浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 2月第3週分         

2014.2.15(土)

ハラハラドキドキ金メダル

 朝2時半ごろ目覚めて、以後、ソチ五輪フィギュアスケート男子フリーの実況を最後まで見続ける。ショートプログラム(SP)で101.4点の世界最高点を出し、誰もが金メダル間違いなしと見ていた羽生結弦が、最初の4回転サルコウーでこけた。立ち直ったかと思われた直後の3回転でも両手をつくミス。4分半の演技が終わっても、しばらく立ち上がれない。その直後のパトリック・チャンが最初に4回転・3回転を見事に決めた時には、ベッドの上で観戦中の私から「これでチャンに負けた」と声が出た。ところが、その後、チャンがミスを重ねる。チャンの採点結果をドキドキしながら見守ったら、羽生選手に金が転がり込んで来た。すんなんり勝つより、このほうが劇的でいい。仙台市立七北田中学校、東北高校という地元の学校を卒業した羽生選手。これで、荒川静香選手に続いて、宮城県民栄誉賞の受賞間違いない。よくやった。Good Job!!

 目を政治に転じれば、安倍晋三首相が国会答弁で憲法の解釈権は首相たる自分にあると大見得を切ったのが、与野党から批判されている。批判されて当然である。「憲法解釈の最高の責任者は私だ。そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは、内閣法制局長官ではない。私だ」という発言は、二つの意味で大問題である。

 まず、憲法は権力を縛るためにあるという、近代憲法学の定説である立憲主義を否定している。第二に、選挙で審判を受けるのだから、首相として責任をもって判断していいという言い方は、橋下徹大阪市長の「選挙万能論」(私の造語)と、事前、事後の違いはあるが同根である。集団的自衛権を憲法解釈の変更で認めるという判断は、安倍首相一人の責任で決めるべきものではない。少なくとも、国会での十分な審議に委ねることが必要である。民意は首相だけが代表しているのではないからである。

 この件だけに限らないが、安倍首相の暴走気味の政権運営がとても気にかかる。国民は目をしっかりと開き、耳垢を掃除して耳を傾けるべき時期である。

 


2014.2.14(金)

バレンタインデイの贈り物

 2月14日は聖バレンタインデイとかいって、日本では、女性が恋する男性にチョコレートを贈る日らしいが、66歳の老人には何の意味もございませんって。

 未明から降り始めた雪が、一日中降りやまず、世の中は真っ白に覆われている。フジテレビ朝の「とくダネ!」で、菊川怜さんが「ホワイト・バレンタインだ!」と喜んだら、キャスターの小倉智昭さんから「そんなのねーよ」と却下されていた。2週連続の週末大雪は19年ぶりという。

 横浜で雪が降り始めた頃、ロシアのソチでは、男子フィギュアスケートSPが始まった。こちらは眠い目をこすってテレビ観戦。本命羽生結弦選手の史上最高101.45の演技に目がパッチリ。演技の内容も素晴らしいが、柔軟な精神力(私の造語です)にもっと感心した。皆まで言うまい。明日未明のフリープログラムの結果が出るまで、感想は控えておこう。

 そんな雪の中、横浜労災病院まででかけて、小野智裕医師に第2回の左耳の掃除をしてもらう。前回1月21日の耳掃除では、「痛い痛い、勘弁して」と叫んだ私。今回も恐る恐るお願いしたが、ちょっと痛い目にあっただけで、「終わりました。全部取りました」と小野医師が宣言する。夢ではないか。前回より痛い思いするのを覚悟してきたのに、あっさりと治療完了。治療前の1週間、朝晩、光子に寝耳に水を入れてもらったのが効いた。抗生物質入りの水で耳垢が柔らかくなったおかげで、耳垢が楽に取れたということ。聴力も完全に回復した。これが私にとってのバレンタインデイの贈り物である。


2014.2.12(水)

