浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 3月第1週分          

2013.3.8(土)

誕生パーティ

 ひと月遅れの誕生パーティ。2月8日の誕生日は、45年ぶりの大雪で、とてもパーティを開ける状況ではなかった。異例だが、延期ということにした。会場も横浜中華街の重慶飯店本店から別館に移った。光子と聡子も連れ立ってのパーティである。

 延期パーティにもかかわらず、70人の方々がおいでくださった。それだけで大満足である。慶応大学SFCの教え子たちが企画してくれたのがとてもうれしい。ゲストの私が動き回って、8つのテーブルすべてに挨拶にでかけた。最初から最後までふざけっぱなしだったのは、今日の会がとてもうれしかったから。出席してくださった方みんなが楽しんでいる様子だったのが、なによりうれしい。また来年もやろうかな。


2014.3.7(金)

歯を治そう

 朝9時、宮沢歯科の再診。前回、下の前歯3本を接着剤でつないでグラグラを直した。今回は、その確認とクリーニングだけのつもりが、右下奥歯1本がグラグラになっており、隣の歯とブリッジすることになってしまった。骨が下がってしまい、支える歯根部分が半分浮いてグラグラする。そのため、歯間に隙間ができてそこに歯垢がたまり、歯周病になりがけ。いつ炎症を起こしてもおかしくない状態だが、歯の手入れがしっかりしているので、なんとかもっている。骨が下がるのは経年劣化、つまり年を取れば誰でもそうなるということ。こういう説明を受けたうえで、二つの歯をブリッジでつなぐ治療にかかる。今回だけでは終わらず、まだ数回かかるようだ。しっかり、完全に治療してもらって、元気な歯にしたい。80歳で20本、「80?20」を果たすためには必要なことである。

 午後から、分権型政策制度研究センターの研究会に出席。「広域的行政課題への対応と地方政府体系のあり方に関する研究会」の今年度最終会合。報告書の最終チェックをしたうえで、報告書が完成をみた。毎回参加の各県の担当者、お疲れさまでした。座長の新藤宗幸先生が報告書を持って、総務省など関係筋に説明に行くことになる。来年度は、新しいテーマでの研究会が5月から開始する。また、がんばろう。

 佐村河内守さんの記者会見。釈明と陳謝の場となった。出て来た姿の変わりように驚く。ひげを剃り、サングラスをはずしただけなのに、別人のようである。釈明と陳謝だけにしておけばいいのに、ゴーストライターの新垣隆氏を名誉毀損で訴えるということまで言ってしまった。こんなところで、こんな時に、そこまでやっちゃいかん。陳謝のインパクトが5割がた下がってしまう。こういうところも、お騒がせちゃんだな。


2014.3.6(木)

「ミヤネ屋」で事件3件

 寒い朝。新幹線に乗り込んで大阪へ。読売テレビ「ミヤネ屋」に出演である。今日のトピックは、事件もの3件。最初が柏市の「連続通り魔事件」。「物盗りだから、通り魔とは違う」、「記者の取材に30分も応対する犯人というのも珍しいが、それが犯人検挙のきっかけになったとしたら、放送史上希有なこと」、「動機は社会への不満ということだから、同じような状況にある人はたくさんいる。模倣されるのが怖い」といったことをコメントした。最後のコメントに対しては、隣席の春川正明さんから「動機はまだ判明していません」と待ったがかかった。それはそうだ。取り調べはこれからである。ちょっと先走りし過ぎたかも。

 それ以外には、佐村河内守さんのゴーストライター事件。「被災地の子どもたちを騙したことは絶対に許せない。子どもたちの心に傷をつけた」とコメントしたかったが、時間切れ。PC遠隔操作事件の片山祐輔費国の保釈については、コメントできなかった。いずれの事件も、おどろおどろしい。すっきりしない。今の社会のいやーな面を見せつけられている気がする。

 新幹線の中で読んだ読売新聞の記事に、新聞論調の違いを見た。我が家では朝日新聞と日経新聞を購読しているが、たまには他紙も読んでみようと開いた読売新聞。集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を早くやるべきだという記事が目についた。3月3日の日記に書いたが、この日の朝日新聞の社説(集団的自衛権ー解釈で9条を変えるな)とは、全く違う主張である。新聞論調は、みんな同じでは面白くない。違っていていい。読者がどう読むか、読者も新聞の主張を鵜呑みにしてはいけない。こんなことも、大学の授業で学生に伝えたい。


2014.3.5(水)

