浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  5月第1週分          

2014.5.10(土)

生涯学習・エクステンション講座

 午前中は、「障害福祉論」ゼミ生の施設見学につき合った。このゼミ生は、実に熱心で真面目である。任意の見学であるが、7人の学生が参加した。

 見学を私だけ途中で切り上げて、午後は、神奈川大学主催の「生涯学習・エクステンション講座」の特別講演会へ。「闘病が開く人生の扉」という題で講演した。拙著のタイトルそのままの講演であり、中身も大体そのままの話である。闘病の話をするのは久しぶり。1時間半の持ち時間を少し残してしまう。70人ほどの受講者の中に、厚生年金基金連合会時代の鈴木旭さんの姿があり、講演終了後、少し昔話をした。また、ATLサバイバーの近藤さんが奥様と一緒においでになった。近藤さんは、産經新聞の私の記事を読んで、東大医科研(内丸薫医師、大野伸宏医師)、国立がんセンター中央病院(田野崎隆二医師)の治療を受けることができたとのこと。それで助かったのだから、私としてもうれしいことである。  


2014.5.9(金)

消滅可能性都市!?

 今朝、ヨドバシカメラ横浜店で昨日購入した電動歯ブラシで初磨き。かれこれ20年以上電動歯ブラシを愛用している。これが何代目かは覚えていない。磨き心地には変わりはないが、軽くてスマートなので使いやすい。しばらく愛用することにしよう。ちなみに購入したのは、panasonicの音波振動ハブラシ ドルツ(家庭用)である。

 午後から、岩手日報の榊悟記者が来宅。被災地の今後といったテーマでの取材である。今月20日に「魅力ある新しいふるさとづくり」という講演をする予定の私としては、定住条件をいかに作るかが大事、地方議会の役割は大きいといったことに加えて、ふるさとづくりがとても大事ということを語った。

 偶然であるが、今日の新聞各紙には、「日本創成会議」(増田寛也座長)が発表した「2040年までに全国896自治体で若年女性が半減する」という試算についての記事が載っている。地方から大都市への人口流出が止まらず、若年女性が半減する自治体では介護保険や医療保険の維持が困難となり、「消滅可能性都市」になるとの指摘もある。「危機感を共有してもらうことが大事」と増田氏は語るが、「消滅可能性都市」と名指しされた自治体にとっては、大きな衝撃であろう。名指しされた自治体としては、そうならないように努力するしかないが、努力だけではどうにもならない面もある。日本全体として受け止めるべき課題であろう。


2014.5.8(木)

生産的な一日

 TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」のニュースコメントに電話出演。生島さんから繰り出される話題についていくのは大変である。骨髄バンクの普及映画の「迷宮カフェ」に生島さんが農夫役で出演したことから始まって、小保方さんの反論、千葉県がんセンターでの医療事故の内部告発を厚生労働省が無視したこと、中国が日本の軍拡を非難したことについて7分間の中でコメントする。

 終了してすぐに散歩に出かける。ラジオ体操の始まるのには、余裕をもって間に合った。「連休どうしてたの」、「うちには連休なんて関係ないわよ。サンデー毎日なんだから」といった会話が飛び交う。五月ののどかな岸根公園の風景である。

 午前中に来週の授業のレジメを完成してから、手続きに必要な住民票を取りに出かける。横浜駅の構内にある行政サービスセンターで簡単に取れる。こんな便利なシステムであることを初めて知った。ついでにヨドバシカメラで、電動歯ブラシを購入。午後からは、締切ぎりぎりの原稿を書き上げる。結構生産的な一日であったことよ。勤勉な中学生の日記のようである。


2014.5.7(水)

大学授業雑感

 神奈川大学の授業の日。「障害福祉論」ゼミには、松友了さんをゲストに迎えた。大学生の時にできた長男がてんかんを持って生まれたことから始めて、障害者を社会全体で支援していくことの大切さを熱っぽく説いた。学生は、ナチが障害者を根絶やしにする施策をとった話に、衝撃を受けたようである。メインテーマは、罪に問われた障害者をどう救済するかという今日的課題であった。厚生省障害福祉課長の頃からの仲間であり、同年齢の気安さもある。「松友さん」と呼ぶのに違和感ありのゲストであった。

 次の「地方自治論」は、前々回の補足。自治体財政、特に地方交付税について講義した。慶応大学での授業でも同じであるが、どうしても理解できない学生がいる。当初は、学生が悪いのかと思ったが、教えるこちらの教え方が悪いような気もしてきた。だからであるが、今日の授業でも、わかりやすさを主眼に、あの手この手で説明し尽くした。それなのに、今日のミニテストの地方交付税に関する問が4問、「これを一つでも間違えたら、地方交付税については全くわかっていないということだぞ」と前振りしたうえでやったのだが、「全くわかっていない」に属する学生が相当数いたのに、がっくり。つまりは、私の教え方がよくないということ。

