて、やがて悲しき正月かなの心境。これが正月というもの、これが年を取るということ。

 今朝は珍しく寝過ごした。目が覚めたら7時。ラジオ体操はとっくに終わっている。昨夜は早寝したのに、どうしたことだろう。体調がいいからよく眠れるのか、良くないから起きられないのか。悩むことでもないが、なんとなく不思議である。

 三が日が終わったので、仕事をしてもいい。「ガバナンス」2月号に「選挙は大事」という原稿を書いた。

 猪瀬知事が辞任記者会見で「5千万円受領したのは政治家としてアマチュアだったから」と表明したのに違和感いっぱいだった。百戦錬磨の政治家なら、受領しても表に出さない。アマチュアだからもらったのではなく、プロでないから受領が表に出たというだけのこと。選挙が初めてだから、「選挙はこうやってやるもんだ」という「もんだの人々」の助言に乗せられてしまったというのが真相だろう。

 「選挙は大事」というのは、選挙デビュー戦だとしても、旧態依然たる選挙をやってちゃいかんよということ。その他に「選挙のありようが知事のありようを決める」など、選挙の浅野語録を散りばめながら、「選挙は大事」ということを披露した。二月号に掲載される頃には、新都知事は決まっている。こういう時期に選挙のことを書くのは、いかにも間が悪い。これが今年の仕事始めである。


2014.1.3(金)

正月三ヶ日が終わる

 ごく最近までは、正月が来るのが待ち遠しかった。そして正月は楽しかった。子どもの頃は、「正月になったら、あれもやろう、これもやろう」、最近では「久しぶりにのんびり、ゆったりできるな」ということで、待ち遠しかった。今は、いつでものんびりしているし、ゆったりしている。(ほぼ)毎日が日曜日だから、休みは珍しくない。楽しみにするほどのものでもない。こういうのは、あまり幸せなことではないのだろうな。といいながら、正月三ヶ日が終わる。

 正月の楽しみが、箱根駅伝であることは変わらない。昨日も今日も変わらず楽しませてもらった。私の予想順位は、1位と2位、5位と6位が入れ替わっただけで、ほぼ的中。駒沢大学の優勝は間違いないと思っていたが、これは間違いだった。東洋大学の区間賞5人、一番悪くて区間4位という抜群の強さの前には、駒沢大学が負けるのも仕方がない。大手町でアンカーのゴールを待つ駒沢大学のメンバーが、全員暗い顔でうなだれるている姿が印象的である。一方で、青山学院大学のアンカーが5位でゴールするのをメンバーが狂喜乱舞で迎えるのと好対照であった。箱根駅伝は、今年も、たくさんのドラマを残して終了した。選手の皆さん、興奮と感激をありがとう。


2014.1.2(木)

箱根駅伝

 正月二日の恒例は、箱根駅伝のテレビ観戦である。今年も大手町のスタート前の中継から見始めて、5区芦ノ湖のゴールまでみっちり見続ける。私の予想総合順位は、駒沢大学、東洋大学、日本体育大学、早稲田大学、明治大学の順である。往路は東洋大学が優勝した。駒沢大学の大八木弘明監督は「1位と1分差以内なら、逆転できる」と言っている。往路で1位の東洋大学とは59秒差である。よほどのことがない限り、駒沢大学の総合優勝は動かない。2区で山梨学院大学のオムワンバ選手が、右足疲労骨折で途中棄権。こういうことがない限りということである。

 病気になる前は、箱根駅伝を見ると走りたくなって、翌日、自分も選手になりきって走ったものである。今は、そんなことはできない。せいぜい2日続けて散歩に出かけたことぐらい。走りはしないが、朝の冷気の中、朝日が昇るのを眺めながら歩くのは、とても気持ちがいい。「生きているとはこういうこと」とまで思うのは、決して大げさではない。


2014.1.1(水)

新春恒例

 今年最初の散歩へ。気温が低くなく、風もない。岸根公園に着く頃には、うっすら汗ばむほど。今年最初のラジオ体操を終えた面々は、標高5メートル、岸根公園で一番の高みに三々五々出向いて、初日の出を待つ。快晴に恵まれて、大きな初日が昇るのが拝める。お日様が全身を現したところで、皆で拍手拍手。その後、有志が持ち込んだお酒とちょっとしたおつまみをいただいく。別な場所では、「♪♪とーしのはーじめのためしーとて♪♪」(「一月一日」)、「♪♪うーさーぎおーいしかーのやーまー♪」(「ふるさと」)の合唱が始まる。それにも加わって、岸根公園ラジオ体操クラブ(仮称)の新年恒例行事を終える。仙台の西公園に集結する「サンデーマラソンクラブ」の新年行事を思い出した。

 我が家でも、新年はすべて恒例により取り運ばれる。神棚に二礼二拍。お屠蘇とともにおせち料理をいただき、お雑煮で締める。今年も健康で、家族仲良く過ごせますように。今年は、珍しく家族揃って写真撮影をした。これは恒例にしたい。

 私にとっての恒例は、ニューイヤー駅伝(第58回全日本実業団対抗駅伝競走大会)をテレビ観戦すること。途中で年賀状が届く。年賀状をチェックしながら、駅伝を見続ける。コニカミノルタが大差で2年連続優勝。集中して見なかったせいもあるが、手に汗握る場面はなかった。  


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