理由なき凶行

 朝から一日中、雨が降り続いている。三月の雨は春の雨。少し寒いが、春の到来を予感させる。しっとりとした雨で、心が落ち着く。

 心を落ち着かせないのが、ここ数日に起きたさまざまな事件の報道である。柏市での連続通り魔は半径50メートル内で4件襲う。一人は殺害である。重要参考人があがったようだが、何故こんなことをするのか、全く不可解。不可解なのが通り魔だと言われても納得できない。

 昨年8月の四日市女子中学生殺人事件は犯人が逮捕された。地元の高校三年生。卒業式の翌日の逮捕。犯人を知る近所の人、同級生らの評判は「とてもやさしい、いい人」。そういう高校生が、こんな殺人を平気で犯す。そこが恐ろしい。

 先月のことだが、名古屋市での車暴走事件では13人が負傷した。これも理由なき暴走の30歳の男の犯罪。父親は愛知県警の幹部というのが悲しい。「家族と折り合いが悪かった」ということぐらいで、こんなことを仕出かされては、たまったものではない。世の中に甘ったれるのも、いい加減にしろ。

 その他、毎日のように起こっている「理由なき」凶行。これ以上はいやになるので書かない。物盗り、個人的恨みという犯罪も恐ろしいが、理由があるだけに理解はできる。理由なき凶行は、理由がわからないだけに恐ろしさが増す。「社会が病んでいる」などという常套句は通じない。それにしても、我々は何ができるのだろう。模倣犯が出るのが一番怖い。


2014.3.4(火)

寺島実郎氏の出版記念講演会

 朝4時にラジオをつけたら、TBS清水大輔アナウンサーの「ラジオパープル」の1曲目に柏原芳恵の『♪春なのに、春なのに♪』が流れてきた。中島みゆき作詞のいい曲である。柏原芳恵の声もいい。その後の天気予報では、最低気温2℃とのこと。春なのにこの寒さ。散歩はあきらめた。

 ウクライナ情勢が緊迫している。ロシアも、そう簡単には軍隊は動かせないだろうとは思いつつも、どうなるかはわからない。ウクライナ以外にも、シリア、エジプト、タイなど、国内の混乱が続く。

 夜、我が友寺島実郎さんの最新本「リベラル再生の基軸-脳力のレッスンW」の出版記念講演会が丸の内の東京工業倶楽部であり、勇躍聴きに行った。いつもながらの博学多識ぶり、寺島節が耳と脳に快い。いつもながら、寺島さんの講演を聴いた後には、自分が賢くなった気になる。寺島マジック。会場は、寺島フォロワーで一杯。「有名人」も多数目にする。講演後のレセプションでは、私が乾杯の音頭を取る。錚々たる方々がいる中で、私が乾杯の音頭なんてとんでもないと思いつつ、喜んでやらせてもらった。寺島さんの友情だろう。配慮が身にしみる。


2014.3.3(月)

憲法改正の国民投票

 「♪明かりをつけましょぼんぼりに、お花をあげましょ桃の花♪」。今日はひなまつり。女の子の節句ということもあり、あまり感慨はない。ましてや66歳のじじいである。孫娘でもできたら、一緒に歌ってあげよう。

 午前中は、近くの美容院で3ヶ月ぶりの髪切り。髪の毛の本数は少ないが、その少ない髪が長くなるとみっともない。3ヶ月も経ったので、そろそろ限界である。貴重な髪を切られるのは、寂しいが、それなりにスッキリはする。

 午後は久しぶりのお仕事。神奈川大学で「障がい学生支援に関する講演会」で1時間の講演をする。教職員を中心にした聴衆は50人ほど。平塚キャンパスにはTV会議システムで中継される。この神奈川大学に沢山の障がい学生を迎えたい。その結果として、神奈川大学の評価を上げたい。そういう思いから、講演というよりは、提言、アジ演説のようになってしまった。

 今朝の朝日新聞の社説(10面)を見てびっくり。「集団的自衛権-解釈で9条を変えるな」という見出しは、3月1日(土)の「ジョギング日記」の趣旨と同じである。こっちが2日早いのだから、朝日新聞が私の日記を参考にすることはあっても(ないない)、その逆はない。私の日記が盗作ではないことを言いたい。  9面は「一からわかる集団的自衛権」の全面を使っての解説記事である。たとえ話や漫画を使って、わかりやすく解説している。社説とは違って、是非を明らかにしない中立の立場で書かれている。

