浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 1月第1&2週分       

2016.1.9(土)

衆議院予算委員会始まる

 国会で論戦が始まった。舞台は衆議院予算委員会。予算委員会での質疑は、代表質問と違って一問一答形式なので、野党議員の質問に対し首相や閣僚からすぐに答弁が返ってくる。壇上からの答弁ではなく、質問者と同じ平場での議論である。首相から質問者への反論もある。うまくいけば丁々発止、臨場感があり迫力もある。だからこそ、質問者の力が試される。

 昨日の予算委員会では、民主党の枝野幸男氏と山井和則氏の質疑が良かった。枝野氏の論点は、アベノミクスが失敗だということ。大企業や高所得者への優遇であって、庶民の暮らしは良くなっていないと訴える。また、消費税の軽減税率については、「低所得者対策になっていない」と批判した。

 山井氏は子育て給付金の廃止を批判しつつ、「若者の非正規、子育て世代が苦しい思いをしている」と主張した。こういった議論は、論点がはっきりしているので、聴いていてもわかりやすい。安保法制の議論も大事だが、ある意味、専門的過ぎてわかりにくい。

 「野党が何をやっているのかわからない」、「存在感がない」という声もあるが、政権党でないので、国会論議で存在感を示すしかない。だからこそ、国会論議が大事である。政策論議が成り立つように、野党議員も政策に強くならなければならない。長丁場の通常国会での野党のお手並み拝見である。


2016.1.8(金)

誕生日3題

 1月8日は、我々エルヴィス・プレスリーファンにとっては特別な日である。1935年のこの日、エルヴィスはミシシッピ州テュペロに生まれた。毎年、この日に世界中のエルヴィスファンが、彼の42歳で生涯を終えたテネシー州メンフィスの豪邸グレースランドにある墓に詣でる。命日である8月16日にはさらに大きなエルヴィス詣でがある。生きていれば、81歳。まだ現役で歌っていたかもしれない。せめては、CDで往時を偲ぼう。

 エルヴィスファンの小泉純一郎元首相も1月8日が誕生日。73歳。訪米の際に、グレースランドでブッシュ大統領、元妻のプリシラ、娘リサ・マリーの前でエルヴィスの歌を歌ったのはご愛嬌。見ていて、ちと恥ずかしかったが。

 もう一人この日が誕生日なのは、北朝鮮の金正恩第一書記。今日で33歳。33歳の若造、チンピラがはるかに年長の側近を何人も粛清している。さすがにあの髪型を国民に強制することまではやらないが、「金正恩」という名前を変えさせることはやっているらしい。そして水爆実験。暴挙を諌める側近はいなくなった。一体、この人はどこまで暴挙をやらかすのだろう。そして、この国はどこに行き着くのだろう。33歳の独裁者に踊らされる国民があわれである。


2016.1.7(木)

ふるさと納税制度

 3日休んだ後の散歩とラジオ体操。暖かい朝で快調に身体が動く。終わった後も、快調を維持している。

 朝日新聞の社会面にふるさと納税の記事が出ていた。記事では、寄付先の自治体からの謝礼品に、他の自治体の特産品を渡す自治体が出てきている現象を肯定的にとらえている。具体的には、埼玉県坂戸市が、新潟県南魚沼市の産品を謝礼品に加えたら、寄付額が16倍に増えたことを紹介している。

 ふるさと納税制度を使って自治体に寄付する人は、その自治体に愛着を持っているからこそ寄付をする。「愛着を持つ」ということは、その自治体がその人のふるさとであることが多い、それが「ふるさと納税」のネーミングに表れている。そう考えると、謝礼品の豪華さに惹かれて、ふるさとでもない自治体に寄付をするのは邪道とまでは言わないが、制度の本来の趣旨とかけ離れている。制度発案者が、こんな風潮を弊害と感じるほどに蔓延すると、早晩、制度の見直しがなされるだろう。

 ふるさと納税が人気を高めているのを見ると、私は別な形の寄付制度のことを思い浮かべる。認定NPO法人に寄付したら、その寄付額を寄付者の所得税から控除するという仕組みである。実際は、この制度の人気は、ふるさと納税制度の人気に遠く及ばない。なぜなら、寄付金額の半分以下しか控除されないことと、認定NPOの基準が極端に厳しいこと(NPO法人中、認定NPOは1%以下)が原因である。

