浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2002/10/30
http://www.asanoshiro.org/　　　　　　　　　　　　　　　　　　第60号
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　[週刊コラム・走りながら考えた]
　　○「石井紘基議員の死」（浅野史郎）

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　○「石井紘基議員の死」（浅野史郎）

　民主党の石井紘基衆議院議員が刺殺されたというニュースを、大きな衝撃
とともに聞いた。現職の衆議院議員が暴漢に襲われたということだけで、十
分に驚きであるのだが、私にとっては、殺された議員が旧知の方であったこ
とで、そのショックはとてつもなく大きかった。

　石井議員からは、国の補助金に関する無駄をわかりやすく説き明かしたご
著書を直接頂戴する機会があった。わかりやすいのは当然である。なんと、
むずかしい話を漫画にして解説している。漫画化するというアイディアだけ
でなく、その中で言っていることのまっとうさと勇気に感激した。

　著書だけではない。国会の場においても、公金の使い方について、なんの
遠慮もなく、鋭く批判している姿に感銘を受けると同時に、ここまで攻めま
くって本当に大丈夫なんだろうかと心配にもなった。だから、自宅前で刺殺
というニュースを聞いた時には、直感的に石井議員のそんな姿勢への反発か
ら起きた犯罪なのではないかと考えてしまった。

　実際のところは、自称右翼の、まさにチンピラによる逆恨みに類する犯行
とのこと。なんたる非道だろう。こんなことで殺されるということがあって
いいはずがない。金をせびって、それが聞き届けられないからといって凶行
に及ぶとは、理不尽にもほどがある。石井議員も、なんのことやら全く理解
ができなかったはずだ。

　それにしても、人間の命がこれほども軽く扱われることに、心から戦慄を
覚える。犯人の個人的な事情だけなのだろうか。世の中の風潮ということに
も、思いをいたさなければならないのだろう。

　殺されたのが、有意の国会議員であったことにも、なんとも言えない暗澹
たる気持ちに襲われる。しかも、悪と正面から対峙し、不正を勇気をもって
糺す正義感の議員である。志なかばにして、突然に奪われた命に対して、申
し上げる言葉を失ってしまう。

　相手はチンピラだったとしても、国会議員の活動に対する暴力行為として、
徹底的に糾弾しなければならない。ここまで直接的でなくても、同様の脅し
はあちこちで生じている。今回の事件を契機に、似たような事例を洗い出す
必要性を感じる。

　石井議員の死を無駄なものにしたくない。そうでなければ、石井議員の御
霊も浮かばれないだろう。

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>　［編集後記］　<

　仙台の泉ヶ岳では、今週初冠雪を記録しました。平年より一週間ほど早い
そうです。秋があっという間に冬に変わります。つい最近まで、半袖を着て
いた気がするのですが。

　それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。　（一馬）

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発行：浅野史郎・夢ネットワーク　メールマガジン編集局　渡辺一馬