浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 7月第1&2週分            

 

2015.7.11(土)

今日も「戦後70年」企画の取材日

 天気、体調、日程と条件が整って、久しぶりの散歩とラジオ体操。身体を動かすことは、それだけで気持ちがいい。身体のためにもいいと思えるので、さらに気分がいい。日中が暑いが、朝方は運動に最適の気温である。

 午後から、日経BP社の田村賢司主任編集委員の取材。日経ビジネスで「戦後70年」の企画の一つとして年金問題を取り上げる。主に、私が厚生省年金局企画課課長補佐として関わった「昭和60年改正」について話をした。話しているうちに、30年目のことを思い出して、話が止まらなくなってしまう。「年金の神様」と呼ばれた山口新一郎年金局長の語録を引用しながら、感慨にふける場面も。「戦後70年を振り返る」企画で、障害福祉についてのNHKの取材を受けたのは、木曜日のこと。今回は1時間半の取材だったが、「日本昔ばなし」が展開されるのは、2日前と同じこと。


2015.7.10(金)

忙しい一日

 昨日は忙しい一日だった。日記を書く暇さえなかった。水曜日の「地方自治論T」の授業を終えて回収した280人分のリアクションペーパー(出席カード)と提出された宿題に目を通し、「秀逸な記述だったもの」、「秀逸な出来だったもの」を選び、その氏名を来週の授業のレジュメに記載する。誤解と質問には回答をレジュメに記載するのだが、今回は30問への回答である。ミニテスト(第11回)の結果(惨憺たるもの)を記載し、「前回の誤字」まで示す。

 この作業の途中、午後からNHKの「ハートネットTV」担当の渡辺由裕さんの取材を受ける。戦後70年を振り返るという企画の中で、私には障害福祉の分野の話を聞きたいということである。渡辺さんの聞き上手に乗せられて、2時間半にわたって熱弁を振るうこととなった。私にとっては、とても楽しい時間であった。

 取材で中断したために、レジュメ作成作業は夜遅くまでかかってしまった。作業の最中にメールを見てびっくり。「ガバナンスの連載原稿が届いていません」という担当の千葉茂明さんからのメールである。締切を3日も過ぎている。ガバナンスの「アサノ・ネクスト」は新旧を合わせて100回を超えているが、締切に遅れるのは初めてである。「明日には必ず届けます」と返信する。

 ということで、今日は朝から「アサノ・ネクスト」の原稿書き。安保法案の国会審議について書いた。タイトルは「改めて、民主主義って何?」。締切から3日遅れの原稿を無事?送らせてもらった。ほっと一息。


2015.7.8(水)

学生に危機感?

 早朝の散歩とラジオ体操の頃は雨なしだったが、昼前から梅雨らしいしとしと雨が降ってきた。その中を傘を差して神奈川大学の授業に出かける。

 地方自治論の授業は、難関の地方分権を論じる。これが毎回のことだが、大変である。学生が地方分権とは何物かのイメージを取り結べていないのが最大の問題である。「地方分権は東京一極集中の排除のことである」と思っている学生が大勢いる。事前に「地方分権とは何か」という宿題を出しておいたのだが、インターネットなどから得る情報では正しい理解に辿り着かない。こういう状況の中での講義は、意を尽くし、わかりやすさを強調し、声を張り上げてやることになるが、どこまで伝わったか心許ない。私独自の見方は一般の見方と力点が違っていることも、学生を戸惑わせる要因だとは思う。

 それとは別に、学生には「期末試験はむずかしいよ。覚悟しておけよ」と強調しておいた。今日のミニテストはこれまでのマルバツ式ではなく、穴埋め問題にしたこともあり、いつも以上にひどい出来であった。学生も自覚したことと思う。ちょっと脅かしすぎかもしれないが、学生には緊張感をもって学期末試験に臨んでほしい。学期末試験は7月29日実施である。


2015.7.7(火)

七夕に

 今日は七夕。一年に一回、織姫と彦星が会うのを許されている日である。一年に一回というのが私にもあって、今日は光子と一緒に白金台の東京大学医科学研究所附属病院に行く日である。去年は6月26日であった。

 6年前の6月、ATLの治療のためこの病院に入院した。その時の主治医である内丸薫先生が、ATLの原因となるウイルス(HTLV-T)が治療(骨髄移植)を受けた患者の中でどう変化するかを継続的に記録している。今日は血液検査の標本を提供するための採血である。採血の前に、内丸先生の診察があり、こちらから現状を報告したり、ATL発現の機序などについて私からの疑問への解説がなされたり、結構時間がかかった。世界的にも例のない研究に被験者として協力できることは光栄なことである。なんとはなしの満足感とともに、東大医科研を後にした。


2015.7.6(月)

行事が続く2日間

 この2日間は、典型的な梅雨空の下にいた。2日とも朝からしとしと雨が降り続き、気温が低い。湿度は目一杯高い、いわゆるジメジメ天気である。

 そんな中の5日(日)は、昼前から六本木の国際文化会館で開催の玩具福祉学会15周年に出かけた。私は午後から「玩具福祉学会に期待するもの」というタイトルで講演を頼まれていた。「そんな話だけで1時間半は持ちませんから」と言いつつ、「私と障害福祉」を中心に障害福祉の話をさせてもらった。講演終了後、そのまま神保町の日本教育会館に移動。

