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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003/1/21
http://www.asanoshiro.org/                  第72号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「イラクそして北朝鮮」(浅野史郎)

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 ○「イラクそして北朝鮮」(浅野史郎)

 私が中学生の時だったか、高校生になってからだったかは忘れたが、夜中
に恐怖で飛び起きたことがあった。真夜中にあたる時間に、突然サイレンが
鳴り響いたのである。救急車やパトカーのサイレンとは明らかに違う。長く
続き、何回か繰り返された。こんな真夜中に、ちょっとした事故などでこん
な大音響でサイレンが鳴らされるはずがない。よほど緊急の事態であろう。
そこで、史郎少年の頭に浮かんだのが、外国からの核攻撃である。今、まさ
に、核弾頭をつけたミサイルが仙台目指して飛んできている。それを知らせ
るサイレンに違いない。史郎少年は、恐怖感にとらわれて、震えていた。そ
んなことで30分ぐらいは起きていたが、その後何事もなかったので、その
まま寝てしまったような記憶がある。

 ありようは、近くの広瀬川に、上流のダムから放流したことを知らせるサ
イレンだった。なぜに、そんな真夜中に鳴らしたのかはわからないが、某国
からの核攻撃でなかったことは確かである。しかし、当時の史郎少年として
も、核攻撃はそれほどに荒唐無稽な妄想であるとは思えなかったことも事実
である。

 あれから40年ほどの時が流れた。冷戦の終焉により、核戦争の現実性は
急速に後退した。しかし、ここにきて、再び、史郎少年の恐怖は戻りつつあ
る。夜中の街中にサイレンの音が長く、大きく鳴り響いたら、「ひょっとし
たら」の思いにとらわれるかもしれない。

 北朝鮮を巡る最近の状況を考えると、いきつくところ、日本への核攻撃の
可能性も頭に入れておかざるを得ない。北朝鮮から発射されたテポドンが、
日本本土を越えて太平洋上に落ちた記憶は、まだ生々しい。「まかりまちが
えば」というぐらいのもので、もちろん、可能性は極めて低いのであるが、
荒唐無稽と切り捨てられることでもない。

 アメリカによるイラク攻撃が、秒読みに入ったとさえ言われている。それ
に対して、日本としてどういう立場を取るのか。そういった文脈の中で考え
ると、イージス艦の派遣をバタバタと決めて実行してしまったことは、日本
の国益ということに照らして、大いに問題ではないかということを、昨年12
月17日のこのコラムで書いた。

 大量破壊兵器を保持しているということをもって、アメリカはイラク攻撃
の根拠にしている。地球上の大量破壊兵器の半分以上を持っているのはアメ
リカであり、地球上で唯一原爆を実際に使用して大量の殺戮を行った国は、
同じくアメリカである。唯一の被爆国である日本が、アメリカとイラク双方
に対して、「どっちもやめろ」と言えるポジションにある。日本が進むべき
道は、内外から対米追随と見られてしまう安易な外交政策ではなく、日本し
かできない、他に置きかえられないようなポジションを意識しつつ、独自性
のある発言をしっかり確保していくことであろう。

 イラク攻撃に関して、アメリカが「先制攻撃権」なるものを言い出してい
ることは、何人かの識者が指摘しているように、極めて危険なことである。
放っておけば重大な軍事的脅威になることが明らかな場合は、その国に対し
て先制的に攻撃をして脅威の芽を摘むことが正義であるという「理論」のよ
うであるが、とんでもない理論である。それは、地球上でアメリカのみに許
されるのではないはずだから、パキスタンがインドに、イスラエルがパレス
チナ国家に(その逆も)、先制攻撃は許されることになる。アメリカの唯我
独尊であるだけでなく、世界全体がならずもの国家になるようなものである。
こういったことにも、日本は「ノー」と明確に発言していかなければならな
い。

 そして、北朝鮮である。冒頭に書いた「恐怖」は、未然に防がなければな
らない。アメリカは、イラクとの二正面作戦は取り難いということから、北
朝鮮への対応は、軍事力によるのではなく、まともな外交努力によって解決
していこうという方向が見て取れる。それに対する北朝鮮のほうが、まさに
??潮??
瀬戸際外交、やぶれかぶれという様相を呈しているのが、大いに気に掛かる。

 まさに、こういう時こそ、日本の出番であろう。国交正常化交渉を開始し、
昨年9月には日朝首脳会談を経て、日朝平壌宣言にまでこぎつけた。その宣
言の中には、「双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、
互いに協力していくことを確認した」という文言が入っている。拉致問題の
解決は、確かに重要な問題であるが、そのことと外交上の継続的努力とを平
行して進めていくことは、十分可能であるし、必要なことでもある。拉致問
題に関しての北朝鮮への怒りの感情は、日本人として当然のものではあるが、
そのことによって、国交正常化交渉で始まった大事な対話を根こそぎ廃棄し
てしまうことは、賢明な対応とは思えない。

 まさに、重要な時期である。北朝鮮問題は、みんなで解決していくべき問
題である。「みんなで」というのは、決してアメリカの強烈な軍事力と、そ
れを背景にした外交にのみこの問題を委ねるのではなく、日本、韓国、中国、
ロシア、そして米国、これらが一緒になって、北朝鮮問題の解決に全力を尽
くすということである。

 さらに、もう一つの課題。有事立法である。有事の際の最低限のルールを
あらかじめ作っておくこと。これは、国家としてだけでなく、それぞれの地
域として当然のことである。ルールというのは、「有事には、政府はここま
でやってもよい」と決めるだけでなく、「ここまで以上は、有事といえども
やってはいけない」ということを決めるものである。この問題についても、
しっかりと地に足がついた議論を、国民全体でしておくべきものであること
を、改めて強く感じる。

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を超えることが出来ました。ありがとうございます。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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