浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 2月第2週分       

2016.2.13.(土)

高市発言の持つ意味

 昼間の暖かさにつられて、久しぶりに散歩に出た。何日ぶりか忘れてしまうほどの久しぶりである。いつもよりゆっくり歩いたが、汗ばむほどで、気持ちは「暑い、暑い」である。すぐに寒波が来るらしいから、それまでの束の間の日和である。

 北朝鮮が、日本の独自制裁に反発して、拉致調査中止に向けて「特別調査委員会」を解体すると宣言した。また、韓国が開城工業団地の創業の全面中断を決めたことに反発して、韓国企業の資産を凍結した。それだけでなく、開城に軍部隊を投入する可能性があるという。作用あれば反作用あり。制裁に対抗するのは、北朝鮮としては「自衛」の措置だろうが、それで制裁のインパクトが軽くなるわけではない。北朝鮮と諸外国との綱引きならぬ棒押し比べは続く。このゲームに北朝鮮が勝つ見込みなどないのだが、一体どこまでがんばるのだろう。

 高市早苗総務大臣の電波停止発言の続報である。総務省が、放送法4条が定める「政治的公平」の解釈・判断基準に政府統一見解を出した。「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」というものである。そもそも、その判断を総務省がするというのがおかしい。もっと本質に遡れば、そもそも、総務大臣に放送事業者の電波停止をする権限があるのがおかしい。これは法律事項であるから、これを正すには法律改正が必要である。そのぐらいの問題を、はしなくも高市発言は惹起したのではないか。  


2016.2.12.(金)

株価の急落

 株価が下げ続けている。下げ方のスピードが速い。今日の終値が14,952円というのは、驚きである。海外の動きを反映しているので、日本の実体経済が悪化しているわけではない。とはいいながら、世界同時不況の波にさらわれる恐れはある。リーマン・ショックに次ぐ、なんとかショックということになるのだろうか。

 日銀のマイナス金利政策の導入を決定したことは、今のところ、効果は逆方向に動いている。円安ではなく、円高に動き、株価は下がった。特に、銀行株の急落は、マイナス金利政策が貸出増加に寄与していないことの表れだろう。こうなることは、専門家から事前に指摘されていたところでもある。冷静を装っているが、黒田日銀総裁にとっても大きなショックではないか。

 明るい話題としては、アメリカの研究チームが宇宙からやってくる「重力波」を観測したというニュースである。ほとんどの人は、このことの意味を正しく理解していない。私にもなんのことやら、さっぱりわからん。そう言明することが、少しも恥ずかしくないというのも、重力波の重力波たるゆえんである。「重力波」というより、「時空のさざ波」という言い方のほうが、詩的な響きがある。素敵である。  


2016.2.11.(木)

米大統領選の予備選

 建国記念の日。毎年思うことだが、15ある国民の祝日の中で、この祝日とみどりの日の根拠がはっきりしないので、心に残らない。そりゃそうでしょ、今から2676年前に神武天皇が即位した日と言われても、「何それ?」ということになる。7月4日がアメリカの独立記念日、7月14日がフランスの革命記念日だが、こんなふうに各国の建国記念日は、歴史的に確かな日である。

 毎年ではなく、4年ごとに思うことであるが、アメリカの大統領選挙の盛り上がり、毎回、羨望の目で見ている。お祭り騒ぎに過ぎない、予備選も含めた選挙期間が長過ぎるといった批判的な見方もあるが、国民の関心と行動を呼び起こす選挙であることには賛辞を送るしかない。特に、若者たちがボランティアとして特定の候補を支援する姿には、感動すら覚える。今年の参議院選挙から18歳選挙権が始まるが、一体、どのぐらいの投票率が期待できるだろう。

 アメリカ大統領選挙は、特に予備選挙の段階では、州ごとに日程が決まっていて、順次候補者が絞りこまれていく過程が興味深い。アイオア州とニューハンプシャー州の予備選挙が終わった段階だが、この時点での私の予想を書いてみる。と思ったが、やめておく。いくら外国の選挙だといっても、無責任な予想はアメリカ国民に失礼だ。というより、予想がつかないというのが本音である。  


2016.2.10.(水)

高市総務大臣のとんでも発言

 高市早苗総務大臣の「電波停止あり得る」発言が波紋を広げている。今日の衆議院予算委員会のTV中継では、安倍首相が「電波停止については、高市大臣と同じ見解か」と民主党の大串博志議員から何度も質問されていた。高市発言は、表現の自由・言論の自由を危うくする重大な意味を持つものであり、こんな揚げ足取りのような質問ではなく、本質を見据えて迫るべき案件である。その点、野党議員の奮起を期待したい。

 放送法4条に違反すれば、停波もあり得るというのであるが、違反内容の「政治的公平性違反」を誰がどう判断するのかが明確でないことが大問題である。そもそも、4条列記の遵守事項は放送局の内部規範であり、違反を問えるものではないというのが、これまでの解釈ではなかったのか。

