2015.12.31(木)
大晦日
2015年の大晦日。去年の大晦日の日記には、「今日で今年が終わるという感慨がない」、一昨年は「一年の終わりには独特の雰囲気がある」、ついでに2012年は、ごく短い記述のあとに「大晦日につき、ここまで。みんなでいい年を迎えましょう」で終わり。
今年のジョギング日記は、11月20日に休載。12月8日に再開して今日に至る。休載には特に理由がない。あえて言えば「義務として書いている気がしてきたから」ということ。身体の具合でも悪くなったのだろうかと心配してくれた「読者」が結構いらした。これからも、「義務感で書いている」という気持ちが大きくなったら、休載するかもしれない。
大晦日ではあるが、「今年一年を振り返って」ということは書かない。一年を通して「無病息災」であったことを感謝しつつ、今年のジョギング日記の締めとする。
2015.12.30(水)
慰安婦問題での日韓の合意
年末にきて、慰安婦問題で日韓の合意ができた。両国にとって、この問題はのどにひっかかった小骨どころではない大きな問題であった。その大骨がとれたのだから、まずはそのことを喜びたい。両国民のほとんども、ほっとしたところであろう。
今朝の天声人語は、COP21における温暖化対策に関する「パリ協定書」の採択について書いている。先進国と発展途上国の間でなかなか合意がみられなかった。議長を務めたファビウス仏外相の「すべての国が百%を要求すれば、結局は全員が0%しか得られない」という言葉で合意づくりができた。日韓の合意も同じことだろう。「二方一両損」の精神、これが外交というものだと思う。
同じ朝日新聞に、東郷和彦元外務省条約局長が「国民に過去受け継ぐ責任」という論考を寄せているのが目に止まった。「合意ができたことは喜ばしいが、これで過去の歴史がなくなったわけではない。元慰安婦の方々の心の傷が完治したわけでもない」というものであるが、そのとおりである。
政府間の合意はできても、両国の国民の一部には、納得できないと反発する人たちがいるだろう。ソウルの日本大使館前の少女像もすぐには撤去されないかもしれない。性急に結果を求めるのではなく、時の流れに身を任せ、じっくりと事態を見守ることが両国にとって必要なことだろう。
2015.12.29(火)
選挙対策としての政治
今年の政治の軌跡を政策ではなく、政局ということで振り返れば、大きかった「事件」は、安保法制審議ではなく、軽減税率の導入である。自民党と公明党が軽減品目の範囲をめぐって議論したが、自民党側が公明党案を全面的に容認することで決着した。来年の参議院選挙での公明党の協力を選挙勝利の絶対条件とする官邸側がゴリ押しした結果である。
最終合意は、軽減品目の範囲を生鮮食料品だけでなく、加工食品にまで拡げるものである。税金の理屈からいっておかしい、財源の手当ができない、低所得者対策にもならないなどなど、政策として合格点はつけられない。それでも、選挙対策の前に冷静な議論は吹っ飛んでしまう。
選挙対策のにおいがプンプンする来年度予算案でもあった。2015年度補正予算案には、低所得の高齢者に一人あたり3万円の臨時給付金が計上されているが、みえみえのバラマキである。本予算案では、TPP対策経費が農家への選挙対策のにおいがする。
この程度のことは、「許せない!」と目くじらを立てるほどではない。許せない!に近い思いでいるのが、来夏の参議院選挙を衆議院選挙と同時にやろうという目論見である。野党の足並みが揃わないうちに衆議院選挙もやってしまったら、与党自民党が絶対有利になると見ての作戦である。もちろん、まだまだうわさの段階ではあるが。
「作戦」と書いたが、そもそも衆議院の解散を内閣総理大臣がいつでもできるからこそ、与党に最も有利な時を選択する作戦がとれる。これっておかしくないかということを以前に書いたことがある。イギリス議会は、自分たちの議員任期が首相の独断で無理やり切られてしまうのをおかしいと考え、2011年に首相の下院解散権を制限する「議会任期固定法」を成立させた。これまでの解散のケースのほとんどは、憲法第7条(天皇の国事行為)第4号(衆議院を解散すること)を根拠としている。これは憲法条文の無理苦理解釈である。
ここではこれ以上書かないが、究極の選挙対策としての首相の解散権の行使を制限することは、憲法論議としてもっと真面目に議論されていいということを、こんな年末になって書いている。
2015.12.27(日)
沖縄県対国の争い
朝、散歩に出たら、目の前にまんまるの大きな月。こんなに大きくて明るい月が朝見られるなんて。月を見ながら歩いて岸根公園の高台で後ろを振り返ったら、赤みがかった雲が見えた、こんな自然現象を見られるなんて。しばし感動。
今年の地方自治の話題を振り返ってみると、大阪都構想の住民投票もあったが、やはり辺野古基地建設をめぐる沖縄県対国の争いが一番印象に残る。現在時点では、裁判での争いを含め、争いは続いている。前知事が行った埋め立ての承認を翁長雄志知事が取り消し、その承認取消し処分を石井啓一国土交通大臣が執行停止にした。さらに今月25日に翁長知事は、その執行停止の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に提起した。
