浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  10月第1&2週分          

2014.10.11(土)

仙台でクラス会

 ノーベル平和賞が、パキスタンのマララ・ユスフザイさんに決まった。17歳はノーベル賞の史上最年少受賞である。活動はもっと若いころから始まった。その中で、頭部に銃弾を受け、命を落とす寸前までいった。それでもひるまず、女子教育の普及に向けた活動を続けてきた。彼女のスピーチが素晴らしい。力強く、信念を語る。受賞演説では、「受賞は終わりではなく、始まりに過ぎない」と語った。そう、これからが本物の戦いである。なにしろ、ノーベル賞受賞を祝福するのではなく、非難し、攻撃する勢力があるのだから。世の中に、こんなにも素晴らしい17歳がいることに、感激を超えて、衝撃を受けている私。人類の宝ともいえるマララさんを、世界中の人たちが支えていかなければならない。

 「仙台市立木町通小学校6年2組クラス会」に出席のため、仙台へ。その前に、母のところに顔を出す。耳が悪いぐらいで、それ以外は94歳にしては、元気である。時々は、筆談もまじえれば、会話は問題なく進む。筆談のメモ帳は、のちのちの記録にもなり、物忘れが多くなった母のためには有用である。今回は、突然の訪問だったので、母にはことのほか喜ばれた。これからも、折を見て顔を見に来ようと思いながら辞去した。

 クラス会のほうは、鈴木利子先生の米寿祝いも兼ねて、19人の出席で盛況である。横浜から、私を含めて二人、東京から二人、秋田、鹿沼からも出席。それ以外の13人は地元仙台に残ったり、戻ったりした人たちということに、むしろ感慨がある。近況報告では、男性は健康について、女性は、親の介護について話す。どちらも変わらないのは、そこそこ充実した老後生活を送っていることの報告である。「鈴木先生が元気でクラス会に出てくださるのが我々の励みになります」、「最後の二人になるまで、クラス会を続ける」といったことを言いながら、2年後の再会を約して記念撮影でお開きとなる。


2014.10.10(金)

東京オリンピックから50年

 テレビのニュースでは、「東京オリンピック開会式から50年です」というのを繰り返す。そのたびに、光子は「えーっ、あれから50年だって? 信じられない!」を繰り返す。信じられなくとも、あれからその3倍以上も生きているんだよ。信じられないのは私も同じ。あの東京オリンピックのことが記憶に深く刻まれているから、ほんの少し前の出来事だと思ってしまう。私の記憶はチェコの体操選手チャスラフスカ。オリンピック後に仙台の体育館で演技をしたのを高校の教室を抜けだして見に行った記憶が強烈である。その時のチャスラフスカの華麗さの記憶も。

 オリンピック後しばらくは、10月10日が体育の日であった。気象データで、この日が晴れの特異日ということで、オリンピックの開会式の日取りを決めたと聞いた。そのデータは今年も有効で、朝からいい天気。天気晴朗なりて、風弱し。体調すこぶる良好にて、動きなめらか。こうして、散歩とラジオ体操を楽しむ秋の佳き日。台風19号が来襲する前の貴重なひとときである。

 体調が良好だと、仕事も順調にはかどる。来週の「地方自治論U」の授業のレジュメを完成して、教務に原稿を送ることができた。教務からは「レジュメの原稿は前の週のうちに出して欲しい」と厳命されている。今回は、なんとかクリアできた。ほっとして、ABAのCDをしばし聴いている私。


2014.10.9(木)

泉南アスベスト訴訟

 開業50年の新幹線に乗って新大阪へ。真夏には強烈な冷房で寒い車内が、秋になって少し冷房が弱くなっているが、それでも寒いのは変わらない。毛布をお借りして、下半身の寒さ対策を施す。新幹線の運行の正確さ、車内や駅のサービスの的確さなど、高得点を与えたいが、室内の温度管理だけは、私にとっては落第点である。寒がりの私が悪いのだろうか。

 「ミヤネ屋」に出演。今日は、ほとんどが泉南アスベスト訴訟について。番組の最中に、最高裁の判決が出るというタイミングなのだから、番組としては当然の扱いである。この訴訟には私も関心、興味があって、自分なりの見方も持っていた。番組では、その一部を披露することができたのはよかった。

 判決は「国に責任あり」ということで、長い間訴え続けていた被害者の思いが通じる結果となった。私としては、当然の判決である。番組でも取り上げていたが、大阪高裁が原告の訴えを却下した裁判では、「我が国の産業の発展のためには、これぐらいの被害は受忍するのがあたりまえ」といった趣旨の意見があった。ほんの3年前の判決である。そんな時代錯誤の判決文を平気で書く裁判官がいるなんて。今日の最高裁の判決をその裁判官は、どういう気持で聞いたのだろう。