オリンピックには魔物が・・・

 朝、2時半に起きて、ソチオリンピック、ジャンプ女子ノーマルヒルのテレビ中継を観戦。なんとなんと、絶対の本命高梨沙羅選手が4位に沈む。本人が一番のショックだろうが、高梨選手の金メダルを信じて見ていた日本国中のファンも、自分のことのように意気消沈した。「絶対の本命」なんてないはずなのに、外国の報道機関も「タカナシ、金メダルまちがいなし」とあおるものだから、本人は相当プレッシャを感じていたはず。それが、微妙な調整が必要なジャンプに影響を及ぼしたのだろう。高梨選手がかわいそう。オリンピックには魔物が棲んでいるとは、本当だった。

 競技後のインタビューでは、涙なしに、インタビューアーをしっかり見つめて、けなげなコメントをしていたのがとても印象的だった。これまでも、しっかりした賢いコメントに感心していたが、今回の敗戦の弁の清々しさに、さらに感心した。同じく4位になったモーグルの上村愛子選手の爽やかコメントと同じように、「あっぱれ!」をあげたい。

 高梨選手がメダルなしになったこの試合のテレビ中継のひどさに腹が立った。解説の原田雅彦、実況竹林宏(敬称略)は、選手の特徴を解説しない。飛び終わった後も、飛距離を言わない、点数もたまにしか紹介しない。画面に選手の飛んでる姿が映っているだけ。「解説」の中身は、「そもそも女子のジャンプとは・・・」といったことばかりで、見ていてイライラしてくる。試合の流れを追っている気がしない。だから、ハラハラドキドキが伝わってこない。女子モーグルの解説が、一人一人の選手が滑るたびに、「この選手はこういうところがいいです」といいながら、一つ一つの動きを追ってそれに解説をつけるから、見ていてもとてもよくわかる。その解説とは雲泥の差。高梨選手のメダルなしの憂さ晴らしをしているのではない。本当にダメ解説に怒っている。

 スノーボード男子ハーフパイプでは、平野歩夢15歳が銀メダル、平岡卓18歳が銅メダル。女子ジャンプがメダルなしだっただけに、こちらのサプライズに日本中が湧いた。この競技でも、「絶対の本命」アメリカのショーン・ホワイトがまさかの4位。「オリンピックには魔物が棲んでいる」とホワイト選手も実感しただろう。  今日はオリンピックの話題だけ。


2014.2.11(火)

建国記念の日

 建国記念の日(「建国記念日」ではない)である。毎年、この日の日記に書くことであるが、2月11日にこの日本という国が建国されたと信じている国民はどれだけいるだろうか。2673年前の2月11日に、神武天皇が大和の橿原の宮で即位したのは史実ではなく、神話とされている。戦前は「紀元節」と呼ばれていた。「日本は2600年もの歴史を有する神の国であるのだぞ」ということを世界に向かっていばりたいがために、「神武天皇の即位」を持ち出したのではないか。

 今日も、建国記念の日奉祝中央式典が行われる。主催は「日本の建国を祝う会」である。自国の建国を祝う式典なのだから、本来、政府主催になるべきところである。「戦後体制からの脱却」を目指す安倍首相であるから、いつかは政府主催の式典にするのではないか。今のところは、まだ自粛である。

 戦後体制からの脱却とは、「戦争ができる国に戻す」とは決して明言しないが、安倍政権の下、「国家主義への回帰」と見られる一連の動きがある。靖国参拝、日本版NSC、特定秘密保護法、集団的自衛権、新安保戦略、新防衛大綱、「積極的平和主義」、憲法96条改正など。

 間接的な動きとしては、2月5日の日記にも書いたが、NHK籾井勝人会長の就任記者会見での「とんでも発言」、百田尚樹NHK経営委員の田母神都知事候補への応援演説での「南京虐殺はなかった」などの一連の過激発言、同じく長谷川三千子委員の野村秋介氏の追悼文「『すめらみこと いやさか』と彼が三回唱えたとき、(中略)わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神となられた」の復古的文章。建国記念の日の政府主催式典が復活したら、長谷川三千子氏が演壇に立つことは大いにありうること。   