 この制度において、寄付者は特定の認定NPOの活動に賛同し、それを応援する趣旨で寄付をし、所得税を控除される。つまり、税金(の一部)を国に払う代わりに、自分のお気に入りのNPOに寄付する。これこそ、税金の民主主義である。それが怖いから、国はこの制度を非常に制限的に運用している。アメリカなどは、この種の制度が大変効果的に運用されているらしい。

 ふるさと納税制度の話から、だいぶ発展してしまった。


2016.1.6(水)

北朝鮮の水爆実験

 午後から、報知新聞の加藤記者の取材を受ける。2004年の仙台への球団誘致に関して、ライブドア堀江貴文社長(当時)との出会いなどについて話した。結果的には、ライブドアでなく楽天が球団設立となったが、井戸を掘ってくれた先人への感謝の気持ちを伝えたいと思った。その意味では、私にとって、いい取材になった。

 夕方、大学同級生の木谷正道君と電話で30分以上話した。彼が主宰する「心の唄バンド」のメンバーの一人が、昨年10月に障害者の就労問題について教えてもらった施設の総合施設長ということを知って、話を始めた。木谷君からは高次脳機能障碍の人たちとの音楽活動のこと、視覚障害者への囲碁指導のことなど、たくさんの話があった。その他の奇遇があり、お互い興奮しながらのやりとりとなった。とりあえず、3月の心の唄コンサート付きの「トーク 高次脳機能障がいと私」の集まりと4月の高次脳機能障がいの合唱と心の唄バンドの合同演奏に顔を出すことになった。

 そんな楽しい出会いがある日に、とんでもないニュースが飛び込んできた。北朝鮮が初の水爆実験に成功したと発表した。安倍晋三首相が、即刻、記者会見で、我が国への重大な脅威であり、強く非難すると言明したのは当然である。国際社会への挑戦でもある。北朝鮮は、ますます孤立を深めることになる。駆け引きを超えて、後先考えずの暴発に至る前に、各国一丸となって毅然として対応することが求められる。混乱は中東だけではない。隣国も大混乱である。  


2016.1.5(火)

憲法改正論議の本音隠し

 安倍晋三首相は、どうしても憲法改正をしたいようだ。それが自民党の党是だから、条件が整えば憲法改正に着手するのは当然だろう。

 条件の最初のものは、国会の両院で与党が三分の二の多数を占めることである。参議院ではこの条件が満たされていない。となると、今夏の参議院選挙では、是非とも大勝利しなければならない。

 そのための選挙対策で頭が一杯。年金額が少ない高齢者への3万円給付、これは有権者受けする。消費税の軽減税率対象品目の大幅拡大は公明党対策。一方、安保法制は3月に施行されるが、野党からの論議の的になりそうなPKOに派遣する自衛隊の「駆けつけ警護」は選挙後に先送りする。これは争点隠し。

 先の話しであるが、仮に参議院で改憲勢力が三分の二を確保したとしても、憲法改正の発議は9条ではなく、環境権など国民の合意を得られそうな条項についてまずやるという「作戦」が伝えられている。これも本命の「9条改正」先送りだろう。

 どうも本来の政策論議とはかけ離れた、選挙対策のにおいが強い政策が横行しそうな雰囲気である。それに待ったをかけるのは、野党だけでは心許ないので、国民のチカラだろう。  


2016.1.4(月)

通常国会が開会

 正月三が日も過ぎ、今日から通常の生活が始まる。朝の体温検診で36.7℃。微妙なところだが、散歩は中止にした。散歩も日記も義務ではないので、なにかあれば休むのが継続の秘訣である。

 安倍晋三首相が首相官邸で念頭の記者会見。夏の参院選は自公で過半数を確保したいと述べた。首相としての記者会見なので、自民党総裁としての気持ちが出るのには、少し違和感あり。それだけ強い決意なのだろうと、考えることにしよう。

 通常国会が今日開会し、6日衆院、7日参院で代表質問があり、論戦が始まる。回帰は6月1日までの150日間。存在感が薄い野党のまともな論戦がどこまで進むか、そんなことを期待刷るしかない「一強多弱」の政治模様である。

