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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/9/16
http://www.asanoshiro.org/                  第106号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「18年ぶり、阪神優勝」(浅野史郎)

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 ○「18年ぶり、阪神優勝」(浅野史郎)

 阪神タイガースが、ついにセントラル・リーグでの優勝を決めた。18年
ぶりである。待っててよかった、生きててよかったの18年。

 早ければ、9月9日、神宮球場で、それがだめでも、ナゴヤ球場で優勝を
決めるということだったが、優勝決定直前で、阪神は引き分けをはさんで5
連敗、マジック対象チームは負けてくれない。結局、甲子園に戻って最初の
試合で優勝を決めた。

 9月15日、対広島カープのその試合も、3時間半、テレビにしがみつい
て観戦していた。2対2の同点で迎えた9回裏、満塁のチャンスに赤星がサ
ヨナラヒットを打った瞬間には、涙が半分出てきた。「半分」というのは、
2時間後に始まった横浜ベイスターズ対ヤクルト・スワローズの試合でヤク
ルトが負けないと、今日の優勝はないという条件なので、完全に喜んでしま
うわけにはいかなかったから。

 午後7時半、ヤクルトが6対12で負けて、阪神タイガースの優勝が決
まった。最後の最後も、阪神らしい、気を持たせての決め方であって、なお
のことうれしい。


 6月10日発行のメルマガ第92号は「タイガースの快進撃」であった。
当時でも独走態勢だったが、ペナント・レースはまだ半分もいっていない。
先にどんな落とし穴が待っているかわからない時期ではあった。そのメルマ
ガでも、「7月、8月に10連敗、最後は優勝を逃すことになるというシナ
リオは、頭のどこかに用意している」と書いておいた。

 その心配は全くの取り越し苦労と思えるほどに、それから後も、快進撃は
続いた。とんでもなく早い時期のマジック点灯。「死のロード」で4勝11
敗と負け越したが、甲子園に戻ってきて7連勝。やることなすこと見事なま
でにうまくいって、優勝にたどりついた。

 最後に優勝したのが、昭和60年、1985年の出来事であった。当時、
私は北海道庁勤めの最初の年で、巨人ファン8割と言われる札幌の地で、稀
少価値の阪神ファンを演じていた。阪神タイガースのなんたるかを知ってい
るファンとしては、「これで20世紀中の優勝はないな」と自覚していたが、
チームは、結局、そのとおりで推移することになる。

 1985年の優勝以来、阪神ファンにとっては暗黒の時代が続いた。最下
位が定位置のようになってしまった。「ダメトラ」とバカにされたり、「阪
神はいいな、あんなに弱くても甲子園に出られて」とか揶揄されても、返す
言葉に窮するほどであった。「常勝期待の巨人ファンと違って、阪神ファン
は、1週間に1回でも勝ったら、それで大喜びできる。1勝の価値を知って
いるのが阪神ファン」と自分でも期待水準を下げていたのである。

 それが、どうだろう。21世紀3年目の今シーズンは、まるで生まれ変
わったかのような快進撃である。金本の参入が大きい。伊良部も前半戦は大
活躍であった。片岡、アリアスは、昨年の屈辱を移籍2年目に見事に晴らし
ている。それにしても、たった1年でこうも変身できるものなのだろうか。
神懸かり的な強さとしか言いようがない。

 もともと、阪神ファンは熱狂的なことで知られているが、今年のフィー
バーぶりは、尋常ではない。経験の少ない相手方投手などは、ピンチになっ
てあの大音響で野次られると、平常心をなくすのは無理もない。阪神の選手
も、ファンの声援に乗せられて、自分の能力以上の力を発揮しているのに違
いない。私の分析では、ファンの声援で勝ったと言える試合が15試合ほど
あった。これが全部負けていたら、2位との15ゲーム差はひっくり返るわ
けだから、今年の優勝はファンあってのものというのは、正しい評価だろう。

 そのファンに、苦言をひとこと。阪神ファンは度が過ぎるところがある。
「どアホが阪神ファンの勲章なんや」と言い返されそうだが、最低限のマ
ナーは守らなければならない。風船を絶対上げるなと制止されている球場で
それをやってしまう。星野監督からも、「そんなファンなら来んでもええ」
とどやされる場面も何度かあった。これは、いただけない。

 道頓堀に飛び込むのは、ファンの心理としてはわからないでもないが危険
な行為。禁止されればそれだけ注目度が上がる。だから、なおさらやりたく
なる。しかし、有害物質だらけの水質らしいから、どうか御身ご大切に。

 今シーズンの阪神の快進撃は、多くの人たちに勇気を与えたことはまちが
いない。阪神ファンならずとも、1イニングに11点入れて大逆転するのを
見て、興奮しないではいられなかっただろう。最後まで、あきらめてはいか
んということである。これまで業績が悪かった会社だって、たった1年で大
変身、快進撃に転じることができることを信じたくなるはず。そういった効
果も含めれば、今年の阪神タイガース優勝の経済効果は数千億円では済まな
いのではないかと思う。

 神戸サンテレビでは、年間70試合の阪神戦の中継という快挙を成し遂げ
た。当然ながら、視聴率は大幅に上昇した。大手テレビ局の巨人戦オンリー
の営業方針を苦々しく思っていた私にとっては、神戸サンテレビの英断に大
拍手である。おかげで、阪神タイガースの試合を今年は何十試合もテレビ観
戦させてもらった。しかも、そのほとんどが勝利に終わるというおまけつき
で。神戸サンテレビ、ありがとう。

 今、こうやって、阪神タイガースの優勝の瞬間に立ち会って、しみじみと
思う。18年間待っていてよかった。50年間阪神タイガースのファンを
やっていたことが報われた。「日本シリーズでも優勝せよ」というぜいたく
は言わない。来年も、ファンの心を熱くする戦いぶりを見せて欲しいとだけ
言っておきたい。ありがとう、阪神タイガース。

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> [編集後記] <

 阪神タイガースの優勝をつくったのは、横浜ベイスターズのおかげです。
阪神最大の貯金先であり、最後の優勝を決めたのもベイスターズがスワロー
ズに勝ったからです。

 と、負け惜しみをいいましたが、来年こそは、横浜が奇跡の優勝をします。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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