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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/9/24
http://www.asanoshiro.org/                  第107号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「続・自民党総裁選挙」(浅野史郎)

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 ○「続・自民党総裁選挙」(浅野史郎)

 9月20日に行われた自民党総裁選挙で、小泉首相が「圧勝」した。圧勝
というよりは、予想通りの順当勝ちといったところであろう。

 だから、熱気も興奮も、そして驚きもない。同日の私の日記に、「来シー
ズン、阪神タイガースがまた優勝したら、こんな感じになるのだろうか」と
書いてしまった。あのダメ虎が、今シーズン、18年ぶりの優勝をぶっちぎ
りで決めた時の熱気と興奮は、とてつもないものだった。道頓堀へのダイブ
なども含め、日本全国を巻き込む(「阪神ファンだけでなく」という意味)
一大社会現象になったのだが、それに匹敵した熱気が、前回の「小泉勝利」
にはあった。「自民党支持者だけでなく」ということでも、国民的な現象で
あった。

 「小泉初勝利」のすぐあとの参議院議員選挙での自民党大勝利は、自民党
総裁選挙の熱気と興奮をそのまま選挙に持ちこんだ結果である。派閥や政策
の違いを超えて、自民党の参議院議員候補者のかなりの部分が、小泉首相と
並んで撮った写真をポスターやらパンフレットに使った。そして、目論見ど
おり、多くは当選したのである。

 総裁選挙が終われば、衆議院解散、総選挙が目の前である。前回の参議院
議員選挙での自民党大勝の記憶は、まだ鮮明に残っている。小泉純一郎首相
を担いで選挙を戦うのが、来るべき衆議院議員選挙では、絶対有利であると
いうのが、自民党の候補者の思いであろう。しかし、前回選挙の時とは、条
件が大きく違っている。まずは、そのことに気が付くべきである。

 第一に、冒頭に書いたように、熱気が違う。今回の「小泉勝利」は、国民
全般を巻き込む社会的現象になっていない。新鮮な驚きの要素は、ゼロであ
る。今回の総裁選で敗れ去った、他の3人よりは、小泉首相のほうが選挙の
顔としては、まだましというぐらいのもの。

 第二に、今回の自民党総裁選挙で小泉首相を再び選んだのは、自民党の大
半が政策で一致して小泉支持をしたのではなく、選挙で有利かどうかを判断
基準にしたことが、満天下の知るところとなっているということである。前
回の「小泉初勝利」の時にも、そういった要素はあった。しかし、「野中氏
引退記者会見」で指摘されたような、おどろおどろしい事象は、少なくとも、
明るみに出ていなかった。

 そして、第三に、野党の対応である。民主党は、マニフェストという形で、
自民党との違いを鮮明にした政策を掲げて総選挙を戦おうとしている。政策
ではなく、総選挙で勝てるかどうかで小泉首相を再び総裁に選んだ(と思わ
れている)自民党とは違って、党内での合意を得た上での政策提示である。
その違いを、経過も含めて国民がよく知っているということも、決して無視
し得ないことであろう。

 今回の自民党総裁選挙の過程を通じて、国民一般の関心を集めたことがあ
るとすれば、それは、政党における政策の位置付けの問題である。このメル
マガ9月9日号の「自民党総裁選」の稿でも書いたように、自民党総裁選挙
で小泉首相が掲げた政策が、総選挙における自民党の公約になるべきことは、
当然である。その当然のことが、これからの成り行きの中でまっとうされる
のかどうか。それにしても、今回の総裁選挙での小泉首相の政策は、細かい
ところまでは示されていなかったので、「まっとうされたのかどうか」の検
証には限界がある。このこと自体が、本当のところ、問題にされるべきこと
ではあるのだが。

 政党における政策の位置付けの問題ということでいえば、自民党において
最も重要な「政策」は、政権を保持し続けることであるような気がしてなら
ない。議員レベルにおいても、同様のことが言える。他の党から自民党に鞍
替えすることが、いとも簡単になされている。鞍替えの大義名分として、
「政権に入っていればこそ、自分の政策が生かせるから」といったことが大
真面目で言われることの決定的なおかしさに、本人はもちろん、支持者も気
が付いていない。政策集団である「自民党」ではなくて、「与党」という政
党があると思っているのではないか。

 今回の自民党総裁選挙を巡っての事象も、この「決定的なおかしさ」の一
種なのかもしれない。与党であることが、何よりも優先されるおかしさ。
「何よりも」の「何」の中には、政策も入る。そう考えれば、青木幹雄自民
党参議院幹事長の「不可解な」言動も腑に落ちる。

 こういったことが、国民の目の前で堂々と展開されている。それを見る側
の国民に、「おかしくないか」の認識と評価があるのかどうか。試されてい
るのは、政党だけではないのかもしれない。

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 皆様に、二つ謝らなければいけないことがございます。一つ目が、前回の
メルマガの中で、「下柳、アリアスは、昨年の屈辱を移籍2年目に見事に晴
らしている」とございましたが、「片岡、アリアスは」の間違いです。
 編集部でも気がつきましたが、内容が阪神だけに知事が間違うわけがない
と判断してしまいました。申し訳ございません。

 二つ目は、メルマガの発行が一日遅れてしまったことです。一気に秋が来
たようで、私の体調が崩れてしまいました。ご心配をおかけしました。

 皆様も、季節の変わり目で体調を崩されることがないよう、お気をつけ下
さい。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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