浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 1月第4週分          

2014.1.25(土)

「責任野党」って何?

 朝の気温が4度以上で雨風がなければ、散歩をすることにしたい。今朝はその条件に合っていたので、散歩とラジオ体操を敢行。岸根公園でのラジオ体操に集まる仲間は、最盛期の3分の1ぐらい。残った人たちは、冬の朝の冷気の中でラジオ体操をすることが気持ちいいことを知っている。私もその一人である。

 安倍首相は、昨日の施政方針演説で、初めて集団的自衛権の行使容認に言及した。「対応を検討する」という言い方は、列車は発車したということ。途中で止められなければ終点に着く。公明党は慎重姿勢である。その一方で、日本維新の会、みんなの党は積極的立場をとる。安倍首相は、「責任野党」という言葉を使って、両党を引き込もうという意欲を隠さない。

 それでは、「無責任野党」はどうするのか。少数に分断され、政権のやりたい放題に、有効な反撃が打てない。集団的自衛権の問題で、「責任野党」の二党を取り込めば、残りの野党はさらに無力化する。うがって見れば、野党分断のために、この問題を持ち出したのではないかとさえ思ってしまう。

 日本維新の会の共同代表を務める石原慎太郎氏は、東京都知事選挙初日の田母神俊雄候補の応援演説で言いたい放題。「マイクの調子が悪い、韓国製だからじゃねえか」、「"シナ"の植民地になりたくない。チベットみたいな国になりたくない」、「ワケの分からない殿様が出てきて原発を明日から止めろって。これに火をつけた暇を持て余した小泉センセイ、これも単細胞」(「日刊ゲンダイ」記事から引用)。こういう人が代表の「責任野党」を取り込もうというのだから、安倍首相の目論見もどうなるのだろうか。


2014.1.24(金)

免許証更新

 第186通常国会が今日召集された。施政方針演説では、経済対策が第一に取り上げられた。経済対策の中で原発再稼働に触れているが、この問題を「経済問題」と捉えているところに、安倍政権のホンネが透けて見える。外交問題では、「積極的平和主義」という変な用語を使いながら、集団的自衛権の行使容認への対応にも言及。ちょっときな臭い。沖縄の普天間基地移設問題では辺野古の埋め立てを進める方針堅持だが、先行きに曲折はあるはず。重要な論点満載の国会である。これからの国会での論戦が待たれるところだが、議論を持ち込むべき野党の足並みの乱れもあり、与党ペースであしらわれるのでないかと心配である。いくつあるのか覚えていないが、しっかりしろよ、野党。

 運転免許証の更新に神奈川警察署に出向く。前回の更新から5年経過している。病気になる前の更新だから、写真は髪の毛ふさふさで撮られている。今回は、今日撮った写真を持参して手続きに及んだ。不思議なのは、受付の女性が「写真違ってますね」と言わないこと。だからこちらから、事情を説明しておいた。そんな必要ないのに。視力検査は勘も働かせて、一発クリア。30分の講習を受けて手続き終了。新免許証は書留で2、3週間後に自宅に届く。身分証明用にしか使わないのだが、なければ不便である。

 夜は、神奈川大学の「地方自治論」で1年を通じてSA(student assistants)を務めてくれた鈴木勇二君と小嶋峻君をねぎらう小宴を六角橋の「福臨門」にて開く。二人とも、SAをやってとても勉強になったというのがうれしい。卒業後、新しい環境の中で活躍を期待している。名残惜しく、二次会は六角橋商店街の「カルバトス」で。ここは彼らが生まれた初めて入ったバー。そこを別れの場所に選んだ。


2014.1.23(木)

都知事選の幕開け

 今日が東京都知事選挙の告示日。細川護煕さんを含め、有力4人が街頭に出て有権者に向けての第一声。有力でない人も含めると16人が立候補というから驚く。今日の昼間は暖かかったからよかったが、これからは寒い日も続く。一年中で一番寒い時期の選挙は身体的にもつらいだろう。有力4人のほかほぼ全員が65歳以上である。寒さが特に堪えるはず。まずは、身体にも気をつけて、17日間を最後まで元気一杯で闘ってもらいたい。