 今日のミニテストでは、問7「佐藤雄平福島県知事は、神奈川大学出身である」、問8「浅野史郎前宮城県知事は、東京都知事選挙で石原慎太郎氏と戦って負けた」という問題を出してみた。どちらも○が正解だが、×がそれぞれ44名、31名いた。一人の学生の×の弁明コメント「浅野先生は、誰にも負けない人だと思っていた」には、「参った」という感じ。


2014.5.6(火)

不思議な日

 2日前のみどりの日の振替休日という不思議な日。生島ヒロシの「おはよう定食」では、5時時点の天気予報で「朝方の雨はもうすぐ上がって、あとはすっきりいい天気になります」とやっていた。「スーパーコンピューターの予想ですから確実です」とまで言った。散歩に出てみたら、ラジオ体操が終わる頃に雨が降り出した。「コンピューターは正しいのですが、天気がまちがっていました」と言い訳するのだろうか。幸い、傘がいらないぐらいの雨で、事なきを得たが、不思議な天気予報、不思議な天気である。

 毎月6日が締切の「ガバナンス」の原稿が、書けないまま今日になってしまった。午前中に、あわてて「地方議会の意見書提出」という原稿を書き上げて、編集部に送った。「内容はともかく、早いのが取り柄」なのだが、今回は取り柄なしの原稿である。不思議な原稿になったかもしれない。

 急いで原稿を書き上げたのは、午後から、楽天対西武の野球中継を見たいから。そんなにまでして観戦したのに、1対4の逆転負け。パリーグの最下位争いで不覚を取ってしまった。今シーズンの行く末を暗示するような不思議な試合内容だった。前年1位、翌年最下位という日本ハムファイターズの真似はしたくないのだが。


2014.5.5(月)

こどもの日に

 連休中唯一の遠出は、仕事がらみの大阪行き。今月の「ミヤネ屋」出演は祝日に当たった。新横浜からの行きの新幹線はガラガラだったが、帰りの新大阪駅は家族連れで大混雑。お土産を買う人の列が長く延びる。いつもはゆったり坐れる新幹線も満席で、隣には父親と子どもが座席を占めていた。その子どもが騒ぐ、暴れる、元気一杯である。折角のお楽しみなのだろうからと、文句も言わずじっと本を読んでいる老人一人旅。だって、今日はこどもの日なんだから、最大限許してやらないと。しかも、お母さんではなく、珍しくもお父さんとの旅路なのだから。

 そのこどもの日。15歳未満の子どもの数は33年連続の減少で、1,633万人とのこと。総人口に占める割合の12.8%は、世界最低水準だそうだ。「団塊の世代」と呼ばれる私たち昭和22―24年生まれが子どもだった頃の半分以下である。我が家の近所には高齢者ばかり多くて、子どもの姿はついぞ見ない。こういう社会に慣れていかなければならないのだろうなとしみじみ思うこどもの日である。


2014.5.4(日)

憲法記念日の翌日はみどりの日

 日曜日と「みどりの日」が重なった休日。今日の振替休日は5月6日(火)である。こういう飛び越え振替(私の造語)というのもアリなんだ。これでまんまと4連休ということになる。カレンダー通りに働くサラリーマンの方々にはいい「制度」だろうが、私のような「毎日が日曜日族」にとっては、関係がない。連休だ、連休だといって、ことさら喜ぶこともない。遠出はしないし、海外旅行を企画することもない。考えてみれば、つまらない人生かもしれない。

 岸根公園への散歩とラジオ体操は、遠出というよりは、近出である。自然を満喫し、快い汗を流し、仲間と交流する。PM2.5の浮遊のない薫風の中、ミニミニ旅行を楽しんでいる。渋滞なし、混雑なし、費用なしの連休である。

 憲法問題をテーマに掲げる市民のイベントに対し、自治体が後援を見送ったり、施設使用の際に内容に注文を付けたりするケースが増えているらしい。憲法問題となると、賛成論、反対論と意見が対立する。仮に、そのイベントが自主憲法制定推進の色が濃いものだった場合、イベントに後援名義を与えることによって、自治体がその内容に賛成していると見られることを危惧するからだろうか。確かに、自治体が二の足を踏む気持ちはわかる。しかし、昨日の日記に書いたように、国民が憲法問題について知識を深め、真剣に考える機会は多い方がいい。反社会的集団のイベントであれば、とても後援などできないが、憲法問題を考える会なら、後援してもいいのではないか。後援イコールそのイベントの趣旨に賛同というものではないのだから。自分が現職の知事だったら、そういう判断をするだろう。


2014.5.3(土)

