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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/7/30
http://www.asanoshiro.org/                  第47号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「市町村合併」(浅野史郎)

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 ○「市町村合併」(浅野史郎)

 全国各地で、市町村合併が進んでいる。合併実現という実例は、今のとこ
ろあまり目立っていないが、これからの1,2年でどんどん進んでいくだろ
う。今、起こっているのは、合併に向けての本格的な検討である。これが実
を結ぶのが、平成17年3月までの期間ということになる。

 平成17年3月といったのは、合併特例法の期限がこの時期であるから。
つまり、この時期までに合併すれば、さまざまな「特典」が得られる。合併
特例債というのが、一番わかりやすい例である。合併に伴って必要な事業に
要する費用の財源を、この合併特例債で調達することができる。その償還の
7割は、地方交付税でみてもらえるといったメリットがあるので、合併する
自治体にとっては、極めて有利な制度である。

 わが宮城県内でも、合併の動きは出てきているが、最近までは、その動き
は必ずしも活発とは言えなかった。平成14年4月1日現在で、合併につい
て複数市町村での検討が行なわれていた自治体数は、宮城県では25。県内
71市町村のうちの35%である。この数字は、東北では最下位。全国でも、
下には東京都、北海道、沖縄県しかない。全国平均は69%であるから、宮
城県の実績は、その半分。

 それが、今日現在では、45市町村に増えた。この4ヶ月ほどで、急速に
合併についての検討が進んだ。勝負は、これからである。

 こういうモノの言い方をすると、お前は合併推進派かと尋ねられることに
なるだろう。地方分権の時代に、自治体としての行政の力をつけるためには、
合併は有効な選択肢になる。その意味から、合併は推進されるべきであると
考える。しかし、それは、自治体自身が、住民も巻き込んだ議論の中から選
びとるべきものであることも、当然である。

 ということで、この時期、まずは、合併という選択肢について真剣に検討
をしてもらいたいと思っている。合併特例法の期間内であれば、合併後の手
当ても、いろいろと有利になるとすれば、その検討はいつまでもゆっくりと
というわけには参らない。今年中には、それぞれの地域において、合併する
のか、しないのか、方向性を決める必要がある。

 自治体をバッターにたとえれば、今、真中高めの絶好球が投じられようと
している。それを打つのか、見逃すのか。そもそもバッターボックスに入る
のか。少なくとも、その判断だけは、早急にすることが求められている。平
成17年3月末が九回裏である。そのあとでは、絶好球は来ない。

 平成の大合併と言われているのが、今回の合併特例法での動きである。昭
和30年ごろ、昭和の大合併というのがあり、全国で1万以上あった市町村
数が、3200台になった。その昭和の大合併では、かなり強制的な合併と
いう色彩が強かったが、平成の大合併は、強制ではなく、支援オンリーであ
る。国の財政が極めて厳しい中での大盤振舞いとも言われている。だとすれ
ば、この支援措置の延長は、考えにくい。やるなら今しかないと考えるのは、
こんなところからも来ている。

 合併によって、旧町村が寂れてしまう。こういった心配は、あながち杞憂
でもない。昭和の大合併においては、そんな事例があった。今に至るまで、
その後遺症のようなもので悩んでいるところもある。平成の大合併では、そ
の轍を踏んではならない。むしろ、旧町村の自治、個性が生きるような形で
の合併を追求すべきである。内なる自治を育てるための合併を目指そうでは
ないか、そんなことも言われている。

 旧町村ごとに、地域審議会の設置という方策がある。その地域の住民の意
見を新首長に届けるための諮問機関である。これを有効に使うこと。また、
地域に「地域局」のような組織を置くということもありうる。こういった方
式も活用しながら、むしろ、旧町村の個性を生かした形の自治体づくりに努
力すべきであろう。

 どうせやるなら、あたりまえのことだが、前向きの合併であるべきである。
財政的に行き詰まるから、仕方なしに合併ということころはないだろうが、
財政的なメリットだけを考えての合併では、なかなか元気が湧かない。合併
によって力をつけ、これまで自前でできなかった仕事を県や国から引っ張っ
てくる。そういった気構えでの合併であってくれたら、住民にとってもどん
なによいことか。

 合併に向けての準備をする経過の中で、役場の職員が鍛えられる。住民が
鍛えられる。地域全体が鍛えられる。そのことが、新しく誕生する合併自治
体の力にならないはずがない。そんなことを期待しながら、県として、でき
るだけの助力は、この時期に集中的に行なっていきたい。

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> [編集後記] <

 仙台も30度を超える真夏日が続き、やっと夏本番です。「暑いですね」
と、ある方に言ったら「東京に比べたら、天国ですよ」と返ってきました。
実際、東京との気温差は4度以上ですものね。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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