2014.2.10(月)

一夜明けて

 一夜明け、二夜明けても、二階の窓から眺める隣家の屋根、庭、空き地には雪が残っている。一夜明けて、東京都知事になった人は、今、何を考えているだろうか。

 新聞、テレビでは、都知事選挙の勝因、敗因が論じられている。そんなもんかな、それはおかしな見方だと独り言を言いながら見ている。気になったのは、投票率の低さである。46.1%、過去3番目に低い投票率。「2011年の埼玉県知事選挙の24.9%に比べれば立派なもの」というのは、言い訳にもならない。全国が注目している選挙であることを有権者は意識していたのだろうか。有権者の責任ということを意識して欲しかった。年齢階級別の投票率はまだ発表されていないが、若者の投票率がどうだったかが、気になる。

 一方、ソチオリンピック。なかなかメダルに手が届かない。そんな中で、素晴らしい滑りだった(リアルタイムで見ていた)のに、女子モーグル決勝の上村愛子選手は4位となり、今回もメダルを逃してしまった。結果が出た後の彼女の敗戦の弁には笑顔があった。清々しい発言である。その姿に「あっぱれ!」の金メダルを贈りたい。    


2014.2.9(日)

東京都知事に舛添要一氏

 昨日来の雪と風はようやく止み、今朝は青空が覗く好天である。一方で、道という道は雪だらけ。半分融けた雪はびしょびしょ、まだ硬い雪はつるつる。そんな中を「ぷれジョブ藤沢」のメンバーは、湘南よみうり新聞社の会議室に辿り着いた。会社の前の道を諸星千鶴子さんとご主人が、雪かきをして待っていてくださった。会議室は毎回使わしていただく、雪かきはしてくれるで、諸星さんには感謝感激である。

 定刻10時半に開会。「45年ぶりの大雪の中、こうやって参加してくださった皆さん、大変でしたね。45年後に大雪に見舞われたら、今日のことを思い出すのでしょう。私はいませんが、印象に残る定例会です」と宣言して、いつものように発表を始める。今日は、坂井誠樹さんが、ローソン円行店での6ヶ月のお仕事を終えて、修了証を私から受ける。同じく、湘南よみうり新聞社での6ヶ月を終えた金野樹さんも修了証。しばらくお休みしたら、また次の事業所でお仕事をやりたいとのこと。彼らのために、事業所とジョブサポーターを見つけるのが大変。

 夜は、東京都知事選の結果についての解説役として、文化放送のスタジオ入り。ニュース番組が始まって10分後、午後8時ぴったりに、「舛添要一氏当選確実」が報じられた。以前に取材を受けた石川真紀さんとのやりとりで番組が進行。途中で、舛添さんと直接お話ができて、「当選おめでとう」を言うことになった。1時間10分の番組だ が、なかなか面白い経験である。それにしても、舛添氏の予想以上の圧勝であった。明日からの知事業に期待したい。

 北九州あゆみの会理事長の高松鶴吉さんが、今日、お亡くなりになったとの報を受けた。85歳である。私にとっては、障害福祉分野の先達として、あこがれの存在だった。昭和60年、北海道庁の福祉課長の時に、ご著書「もうひとつのカルテ」を読んで感激し、北九州まで飛んで行って、北九州市立療育センターでお会いしたのが初対面。その後私が厚生省の障害福祉課長になってからは、ひんぱんにお会いして、いろいろご指導いただいた。今月23日には、高松先生の叙勲のお祝いの会があり、私どもも夫婦揃って駆けつけるつもりだった。そこに飛び込んで来た訃報に驚き、言葉をなくした。ご冥福を祈るばかりである。悲しい、とても悲しい。


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