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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/2/18
http://www.asanoshiro.org/                  第76号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「障害者福祉は介護保険で!」(浅野史郎)

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 ○「障害者福祉は介護保険で!」(浅野史郎)

 2月15日、滋賀県大津市で行われた「第6回アメニティー・フォーラム
INしが」において、7県知事によるシンポジウムが行われた。タイトルは
「障害者福祉は介護保険で!」。タイトルになっているこのメッセージに賛
同する知事に対して、私から参加を呼びかけた。日程の都合がついて、実際
に参加いただいたのは、岩手の増田、千葉の堂本、三重の北川、滋賀の國松、
鳥取の片山、熊本の潮谷の6県知事。コーディネーター役は私が務めた。

 そもそも、なんでこんなタイトルかというのは、このメルマガの第32号
(2002.4.15)「介護保険の見直し」を参照いただきたい。そこで
は、「障害福祉の財源を税収だけに頼っていいのか。障害者への介護を介護
保険の財源でみていくことは、極めて有効な政策選択になる。・・・その問
題提起も、中央からではなく、我々地方自治体からなされることになるだろ
う」と書いていた。最後の部分は、予言というか決意表明であったわけで、
その具体的アクションが今回のシンポジウムということになる。

 このシンポジウムを企画している間に、支援費制度をめぐる「混乱」が
あった。当然ながら、シンポジウムにおいては、このことも議論の対象にし
ていかなければならない。さらには、障害福祉の仕事は、地域に密着したも
のであり、地域での実践も相当程度積み重ねられてきた。今更、国の指導監
督の下に行われることもないのではないか。障害福祉における地方分権とい
うのも、重要な論点である。こういったことを議題にして、シンポジウムは
進められた。

 議論の中で明らかになったのは、「障害福祉は介護保険で」というのは、
言葉足らず、又は、逆に言い過ぎというところがあるということである。
「障害福祉のある部分は、介護保険によって賄われることが適当である」と
言い換えたほうがわかりやすいかもしれない。國松善次滋賀県知事の言い方
によれば、介護保険の「いいとこ取り」をすればいいということになる。

 フロアからの意見や、別なセッションでの岡田喜篤氏の発言を聞いていて
感じたのだが、議論が噛み合っていないところがある。どういうところかと
言うと、現在の介護保険における介護の内容に、身体障害者や知的障害者に
とって必要な支援があてはまらない、したがって、障害者への介護を介護保
険に期待することは筋違いなのではないかという議論である。

 それはそうであろう。しかし、「介護保険」という名称を、障害者にとっ
ては、例えば「支援保険」と言い換えて考えてみたらどうか。障害者の地域
生活にとって必要な支援内容を保険給付にするような保険制度ととらえ直し
たらどうか。つまり、介護保険を財源保障の制度と割り切って考えるという
ことである。「介護」という狭い概念にとらわれてしまうと、確かに、「そ
れは自閉症の人への支援にはあてはまらない」ということになるだろう。し
かし、考えてみれば、いかなる介護も、いかなる支援措置も人手がかかる。
つまり、人件費がかかる。その費用を、介護(又は支援)保険の保険給付と
して支弁するということにするだけの話と、考えることはできないのだろう
か。

 支援費問題をめぐる今回の混乱と議論を振り返ってもわかるように、市町
村が負担することになる支援費の財源を、一体どうやって安定的に確保する
か、そのことを、本気になって考え抜かなければならない。

 施設福祉と在宅福祉について、前者は義務的経費とされているのに対して、
後者は裁量的経費と構成されていることの意味も、改めて考察されなければ
ならない。つまり、障害者にとって、地域の中で生活を成り立たせていくた
めの経費は、財源に余裕があれば支出されるが、そうでなければ我慢しても
らうものということになる。「支援費は在宅重視の制度」と言っていながら、
そのための支出は、実施する市町村の財源次第、それに補助する国の予算確
保状況次第で、本当にいいのだろうか。
 実は、ここにこそ、財源保障機能としての介護保険の出番がある。片山鳥 取県知事がシンポジウムで言ったように、介護保険の保険料は、目的税的な ものである。そういった目的税を負担していいという国民的合意さえできれ ば、障害者への介護サービスでも支援サービスでも、介護保険制度から安定 的に、そしてすべての市町村において普遍的に支給されればいいのである。 障害者へのサービスは、「介護」の範疇に入らないものがある、別なんだと いうことを強調するからややこしくなる。  「障害者福祉は介護保険で」という命題に関して、今後の国における真剣 な検討を期待するものであるが、一つだけ心配がある。それは、「そんなこ と言ったって、障害者自身が介護保険に入れられることに反対しているじゃ ないか」と反論されることである。そういう反論をするのであれば、その反 対の内容、理由をよく吟味して欲しい。上記に示したように、「障害者への サービスは「介護」の範疇に入らない」ということで反対というのであれば、 介護保険が保障するサービス内容を障害者に合ったものに調整すれば済むは ずである。そこのところまで十分に議論し尽くした上での、緻密な検討を心 から期待する。  いずれにしても、有志知事は、この問題について、国での検討を期待する という、わかりやすいアクションに出たのである。次に答えるべきは、国で あることを改めて訴えたい。 ____________________________________________________________________ > [お知らせ] <  ○メルマガ登録者、相互リンク募集中です。  多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。  お近くにご紹介いただければ幸いです。  相互リンクも随時募集中です。お気軽にこちらまでメール下さい。  mmz@asanoshiro.org  リンクページはこちら  http://www.asanoshiro.org/link/index.htm ____________________________________________________________________ > [編集後記] <  大学受験シーズンです。来週の今日は国公立大学の前期入学試験日。その 当時、自分は気持ちばかり焦っていたことを思い出しました。今から見れば、 かわいい悩みだったなと。  それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)  皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。      メールアドレス mmz@asanoshiro.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/ 発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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