これに先立って、11月には石井大臣のほうから承認取り消し処分の取り消しを求める代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起したところである。自治体と国がこのような形で争うのは珍しいことである。
どちらにも言い分はあるだろう。沖縄県の自治体としての特異な立場と歴史的経緯がある。国はアメリカに気を配るところもある。そういう意味で、普通の意味での国対地方自治体の争いとは違う。どちらが裁判で勝つかということではなく、この争いの経緯自体が地方自治の問題として興味深いものがある。
2015.12.26(土)
報道の自由と公平性
週初めの天気予報と違って、このところは暖かさを感じる朝である。散歩とラジオ体操で動き出すと、汗ばむほど。暖冬が続いていて助かっている。
今年は、テレビの報道番組への風当たりが強かった。政府与党側は、報道の「公平性」を主張することが多かった。選挙報道では、自民党は選挙報道の公平中立を文書で注文をつけることもあった。勉強会で自民党議員から「マスコミを懲らしめる」との発言が出たのには驚いた。
個人が槍玉に上げられた例では、「NEWS23」のアンカーを務める岸井成格さんが安保法案について「メディアとして廃案に向けて声をあげるべきだ」と発言したのに対し、「放送法違反だ」と非難する意見広告を新聞に掲載した。これをやったのは保守系の学者らからなる「放送法遵守を求める視聴者の会」である。
政府与党がニュースの報道ぶりに批判的なのはわかる。しかし、やり過ぎではいけない。報道の自由の確保には慎重になる必要がある。一方、報道する側も、報道の公平性は保たなければならない。それでも、視聴者を煽るのはよくないが、政権を批判することはメディアの使命であることも忘れてはならない。
年末にきて、テレビ朝日の「報道ステーション」を来年3月末で降板するとキャスターの古舘伊知郎さんが発表した。本人は、「降板は官邸からのバッシングとは関係ない」と言っている。むしろ、テレビ朝日の政権迎合姿勢に嫌気がさしたのではないか。
さらに、岸井さんがTBSの「NEWS23」のアンカーを来年3月に降板することが決定した。今年ではないが、NHKの大越健介さんがキャスターからはずされた。それも、これも、テレビ局にはいやな雰囲気が漂っているように感じてしまう。
2015.12.25(金)
来年度予算案が決定
朝の散歩に履いていったシューズは、一昨日買い求めた新品である。今までは、病気になる前から使っているシューズを履き続けていた。そのうちの一足は2009年3月の東京マラソンを4時間15分で完走した時に着用のものだけに、なかなか捨てられない。今はせいぜいスロージョギングしかできないが、新シューズの履き心地は上々である。
来年度の予算案が決定した。一般会計の規模は96.7兆円で過去最大である。企業業績の回復もあり、税収が増えることで新規国債の発行額は減らしたというが、それでも34.4兆円と高水準である。予算の3分の1を借金に頼る状況は変わらない。これで債務残高(借金)は838兆円に増える。
歳出規模は毎年度どんどん大きくなる。社会保障費の増大は止められない。防衛費は5兆円を初めて超えた。参議院選挙を意識してのばらまき予算があるのが気になる。
歳入面での税制改正は、痛みを伴う負担増は先送りされた。消費税率10%への引き上げに伴う軽減税率の導入では、財源の見込みがないままに対象品目を大きく拡大した。それもこれも選挙対策である。
その結果として、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を図るという目標は達成不可能であることが明らかとなった。こんなことで、日本の財政は大丈夫だろうかと、国民が不安になるのは当然である。そんなことを改めて考えさせる来年度予算案である。
2015.12.24(木)
難民問題
今日は1ヶ月に1回の築地のがんセンター受診の日。2年ぶりにPET検査を受けた。画像だけは田野崎先生のパソコンに届けられていた。画像を見た田野崎先生は「異常は認められませんね。もっと詳細に見て、何か見つかったら、ご連絡します」という。「ご連絡はもらいたくありません。そんなクリスマスプレゼントはいりません」と私。その後、何も連絡はない。血液検査の結果も異常なし。今年最後の受診もこんなところで、めでたし、めでたしである。
難民問題に対峙しているヨーロッパ各国の状況を見るにつけ、日本としても難民問題に真剣に向き合う必要性を感じている。そんな中で、某誌に隔月書いている書評で「日本と出会った難民たち」(根本かおる著)を取り上げ、その原稿を書き上げたばかりである。
そこには日本の難民対応の異常なまでの厳しさが描かれている。難民認定の少なさ(年間十数人)、難民申請に対する難民認定率の異常なまでの低さ(0.3%、アメリカは53%)に留まらず、難民認定がされず不法滞在となり強制送還されるまで待つ収容施設(茨城県牛久市にある東日本入国管理センター)での刑務所より過酷な処遇など、日本の難民対策の後進性を知らされ、衝撃を受けた。難民問題に関する国際的関心の高まりの中で、日本は難民対策の抜本的改善が迫られることになるのは避けられない。
