浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 7月第3週分          

2014.7.18(金)

特定秘密保護法

 集団的自衛権、原発再稼働と安倍政権のやることに大きな疑問符をつけてきたが、今日は特定秘密保護法に関して疑問符をつける。ちなみに、この3項目が、安倍政権の三大悪政と私は見ている。

 「情報保全諮問会議」(座長渡辺恒雄読売新聞会長)がまとめた素案には、大きな疑問符がつく。どの文書が特定秘密に該当するかの解釈を各省庁に委ねている。内閣府に置かれる「独立公文書管理監」は省庁の解釈が運用基準をはみ出ていると判断したら、特定秘密の指定解除を要求できるとされるが、各省庁はその文書を管理監に提出すること自体を拒み続けるだろう。

 私の宮城県知事時代、県警は書類(犯罪捜査報償費の支出書類)を知事(私)に見せることを拒んだ。書類に協力者の氏名(架空であることを私は知っていた)が書いてあり、それが漏れると犯罪の捜査に支障を来すというのが拒否の言い分である。情報を公開するのではない、予算執行権者である知事に予算執行の書類を見せることさえ拒むのは、書類の中に秘密事項があるからではなく、裏金づくりをしているという秘密を守りたいからである。

 捜査関係の秘密、安全保障に関する秘密、外交機密と言われると、誰でもビビってしまう。「情報公開できないのはわかります」と恐れ入ってしまう。「秘密」の核心からどんどん予防線は広がっていく。そのために、秘密にする必要がない文書までもが、秘密扱いとなってしまう。しかも、それがどんな文書かは、「文書管理監」にも見せられない。こうなると、やりたい放題である。「情報公開の聖域は、必ず腐敗する」というのが、私の実体験に根ざした「真理」である。

 その懸念どおりのことが、諮問会議の素案でも明らかである。省庁は、情報を隠したがる。必要以上に隠したがる。そういう性悪説でいかなければ、国民の知る権利など、守れるものではない。


2014.7.17(木)

原子力規制委員会の審査書案の提出

 横浜駅から湘南新宿新宿ライン,京浜東北線を乗り継いで南浦和のさいたま文化センターへ。「コープみらい さいたまエリア くらしのたすけあいの会 ミニハート」の第10回全体交流会の中で「たすけあいの輪をひろげよう」のテーマで。1時間半の記念講演をさせてもらう。ほとんどが女性の130人ほどの会員は乗りがいい。それに乗せられて、快調に口が回り、持ち込んだパワポの内容をすべて語り尽くし、10分間の質問タイムも確保できたのは、上出来。講演後、50冊持ち込んだ拙著「運命を生きる」が過不足なく完売はおまけである。

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発について、新たな規制基準を満たすと認めた。田中俊一委員長は、「安全だとは言わない。再稼働の判断にはかかわらない」と記者会見で述べている。「あとは、他の方が決めてください」ということなのだろう。

 安倍首相は、「立地自治体の理解をいただきながら、再稼働を進めていきたい」と記者団に語った。朝日新聞の今朝の社説「「原発再稼働を問う」では、無謀な回帰に反対すると、明確な主張である。暴挙、無責任、多くの問題点が置き去り、これでは日本は原発依存に逆戻りすると厳しい。新基準への適合は決して「安全宣言」ではないというのは、正しい指摘である。

 他紙の社説を見ると、朝日新聞と同様に再稼働反対論は、毎日新聞(「教訓学ばぬ見切り発車」)、東京新聞(「なし崩しの再稼働は国民の不信を深める」)となっている。賛成論は、読売新聞(「安全審査を加速させ、原発の再稼働を軌道に乗せねばならない」)、産経新聞(「川内再稼働、早期実現で(国富流出の)リスク減図れ」)とある。日経新聞はいつもながらのどっちつかずで、(「国は避難計画で責任で責任果たせ」というもの。

 このバラツキ具合は、集団的自衛権の行使容認の閣議決定の社説と全く同じ。共通点は、議論が尽くされていないこと、安倍首相が急がせていること。そして、二つの論点の結果はなし崩しということか。それは困るし、許せない。ということでも共通の課題である。思い起こせば、特定秘密保護法の議論も同じだった。これは、安倍政権の体質というほかない。


2014.7.16(水)

今学期の最終授業

 散歩からラジオ体操に移る時間帯に、藤崎さんから「先生、今日は顔色いいね!」と声を掛けられた。藤崎さんは、30年前にこのラジオ体操を始めた人らしい。80歳を超えてなお元気な藤崎さんから励まされて、うれしいが、なんか複雑な気持ち。