 夜は、日浦美智江さんとともに、ファンケルの池森賢二会長などと会食。池森さんは日浦さんが横浜市栄区桂台の「朋」を始めた頃からの支援者。以来ずっと訪問の家を社員ぐるみで支援している。「お互いに育てられています」というほどいい関係が長く続いている。私からは、病気の話。池森さんがとても興味をもって聴いてくださるので、調子に乗ってどんどん語る私。「骨髄移植で血液型が変わるとは初めて知った」ととても印象深げの池森さん。場所は銀座の「百楽」という和食のお店。池森さんが仕事で徳島に行ったときに友人に紹介されて行った店の料理がとてもとても素晴らしかったので、そこの主人ごと東京に連れてきて店を開かせたという。その徳島料理。気配りが隅々までされている格別のお料理である。若主人と、東京に店を開くのに合わせて結婚したという若女将のういういしさも魅力である。とてもいい時間を過ごさせてもらった。


2014.1.22(水)

霞が関北陵会

 日中は暖かい。今日も昼間の散歩に出る。ジョギングをやっている頃は、運動は早朝と決まっていた。朝の空気が爽快だからだけでなく、早朝なら時間が取れるからであった。「(ほぼ)毎日が日曜日」の今は、こうやって昼でも散歩に出られる。考えてみれば、恵まれた立場である。そのことに感謝しながら、40分の散歩を終える。

 夜は、仙台二高出身の国家公務員が集まる「霞が関北陵会」に出席。神田淡路町の「すりみや」という宮城県出身の主人がやっている店で、おでんが自慢。19時半開始というのは、私にとっては遅い時間であるが、霞が関の官僚はこの時間でないと集まれない。出席は10名だけと、少し寂しい会になった。私はリクエストに応じて東京都知事選挙について一言。

 その東京都知事選挙、告示日前日になって、細川護煕氏が正式に出馬表明。政策をまとめるのに手間取ったのだろうか。それにしても、こんなぎりぎりの出馬表明は異常である。総理大臣経験者、76歳という高齢、即脱原発のシングルイシューに近い政策など、異例づくしの出馬の象徴的な出来事。明日から17日間の選挙戦。それぞれの候補者がどういう闘いかたをするのか、有権者ではないのだが、しっかり見ておこう。


2014.1.21(火)

耳掃除は痛い

 午前中、横浜労災病院へ。最近、またまた左耳の聴こえが悪くなってきたので、耳鼻科の診察を受けにやってきた。「またまた」というのは、同じようなことがこの数年間に2、3度あったから。最後の受診は2012年9月である。病気治療中に放射線を浴びて、耳穴の鼓膜の部分が炎症を起こし、そこに耳垢がこびりついている。今回は初めての小野智裕医師の診察を受け、左耳を器械で耳掻きされる。その痛さは経験済みである。隣では赤ちゃんが泣いている。私も泣きたいほどの痛さ。「先生、今日のところはそれぐらいにしてください」とこちらから懇願する。ということで、次回まで左耳に一日2回薬水を入れて、患部を柔らかくしておいたところで診察を受ける。またまた「寝耳に水」を光子にお願いせねばならない。次回以降の耳掃除も痛い痛いが続くのだろうが、聞く耳を持つためには避けて通れない。

 午後からは、暖かさに誘われて散歩に出る。そろそろ運動不足が気になってきた。岸根公園のひょうたん原っぱを一回りして戻ってくるいつものコース。所要40分。快い疲れと少しの汗をおみやげに、久しぶりの散歩を終える。

 経済財政諮問会議の今年最初の会合を開いた。安倍晋三首相の指示は「法人税率の引き下げの議論をせよ」である。景気の下支えと設備投資の促進を狙ってのこと。一方で、経済財政諮問会議は今後10年の基礎的財政収支(PB)の見通しの議論もする。安倍政権が財政再建のゴールとしている「2020年度にPBの赤字ゼロ」の目標は達成できない見込みである。つまり、2020年度以降も、毎年新たな赤字が積み上がるということである。一体いつになったら、財政再建はできるのだろうか。法人税率を引き下げれば税収が減るのだから、財政再建の目標達成はますます遠ざかる。麻生太郎財務大臣は諮問会議で税率引き下げに異論を唱えた。こういう意見にも安倍首相は聞く耳を持たなければならない。