 今年は、国内政治だけでなく、国際情勢から目を離せない。シリアの内戦、ISの動向とテロ、中国の経済と南沙諸島問題、北朝鮮暴発の可能性など、血生臭いことが起こりそうな予感。そこに我が国はどう対処していくのか。対岸の火事ではなく、自分事として関心を持ち続けなければならない。  


2016.1.3(日)

青山学院大学、箱根駅伝で完全優勝

  今日は箱根駅伝の続き。青山学院大学の誰かがブレーキを起こしてくれたら面白くなると思ったが、なんのなんの復路も7区、8区、10区で区間賞、2位東洋大学を7分3秒の差をつけて2連覇を飾った。昨年は2位駒沢大学を10分以上引き離しての優勝ゴールだった。今回は一度も1位を譲らずの完全優勝。

 一昨年の今日の日記を見たら、「大手町でアンカーのゴールを待つ2位駒沢大学のメンバーが、全員暗い顔でうなだれている姿が印象的である。一方で、青山学院大学のアンカーが5位でゴールするのをメンバーが狂喜乱舞で迎えるのと好対照であった」との記述が見つかった。7年前の第85回大会では、22位(最下位)だった。急に強くなり、そしてこれから何年かは黄金時代を築きそうな勢いである。

 3日間、駅伝を楽しませてもらった。関係者の皆様に感謝したい。これで三が日が終わる。明日からは、少し心を引き締める。  


2016.1.2(土)

三が日は駅伝

  正月三が日の過ごし方は、駅伝観戦三昧と決まっている。1日の全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)、2,3日の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)をスタートからゴールまできっちり見るのが習慣になっている。中でも、箱根駅伝は、今や、国民的行事になっており、とりわけ熱心に観戦する。

 国民的行事といえば、大晦日のNHK紅白歌合戦である。今年の歌合戦についての我が家での評判は良くない。「歌合戦」なら、歌をじっくり聴かせればいいのに、舞台を派手な色彩の映像が動き回る。今回は特に煩わしかった。選曲や出場者選びも、老若男女が楽しめるものというより、若者に照準を当てた構成になっている。そんなことも影響したのだろう。視聴率は後半が39.2%と歴代最低となった。もう国民的行事とは呼べない。年末恒例というだけで、惰性で見る番組になったようだ。

 箱根駅伝に話を戻す。こちらは老若男女ともに楽しめる。ルールが単純明快なのがいい。ともかく、単純に走るだけ。10区でたすきを渡し、20校で一番早くゴールに戻って来たところが優勝。ほとんどの区間が20キロ以上の長距離であり、その間の順位変動が頻繁に見られる。たすきを渡した後、精も魂も尽きて倒れこむ選手が多い。テレビカメラはその様子まで詳細に捉えるが、それがまた感動を呼ぶ。

 往路は、優勝候補筆頭の青山学院大学がスタートからずっとトップを維持し、2着の東洋大学に3分以上の差をつけた。箱根駅伝には、ドラマがつきもの。青山学院がトップのままでは面白くない。明日は、予期せぬドラマが起きると、ますます盛り上がるのだが。  


2016.1.1.(金)

恒例の一月一日

  今年最初の散歩は、比較的暖かな中で開始。岸根公園でのラジオ体操を終えて、三々五々、公園の中で一番高い児童公園に集まる。そこで初日の出を待つ。7時少し前、太陽が顔を出すと全員拍手拍手。その後、有志が持ち寄ったおせち料理をつまみながら、お酒をいただく。今回は、ひれ酒を振る舞う人がいた。

 一息ついて、恒例の「一月一日」(年のはじめのためしとて)の一番、二番を歌う。歌詞を書いた紙が用意されている。次に、「ふるさと」(うさぎ追いしかの山)を歌う段になって、小学校の元校長先生の松田さんが、「親御さんがご存命の人いますか」と訊く。 「ハイ」と答えたのは私だけ。見回したら、バングラデシュから来ているシン君を除いて私が(多分)最年少である。「恒例の」は、「高齢の」でもあることを改めて認識した。

 家に帰って、こちらもほぼ恒例の式次第で元日の食事。異例なのは、お屠蘇の代わりにシャンパンでお祝いしたこと。義母も妻も少しだけいただく。ほんの少しだけなのに、妻は「ちょっといい気持ち」になった。めでたいことである。  


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