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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/7/22
http://www.asanoshiro.org/                  第98号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「闘う知事会議」(浅野史郎)

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 ○「闘う知事会議」(浅野史郎)

 今年の全国知事会議は、7月17日に、岐阜県高山市で開催された。開催
ご当地の梶原拓岐阜県知事は、今回の知事会を「知事会改革元年」と位置付
け、キャッチフレーズとしては、「闘う知事会」を掲げて開催に臨んだ。宿
泊するホテルや会場地には、「闘う知事会」だけでなく、「打倒抵抗勢力」
といった幟が立っていたのには、驚かされた。

 そういった雰囲気の中で始まった今年の知事会であったので、例年にも増
して白熱の論議が展開された。中心テーマは、国から地方への税財源移譲、
補助金の廃止、地方交付税の見直しを一遍でやるという「三位一体改革」と
なるのは、この時期であれば当然の成り行きである。

 ゲストの片山総務大臣も檄を飛ばす。例えば、知事側から、廃止すべき補
助金の具体的名称を上げて、それを国に迫るという形で闘ってくれとおっ
しゃる。こういうことは、これまでの知事会ではない発言である。

 恐れを知らない直言居士、片山鳥取県知事は、今回も、持論である地方交
付税見直し論を提示した。国は、補正予算でハード事業をしゃにむに地方に
やらせて、その際に発する地方債の8割とかを返済時に地方交付税で充てる
などというのは、交付税の先取り、第二補助金化であって、本来の交付税の
ありかたではない。廃止すべきである。同様に、合併特例債も、返済時に7
割の交付税措置があるが、これなどもやめるべきである。こういった意見を、
堂々と展開する。彼が旧自治省官僚であることを考えると、勇気ある発言で
あるし、もう一方において、確かに正論であると思わせてしまう。

 初登場で生きのいい松沢神奈川県知事は、将来の都道府県制度のあり方に
ついての研究会を知事会の中に設けるべき時期であるということと、次期総
選挙で、三位一体改革について確固たる数字を示してのマニフェストを、各
政党として掲げることを知事会として要求するべきこと、そういった意見を
提示した。そのいずれに対しても、私は、疑問を呈する反論をしてしまった
のだが、それにしても、とてもわかりやすい、元気一杯の意見であると感心
したところである。

 こういった発言を一々紹介するのが、この稿の趣旨ではない。三位一体の
改革で、全国知事会として、具体的な補助金の名称を上げて、政府に対して
廃止を要求するという決議を採択したことを是非言いたかった。

 これまでの歴史の中では、初めてのことである。今までは、知事会として
は、むしろ反対に、この補助金を増やしてくれ、こういった補助金を創設し
てくれという要望ばかりであった。逆に、廃止すべき補助金を具体的に提示
するというのだから、画期的なことである。もちろん、補助金を廃止しても、
その事業をなくするわけではないのだから、それに見合う財源の移譲とセッ
トでの議論であることは言うまでもない。

 当然のことながら、具体的な補助金名を挙げていくという作業は極めてむ
ずかしい。2000件以上ある国庫補助金を、一つひとつ吟味しながら、こ
れは残す、これは要らないと振り分けていくのである。30万円の補助金を
獲得するために、費用が50万円かかってしまうといった対費用効果が低い
もの、補助金採択の裁量の余地が広過ぎて不透明なもの、あまりにも規格が
厳し過ぎて使い勝手の悪いもの、歴史的な役割を終えてしまったもの、こう
いったカテゴリーに分類して、一つひとつの補助金の件名ごとに○×を判断
することになる。さらには、上記のカテゴリーに照らした場合の「問題点の
大きさ」、もっとはっきり言えば、「罪深さの程度」、これを補助金1件ご
とに判断していく作業も必要になる。

 少しばかり、専門的になり過ぎた。こういった議論だけに止まらず、さま
ざまな意見が飛び交う知事会だったことを言いたかったのである。知事本人
出席が41名というのも、近年ではないほどの高い出席率であった。欠席知
事の中では、どうしても、土屋義彦(前)埼玉県知事の名前を上げなければな
らない。なにしろ、47人の知事会の会長である。その会長の姿が、この大 事な場面で見られないというのは、まことに残念であるし、異様なことでも ある。  知事会の場では、急遽、中沖富山県知事が会長代理を務めた。議論が活発 過ぎて、中沖知事の仕切りが間に合わなくなる場面も出てきてしまったが、 これは議論白熱の結果であって、むしろ喜ばしいことではある。そうは言い ながら、混乱させた原因の一端は、勝手な発言を乱発してしまった私にもあ ることを認めなければならない。これで、北川正恭(前)三重県知事の姿が あったら、議論は収拾がつかなくなるほど活発になったのではないか。どっ ちがよかったのかは、にわかには、判断がつかない。  梶原知事から提案のあった「自治体憲章」を、これから1年間検討して、 来年の新潟大会では、知事会として採択するということを決めて、「闘う知 事会」を終了した。次回開催県の新潟県の平山知事は、私の隣りの席である。 「平山さん、次回は「闘い続ける知事会」をキャッチフレーズにすると言っ たらどうですか」と囁いたら、平山さんは、そのとおり「闘い続ける知事会」 と言って挨拶をしていた。来年まで「闘い続ける知事会」であることを期待 しつつ、一人の知事としてもやるべきことをやろうと思っている。 ____________________________________________________________________ > [お知らせ] <  ○メルマガ登録者、相互リンク募集中です。  多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。  お近くにご紹介いただければ幸いです。  相互リンクも随時募集中です。お気軽にこちらまでメール下さい。  mmz@asanoshiro.org  リンクページはこちら  http://www.asanoshiro.org/link/index.htm ____________________________________________________________________ > [編集後記] <  九州南部では梅雨明けだそうですが、仙台では相変わらずの低温続きです。 すでに稲の生育に悪影響がでているそうです。これからの好天に期待したい ところです。  それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)  皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。      メールアドレス mmz@asanoshiro.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/ 発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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