憲法記念日に

 後半連休の初日は憲法記念日。新聞、テレビは憲法問題を多く取り上げている。憲法問題は、現在進行中の議論になっている。護憲派、改憲派の争いというよりも、今年は、集団的自衛権についての議論が中心である。理屈の問題は、何度か書いてきたので、ここでは別の観点から。何故、今なのか。そんなに急いでどうするのか。何を狙っているのか。議論の正否は別にして、今、集団的自衛権を憲法解釈として正式に認めるという決断をすることの政治的、外交的、軍事的影響は、真剣に考える必要がある。「今はだめ」というのが、私の結論である。

 朝日新聞からだけだが、見出しだけでも傾向がわかる。「改憲に執念 首相の源流-挫折経て再挑戦背押す保守人脈」、「安倍首相 突き進む理由」、「解釈改憲『法の支配』危機」(長谷部・杉田両教授 連続対談)、「特集:一からわかる立憲主義ー多数決の乱用防ぎ人権守る」、「平和主義の要を壊すな」(社説)、といったもの。意見広告がすごい。ものすごく大きい活字で「違憲状態議員」とあり、1面全面広告である。さらに、「九条実現-未来への責任、集団的自衛権は戦争への道」という2面全面広告には8,327人の賛同者の氏名が掲載されている。記事や意見広告に特にコメントはしないが、こういった盛り上がりは、望ましいこととだけ言っておきたい。国民が真面目に憲法問題を考えることは、絶対に必要なことである。憲法記念日にあたり、そんなことを考える。


2014.5.2(金)

人手不足と残業代ゼロ政策

 今朝の天気は素晴らしい。雲一つない青空。こういうのを五月晴れというのだろう。5月の手紙には、「薫風の候」と書くのだが、まさにその薫風が岸根公園に吹き渡る。「五月の朝のしののめ うら若草のもえいづる心まかせに」は、萩原朔太郎の「旅上」から。同じ朔太郎に「若くさの上をあるいているとき わたしは五月の貴公子である」という詩(「五月の貴公子」)の一節もある。岸根公園の若くさの上をあるけば、66歳の老人(私のこと)でも五月の貴公子になったような気がする。

 全国的に人手不足だという。人が足らないのは、飲食店、小売り、建設工事、製造業の分野で特に顕著である。飲食店で人が足らないのは、主力となる若者の人口が減っていることもあるが、深夜・早朝営業では、少ない人数で働くことになるので、負担が重くなり、辞める従業員が増えるというのも原因である。建設業でも人手不足は深刻である。宮城県で建設業をやっている友人に聞いた話であるが、人材不足のために公共工事を受けられないケースが多いとのこと。設備工事など資格が必要な職種は特に足らない。工事にも支障が出るのは、深刻な事態である。

 人手不足からくる労働加重が一方にあり、ホワイトカラーでは、「残業代ゼロ」政策が導入されようとしている。元々は、「ホワイトカラー イグゼンプション(white- color exemption)といって、ホワイトカラーを労働基準法の労働時間規制から除外する制度として提案された。成果主義ともいうのだろうか、労働の時間ではなく、労働の成果で賃金を決めるという制度である。逆にいえば、どれだけ長い労働時間でも、残業代はつかない。宋文洲さんが今日のメルマガで、「日本企業は成果主義が苦手で、成果主義は大嫌い。そんなところで、成果主義の名の下に、残業代ゼロにするのは、社員を搾取するだけだ」という趣旨のことを述べている。実際には、残業がはびこっている中で、成果主義を唱えても、実効性はないし、社員にとって有害である。まず、「残業あたりまえ」の企業文化を変えること、それが先であろう。    


2014.5.1(木)

取り調べの可視化

 5月最初の日は木曜日。3週間に1回の築地のがんセンターでの受診の日である。暖かいを通り越して、暑いぐらい。検査結果は順調。今回も「いい状況です」と田野崎隆二先生に言ってもらえた。図に乗らずに、このまま順調でいきたい。待合で、久しぶりにサバイバー仲間の小澤礼子さんに合う。闘病同期の彼女も順調のようである。こうやって、お互い励まし合いながら、完治のゴールに向かって行く。

 法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が、取り調べの可視化制度化について、「試案」が提示された。可視化対象事件で容疑者が逮捕・勾留された場合は、原則として取り調べの全過程を可視化するよう義務付ける内容である。これは望ましい方向である。しかし、可視化対象事件は裁判員裁判対象ものに限るという案が有力のようだ。これでは、村木厚子厚生労働事務次官が郵便不正事件で逮捕、起訴された村木厚子厚生労働事務次官のケースが対象にならないだけでなく、ほとんどの事件が対象にならない。これでは、何のための可視化なのかということになる。特別部会の委員である村木厚子さんら5人の委員が「原則全部の事件を対象とすべきだ」という意見書を出している。検察への批判が強い時期に、起死回生の一手なのだが、検察に危機意識はないのだろうか。


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