2014.1.20(月)

地方からの「待った」

 沖縄県名護市の市長選挙で、現職の稲嶺進氏が普天間飛行場の移設推進を掲げた新顔を破り、再選を果たした。名護市長の権限で辺野古への移転先の埋め立てを阻止することはむずかしいが、移設作業が遅れる可能性はある。移設計画の推進を図る政権側とすれば、少なからざる痛手である。先に、移転先の埋め立てを承認した仲井真弘多沖縄県知事については沖縄県議会で辞任要求決議が成立した。政府側の方針に対して沖縄県側から「待った」がかかっている。次の知事選挙で、仲井真知事が交代することになれば、埋め立て承認も反故にされかねない。国対地方の図式の一つである。

 新潟県の泉田裕彦知事は、東京電力からの柏崎刈羽原発の再稼働の動きに対して、「再稼働の議論の前に東電が今やるべきことは、福島事故の検証と総括だ」という姿勢を崩していない。「何が何でも即脱原発だ」では説得力がないが、「安全性が確認されない限り、再稼働は許さない」という議論は、極めてまっとうなものである。原子力規制委員会の承認さえもらえれば、再稼働できるわけではない。東京電力と新潟県の安全協定により、新潟県の了解が得られなければ、再稼働はできない。自治体側からの「待った」がこの場面でも予想される。

 そして東京都知事選挙。「即脱原発」を掲げて選挙に臨む細川護煕氏が正式出馬表明間近である。こういう論点で東京都知事選挙が闘われる図式は、選挙結果がどうであれ、安倍政権にとっては少なからざる衝撃である。順風満帆、すべて思い通りに進んで来たとの自負がある安倍政権にとっては、地方からの「待った」は予想外である。安倍首相としては、国政は地方を無視しては進まないという当たり前のことを、今さらではあるが、噛み締めていることだろう。


2014.1.19(日)

村木厚子さんの出版を祝う会

 午後から、東京駅前カンファレンスセンターでの「村木厚子さんの出版を祝う会」に出席。これが素晴らしい会だった。発起人代表の堂本暁子前千葉県知事の挨拶に続いて、村木厚子さんから「事件のこと、司法改革のこと、出版のこと」というショートスピーチ。事件のことはいろいろ言いたいだろうが、この場はご自分の経験を活かして司法改革のこと、そして今回の出版のことに絞って大変説得力のあるスピーチだった。いつもながら、村木さんのお人柄がにじみ出る心に沁みるお話を聞かせていただいた。

 続いてのミニシンポは江川紹子さんのコーディネートで弘中惇一郎弁護士、周防正行さん、村木太郎さんが発言者として登場。これもとても心の残る発言だった。会場からも、3人ほど、的確なコメントがあった。みんなが村木厚子さんの人柄に魅入られた人たちばかりである。会場を変えての交流会では、江利川毅元厚生労働事務次官による乾杯の音頭に続いて、赤松良子さん、樋口恵子さんの祝辞が会場を沸かせた。なごやかな談笑のあと、締めの挨拶に立ったのは私である。村木さんの関係する会合では、締めの挨拶役が毎回振り当てられる。「いい会でしたね。7月13日の会でまたお会いしましょう」というだけの挨拶でこの楽しい会をお開きにさせてもらった。

 なんという本の出版を祝う会か、書いておかねばならない。「私は負けない?『郵便不正事件』はこうして作られた」村木厚子著 聞き手・構成江川紹子(中央公論新社)1400円である。帯の文だけ引用する。「男たちが虚偽供述に追い込まれる中、なぜ彼女だけが454日を闘い抜くことができたのか? 事件を振り返り、司法改革に必要な3つの課題を訴える!」 ほんとにいい本です。


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