 これを読んで思ったのは、憲法9条改正の発議がなされて、国民投票にかけられる際に、新聞はどうするのだろうかということである。一般の国民は、憲法改正の是非などよくわからない。実際には、政党や各種団体や評論家、大学教授は賛否どちらかの立場に立って、国民を説得する動きをとるだろう。それは候補者なき選挙運動の形でやられるのだろうか。片方の立場の議論だけ聴いても、国民は判断できない。賛成の議論、反対の議論、両方聴いても、まだよくわからない。そこで、新聞は今回のような解説記事を掲載して、読者の参考に供するのだろうが、それを超えて「賛成」、「反対」の立場を鮮明にすることはできないのだろうか。公共放送であるNHKは「中立」を求められるが、籾山さんのような人が会長だったら、そうはいかないかもしれない。産經新聞ははっきりした立場をとるだろう。

 それにしても、「憲法第9条第2項をこのように改正するのに賛成か、反対か」と発議されて、自信をもって答えられる国民はどれだけいるのだろう。民意とは何かの究極の形である。民意が正しく反映されるためには、大多数の国民が、少なくとも、問題の中身についての十分な理解とそのための知識、情報と解説がなければならない。それは、とてもとてもむずかしい。朝日新聞の解説だけでは、そこまでいかないのではないだろうか。今日の記事を見て、そんなことまで考えた。


2014.3.2(日)

教科書制度の見直し

 弥生三月らしくない寒い一日。全く外に出ない一日だから、寒さは実感していない。窓から眺める外は、そぼ降る雨。ぱーっと明るい気分にはならない。早く春らしくなって欲しい。

 安倍晋三首相の政権による「戦後体制」の見直し。これでもか、これでもかと動きを早めている。靖国参拝への内外からの批判、非難をものともせず、さらに見直しの動きを加速している。集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更については昨日の日記で書いた。その前には、NHK会長の交替、経営委員会への「お友だち」送り込み、河野談話、村山談話の見直し、武器輸出制限の緩和などなど。

 そして、今回は教科書制度の見直しである。尖閣・竹島を日本固有の領土と中学・高校向けの教科書に明記させる。それに加えて、教科書検定基準の「近隣諸国条項」を見直す方向である。安倍首相は、この条項があるために、自虐・偏向教科書を生んでいるとの見解らしい。南京問題や慰安婦問題が教科書で扱われているのを見直さなければならない。つまりは、「自虐史観」の戦後教育体制から脱却するという覚悟で、教科書制度を見直す方針である。2016年4月から使われる中学社会の教科書は、この方向で大きく変わることになる。そこまでやるか、しかもそんなに急いでやるのか。中国、韓国と我が国の関係が緊張状態にあるこの時期に、あえて進める政治的感覚がよくわからない。  


2014.3.1(土)

集団的自衛権の行使容認?

 今日は2月29日ではない。3月になった。「弥生三月雪解けに」というぐらいだから、雪は融けてなくなったが、気温はまだ低い。「春は名のみの」と歌いたいほど。今朝の最低気温は9℃、6時には11℃というラジオの天気情報を聴いて、勇躍散歩に出かけたが、玄関から引き返す。小雨模様。残念ながら、3月第一回を飾れなかった。

 集団的自衛権の行使容認を憲法の解釈変更でやろうという安倍政権の動きに対して、民主党内の意見集約が難航している。憲法解釈変更を閣議決定で決めることに反対なのか、そもそも解釈変更に反対なのか、民主党の対応ぶりがわからない。行使一般を容認するような解釈変更はダメだが、一部容認ならいいという考えの議員もいるらしい。結局は、安倍政権から投げられるボールをどう打っていくか、事前にしっかりした合意形成をしていないから、こういうことになる。野党間の意見不一致どころか、民主党内での意見不一致を露呈する形になる。これでは、安倍晋三首相に足下を見られることになる。

 この問題については、「ガバナンス」の連載原稿を今日書いたが、私の結論は単純明快。「解釈変更ではなく、憲法改正でやれ」ということ。そんな「正論」は通らないだろうなと思いつつも大上段の書きぶりになった。ありうるシナリオとしては、与野党の討議では野党が勝てずに、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使ができることになり、それに基づいた「自衛隊法改正法」が成立する。その法律の違憲性を争う裁判が提起され、最高裁が違憲立法審査権を発動して法律の違憲無効の判断を下す。最後のところは、最高裁が「高度に政治的な判断は最高裁としてはできない」としてスルーする可能性もある。つまり、違憲判断はせずに、国権の最高機関たる国会の決定を尊重するということ。 これが、今年展開されるシナリオである。こんなことを予想して喜んでいる場合ではないのだが。


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