 寒い新幹線に乗って自宅に戻る。ニュースでは、村上春樹氏が今年もノーベル文学賞の受賞を逃したことを報じていた。前評判が高すぎた。ハルキストと称する人たちも騒ぎ過ぎである。村上春樹の作品の愛読者としても、ちょっと違和感あり。  


2014.10.8(水)

授業3回目

 神奈川大学で、今学期3回目のゼミと授業に臨む。どちらも履修者の出席率は高い。受講態度の熱心さも、私としては満足できる程度である。教員のほうでも、その熱心さに応えなければならないという気になる。

 「障害福祉論」のゼミは、アール・ブリュットについて、ビデオを見ながらの授業。学生は、先週の瑞宝太鼓と同様に、障害のある人達の芸術活動の魅力を感じている様子である。今学期のグループワークの4つのテーマの一つに「障害者と芸術」を予定しているが、そこで活発な議論が展開されることだろう。

 「地方自治論U」の授業は「情報公開」。その前に、前回授業の「補遺」として、外国人住民の選挙権、生活保護受給、小平市の住民投票、ふるさと納税について説明。これをやると、本来のテーマの説明時間が足らなくなるが、なんとか時間内に収まる。全学期の最後の授業でも扱ったので、継続履修者にとっては、「復習にもなって、わかりやすかった」というリアクションがあった。

 帰宅して、すぐに来週のレジュメづくりにとりかかる。まだまだ大量に作業を残してダウン。明日は、ほとんど作業ができない。なんとか、金曜日のうちには、レジュメを完成させたい。


2014.10.7(火)

講演とコンサート

 雨でラジオ体操を2日お休みした。台風が過ぎ去り、今朝はラジオ体操再開で岸根公園に出向いたが、公園内には大雨・強風の痕跡は残っていない。いつもどおり、ラジオ体操を楽しんだ。私は夏バージョンから秋バージョンに服装を変えたが、仲間の3分の1はまだ半袖姿である。半袖が長袖に変わっていくのを見ることで、これから秋の深まりを実感することになるのだろう。

 来年2月、神奈川区生活支援センター主催の会で講演を依頼されている。今日は担当の3人が打ち合わせにやってきた。講演内容の打ち合わせはそこそこに、会場を満席にする算段を話し合った。500人定員の会場に、目標200人、最低でも100人は集めて欲しいと私からお願いする。打ち合わせが終わって、「横浜みらいミュージックコラボ2014」の話をしたら、3人から「ぜひ行きたい」とのリクエストがあり、チケット3枚購入いただいた。こちらのコンサートは、500人定員の会場で500枚のチケットほぼ完売。チケット売り込みの必要はなくなったのだが、「ぜひに」という思いには応えなければならない。会場を満員にするにも、いろいろある。


2014.10.6(月)

台風一過

 夜の間ずっと降り続けていた雨が、明け方には音を立てて降るほどになり、午前中いっぱい続いていた。横浜にも大雨洪水警報が出され、竜巻注意報まで発令されるほどである。「避難準備をしてください」と言われても、一体どこに避難するのか。「行政のお知らせに注意してください」というが、どうやって注意するのか。91歳の義母は車もない中で、家から出られない。そんなことを心配するまでもなく、台風18号は大急ぎで横浜を駆け抜けていった。昼過ぎには、青空にお日様が出ている。朝方は寒いほどだったのが、手紙を出しに外に出たら、真夏並みの陽の強さで暑い暑い。めまぐるしく変わる天気に翻弄される一日である。

 午後からの来客が、台風の中、我が家に無事辿り着けるか心配したのは、束の間のこと。午後2時に堂々と3人でやってきたのにはホッとした。障害者と雇用の雑誌「働く広場」の取材である。私と障害福祉の関わり、障害者雇用について、2時間ほど語り続けた。聞き役は、フリーライターの清原れい子さん。知事時代の私を取材したことがあるとのこと。正月号掲載ということで、雑誌で使う写真の撮影は上着着用である。暑い、暑い。勝手放題にしゃべったことが、どういう記事にまとまるか。清原さんの腕を信じて待つことにしよう。


 

2014.10.5(日)

雨の日曜日

 朝からの雨が一日中降り続く。朝方の気温が今日の最高気温。一日中家に篭もりきりで、「新言語学序説」の11月号の原稿を書き上げた。「安全と安心について」のテーマで、安全と安心は言語的にも使い方が違うだけでなく、原発再稼働を考えるときには、まるで違う概念であるということを書いた。いつもの論調より、硬いものになった。


2014.10.4(土)

想定外の災害

 曇り空だが、気温は23℃と高め。岸根公園のラジオ体操仲間からは、「蒸し暑いな」の声が上がる。仲間の服装を見ると、半分以上がまだ半袖姿である。私は真夏でも紫外線対策で長袖を着用していたが、今もそのまま。これで丁度いい。このぐらいの天気は想定内である。