 ここは、メディア各社の踏ん張りどころでもある。報道番組のキャスター、国谷裕子氏、岸井成格氏、古舘伊知郎氏の降板が、放送各社の自粛に見えるものとしては、気になって仕方がない。  


2016.2.9.(火)

北朝鮮への制裁の後にくるもの

 午後から、日本医科大学武蔵小杉病院で、先週の土曜日に続いての受診。耳下腺炎の原因を探るべくCTを撮った後、画像を見せてもらった。耳の奥がみっちり耳垢で覆われている様子がわかる。次に、顕微鏡を見ながらの、その耳垢を除去する吸い込み作業が30分。医師から、「全部取れました」。予想していなかったので、驚いた。聴こえがほとんどゼロだった左耳が全開。耳下腺炎による痛みの原因も除去ということだろう。痛みともおさらばである。予想外の展開にとまどうほどである。医師団(お二人)のご尽力と成果に感謝、感激である。ありがとうございました。

 話題は大きく変わる。北朝鮮のミサイル発射の話。

 北朝鮮のミサイル発射を受けて、国連安保理は緊急会合を開き、北朝鮮を強く非難する声明を発表した。一方で、北朝鮮に対する制裁についての中国の「慎重姿勢」には、各国から不満が出ている。中国は北朝鮮への経済支援を打ち切れば、北朝鮮の崩壊を招くことを心配している。各国が、「それでも制裁強化せよ」というのは、結果的に北朝鮮が崩壊してもいいということになる。そこまで見込んでいるとしたら、北朝鮮の崩壊後、どういう展開になるか、それに世界全体としてどう対応していくのかの見通しがなければならないと思うのだが、そういうことは聞こえてこない。

 各国が北朝鮮を崩壊に追い込むという図式より、北朝鮮内部からの崩壊の図式のほうがあり得る。ミサイル打ち上げ費用で、北朝鮮の3年分の食糧不足が解消されるという数字を見たが、飢餓に苦しむ人民を犠牲にしてミサイル発射を続ける国家は、いつまで存続できるのだろうか。いくら従順な国民でも、そんな国家、そんな指導者を許さないだろう。各国が北朝鮮という国家の手仕舞いに出て行くのは、それからの話ではないか。展望なき制裁強化の動きを見ながら、そんなことを考えた。

 国内の動き。高市総務大臣が、衆議院予算委員会での「政治的に公平でない放送局は停波も検討する」という発言については、今日は論じないが、とんでもないことであるということだけは書いておく。


2016.2.8.(月)

誕生日

 今日が68歳の誕生日。今朝4時過ぎまで耳下腺炎で「痛い、痛い」だったのが、その後、痛いの「い」の字もなくなった。痛み止めをやめても痛くない。どなたかからのバースデイ・プレゼントなのだろうか。

 そんな日に、「ミヤネ屋」出演のため大阪へ。新幹線の中でも、番組中も体調は万全。私以外に、パックンと野村修也さんがコメンテーター。台湾地震、北朝鮮ミサイル発射、清原覚醒剤、中国爆買、次々と話題が続く。パックンが面白い。野村さんはいつもどおりわかりやすいコメント。

 帰宅したら、バースデープレゼント、バースデーカードが何件か届いていた。数は少ないが、覚えていただいていることだけでも、とてもうれしい。心に沁みる。


2016.2.7.(日)

北朝鮮が弾道ミサイル発射

 2月になって初めて、1週間ぶりの日記となる。先週の火曜日に耳下腺炎と咽喉炎で高熱が出てダウンしてしまった。熱はすぐ引いたが、耳下腺炎の痛みが取れない。今でも痛み止めで抑えている。何もする気がなく、当然日記も書けない。痛みさえ抑えていれば、普通にやれるようになったので、ぼちぼちと再開である。

 休んでいる間にいろいろあった。ニュースを追う日記ではないと思いながらも、ざっと振り返ってみる。清原和博元プロ野球選手が覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された。公けのコメントはともかく、「まさか」というより、「やっぱり」というのが多くの見方だろう。

 川崎市の多摩川河川敷で中1の上村諒太君が殺害された事件の裁判で、主犯格の19歳少年に検察は懲役10年以上15年以下を求刑した。公判での両親の意見陳述が悲痛なものだった。こんな悪鬼のような犯人の心の内を見たいものだ。一体、どういう育ち方をしたのだろう。

 衆議院予算委員会での論議で、安倍首相の強気で攻撃的な対応が目立つ。特に、憲法改正に前がかりに見えるのは奇異である。9条2項の改正にまで言及している。夏の参議院選挙の争点になれば、公明党が距離を置くだろうし、国民の目も厳しくなる。憲法改正の争点化は、自民党にとって決して選挙に有利な展開にはならないのに何故だろう。

 そして、今日のこと。北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射に成功した。発射の第一報は、TBSの「サンデーモーニング」放送中のニュース速報。各局とも、そこから臨時番組に切り替わった。ある意味、予定どおり、予想どおりである。この「暴挙」に、各国がどう対応するか、これからが勝負である。北朝鮮については、テレビで「はちゃめちゃ」とコメントしていたが、この後のことは何も考えていないというのが真実ではないか。  


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