 「共生社会を創る愛の基金」の事業である第4回「罪に問われた障がい者の支援」のシンポジウムに途中から出席。「刑務所で何が起こっているのか」という鼎談の途中に間に合った。堀江貴文氏、村木厚子氏、)浜井浩一龍谷大学教授(コーディネーター)が自らの刑務所、拘置所体験を語り合うのが面白かった。続いて「地域で何が起こっているのか」のシンポジウムが森川誠氏(出所者支援をしている造園業者・元受刑者)と小長井雅代氏(静岡刑務所ソーシャルワーカー)の体験談を野澤和弘毎日新聞論説委員のコーディネーターで展開された。体験談の重みが胸に響く。毎回私の出番は終了の挨拶。「こんな地味なテーマのシンポジウムに若い人の姿がたくさんあるのに力づけられる」といったことを述べて終了の言葉を終了。今年もいいシンポジウムであった。

 そして今日は、慶応大学三田校舎で慶應義塾大学議員会に出席。ほぼ毎年招かれて、20人の出席者の前で1時間弱の講演をする。今回は「地方創生」について話をした。私の次に講演したのが慶應大学福澤研究センターの都倉武之准教授。慶應大学卒業生が先の戦争にどう関わったかを綿密な資料集積から説明する。詳しくは書けないが、これがとても印象深いものであった。

 そうそう、これは行事とはいえないが、なでしこジャパンが女子W杯決勝でアメリカと対戦し、2対5で敗退。テレビ中継で熱心に応援していたが、いやはやアメリカチームの強いこと、強いこと。4年前のリベンジの思いも強かったのだろう。アメリカの意気込みは半端じゃなかった。これではなでしこは歯が立たない。お疲れ様。


2015.7.3(金)

楽天の試合観戦

 夜半の雨が昼すぎまで激しく降りしきる梅雨の一日。夕方から東京ドームに野球観戦に行く。楽天球団の「観戦招待会」にお招きいただいた。試合開始前の時間に東京ドームのスイートルームで懇親会があり、そこで竹中平蔵さん、牛尾治郎さん達と一緒になった。いずれも楽天球団と関わりのある方ばかりである。ちなみに、私については、知事時代に楽天球団が仙台を本拠地にしてやってくるのをお迎えしたというだけの縁である。それだけのことで、こうやってお招きいただくのは、とてもありがたいことである。

 試合は北海道日本ハムファイターズとの対戦である。試合前には、三木谷浩史楽天会長と星野仙一前監督が顔をお見せになった。

 久しぶりに生で見る試合は迫力があるが、早々とレアードの満塁本塁打などで一挙5点を取られてしまい、迫力は相手方チームの日本ハム側にだけ行ったようである。それでも、最後は松井裕樹投手も抑えの役ではなく1回投げ、最終回には代打松井稼頭央選手がホームランを打つなど、見せ場はあったことをもって多としよう。


2015.7.2(木)

多摩大学リレー講座で講義

 久しぶりに電車に乗った。京王線永山まで行って、そこからタクシーで多摩大学まで行く。結構乗りでのある行程であり、普通であれば電車内で文庫本を読むのだが、今回はそれはなし。横浜線で橋本まで行く電車から望む景色が珍しくて、ずっと窓外を眺めていた。郊外に高層住宅が建ち並んでいる情景を見ながら、いろいろ感じるところがあった。

 多摩大学では「多摩大学寺島実郎監修リレー講座」の第11回講師を務める。今回で3回目か4回目。「ほんものの地方創生とは」のテーマで75分の講義である。受講生は多摩大学学生と社会人。多摩大学学生にとっては履修単位に認定されるが、一般受講生は春学期12回で12,000円の受講料を負担する。

 大教室での講義で、一般受講者300名が前半分、多摩大生200名が後ろ半分に座る。リレー講座は8年目になるが、一般受講生のうち約7割が60?70歳台で、8割がリピーターである。講義開始14時50分なのに、多くの社会人は13時半には教室に到着している。なにしろ熱心な受講生である。食い入るような視線に囲まれて、講義に力が入る。おかげで、自分としては上出来の講義となった。


2015.7.1(水)

県庁職員登場

 夜半からの雨が降ったり止んだり、時には激しく降ったりの一日。そんな中、神奈川大学の「地方自治論U」(第12回)の授業には宮城県東京事務所の小野寺正樹さんにゲストでおいでいただいた。実は、小野寺さん、昨年に引き続きのご登場である。学生256人を前に、土木職の県庁職員として、これまでの経歴をたどりながら、自分が手がけたさまざまな仕事について率直に語ってくれた。

 学生の反応は昨年とほとんど同じ。「地方公務員の仕事がこんなに忙しいとは思わなかった」、「県庁職員は県庁の中でパソコンを相手にしている仕事かと思っていたが、作業着姿で、住民とも接触が多い仕事をするのに驚いた」、「災害対応では、家族の安否確認より、災害復旧を優先する姿は尊敬できる」と、自分の地方公務員像がいい意味で裏切られたことを授業後提出のリアクションペーパーに記述している。地方公務員はやりがいがあることを小野寺さんの経験談で実感したのだろう。「地方公務員になりたいと強く思った」という学生がかなりの数になった。

 小野寺さんは、私の知事就任の翌年である平成6年4月入庁の第1期生である。その小野寺さんが入庁22年目の中堅県庁職員となって、今日は神奈川大学で学生の心に響く講義をしてくれた。ありがたいことである。

 今夜は一昨日と同じく、テニスのウインブルドン大会2回戦に錦織圭選手が登場する。一昨日と同じく、私も含めて多くの寝不足患者が生まれるだろう。


以前のジョギング日記はこちらから


TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org