 今日一日、まじめにやった。「地方自治論U」のレジュメをやっと完成し、「アサノネクスト」11月号の原稿を軽く書き終える。テーマは「政務活動費」。目的どおりに使い、領収書を提出しただけでは問題の解決にならない。その結果、どんな成果を上げたのか、議会としての役割をちゃんと果たしているのかが大事。そんなことを書き綴る。

 御嶽山の噴火から1週間経っても、行方不明者の捜索がまだ続いている。今日も、心肺停止状態の人が新たに4人みつかった。天気の状態が悪いために、ヘリコプターが飛ばせない。捜索が何度も中止される。捜索に赴く自衛隊員の姿に頭が下がる。命の危険もある。何としても、ご家族のもとに被災者を届けたい一心でがんばっている姿は神々しいほどのものがある。

 噴火の兆候がまるでなかった山が噴火して、火山災害としては戦後最大の人的被害をもたらした。まさに、想定外の災害である。その想定外の災害は今年、広島市の土砂災害でもあった。想定外の災害は原子力発電所をも襲う。災害大国日本、想定外の災害などない。すべての災害を想定したうえで、対策を立てなければならないことを改めて想起する。    


2014.10.3(金)

地方分権研究会

 絵に描いたような秋の雲(月並み!)を眺めながら、ラジオ体操を楽しむ。爽やかな空気が気持ちいい。月並み表現しかできないような、典型的な秋の一日が始まる。いい季節だなあを再び口にする。

 午後から、日比谷公園内の市政会館で「第5回地方分権改革と地域民主主義の発展に関する研究会」があり、前回に続き出席する。今回のテーマは、県の各種審議会の運営で、特に情報公開について審議した。議論は、どうしても、審議会のほとんどは不要なのではないかというとことに行き着く。むしろ、議会内に公聴会を設け、そのための費用は、議員の政務活動費から出したらいいのではないかというのが私の意見。次回は都道府県と市町村の関係について議論する。


2014.10.2(木)

更生保護女性会

 降りそで降らない朝の天気。持参した傘は使わずじまい。少し厚めの出で立ちでの散歩への出番だが、これで丁度いい。そういう季節になったということ。

 午後から、葛飾区立石の「かつしかシンフォニーヒルズ」別館のレインボーホールで、東京更生保護女性連盟第五ブロック合同研修会で講演。最寄り駅は京成線青砥駅だが、ここで降りるのは初めてである。更生保護女性会は、女性の立場から、地域における犯罪予防の活動や子どもたちの健全育成のための子育て支援活動などを行うボランティア団体ということを初めて知った。葛飾区だけで千人以上の会員がいること、全国では18万人以上であることも初めて知り、驚いた。彼女たちは、自分たちの団体を「こうじょ」と呼ぶのがなんのことかわからなかったが、「更女」と書いて、更生保護女性会の略という。でも、団体外の人には「こうじょ」というのは、全く通じない。

 会場には、足立区、江東区、墨田区、江戸川区から各25人、葛飾区からは45人の方々が代表して参加している。150名、全員女性というのはなかなかのものである。そこで「助け合いの輪を広げよう」のテーマで1時間20分の講演。皆さんの熱心な聴講態度に促されて、そこそこ快調に話をさせてもらった。講演の後は、各区代表者による活動報告と質疑。そこまで残って聞かせてもらい、こちらのほうが勉強になった。お世話になりました。持ち込んだ拙著21冊が完売だったことも含めて、もろもろ、ありがとうございました。


2014.10.1(水)

新幹線開業50年

 10月になった。衣替えの時期だが、朝の気温はまだ高い。散歩時の服装は夏のまま。 

 50年前の10月1日は、東海道新幹線が有料のお客さんを乗せて初めて走った日である。最高時速270`、一日の運行が323本、総走行距離20億`、延べ乗客数56億人という数字もすごいが、なによりもすごいのは、50年間列車事故での死亡ゼロということ。だから乗客(私のこと)は安心して乗っていられる。これからますます施設が老朽化する。トンネルや橋の改修も必要だし、毎日の保守・点検も大事。そのためにかける人手と整備費は大変である。新しいリニア新幹線を作るより、古い新幹線(変な表現ですね)を守るほうがずっと大事なこと。日本で何が世界に誇れるものがあるかといったら、新幹線が一番である。

 雨の中、神奈川大学の授業に出かける。「歩いて10分」と自宅から近いことを豪語していたが、実際のところ行きは上り坂がきつくて15分かかる。傘をさし、重いかばんを持って歩くとそれ以上かかる。  「障害福祉論」ゼミでは、瑞宝太鼓のビデオを見せた。これが感動、感動、感動であった。11月5日の「横浜みらいミュージックコラボ2014」で是非とも本物を聴きたいという学生8名が、当日のボランティアを志願してくれた。  


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