619字の書評では、そこまでのことが書けなかったのが残念なことである。
2015.12.23(水)
天皇陛下 今日82歳
今日は天皇誕生日。天皇陛下は、82歳をお迎えになった。これに先立つ記者会見での「様々な面で先の戦争のことを考えて過ごした1年だった」のお言葉が印象的である。お考えになっただけではなく、慰霊の旅に出るという行動もとられた。4月には、激戦地だったパラオのペリリュー島を訪問された。
天皇陛下が特に気にかけているのは、戦時中の民間人の犠牲が大きかったことである。横須賀市の民間の船員の犠牲を祀る慰霊碑に7回足を運んでいることが、そのことを如実に表わしている。軍に徴用され、物資の輸送にあたった民間船の多くが撃沈され、6万人以上の民間の船員が犠牲になった。記者会見では、このことを話すときに思いがあふれ、声がかすれた。
天皇陛下の公務は、同じ年齢時の昭和天皇と比べると格段に頻度が高いらしい。ご高齢だけでなく、心臓の手術後であることから、宮内庁は負担を軽減させたいと考えているが、天皇陛下ご自身は「しばらくこのまま公務を続けたい」というご意向である。天皇としての役割をしっかり果たしたいという使命感であろう。そのことには、自然に頭が下がる。
2015.12.22(火)
新国立競技場のデザイン決定
今日は冬至。夜明けが遅いし寒さも厳しい。それにもかかわらず、(ほぼ)毎朝の散歩とラジオ体操を欠かしていない。体操の始まる頃、東の空が赤くなるのがとても美しい。神秘的といってもいい。清少納言が「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」という「春」は、今の季節のことではないのだろうか。
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場のデザインが、隈研吾さんと大成建設などのグループによるA案に決定した。コンセプトは「木と緑のスタジアム」である。絵で見るだけだが、B案だって悪くない。ともかく、早く決まったのは良かった。
総工費1490億円というのがすごい。オリンピック後の維持費が毎年30億円というのがもっとすごい。「すごい」というのは褒め言葉ではない。「めちゃくちゃ」に近い意味である。完成予定は、開催前年の2019年11月末だが、こんなギリギリでいいのだろうか。そもそも、予定どおりに工事は終わるのだろうか。これも心配ごとである。
2015.12.21(月)
ISの蛮行
今年の出来事を振り返る時期とはなった。5年後、10年後に振り返って、「あの時が大きな節目だったなあ」ということになるのではないかという観点から考えてみたい。
ISによるテロが、そういった出来事になりそうだ。2015年最初の大きな事件は、フランスでのシャルリ・エブド社襲撃事件である。その後も11月にはパリでの同時多発テロが起き、130人もの市民が犠牲になった。ISの蛮行に全世界が震撼し、IS殲滅への各国の協調体制ができるに至った。
ISへの空爆だけでは解決にならない。「ISを殲滅する」というのは現実的でない。まずは、シリアの内戦を終わらせなければならない。ISとともに、アサド政権をなんとかして排除することが必要である。大量の難民が発生し、ヨーロッパ各国に流れ込んでいく状況もシリアが収まらなければ解決しない。
来年も、ISの動きから目が離せない。人類の危機が2015年から始まったとは言わせたくない。
2015.12.20.(日)
全国高校駅伝
毎日が日曜日の生活とはいえ、本当の日曜日はそれなりの意味がある。駅伝、マラソン観戦大好きの私としては、今日の全国高校駅伝は見逃せない。
女子は10時30分スタート。最終区で4位スタートの世羅高のアンカー向井優香が3人抜いてトップでゴール。淡々と走っていた向井が、ゴール直後に泣きじゃくる映像を見て、こちらももらい泣き。
男子のスタートは12時30分。2区でトップに立った優勝候補の世羅高が、そのまま2位九州学院を2分近く離す圧倒的強さで連覇を達成。史上最多の9度目の栄冠である。しかも、2004年の仙台育英の大会記録を14秒上回る大会新を記録した。
高校駅伝を見るたびに思い出すのは、1993年の仙台育英のアベック優勝である。この年は、宮城県はコメの作況指数32という大冷害に見舞われた。ゼネコン汚職で仙台市長と宮城県知事が逮捕されるという不祥事もあった。年末になって、このうれしいニュースが知事就任1ヶ月だった私のところにもたらされた。仙台育英男子はこの初優勝から、3年連続を含む7回の優勝を飾っている。2004年に、当時の大会記録である2時間01分32秒を出した大会の優勝報告で知事室を訪れた渡辺監督が、「これは神がかりの記録です」というようなことを言っていたのを思い出した。その記録を今回、世羅高が破ったのだからすごい。
駅伝となると、興奮してしまう。NHKの放送を男女とも最初から最後まで見続けていた。年末の楽しい日曜日である。
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