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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/9/30
http://www.asanoshiro.org/                  第108号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「県立高校の男女共学化」(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「県立高校の男女共学化」(浅野史郎)

 先日、アメリカから高校生の一団が県庁を訪ねてきた。宮城県の高校生が、
このあとアメリカに短期滞在の「留学」をする。その前段として、まずはア
メリカの高校生が宮城県の高校に通うというプログラムがあり、彼等、彼女
等は、そのプログラムでアメリカからやってきたのである。

 雑談に入って、私から質問をした。月並みであるが、「こちらにやってき
て一番印象に残ったのは何か」と尋ねた。県立の女子高校に通うことになっ
たアメリカの女子高生の答は、通っている学校のクラスが女子ばかりである
ことに驚いたというものであった。それで、あなたはどう感じたのかと、追
いかけて聞いたら、「気楽でいい」とのこと。アメリカの公立高校では、や
はり男子の目を気にするところがあって疲れると、彼女は付け足した。

 宮城県の公立高校の中には、男女別学校が残っている。例えば、仙台市内
で「ナンバースクール」と呼ばれる、第一から第三までの男子高校、女子高
校は別学である。私の母校は、県立の仙台第二高等学校。前身の旧制仙台ニ
中以来、一貫して男子校である。宮城県としては、「ナンバースクール」を
含む、すべての県立高校を順次男女共学にしていくとい方針を明らかにして
いる。「一律共学化」というこの方針に対しては、反対の立場をとっている
人たちは、当然存在する。このアメリカの女子高生の発言は、「反対派」か
らは、「それみろ、アメリカの高校生だって、共学には反対なんだ」と引用
されるのではないかということが、一瞬であるが、私の頭をかすめた。

 その一瞬が過ぎ去って、改めて考えてみたときに、アメリカの女子高生の
この答の中にこそ、一律共学の理由があるということに気が付いた。女子ば
かりのクラスは、「気楽でいい」のである。男子という異質の存在が近くに
あると、「疲れる」のである。「別学高校に在学している大多数の生徒は、
異性がいない学校環境を「気楽でいい」と満足しているのであるから、そう
いった声を尊重して、別学高校の存続を図るべきである」という議論は、正
しいのであろうか。

 問題を、別な観点から眺めてみよう。県立高校の女子校というのは、県の
規則において、「この高校には、男子の入学は認めない」とされている学校
のことである。性別は、生まれながらに決まっているものであり、努力すれ
ばどうにかなるというものではない。学区制の下で、学区の中の高校しか選
べない、学力不足のために、あるレベル以上の高校には進学できないという
のは、合理的理由があるが、性別による入学拒否には、合理的理由を見つけ
難い。

 男女共学にすれば、男女共同参画の意識の醸成になるといったことは、結
果としてそういったことが期待されるということであって、そのために、そ
のためだけに共学化するというのは、私の感覚からすれば、ちょっと違う。
他県もほとんど共学だからというのは、実態を言っているだけで、理由その
ものではない。

 公立高校においては、経費のほとんどは税金で賄われている。税金で賄わ
れている高校で、あなたは男子だから入学させないということを規則で決め
ていることを合理的に説明することは極めて困難である。あなたは白人だか
ら、ラテン系だから入学を認めない、あなたはカトリックだから、イスラム
教を信じているから入学お断りという公立学校があることの不合理さとの差
異はみつけにくい。

 女子だけの高校だと気楽なのに、異性が入るとのびのびできないから、男
子校に女子が入学してくると学校の伝統が消えてしまうから、「私は別学校
で、とても幸せな学校生活を送った」のに、共学校ではそんな幸せが味わえ
るとは到底思えないから、女子高校の場合だと校名を変えなくてはならず、
母校がなくなってしまう(ような気がする)から・・・・といった理由が、

一律共学化反対の論拠として主張される。在校生、卒業生の意見をしっかり
聞いて、正しいアンケート調査に基づき、民主的な手続きを経て方針は決定
すべきであるという主張もある。

 繰り返しになるが、県立高校の男女別学というのは、県の規則で「この学
校に男子は入学させない」、「この学校には女子は入学させない」と決めて
いるということである。性別という、生まれながらの違いの結果である。こ
れは不合理である。この不合理さを考えた上で、もう一度、上記の反対理由
を読み返して見るべきではないだろうか。

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> [読者のみなさんから] < 

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 当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ
の皆さんの声の一部を、今後この場で紹介してまいります。


 <匿名さまから>

 隣の県の知事さんの、ほのぼのとした情報毎回楽しませていただいており
ます。
 公務多忙の知事さんとすれば毎週とすれば大変だとは思いますが、還暦を
1年すぎた私には、毎回楽しみにして読ませていただいております。
 ジョギングと同様、気張らず続けて下さい。


 <会沢様から>

 いつも感心しております。文章が簡潔で、非常にわかりやすいと言う事で
す。今日のメールによると、浅野史郎自らがキーボードを叩いて作成してい
るとのこと。本当に仕事で忙しい中、嘘でしょう。信じられません。でもよ
ろしいです。
 内容が、日頃浅野知事が口にしていること、考えていることであると思わ
れるということです。ゴーストライターでも、スタッフに任せてでも、途切
れることなく、継続してください。楽しみにしております。


 本日は、お二人の感想を掲載いたしました。100号突破でたくさんの励ま
しのメールを頂きましたので、今後何回かに分けて掲載していきます。

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> [編集後記] <

 今週号から、皆さんのご感想などを掲載をはじめました。毎号、いろいろ
な感想やご意見をいただきます。ありがとうございます。

 今週掲載いたしました会沢様からメールに知事自身が文章を書いているこ
とに対し「嘘でしょう。信じられません」とありますが、本当に、毎週のコ
ラムは知事自身が書いております。スタッフが書いているのは、この編集後
記ぐらいです。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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