 そんな気持ちのまま、自分より40歳以上年の離れた神奈川大学の学生への授業に出かける。なんと、今日が今学期の最終授業である。「障害福祉論」ゼミのゲストは、藤堂栄子さん、高直さん親子。高直さんは30歳。栄子さん、そのお母様と続くディスレクシアである。その高直さんが、パワポを使って、実に素晴らしいプレゼンテーションをした。20人の学生たちの反応コメントでそのすごさを想像して欲しい。「もはや天才としかいえない」、「ディスレクシアは人間の特化した能力ではないだろうか」、「自分と全く同じであり、自分も発達障害かなと思った」、「随所に生きるための『工夫』が見られた」などなど。学生だけでなく、私も感動した。最終授業にふさわしい素晴らしいguests であった。

 4時限の「地方自治論」(第15回)も今学期の最終授業。最近の授業では珍しく多い183人が出席。「最終授業では、試験問題に関わる内容を講義する」と予告をしておいたからであろうか。その熱意を多としながら、本番の試験では、是非いい成績を挙げて欲しい。担当教員として、切なる願いである。


2014.7.15(火)

本郷ロータリークラブでの卓話

 久しぶりに、散歩とラジオ体操へ。体調がとてもいいのを実感する。散歩も速足、体操は力一杯。とても気持ちがいい。

 昼からは、大船かまくらメッツホテルにて、本郷ロータリークラブの例会に出席。日浦美智江さんのご紹介で、メンバーの皆様に例のコンサート(「横浜みらいミュージックコラボ2014-二大障がい者音楽集団日本初の共演」)の売り込みにいく。既に、副会長の江上克彦さんが理事会で説明して、基本的な賛同は得ている。かしわ哲さん13分、私25分の卓話を展開して、さらに深い詳しい説明をする。首尾は上々、全面的な協力が得られそう。さらに、他のロータリークラブにも拡散することも確認された。暑い中、でかけた甲斐があった。日浦さん、江上さん、ありがとうございました。


2014.7.14(月)

3日分の報告

 一昨日のこと。日本駆け込み寺仙台支部(国分町駆け込み寺)設立二周年記念イベントに出席。「本家」の歌舞伎町駆け込み寺の12周年は6月1日で、そこで玄秀盛/浅野史郎の対談(トークショー)をやったばかりである。この日も同じトークショーをやった。両方聴いていた人がいて、「前のより面白かった」と言われた。ライブ演奏と踊り、書のパフォーマンスなど盛りだくさんの演し物を100人ほどの聴衆が楽しんでいた。イベントが終わって、瀬沼靜子さん(歌舞伎町駆け込み寺)、澁澤さん(同)、天満さん(兵庫県三木市から)を誘って、いろは横丁の「鳥よし」へ。満員のところを何とか入り込む。3人には、「焼き鳥おいしい、雰囲気最高」と褒めてもらった。

 イベントの前には、母の「お見舞い」。お見舞いというには元気過ぎるほどの94歳。姉二人も合流して、突然の家族合わせになってしまった。耳が遠いのだけが不自由で、あとは元気であるのでほっとする。

 昨日のこと。「共生社会を創る愛の基金」第3回シンポジウムに出席。私の出番は、最後の閉会の挨拶だけ。3回連続なので、リピーターには「恒例の」となる出番である。シンポジウムの内容は今回も充実している。そもそもが、村木厚子さんの冤罪事件を契機に始まった活動である。「罪に問われた障害者を支援する活動」が中心であるが、関心範囲はさらに広がっている。村木太郎さんは全体の司会と報告。今年は厚生労働事務次官の肩書きの村木厚子さんは、取り調べの可視化(法制審議会の議論)の報告、村木夫妻の大活躍である。この問題の火付け役であり推進役の田島良昭さんは、女子刑務所のあり方研究委員会の報告(堂本暁子さんの代打)と「障害者・高齢者法」の提案で存在感を示していた。その他、社会復帰の仕組みについての鼎談など、情報量が多く、考えさせる場面であった。今回、3,000円の資料代を払って参加した人は393人。ある意味では、地味なテーマの会に熱心に参加してくださる方々があってのシンポジウムである。ありがたい。

 今日のこと。神奈川大学の同僚である柴田直子先生の授業で特別講義(6月5日)をやらせてもらった際の学生からの質問への回答を作成。結構詳しく回答したので、時間がかかった。そこに、大学の人事部から「名刺が増刷できました」の電話あり。名刺がすっかりなくなっていたところに、明日は名刺をたくさん使う会合があり困っていた。今日中に入手しておかないといけない。とんでもない暑さの中、汗かきかき大学まで歩いていった。

 3日分の日記をまとめて書く。3日分一挙掲載。こういうこともあるもんだ。


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