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ジョギング日記 3月第4&5週分            

2015.3.30(月)

穏やかな春の日なのに

 穏やかな春の陽ざしの一日。朝の散歩にも丁度いい天気である。生きているだけで幸せを感じるのはこういう天気の中で心身ともに健康でいるから。ありがたいことである。

 世の中で起きていることはそれほど平穏無事ではない。大塚家具の親子の争いは、見ていても楽しいものではない。夜の部の読書で「菊亭八百善の人びと」宮尾登美子著(新潮文庫)を興味深く読んでいるところだが、元禄時代から始まるこの店は、現在11代目が仕切っている。途中に目立った親子の争いがなかったからこそここまで続いている。代替わりがうまくいったせいである。大事なのは、親のほうが引くべき時を知ることではないかと思っている。

 平穏無事どころか、とんでもなくおぞましい事件が起きている。ドイツ旅客機を副操縦士が故意に墜落させた事件である。自殺ではなく、150人マイナス1人の大量殺人である。副操縦士の精神疾患や網膜はく離を把握できていなかった航空会社の責任は重い。また、診断した医師が会社に通告できなかったのは、医師に課された守秘義務のためとも見られるが、こういう場合は守秘義務より通告義務のほうが優先すべきではないだろうか。原因はなんであれ、旅客機の山肌への激突で150人の命が失われた事実は変わらない。飛行機の乗客となった誰にでも起こりうる悲劇であることが怖ろしい。


2015.3.29(日)

紙はどこでどうやって作られるのか

 最近定着した読書のルールとして、日中は硬い本、電車内と夜のベッドの中では小説などの文庫本を読むことにしている。「硬い本」というのは、専門書など内容が硬い本とハードカバーの硬い本の両方である。ハードカバーの硬い本で「紙つなげ!彼らが本の紙を造っているー再生・日本製紙石巻工場」佐々涼子著(早川書房)を読んだ。先日、敞子姉と大船渡市吉浜に行った際に「読んでみたら。すごいよ。私は何回も泣いた」と勧められたものである。内容は長いタイトルが語っている。2011年3月11日、石巻市を襲った巨大津波は、日本の出版用紙の四割を担っている日本製紙の主力工場である石巻工場に壊滅的打撃を与えた。その状況から、わずか半年で8号抄紙機(工場の従業員たちは「姫」と呼ぶ)を生き返らせた。1年後には、世界最大の6号抄紙機を蘇らせた。自分たちも被災している中での渾身の努力に頭が下がる。「8号抄紙機が止まる時は、この国の出版が倒れる時です」(8号機のオペレーション責任者の佐藤憲昭)という使命感に支えられていた。

 今読んでいる各種の書籍や文庫本の紙がどこでどうやって作られているのか、この本を読むまではまったく知らなかった。というよりは、気にもしないし無関心であった。文庫本の色が出版社によってみんな違うということも初めて知った。「講談社が若干黄色、角川は特殊な赤で角川オレンジ、新潮社がめっちゃ赤」というのも本文にある。こういうのも初めてだが、この本の末尾に使用紙が示されている。本文、口絵、カバー、帯とそれぞれ使用紙が違う。ちなみに本文の使用紙はオペラクリームHO四六判Y目58.5kg(日本製紙石巻工場8号抄紙機)である。これからは、本を読むときには、紙の色、厚さ、指さわり、ページのめくり心地を気にすることになる。電子書籍なんか絶対読まないぞ。


2015.3.28(土)

お祝い、お祝い

 まず昨日のこと。厚生省で8年後輩の椋野美智子さんがふるさと大分市長選挙に出馬するらしい。それを「勝手に応援する会」に出席。厚生省を退官した大先輩から小先輩、そして後輩を中心に50人ほどの参加があった。椋野さん本人は現地貼り付きで出席が叶わない。発言を求められたので、23年前の宮城県知事出馬の時は、こんな会はやってもらえなかったということを話した。恨み節ではない。あまりにも突然の出馬だったので、そんな余裕がなかったということ。

 今日は、朝の散歩をこなした後、昼から立教大学池袋キャンパスで開催の「日本自治学会セミナー」に参加する。テーマは「地方議会のあり方」で私は1時間の基調講演を担当。参加者は50人ほどだが、その中に地方自治の専門家が多数いる。まさに「釈迦に説法」の趣になり、身を縮めながらの講演という感じである。

 基調講演だけで解放されたので、早めに帰宅できた。そのおかげで、プロ野球開幕第2戦「楽天対日本ハム」の試合に途中からだが間に合う。スカパーでの実況応援の甲斐あり、4対2で楽天の勝利。大久保新監督の初勝利を祝いたい。

 夜は、義母の92歳の誕生日をささやかに祝う。年齢相応の不具合はあるが、元気でこの齢を迎えられることは、大したものである。心からお祝いしたい。


2015.3.26(木)

散歩も研究会も楽しい

 午前中、散歩を楽しむ。春の陽射しの岸根公園は子どもたちで一杯。学齢期前の子どもたちが、声を出しながら動き回っているのが、かわいくて仕方がない。それを眺めながらの散歩は心が弾む。桜はまだ咲いていないが、これに桜が加わったら、素敵な散歩になる。

 14時から日比谷公園内の市政会館で「人口減少時代における自治体のあり方に関する研究会」の今年度最終回に出席。最終報告書の議論を経て、報告書を完成する。地方創生についての部分では、私から発言する。2時間前に読了したばかりの「民主主義をつくる」(宇野重規)に島根県海士町の地域起こしに関する12頁にわたる記述がある。「これこそ民主主義の実践、だからこそ地域おこしが成功した」ということが強調されている。これにヒントを得て、地方創生のあり方について、ひと演説ぶたしてもらう。この研究会は座長の新藤宗幸先生の捌きのうまさもあり、参加していてとても楽しい。今回は、敬愛する神野直彦先生の参加もあり、ことのほか楽しい研究会であった。


2015.3.23(月)

上野東京ラインへの不満

 頭部のMRI検査のために、築地のがんセンターへ。横浜駅から新橋駅までは東海道線なのだが、1週間ほど前からこれが「上野東京ライン」と名称が変わった。東京行きでなく、上野行きであるのにとまどう。21日(土)に東京駅から横浜まで「上野東京ライン」に初めて乗った。いつもは東京駅始発だから楽に座れるのに、満席状態の電車に乗り込む羽目になった。しかも、「先行する特急列車が遅れたために、5分程度の遅れが見込まれます」(ホームのアナウンス)という電車である。そして今日もとまどいながら横浜駅から乗り込んだが、新橋駅までの行程がスピード控えめになっていて、いつもより所要時間が長い。誰に文句言ったらいいんだろうと怒りながら、新橋駅で「上野東京ライン」から降車した。上野東京ラインの開通で喜んでいる人たちもいるようだが、私に関しては、不満も不満、大不満である。

 という気持ちでMRI検査を受けたが、このことが検査結果に悪い影響はないといいのだが。検査は、上野東京ラインとは違って、思っていたより短時間で終わった。検査結果が出るのは、少し先になる。


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